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【特集】2024年にリリースされているダンスミュージック的ボーカロイド楽曲:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2024/11/21

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知1】

次回Hardonizeの情報が公開されております。

2024/12/7(sat) Hardonize #48 at waseda sabaco | Hardonize web

ゲストにAkuaMarineさんCarpainterさんの2名をお招きしてお送りします。
両名とも若くしてテクノハードテクノは勿論のこと、多種多様な音楽に精通しているプレイヤーであり、自身のオーガナイズを含めた様々なパーティーを渡り歩いている腕利き同士でもあります。
Hardonizeレジデントメンバーとは1~2世代の隔たりがあるため、同じ曲でも解釈が異なり、全く違う使い方をするといったことが起こりえるので、そういうところにも面白味が出てきそうだと期待しております。

日にちは12月07日(土曜日)、15時からとなります。
場所はいつもの早稲田茶箱にて皆様のご来場をお待ちしております。

また、当日は入場特典として国産テクノコンピレーション、Techno Alliance 8の配布が行われます。

V.A. / Techno Alliance 8

Techno Alliance 8 | Techno Alliance

Hardonizeとしてお世話になっている方々の楽曲を含む全20曲。
テクノからハードミニマルまで機能性に優れたものが揃っておりますので、是非ゲットしてください。

【Spotifyプレイリスト】

Spotifyプレイリストの10月分が公開されております。

当連載でピックアップしたハードテクノをメインとするトラックをプレイリスト化した全60曲。
自分テックトランスをリストインしております。

是非お楽しみください。

【近況】

先週末はTREKKIE TRAX 12th Anniversary with L-VIS1990へ遊びに行ってまいりました。
次回HardonizeゲストでもあるCarpainterさんが主宰を務めるTREKKIE TRAXの12周年を記念し、海外ゲストも招聘して盛大に行われたパーティーだったわけですが、
ジャンルの枠を越えて色々な方々が来ており、且つその方々が(例え自分の主戦場とするジャンルでなくても)その時流れている音に対して耳を傾け、そして踊っている光景は自分の理想とするパーティーに近いもので、結構感動しました。
TREKKIE TRAXの持つ懐の広さを感じられたようにも思えましたし、海外ゲストのL-VIS 1990のプレイ含め、ダンスミュージックの作り出すポジティブな雰囲気と奥深さを改めて体感できた、そんな一夜でした。

今のところ今年遊びに行ったパーティーで1番印象に残っているかもしれません。
本当にナイスパーティーでした。

【告知2】

今月最終土曜日、比較的よくウチに遊びに来るカメラマン兼ファンコットDJであるsaegsaさん主宰によるパーティー、VARIETYに出演致します。

主宰のパーティーオーガナイズ10年を記念した特別回ということでオールB2Bアクトであり、なんでこの面子が一堂に介するのか分からないくらい、様々なシーンから腕利きが集められました。
先日本人とお会いした際、『前後の繋がりとか考えなくて良いんで!』と言っておりましたが、改めてこの面子を見ると・・・いやー無理ですね。
ちなみに僕の相方は各種音楽ゲームコンポーザーとしてお馴染み、t+pazoliteさんというワケでそれはもう色々なジャンルの音楽が流れると思います。
っていうかパーティー1週間前ですが、当事者含め、何やるのか誰も分かってません。

常に誰かが誰かによって苦しめられる可能性を孕んでいる一晩ですが、お客様各位につきましてはブースで慌てふためく連中を肴に美味しいお酒を飲みに来て頂ければ幸いです。
賭博黙示録カイジ電流鉄骨渡りでレースを遠目に観察している成金、アレのポジションになれます。

【¡¡SAKE!! vol.5 トラックリスト】

さて、先週末は予てよりお伝えしていた¡¡SAKE!! vol.5に出演しておりました。
出順としてはTakayuki Kamiyaさんからバトンを受け取り、12_1さんに渡すというポジションであり、
テクノハードコアという、テンポもテンションも何もかも異なる2つの音楽の橋渡しをしなければなりませんでした。
勿論、いくらでもやりようはあるのですが、本パーティーは提供される日本酒を醍醐味の1つとしており、パーティー中盤ともなれば酔っ払いが続出しているだろうし、そういう人たちに直感的に刺さるものの方が良いのではと考えた結果、

徹頭徹尾J-POP
それもアニメソングボーカロイド楽曲多め

という内容になりました。

全容はこちら。

No Artist Trackname Listen
B2B Tiga Louder Than A Bomb (Dense & Pika Remix) beatport
B2B 花譜 & MONDO GROSSO わたしの声 YouTube
01 きゃりーぱみゅぱみゅ どどんぱ YouTube
02 すずめのめ (feat. 重音テト) 電脳G YouTube
03 原口沙輔 ユレ弧 YouTube
04 Cappidan SHIKANOKO Dub SoundCloud
05 電音部 (feat. Hylen) ウルトラリズム (tonio Speed Garage Remix) SoundCloud
06 ばってん少女隊 あんたがたどこさ~甘口しょうゆ仕立て~ YouTube
07 P丸様。 MOTTAI YouTube
08 zensen marry me YouTube
09 宮守文学 (feat. 初音ミク 6, VOICEVOX:春日部つむぎ) いっぱいキャパシティ (disco remix) YouTube
10 女王蜂 ヴィーナス YouTube
11 SOUTHERN ALL STARS エロティカ・セブン YouTube
12 天堂天彦 VIVA LA LIBERATION YouTube
13 月島きらり starring 久住小春(モーニング娘。) バラライカ YouTube
14 ピノキオピー (feat. 初音ミク & 鏡音リン) Aじゃないか YouTube
15 YOASOBI UNDEAD YouTube
16 土間うまる (CV:田中あいみ) かくしん的☆めたまるふぉ~ぜっ! YouTube
17 MAHO堂 おジャ魔女カーニバル!! YouTube
18 Yurizo Daydream Cafe (Yurizo Jersey club edit) 試聴なし
19 ギガP x おればなな feat. 鏡音リン・レン えれくとりっく・えんじぇぅ YouTube
20 Reno Into The Sky bandcamp
21 Kizuna AI (Prod. Nor) Hello, Morning YouTube
22 あばらや かなしばりに遭ったら YouTube
23 lumo メトロハドロンコライダー Spotify
24 水槽, r-906 心音賛歌 YouTube
25 小倉唯 Baby Sweet Berry Love (maon remix) 試聴なし
26 やすなとソーニャ (cv:赤﨑千夏・田村睦心) ふたりのきもちのほんとのひみつ (189’s DnB Bootleg) SoundCloud
27 Creepy Nuts オトノケ YouTube
28 MINMI & Nujabes 四季ノ唄 YouTube
29 Lucky Kilimanjaro Do Do Do YouTube
30 水曜日のカンパネラ 赤猫 YouTube
31 YUKI 長い夢 YouTube

いやー大分やってやりました。
終盤になるにつれて後ろの順番の人の顔がどんどん濁っていったような気もしますが、きっと飲み過ぎでしょう。

【今回のお題】

ところで、本連載をご覧頂いている方々にとってボーカロイド楽曲というのはどのくらい馴染みがあるものでしょうか?
当初は単なる人工音声、言わば楽曲を構成するいち要素でしかなかったものを、1つの文化に発展させた初音ミクの発売から17年、その過程で数々のアーティストによって様々な楽曲が日々生み出され、今やその数は10万曲を超えるとも言われています。
現在の日本を代表するシンガーソングライターと言っても過言ではない米津玄師も元々はボーカロイドを使用した楽曲を手掛けており、代表曲の1つが本人の手によって今年リメイクされたことは大きな話題を集めました。

ハチ / ドーナツホール 2024

ハチ – ドーナツホール 2024 , HACHI – DONUT HOLE 2024 – YouTube

ボーカロイド楽曲というのは文字通りボーカロイドを使用した楽曲のことであり、音楽的なジャンルについて決まったフォーマットを示しているものではありません。
とはいえ、ボーカロイド黎明期の金字塔として名高いsupercell / メルトや上記のドーナツホール 2024のようなロックであったり、キャラクターイメージを活かした可愛らしいポップスが最大派閥であることは想像に難くない筈です。

しかし、その一方で黎明期の例えるとkz / Packagedのように、ダンスミュージックの側面を打ち出したボーカロイド楽曲というのも確かに存在しており、様々なジャンルとの融合を図りながらボーカロイドの間口を拡張し続けています。
意外性という点から1つ例を挙げると、ハードミニマルをバックトラックに初音ミクのボーカルを乗せた曲というものが3か月前に公開されております。

す / 昆蟲採集

【初音ミク】昆蟲採集【オリジナル曲】 – YouTube

このように、サウンド的にはダンスミュージック然としていながらボーカロイド楽曲にある程度触れていないと見つけるのが難しいトラックというものが存在します。

しかし、何分この手の曲は探すこと自体が困難だったりします。
beatportJunoといったダンスミュージック配信サイトのように、リリースされる楽曲についてジャンルやカテゴリー分けがされているわけではなく、アーティスト名やトラック名の中に使用したボーカロイドの名前が入っておらず、一般楽曲と判別がつかない場合も多々あり、
またそもそもYoutubeで公開されているだけで楽曲としてはリリースされていないといったケースもあるなど、何もかもがダンスミュージックに於ける流通の常識と異なります。
(実は上記のす / 昆蟲採集も未配信楽曲です。)

なので、本格的にボーカロイド楽曲をDIGろうと思った場合は各SNSでクリエイターのアカウントをフォローし、bandcampで“vocaloid”“hatsune_miku”といったタグを巡回、ニコニコ動画も健在なので“VOCALOID”タグを追いつつ、初音ミク WikiVocaloid Databaseといったコミュニティサイトにも目を向ける・・・といった非常に地道な行動が求められます。
おそらくこれがボーカロイド楽曲に対するハードルを高いものにしている一因のような気がしますが、実は日々リリースされているといってもその数はダンスミュージックに比べれば少数(※)なので、1つ1つの巡回量はそう多くなかったりします。
(※リリースされている楽曲の大半が日本向けに作られているため、世界規模のダンスミュージックとは母数が異なります。)

雑に言えば、これらに興味が向く切欠さえあればあとはガッツで何とかなる、と思っておりますので、今回はその一助として

2024年にリリースされている
ダンスミュージック的ボーカロイド楽曲特集

として、上記¡¡SAKE!! vol.5で使用した楽曲も含めてピックアップしていきます。

細かいルールとして、いわゆるブートレグは無し。
原曲か、オフィシャルとしてリミックスされたもののみ、取り上げていきます。

あと楽曲として購入可能なものに絞っております。
願わくばこれとかサウンド的にモロに現行テクノという感じがしたのでちゃんと取り上げたかったのですが・・・残念ながらまだリリースされてないんですよね。

HSP(鼻そうめんP) feat. 初音ミク / 鼓動

鼓動 / HSP(鼻そうめんP) feat. 初音ミク – YouTube

では、2024年にリリースされているダンスミュージック的ボーカロイド楽曲特集いってみましょう。

【曲紹介】

02 / すずめのめ (feat. 重音テト) / 電脳G

電脳G / 重音テト – YouTube

購入先一覧:電脳G (feat. 重音テト) by すずめのめ | TuneCore Japan

すずめのめさんによるテクノ
ややヒネたリズムの上をアシッドシンセがひたすらループしている曲。
ボーカルもその雰囲気に沿うように抑揚のない歌い方になっており、全体的に無機質さが強調されております。
一方で間奏パートは開放感のあるレトロなシンセとブレイクビーツを採用したものになっており、2分というタイトな尺のなかでかなり強めの対比を演出しているのも特徴の1つ。

余談ですが、このすずめのめさんの他の曲で、いなたいレイヴサウンドをベースラインリズムに乗せた生き死に1999というものがあり、こちらもかなり個人的にはツボでした。
勝手ながら、アングラなクラブミュージック文脈を捉えるのが上手いクリエイターという印象を受けます。

03 / 原口沙輔, カゼヒキβ, ゲキヤクβ, 重音テト / ユレ弧

ユレ弧 – カゼヒキβ, ゲキヤクβ, 重音テト – YouTube

購入先一覧:ユレ弧 by 原口沙輔 | TuneCore Japan

原口沙輔さんによるテクノ
規則的なハイハットリズムと裏打ちのベース、うっすらと敷かれたパーカッションによって曲全体の軽快さを確保している一方、ある意味でボーカロイド楽曲らしくない、やや歪んだ深度のあるボトムを採用している珍しいトラック。
ボーカルも散逸的でどちらかというとビートの方がメインという感じなので、一般的なクラブミュージックとかなり合わせやすいです。

08 / zensen, 初音ミク / marry me

marry me / 初音ミク – YouTube

購入先一覧:marry me by zensen | TuneCore Japan

zensenさんによるハウス
ブラスを前面に出したリフにガラージの要素も垣間見えるビートが相まってスイング感を演出している曲。
2度目のサビの直前に、よりベースが強調されるパートがあるのですが、そことかはかなり一般的なガラージっぽい。

14 / ピノキオピー (feat. 初音ミク & 鏡音リン) / Aじゃないか

ピノキオピー – Aじゃないか feat. 初音ミク・鏡音リン / Isn’t it “A” – YouTube

購入先一覧:Aじゃないか (feat. 初音ミク & 鏡音リン) by ピノキオピー | TuneCore Japan

ピノキオピーさんによるテクノ
手数が多くキャッチ―な音のメインリフと、2種類のボーカルを交互に配置した掛け合いが前面に押し出されているものの、ビートは一貫して4つ打ちとなっており、そのシンプルさが逆に映えて聴こえます。

余談ですが、ピノキオピーさんはかねてよりナゴムレコードのファンであることを公言しており、2019年には大槻ケンヂとの対談を行っています。
この曲もそうですが、親しみを覚えるメロディーを擁している一方で、非常に人間くさい歌詞をボーカロイドに乗せ、その解釈は聞き手に委ねるという作風はまさしくナゴムレコードの十八番という気がしますね。
おばけのウケねらいとか、現代人の承認欲求と幽霊を重ね合わせた内容の歌になっていて、初めて聴いたとき結構たまげました。

22 / あばらや, 歌愛ユキ, ナースロボ_タイプT / かなしばりに遭ったら

かなしばりに遭ったら / 歌愛ユキ、ナースロボ_タイプT – YouTube

購入先一覧:あばらや – かなしばりに遭ったら

あばらやさんによるフューチャーベース
サビ以外のボーカルは囁くようなローファイのサウンド処理が行われており、ビートも随所にジャージークラブのリズムを取り入れた重心低めのものになっています。
後半はビートのアタックが強く、そして倍速になるため、これも曲の中で対比が強く表れているトラックと言えます。

24 / r-906 (ft.水槽 & 狐子) / 心音賛歌

心音賛歌 / r-906 (ft.水槽 & 狐子) | [DnB向上委員会] [VocaDuo2024] – YouTube

購入先一覧:心音賛歌 by 水槽 & r-906 | TuneCore Japan

r-906さんによるドラムンベース
女性ボーカリストである水槽さんと、合成音声である狐子の歌を交互に掛け合わせたもの。
清涼感のあるイントロから、複数のサウンドが組み合わさったコラージュ的メインリフに流れ込むメインリフへ一気に流れ込むバックトラックはかなりアグレッシブな印象を与えてくれます。

【曲紹介 (トラックリスト外)】

ここからは上記トラックリストには含まれていないものの、2024年にリリースされているオススメのボーカロイド楽曲について取り上げていきます。

宮守文学 (feat. 鏡音レン & 鏡音リン) / パリィ

パリィ / 宮守文学 feat.鏡音レン, 鏡音リン – YouTube

購入先一覧:パリィ / 宮守文学 | KARENT

宮守文学さんによるエレクトロスイング
強烈な跳ね感と厚みが備わったビートと、インパクトのあるブラスと鉄琴の音をメインリフに据えたトラック。
ボーカルの乗せ方はラップのようにリズミカルであり、テンポに対して倍速になっている箇所もあったりとかなり密度高め。

gaburyu, 初音ミク / 病みゅね100%

病みゅね100% | gaburyu | NEXTLIGHT

gaburyuさんによるハウス
スムースなシンセにピッチ高めのボーカルの組み合わせから可愛い音使いになっている一方、ビートは沈むような割と変わったものを採用しています。
パターンも純粋な4つ打ちではないため、サウンドからもタイトル通りの毒っ気を感じることのできるトラック。

雄之助×晴いちばん feat. 初音ミク / アンダースタディ

アンダースタディ / 雄之助×晴いちばん feat. 初音ミク – YouTube

bandcamp:Vanguard | 雄之助/Yunosuke | 雄之助

雄之助さん、晴いちばんさんによるハウス
清涼感のあるシンセサウンドとアーバンなピアノ、複雑にうねるベースラインなど、キャッチーなメロディーの中にも技巧的な側面を感じることができる曲。
途中でダブステップビートになったり、遊び心も詰まっています。

尚、晴いちばんさんは2021年の時点で15歳の誕生日記念に演歌を作って歌ってみましたという曲があるように、若干10代の超新星クリエイターです。
おっかねぇにも程がある。

farewell225, 重音テトSV / DM ME

DM ME / 重音テトSV – YouTube

購入先一覧:TETO_TEST

farewell225さんによるガラージ
小気味良いハイハットが印象的なガラージビートと、ウッドベースのようなグルーヴ感のあるリフがアーバンな雰囲気を演出しているトラック。
生音楽曲と電子音楽の橋渡しとして丁度良い温度感という認識です。

Glasses Lovers feat. 初音ミク / Nightcap (oshinko Remix)

Nightcap feat. 初音ミク (oshinko Remix) | Glasses Lovers

oshinkoさんによるベースライン
同作品に収録されているアッパーハウス原曲のボーカルを引き継ぎつつ、メインパートではグロテスクなベースサウンドが炸裂する、ある種の落差が印象的なトラック。
特にボーカロイドに拘らず使える、というか普通にベースラインの流れで使った方がインパクト打点稼げそうです。

wotaku feat. KAITO / シャンティ (DJ WILDPARTY Remix)

シャンティ – DJ WILDPARTY Remix – by wotaku, Dj Wildparty | Spotify

購入先一覧:SHANTI REMIX COMPILATION by Various Artists | TuneCore Japan

DJ WILDPARTYさんによるベースミュージック
原曲がアラビックな笛をフィーチャーした悪そうなトラップで、ボーカロイド楽曲としてはまあまあ珍しいのですが、それを更にダンスミュージックとして先鋭化させたのがこれ。
メインリフを荒々しくグロテスクなベースで弾き直しており、輪をかけて悪そうな出音になっているのは最早面白味すら感じますし、
3分足らずの尺の中でビートがトラップジャージークラブハードスタイルと移り変わっていくのも、様々な現場を渡り歩いている彼のバックグラウンドが体現されているようで非常に痛快。

OTIKA (feat. 初音ミク) / anatomy

anatomy (feat. 初音ミク) | OTIKA

OTIKAさんによるダブステップ
冒頭から哀愁漂うボーカルが展開されますが、メインパートはそれを一気に吹き飛ばすヘヴィーでラウドなリディムダブステップとなっています。
これもボーカロイドに拘らず使える気がします。

今回の¡¡SAKE!! vol.5に於いて使用したReno / Into The Skyも同系統のダブステップトラックなので、合わせて是非。

wotaku feat. 羽累 / サンタムエルテ

サンタムエルテ / wotaku feat. 羽累 – YouTube

Apple Music:対峙のオーバーラップ – 羽累 – Apple Music

wotakuさんによる速いドリル
隙間の空いたビートに深度のあるベース、そして高速のボーカル、この3つの音を前面に、他の音は必要最低限を残して削ぎ落されている印象を受けるトラック。
後半にジャージークラブビートを採用していたり面白さはあるものの、治安の悪さという点では今回紹介する中でピカイチなのではないでしょうか。
この曲に関しては現行ヒップホップの流れで使ってみたい欲があります。

callasoiled / 初音ミクのグルーヴ 1

初音ミクのグルーヴ 1 | callasoiled

callasoiledさんによるブレイクス
このアーティストについては幾度かM3特集に於いて取り上げたことがあり、主にエレクトロニカを手掛けられているのですが、本作についてはかなりダンスミュージック寄りのビートを採用しております。
とはいえ荒っぽい音使いというわけではなく、緻密な音の押し引きによって練り上げられた聴き心地の良いリフと、フィジカルに響く機能性に富んだビートのバランスが絶妙。

本作が収録されているアルバム初音ミクのグルーヴは、
長年エレクトロニカに携わってきたcallasoiledさんならではの解釈によってボーカロイドとダンスミュージックの共存をテーマに掲げられている楽曲で構成されており、
一般的なボーカロイド楽曲と趣きの異なるものが聴けるので、かなりオススメです。

m・o・e, 知声 / ノーエ節2.0

ノーエ節2.0 – 知声 – YouTube

bandcamp:けもののようにあるくもの | m・o・e

m・o・eさんによるハウス
ノーエ節というのは静岡県で歌われている民謡でして、それをAI歌唱ソフトに歌わせ、ローファイなビートに合わせたものがこちらになります。
日本のローカル民謡ならではのオリエンタルな雰囲気が、こうもアナログ且つレトロなトラックと相性が良いとは思いませんで、その独特な発想にビックリした曲。
あと民謡の後ろにバージョンを付与するという、絶対に交わらない2つのワードが合わさったタイトルが単純に好きです。

【次回】

大分大盤振る舞いでお送りしましたが、今回はここまで。

次週11月26日は774Muzikさんが担当します。
では。

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【特集】HYVE プレイリストピックアップ - Resident’s Recommend 2024/11/07

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

※ミスにより所定日に投稿できておりませんでした。申し訳ございません。

【告知1】

次回Hardonizeの情報が公開されております。

2024/12/7(sat) Hardonize #48 at waseda sabaco | Hardonize web

ゲストにAkuaMarineさんCarpainterさんの2名をお招きしてお送りします。
両名とも若くしてテクノハードテクノは勿論のこと、多種多様な音楽に精通しているプレイヤーであり、自身のオーガナイズを含めた様々なパーティーを渡り歩いている腕利き同士でもあります。
どんなプレイを聴かせてくれるのか楽しみな反面、果たしてウチのレジデント面々(揃いも揃ってアラフォー)は彼らと渡り合えるのか、というプレッシャーも垣間見える回です。

日にちは12月07日(土曜日)、15時からとなります。
場所はいつもの早稲田茶箱にて皆様のご来場をお待ちしております。

また、AkuaMarineさん、Carpainterさん共々直近で大きなパーティーの出演を控えております。
つい最近発表されましたが、AkuaMarineさんはTAKAMIさんとATTさんによる名物テクノパーティー、BUZZx3へのゲスト出演があり、
Carpainterさんは気鋭のトラックメイカー、DJを招集したレーベル/パーティーTREKKIE TRAXの12周年パーティーをイギリスからL-VIS 1990を招く形で盛大に行います。
どちらも現行のダンスミュージックの最先端が聴けること間違いなしなので、ご都合の合う方は是非足を運んでください。

【Spotifyプレイリスト】

Spotifyプレイリストの09月分が公開されております。
(10月分も近日中に公開されると思います。)

当連載でピックアップしたハードテクノをメインとするトラックをプレイリスト化したもの。
自分はハードミニマルと、ハードアシッドをリストインしております。

是非お楽しみください。

【近況】

先週末はHAPPY DYNAMITEでSangoさんとのB2B、翌日にはHYVE出演と濃密なパーティーに立て続けに参加させてもらった週でした。
お越し頂いた皆様、ありがとうございました。

Hardonizeレジデントメンバーの中でもSangoさんは自分と通ってきた音楽が最も近いこともあり、『こう来たらこう来るだろう。』みたいなのもあったし、『あ、そっち行く?オッケー。』みたいなのもあり、初めてのB2Bという感じは全くなかったですね。
良くも悪くも手堅い感じに収まってしまった感はありますが、とはいえハードコアというギラついた音楽にフォーカスが当てられたパーティーの2番手と考えればバッチリ仕事をしたという自負はあります。
後順のDJ GENさんにオールドスクールレイヴで良い感じにパスしたのとか、我々にしかできなかったとも思いますし。

やっぱりB2B楽しいし好きですね。
16年パーティーを一緒に続けている者同士でやっても思考の連続ですし、程良い緊張感がありつつ、良い具合にハマってパートナーがブチ上がってくれるのを隣で見れるのは何とも嬉しいものです。
引き続きHardonize間でもこういうセッションはやっていきたいところ。

余談ですが、我々の後順のDJ GENさんは全然テクノの人ではないのに、唐突にJoris Voorn / IncidentCave / Street Carnivalが立て続けに流れた瞬間があり、
僕とSangoさんでこの顔になってました⇒( ゚д゚)

で、翌日はHYVEでして、Guchonさん、Homma Honganjiさん、gekkoさんと、これまでのHardonizeにご出演頂いた方々が多く、
また流れる音もファンキーなハードグルーヴや、往年のテクノアンセムなど、別パーティーとは思えないくらい聴き馴染みのある音ばかりで楽しかったです。

テクノにフォーカスを当ててもHYVE特有のノリは損なわれず、序盤からとにかく酒が飛び交う飛び交う。
gekkoさんは早い段階で限界を迎えていたし、業者さんはこの日が初対面だった筈なのにタメ口になってるし、
オーガナイザーのNizikawaさんはパーティー開始前には凄い真面目にDJ機器に対する考察や改善点を述べていたのに、終わったらあいつこそがテニスの王子様を歌いながら渋谷センター街に消えていく令和の妖怪と化してました。

双方ともにナイスパーティーでした。
楽しみまくった結果なのか、現在風邪引いてます。

【告知2】

来週の土曜日、ありがたいことに現在のところ準レギュラーとなっている日本酒にスポットを当てたパーティー、¡¡SAKE!! vol.5に出演致します。

出演者には我らが早稲田茶箱の店長エージさんや、錦糸町の日本酒飲み放題バー、LITTLE SAKE SQUAREの店長mizmさん、あとお馴染みTakayuki Kamiyaさんなども並ぶ、ジャンルレスなパーティー。
当日は出演者が一押しの日本酒を持ち寄り、ご来場者はどなたでも飲めるようなシステムになっております。
何やるかは正直タイムテーブル次第なのですが、酔っ払いに程良く楽しんでもらえるような選曲を心がけます。

お酒と音楽が好きな方は是非お越しください。

【告知3】

今月最終土曜日、比較的よくウチに遊びに来るカメラマン兼ファンコットDJであるsaegsaさん主宰によるパーティー、VARIETYに出演致します。

それはもう色々なジャンルの音楽が流れるパーティーなのですが、今回はオーガナイズ10年を記念した特別回ということでオールB2Bアクト。
で、僕の相方は各種音楽ゲームコンポーザーとしてお馴染み、t+pazoliteさんというワケでそれはもう色々なジャンルの音楽が流れると思います。
ちなみにこの組み合わせは6年振り2回目だったりします。

