「 Resident’s Recommend 」一覧

HardonizeのレジデントDjメンバーによる毎週火曜・木曜の定期更新でオススメのハードグルーヴ曲をオススメ。火曜:yuduki、774Muzik。木曜:TAK666、Sangoが担当します。

【特集】Hardonize#43 プレイリストピックアップ - Resident’s Recommend 2023/02/02

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【Hardonize #43 無事終了】

先々週はHardonize #43でした。
お越し頂いた方々、お聴き頂いた方々、本当にありがとうございました。

気付いたら15年経っていました。
ただでさえ飽き性な自分が15年もこのパーティーを続けてこられたのは、皆様のサポートなしには成し得ません。
パーティーを始めた2008年当初、ハードテクノという音楽はすっかり過去の遺物と捉えられていた気がしますが、この日は毎度お馴染みの方々から意外な面々まで、大勢の方々にお越し頂いて感無量でした。
改めて御礼申し上げます。

そしてゲストの面々もアニバーサリーに相応しく、素晴らしいプレイを三者三様に披露して貰えました。
現行のテクノが失ってしまったポジティブでハッピーなバイブスがふんだんに詰まったオールドスクールジャーマンテクノ~レイヴで一貫していたDJ Shimamuraさん、
そこからゲットーテックで拾い(この瞬間が個人的に1番アガりました)、細かくジャンル間の橋渡しをしながらテクノに着地させるクロスオーバープレイヤーとしての器用さと実力を発揮していたBUDDHAHOUSEさん、
おそらく自身が生まれた年と同じ年代にリリースされたんじゃないかくらいの曲も交えつつ、往年のテクノ~ハードテクノをグルーヴィーに横断していたSeimeiさん、
どのプレイも発見や再認識に溢れた彼らにしかできないプレイで、手前味噌ながらお招きして良かったです。

加えて今回フライヤーデザインを担当して頂いたcodaさんのVJも、抽象的だけど動きのある映像群がパーティーの雰囲気にマッチしていて一役も二役も買っていたように思えました。

そんなパーティーの模様ですが、現在早稲田茶箱のTwitchチャンネルで公開されております。
我々の趣味と矜持が詰まった本当に贅沢な7時間だったと思うので、是非リピートしてお聴き頂ければと思います。

茶箱のイベントをライブでお届け中 – Twitch

あとHardonizeのYouTubeチャンネルでも過去のパーティーのアーカイブを公開しておりますので、そちらも是非。

【近況】

そのHardonizeの翌日はMCバトルの全国大会KING OF KINGSの観戦に行ってました。
我ながら対極が過ぎる。
とはいえ、去年テクノに近いビート、テンポの日本語ラップという特集を行ったようにヒップホップも聴きますし、何ならDJでもちょいちょい使います。

ちなみにどういう使い方をよくするかというと、オーセンティックなヒップホップよりスローな、BPMでいうと85~90くらいのトラックを倍速のドラムンベースに合わせて使うというのが飛び道具っぽくて好きだったりするのですが、
この日バトルが始まる前にオープンでプレイしていたDJがしれっとミニマルなドラムンベースをかけていて、この両ジャンルも接近しているポイントが出てきているのが感じられました。
こういうのをもっと聴ける機会が増えるといいなと勝手に願っております。

【Hardonize #43 トラックリスト】

さて、自分はこの日Sangoさんの後、DJ Shimamuraさんへの橋渡しというポジションでした。
割と前後の音がどういう塩梅なのかが想定できたので、その間をHardonizeらしく、そして自分らしく繋いでいくプレイを心掛けた感じです。
その結果、直近で公開した2022年のハードテクノ10選2008-2023オールタイム・ベスト10選で取り上げた曲がやや多めになってしまった感はありますが、まぁ好きなんでしょうがないっすよね。

大まかにはディスコベースラインレイヴブレイクスハードハウスハードグルーヴハードミニマルハードアシッド

全容はこちら。

No Artist Trackname Link
01 Rawtek, Psycho Boys Club Come Closer Beatport
02 Reset! Milano a mano armata Beatport
03 Soulecta Jheez Louise Beatport
04 Kanji Kinetic & Thorpey Tek No Shit VIP bandcamp
05 Seatbelts TANK! (RAWTEK REMIX) SoundCloud
06 Moonlight Legend (Yudaidhun ’92 Remix) SoundCloud
07 DJ Jedi Bring The Beat Back bandcamp
08 Elivate Chunk Tha Funk Beatport
09 Ross Homson Snakehead (Megaman Remix) Beatport
10 キャラメル ウッーウッーウマウマ(゜∀゜) (B.U.S. Dub) Spotify
11 Funky Thrillin’ Disco Balls junodownload
12 DJ BRUTEC Funky Hipster Beatport
13 Aitor Ronda Chicas de la Vida Beatport
14 Popperman & Peppe Hit the Benjo Beatport
15 Andy BSK Balkan Groove SoundCloud
16 DJ Sun Guataqui Beatport
17 SHDW & Obscure Shape Set It Off Beatport
18 Tassid, Eski It’s In My Head Beatport
19 BENJI 303 VAMPIRE SYSTEM bandcamp
20 Ling Ling t5080s SoundCloud
21 Beat Jugglers Feat. Mc Evenson Allen Vibezin (Sterling Moss Pure Vibes Extended Vinyl Remix) bandcamp

例によって数曲かいつまんでご紹介します。

【曲紹介】

02 / Reset! / Milano a mano armata

Milano a mano armata (Original Mix) by Reset! on Beatport

イタリアのプロデューサーチームReset!によるディスコ
エレクトロの厚いシンセを取り入れた新しさとレトロさが同居したスタイルは一部でターボファンクと呼ばれ、その中でも旗手的存在となっていたアーティストです。
ブレイクで入る存在感抜群のシンセから明けの爆発力、メインフレーズの古めかしい感じなどはこのターボファンクの特徴そのものという印象を受けます。
使ったのは久し振りですが2013年のリリース当初からずっと好きですし、もうちょっと紹介曲数が多ければ先日の2008-2023オールタイム・ベスト10選にも確実にインしていた曲。

ちなみに彼らは来日経験もあり、2回ほど演奏を生で見たことがある、且つ過去にアーティスト特集をやったくらい大好きなアーティストなんですけど現在は表立った活動はしていない模様でとても残念です。
っていうか今そのアーティスト特集を見返したらSeimei & Taimeiの記述があって『ワォ』ってなりました。

03 / Soulecta / Jheez Louise

Jheez Louise (Extended Mix) by Soulecta on Beatport

イギリスのプロデューサーSoulectaによるベースライン
ジャズのブラスサウンドを前面に出しつつ、ビートは質実剛健なベースラインというかなり珍しい曲。
イントロの特に変哲の無い4つ打ちを経ていきなり太いベースが鳴り出すので、ウワモノ繋ぎでリズムスイッチ的に使えるのが個人的にかなり汎用性が高い。

昨年のリリースの中では非常にツボにキたベースラインの1つ。
ハードグルーヴとかディスコ好きな方にも是非手に取って欲しい変ミュージック。

05 / Seatbelts / TANK! (RAWTEK REMIX)

Stream SEATBELTS – TANK! (RAWTEK REMIX) by RAWTEK | Listen online for free on SoundCloud

アメリカのプロデューサーRawtekによるテクノ
元ネタはこちら
元ネタの緩急織り交ぜた複雑なフレーズや派手なブラスサウンドを活かしながら上手いことダンスミュージックに落とし込んでいる秀逸作。
リズムもパートによってはシンプルな4つ打ちだったり、アーメンブレイクが重ねられていたりとゴチャゴチャしつつ、聴かせるところはそれぞれ明瞭になっている辺りもまた好み。

この日の1曲目に彼が携わった2022年の個人的大傑作Come Closerを持ってきた上で使ったこの曲ですが、近年Rawtekは自身のSoundcloudでディスコエディットを大量生産&公開しており、これもその中の1つ。
この曲のインパクトが高いのは言わずもがなでしょうけれど、できれば全曲聴いて欲しいくらいにクオリティと実用性に富んだトラックばかりです。

10 / キャラメル / ウッーウッーウマウマ(゜∀゜) (B.U.S. Dub)

Spotify – ウッーウッーウマウマ(∀) (B.U.S.Dub) – song and lyrics by キャラメル

日本のプロデューサーB.U.S.によるハードハウス
原曲はネットの海にどっぷりの諸兄はご存知でしょうけど、これです。
ちなみにこれが日本のインターネット上で流行したのもHardonizeの設立と同じ2008年だそうです。
月日の流れは恐ろしいですね。

で、その流行に合わせて本家からライセンスを取得し、日本向けにデザインし直されたEPというのが当時リリースされておりまして、
この中にはRyu*らっぷびとといったインパクトのあるアーティストによるリミックスも収録されていたワケです。
とはいえ、この手のリミックスは所謂クラブ慣れした層に向けて作られているワケではないため、分かりやすくテンション高めの曲になりがちだと思うのですが、何故かそこに並んで収録されていたのがこのバージョン。

聴くと分かるとおもうのですが、前述のアレンジと並べるととにかく渋い。あまりにも渋過ぎる。
が、この原曲のテンションをあえて削いだスタイルのアレンジや原曲と一切関係ないピアノフレーズがいきなり入ってくる点、
極めつけはこのB.U.S.というアーティストがDJ ShinkawaYo*Cといった方々と共に1990年代末期の日本でハードハウスワープハウスシーンを牽引していた超レジェンドである点など総合的にツボに入ってしまい、
この曲のリミックスに於いてはブッチギリで使用頻度の高いものとなっております。
生涯稀に見る謎リリースと言っても良いかもしれません。

14 / Popperman & Peppe / Hit the Benjo

Hit the Benjo (Original Mix) by Popperman & Peppe on Beatport

ハンガリーのプロデューサーユニットPopperman & Peppeによるハードグルーヴ
先日の2008-2023オールタイム・ベスト10選に於いてはAitor Ronda / Chicas de la VidaAndy BSK / Balkan Groove二大奇作ハードグルーヴと称しましたが、
この日これらの曲の間に挟む形で使用したこの曲も、後から考えたら充分変なハードグルーヴとしての存在感があったなということに思い至りました。

バンジョーて。
メインサウンドがバンジョーて。

それが乗っているのがローファイで重ためのリズムであるギャップもまた面白い。
牧歌的なのか格好つけたいのかどっちかにして欲しいと言いつつ、大好きですこれ。

ちなみにこの曲がリリースされたのも二大奇作ハードグルーヴ同様、2014年でした。
何があったこの年!?

18 / Tassid, Eski / It’s In My Head

It’s In My Head (Original Mix) by Tassid, