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新作ゲットーテック特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2024/08/29

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【Spotifyプレイリスト】

Spotifyプレイリストの07月分が公開されております。

Hardonizeクルーが全身全霊でオススメするハードテクノ57曲。
自分はイビザとかディスコとか、夏っぽいトラックを選出しております。

08月分も近日公開予定ですので、よろしくお願いします。

【近況】

今回の本筋とは全く関係ないんですけど、1990年代テクノの金字塔であるCJ Bolland / Camargueが先月リプレスされていたんですね。

CJ Bolland / Camargue / Tokyo

Camargue / Tokyo | CJ Bolland | STROOM.tv

ヴァイナルでも買える模様。
CAMARGUE / TOKYO/CJ BOLLAND/CJボーランド/レイヴ・クラシック! CJボーランド代表曲にしてテクノトランス名曲が再発!|CLUB/DANCE|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net
発売元が変更されたことに伴い、なんか味のあるジャケットになっているのも妙な面白さがあります。
勿論原曲大好きということもあり、そのうち買うかもしれません。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。
ちなみに、年始は3回に渡ってフリーダウンロード特集を行っておりましたので、ご興味のある方は是非ご参照ください。(1) / (2) / (3)

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるのは厳密にはハードテクノではありませんが、テクノに含まれるサブジャンルの1つ、

ゲットーテック

になります。

発祥は1990年代前半のアメリカとされており、シカゴエレクトロデトロイトテクノヒップホップなどを組み合わせたスタイルの音楽になります。
大まかな特徴としては2拍4拍のクラップを強調した荒っぽいビートに、跳ね感のあるベースフレーズ、そしてありえないくらい下品なボイスサンプリングが度々使われます。
同じような特徴を引き継ぎつつ、後年誕生した音楽がジューク/フットワークですが、テンポは今回ご紹介するゲットーテックの方がテクノに近いですね。
Ghettotech – Wikipedia

このジャンルの黎明期から活動している代表的なアーティストとしてはDJ FunkDJ GodfatherDJ Assaultなど。
また昨年惜しくも亡くなってしまったDJ Deeonもこのジャンルのパイオニアとして知られています。
楽曲の具体例としてはDJ Funkが活動20周年を記念して2014年にリリースした記念盤に、リマスタリングと100曲を越えるボーナストラックを加えたものが2023年末に配信されたので、コスパとしては最強です。

DJ FUNK / GOLD (20th ANNIVERSARY – 24bit Update!)

DJ FUNK GOLD _ (20th ANNIVERSARY) _ 24bit Update! | DJ FUNK

また、DJ Godfatherが2022年にBoiler Roomに出演した際のショーケースではスクラッチ/ビートジャグリングありで次々にトラックをスイッチさせていくMIXを披露しており、かなり見ごたえがあります。

DJ Godfather | Boiler Room x Ballantines’s True Music Studios: Granada

DJ Godfather | Boiler Room x Ballantines’s True Music Studios: Granada – YouTube

前回のHardonize#47 プレイリストピックアップでも掲載しましたが、最近テクノの流れでしれっとこのジャンルを混ぜ込むのにハマっております。
洗練されていないビートの質感や治安の悪いベースといったアートフォームが好きというのも勿論のこと、少なからずヒップホップの要素が含まれているので、ベースミュージックブレイクビートとの相性が良く、それらとテクノとの橋渡しとしても機能してくれます。

そしてやっぱり他の音楽ではありえないレベルのボイスサンプルの下品さには毎度笑いを覚えます。
ちょっと前になりますけど、今年の05月にDiploが率いる現行ダンスミュージックの名門Mad Decentから出たのがこれ。

TJR feat. DJ Funk / Dik Work (TJR Remix)

Dik Work (TJR Remix) | TJR feat. DJ Funk & DJ Funk | Mad Decent

ほぼ全編に渡って『チ○コ見せろ』『マ○コ見せろ』というボーカルの掛け合いが繰り広げられる信じられないくらい低俗な4つ打ち。
品性というものが底をついていますが、これから紹介するものの中にはこういうものも含まれます。
子供は今すぐブラウザを閉じて寝るんだ。

というわけで、ここ1~2ヵ月の間にリリースされたトラックについてピックアップしていきます。
気付けば8年続いている当連載において過去イチ、真面目に解説するのがアホらしくなってくる新作ゲットーテック紹介いってみましょう。

【曲紹介】

Velvet Skin / Brigitte

Brigitte | Velvet Skin | Wild Bohemia Records

覆面プロデューサーVelvet Skinによるゲットーテック
2拍4拍のクラップを含む規則的な4つ打ちのリズムにバウンシーなベースとアシッドシンセが絡むトラック。
ねちっこいフランス語の語りかけるようなボーカルと相まって妖しい雰囲気が充満しています。

CROIX / Liquido Burbujeante

CROIX – Liquido Burbujeante | CROIX | KRAFT.rec

チリのプロデューサーCROIXによるゲットーテック
やたら前のめりなハイハットとレトロなリズムマシンのタムが特徴的なリズムを擁し、ボーカルループに謎のポコポコしたシンセリフが加わった勢い重視のトラック。
最近のハードグルーヴなんかと相性良さそうな感じです。

Darius The Barbarian feat. Moodrich / A Bitch Gon Do It

A Bitch Gon Do It feat. Moodrich | Darius The Barbarian | Club Designs

アメリカのプロデューサーDarius The Barbarianと、ドイツのプロデューサーMoodrichによるゲットーテック
ハウスのようにうねりのきいたベースとブラックミュージック丸出しの低音ラップが印象的なトラック。
尚、歌っている内容はタイトルの通りです。

Gorgeous Dykes / We Saw You From Across the Bar and Hate Your Vibe

We Saw You From Across the Bar and Hate Your Vibe | Gorgeous Dykes

カナダのプロデューサーGorgeous Dykesによるゲットーテック
太いアナログベースとスペーシーなシンセがレトロさを演出している曲。
UKガラージにも踏み込んだサウンドと言えるので、かなり使い勝手は良いと思います。

jjtsu / Beach

Beach | jjtsu | DIRTYBIRD

ロシアのプロデューサーjjtsuによるゲットーテック
跳ね系ベースラインを押し出したリズムと細切れのボイスサンプリング、ほぼそれだけで構成されているビックリするくらいシンプルなトラック。
そのシンプルさを逆にインパクトとして使う際はかなり強力な武器になりますが、ある種の胆力が必要です。

.𝒎𝒆𝒛𝒆𝒓 (the architect) / Bounce That Booty

Bounce That Booty | .𝒎𝒆𝒛𝒆𝒓 (the architect)

ポーランドのプロデューサー.𝒎𝒆𝒛𝒆𝒓 (the architect)によるゲットーテック
やたら肉感的なベースフレーズに前のめり且つ規則的な粗いリズム、そしてポルノグラフィックなボイスループと、僕が思うこのジャンルの要素が余すところなく内包されている曲。

.𝒎𝒆𝒛𝒆𝒓 (the architect)の別の曲、Bang That Shit UpHardonize#47で使っているように、個人的にかなり信頼を置いているアーティストになります。
彼のbandcampからリリースされている曲は総じてこういったテイストで安定している他、ハードグルーヴトラックも並行して手掛けており、それらも様々なレーベルからリリースされている、活動幅が広いクリエイターです。

Punk Attack / King Of Ghetto Tech

Stream King Of Ghetto Tech by Punk Attack | Listen online for free on SoundCloud

ジョージアのプロデューサーPunk Attackによるゲットーテック
規則的リズムに厚みのある裏打ちのベースフレーズ、Fワード連発のラップにたまにブラスが乗るという、ファンキーなトラック。
ループが主体のこの音楽において、明確に曲に展開を持たせているという点で割と珍しい気がします。

ちなみにフリーダウンロード。

Janis Zielinski / Burn The Rims

Burn The Rims | Janis Zielinski | Hot Meal Records

ドイツのプロデューサーJanis Zielinskiによるゲットーテック
肉感的な太いベースフレーズ、リズミカルなラップにシンセやスクラッチサウンドも乗ったウワモノが豪華なトラック。
トラック全体の厚みもあり、かなりハードテクノに近い出音になっています。

ちなみにタイトルにあるリムとはスラングで日本では非合法のあの葉っぱを指します。
まぁなので、タイトルと歌詞の内容はそういう意味です。とっても勉強になりますね。

DJ Slugo / SlugZilla 247925

SlugZilla 247925 | DJ Slugo

アメリカのプロデューサーDJ Slugoによるゲットーテック
ちなみにこのアーティストもこのジャンルの黎明期から活動している大ベテランになります。
なので紹介したい曲は色々あるのですが、突如現れたこの曲のインパクトが強過ぎたのでご紹介。

まぁタイトルから想像される通り、日本が世界に誇る大怪獣某ジラのメインテーマネタです。
あのブラスリフにリズムマシン丸出しのビートを敷いたという、大変潔いもの。
ダンスミュージックなんてこれで良いんだよというベテランの声が聞こえてきそうな怪作。

最後は近縁ジャンルから少し毛色の違うものをひとつ。

Ubahnrider / Maker

Maker | Ubahnrider | Brick Sweat Records

ドイツのプロデューサーUbahnriderによるエレクトロ
2拍4拍のクラップ、ブーティーなベースフレーズはそのままですが、ビートは非4つ打ち。
何より、爽やかなピアノのリフがこれまで紹介したトラックで煩悩にまみれた心を洗ってくれるかのようですね。
まっすぐにブレイクスに繋ぐのも良いですし、仄かに聴こえるアシッドシンセを活かしてレイヴとの接点を探るのもアリ。

余談ですが、この曲が収録されているコンピレーション4TPPは他にもテクノUKガラージが穏やかに交わったようなEDBOY / Bricks & Mortarという曲や、
ドミネーターシンセを前面に押し出したレイヴテクノのハイブリッドトラック、Helsmoortel x Para Baia / Screamと、かなり面白い曲が揃ってるので、アルバムごとオススメしたい作品です。

V.A. / 4TPP

4TPP V/A | Brick Sweat Records

【次回】

そんなワケで今回はここまで。

次週09月03日は774Muzikさんが担当します。
では。

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8月後半のハードテクノ新譜特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2024/8/27

はいどうも、今週もHardonizeレジデントDJがおすすめのハードテクノを紹介する連載、火曜日担当yuduki(@akuwa)がお送りいたします!今週も何卒よろしくお願いいたします!!

お知らせ

前回のSangoさんのエントリーでも書かれております通り、次回Hardonizeにつきましては近日中に新情報出ます。具体的には9月の1週目には何かしらの情報第一弾として出せるのではないかなと思います!そして9月末までには最終版までドバーっと出せるように準備中!しばしお待ちを!!

お知らせ2

8月のSpotifyプレイリスト準備中です!
こちらも9月に入って公開しますので、こちらもご期待ください。

近況

先週末は早稲田茶箱の「La Fiesta 2050」と秋葉原MOGRA「MOGRA 15th ANNIVERSARY PARTY DAY2」へと遊びにいってきました。

「La Fiesta 2050」は過去にHardonizeに出演戴いたkokouさんと我らがSangoさんのバースデーバッシュということで大盛況。ちょっと出遅れていったのですがkokouさんのブレイクスを交えたプレイ、隼雄さんのゴリッゴリなハードテクノ、そして往年のクラシック大放出スペシャルなSangoさんと、楽しい雰囲気満載で気がつけば最後まで堪能した数時間でした。ナイスバースデー。


そしてそのまま21時ごろからMOGRA 15th ANNIVERSARY PARTY DAY2へ。MOGRA周年は2年ぶり(去年は前売り買ったけどコロナでダウン)でしたが相変わらずのお祭り感満載で終始フロアもラウンジもハッピーなヴァイブスに包まれたパーティでした。飲酒を焦らないようにしてましたが、知り合いや先輩も大集合で結果は言わずもがなでした。そういう日だし仕方ない!ナイス周年!

今週のピックアップ

前回はセットリスト紹介でしたが、今回は2週間ぶりに新譜紹介!約ちょこちょことその間には曲はチェックしてましたが、それでも多い!大変!夏休みの宿題を直前で消化する小学生のような気分!宿題は計画的に!!!!

Gregor Size / Endurance

打ち付けるようなビートにクセのある、ちょっとズレたら不協和音とも思ってしまうヒプノティックなシンセでゴリゴリっと展開していくハードミニマルチューンで◯。

Wyrus / Starship

ハードグルーヴテクノの最先端レーベルTransfigration RecordingからクロアチアのプロデューサーWyrus New!ガッツリハードグルーヴではないですが、地を這うようなベタッとしたキックにポコポコとした心地よいシンセを載せた、現行テクノとハードグルーヴの要素を上手く合わせていくハードテクノで◎

Boom Merchant / Kannibal

僧侶シリーズ!僧侶シリーズじゃないか!ということで石野卓球の名曲wire,wirelessでも用いられていたシンセDelay Lamaを軸とした宗教感のあるハードテクノ。これだけみるとネタモノっぽく感じますが、どの時間帯でもしっかりとフロアのテンションをキープしてくれそうな重厚感のあるナイスチューン!!

David Moleon / Lost Bullet

ハードグルーヴマナーな若干の丸みを帯びたリズムに載せたプワプワとした謎のシンセに鳴りの良い綺麗めシンセで展開していくナイスチューン。派手目に大盛りあがりという展開ではないですが、グッっとフロアを引っ張っていく、しっかりと仕事をしてくれる職人的な使い方でGood!!!

Goncalo M / Critical Orbit

僕はこの人のストイックなラインのハードグルーヴが大好きで~~~ということで、ドライブ感のある重厚なビートに載せたヒプノティックなシンセのループで淡々と展開していくナイスハードグルーヴチューン!現行テクノとの相性も◯でとても良いですね!買いました!!!!

Hertz / Recreate Wehbba Remix

今週の最後は言わずと知れたHertzのアンセムクラシックの一角「Recreate」をWehbbaがリミックスとしてリリース!一度聞いたら忘れられないレイヴィーな「あの」フレーズを軸として現行テクノのサウンドにアップデートしたナイスリミックス!!ブレイクの途中でバツッと1小節分の無音になる部分を上手く使いこなして周りに差を付けよう!!!!!

次回は木曜日更新(予定)
担当はTAKくんです。