その他にも予測不可能な組み合わせが随所に見受けられますが、総じて実力者揃いの豪華な一晩です。
是非お越しください。

【HYVE トラックリスト】

さて、自分はこの日Guchonさんからバトンを受け取り、Nizikawaさんとs-donさんのペアに渡すという出順でした。
テーマとしてはHYVEが元来ハードダンスのパーティーでありつつ、今回はテクノにスポットが当たっているということで、その両者を並列に取り上げるようなプレイを目指しました。

とはいえ、ただ取り上げるだけだとシリアスになり過ぎるような気もしたので、ちょいちょいネタものや遊びを入れつつ、ジャンル遷移も含めてなるべく飽きがこないように心がけたつもりでしたが、
遊びに来ていたYosshie 4onthefloorさんからは『マジでやってるのかフザけているのか、ネタものなのかただ変な音が鳴っているだけなのか、聴いているうちに分からなくなるプレイだった。』と非常にオモロい感想を頂きました。
(タチが悪い。)

大まかにはハードミニマルテックトランスハードダンスシュランツハードテクノレイヴゲットーテックハードハウス
全容はこちら。

No Artist Trackname Listen
01 SHIN NISHIMURA KEEP ON DISCOTHEQUE 試聴なし
02 A.Paul Spontaneous beatport
03 Alt8 Cairo At Night bandcamp
04 Jackob Rocksonn Tribal Festival beatport
05 Schizoofr3nik Tribal bandcamp
06 Amaru Underground Depths beatport
07 RiVid Enter the DOV beatport
08 Schroomp Back To The Old School beatport
09 Unknown DJ Twilight Zone 試聴なし
10 MODVLE La Noche bandcamp
11 IVARR xHamsterDance (TEKNO VIKING BOOTLEG) SoundCloud
12 Schroomp More Cowbell beatport
13 ClariS カラフル (maon remix) 試聴なし
14 Otira Hardcore Sound beatport
15 DJ TECHNORCH Boss On Parade bandcamp
16 Rawtek, Sihk Gabber! At The Disco beatport
17 Rotterdam Termination Source Poing (Jump A Little Mix) beatport
18 Addison Groove U Luv bandcamp
19 Hoymans Sweenager bandcamp
20 Mighty Mark (feat. Ernest Third) Chance Right Now (Big Dope P Remix) bandcamp
21 Serious Danger A Taste of Rio’s Showbar (Sandpiper Mix) beatport
22 The Artful Dodger (feat. Craig David) Re-Rewind (Sharp Club Vocal Remix) beatport
23 Sound De-Zign Happiness beatport
24 Ned Bennett Camargue 2023 bandcamp

例によって数曲かいつまんでご紹介します。

【曲紹介】

03 / Alt8 / Cairo At Night

Cairo At Night | Alt8 | kneadedpains

スペインのプロデューサーAlt8によるハードミニマル
やたら前のめりなビートの上に、脱力感すら漂うアラブ風の笛の音が乗ったトラック。
リフの刻み方も変だし、どんな文脈で使っても浮いてしまうこと必至・・・ですが、僕はこういうのが大好きです。

こちらの曲は以前掲載した、Hardonizeクルーが選ぶ2022年のハードテクノ10選で取り上げております。

05 / Schizoofr3nik / Tribal

Schizoofr3nik – Tribal | Schizoofr3nik

スペインのプロデューサーSchizoofr3nikによるテックトランス
タイトルの通り、トライバルテクノを意識させる超アグレッシヴなパーカッションリズムを最大の特徴とするトラック。
メインのリフをほぼこのパーカッションが担っているというのもかなり異質です。

こちらの曲は以前掲載した、Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選で取り上げております。

07 / RiVid / Enter the DOV

RiVid – Enter the DOV (Original Mix) [The Church Club Records] | Music & Downloads on Beatport

チェコのプロデューサーユニットRiVidによるハードダンス
叩きつけるような芯のあるビートと前のめりなハイハットによる疾走感のあるリズムを構築しているトラック。
一方でメインリフのサウンドはハードダンスらしいインパクトがありつつも、ちょっとダークな雰囲気を纏ったフレーズはハードテクノ的とも言えるため、
今回のパーティーにピッタリだなと思って使いました。

11 / IVARR / xHamsterDance

Stream IVARR – x Hamster Dance (TEKNO VIKING BOOTLEG) by IVARR | Listen online for free on SoundCloud

アメリカのプロデューサーIVARRによるハードテクノ
これ、タイトルでピンときた方はなかなか凄いと思うのですが、Hampton the Hamster / The Hamsterdance Songという、遥か昔のインターネットミームです。
実際に聴いて貰った方が早いかもしれません。

元々の曲は実に軽快なユーロポップなのですが、何の前触れもなく叩きつけるキックが鳴り始める完全飛び道具・・・というか最早お笑い要員。
勿論フリーダウンロードですし、今年のリリース作品だったりします。
何かが・・・というか全てがおかしい。

12 / Schroomp / More Cowbell

Schroomp – More Cowbell (Original Mix) [Affenkafig Red] | Music & Downloads on Beatport

押しも押されもせぬユニットFilterheadzのメンバーであるベルギーのプロデューサーSchroompによるハードテクノ
高速のテンポ、密度と硬度を兼ね備えたリズムを従えてさあ何がメインディッシュの音に抜擢されるのかと思ったら、メインパートで展開されるのは気の抜けるカウベルの音。
これもお笑い要素が強めですが、長年に渡ってテクノを支え続けている本職が手掛けているだけあってダンスミュージックの機能性は抜群です。

15 / DJ TECHNORCH / Boss On Parade

Boss On Parade | DJ TECHNORCH

日本のプロデューサーDJ TECHNORCHさんによるハードダンス
細切れにされたレイヴサンプリングがガバキックの上で次々に展開される狂気の一作。
このような形で高密度の情報が詰め込まれた作品は後にも先にも無いような気がします。
2006年の作品ではありますが、現行の曲にもインパクトでは決して引けを取らない逸作だと認識しております。

実はDJ TECHNORCHさんとはHardonizeの面々より遥か昔に知り合っているのですが、まぁそれはさておき。

16 / Rawtek, Sihk / Gabber! At The Disco

Rawtek, Sihk – Gabber! At The Disco (Original Mix) [Barong Family] | Music & Downloads on Beatport

アメリカのプロデューサーRawtekと、インドネシアのプロデューサーSihkによるハードダンス
ディスコガバ!』というタイトルが個人的に優勝レベルで好きなのですが、曲もやたらレトロなフレーズのメインリフがガバキックに乗っているという、少なく見繕っても異形。
お笑い要員とまでは言いませんが、飛び道具性能としての破壊力は抜群です。

20 / Mighty Mark (feat. Ernest Third) / Chance Right Now (Big Dope P Remix)

Chance Right Now(Big Dope P Remix) | Mighty Mark featuring Ernest Third | Mighty Mark

イギリスのプロデューサーBig Dope Pによるゲットーテック
肉感的でバウンシーなリズムにレトロでアーバンなメインリフが乗ったトラック。
ゲットーテックについては08月に触れた通り、ボイスサンプルを始めとする下品なサウンド使いが特徴の1つに挙げられますが、この曲に関しては清涼感とか、オシャレさのようなものも漂っております。

22 / The Artful Dodger (feat. Craig David) / Re-Rewind (Sharp Club Vocal Remix)

Artful Dodger, Craig David – Re-Rewind (The Crowd Say Bo Selecta) (feat. Craig David) (Sharp Club Vocal Remix) [Crimson] | Music & Downloads on Beatport

イギリスのプロデューサーユニットThe Sharp Boysによるハードハウス
原曲UKガラージのクラシックであり、このラップパートもジャンルの枠を越えて様々な曲にサンプリングされているので、聴き覚えのある方もいるかもしれません。
一方でこのリミックスは薄くギターやストリングスのループが敷かれたディスコっぽさすら感じるファンキーなアレンジに仕上がっております。

今回かなり早回し(+10%くらい?)で使用したのですが、むしろ軽快さがより際立つ感じで全然違和感なかったように思えます。

24 / Ned Bennett / Camargue 2023

Ned Bennett – Camargue 2023 | Ned Bennett

オーストラリアのプロデューサーNed Bennettによるハードグルーヴ
タイトル通り、テクノの大クラシック CJ Bolland / Camargueネタです。
原曲のリフはそのまま用いつつ、より前のめりなビートを敷いた疾走感のあるアレンジ。
後半はピアノの音も加わってよりメロディックな印象を与えてくれることや、テクノトランス間の様々なジャンルに橋渡しをしやすい音作りになっているため、最後の1曲として用いました。

【次回】

そんなワケで今回はここまで。

次週11月12日は774Muzikさんが担当します。
では。

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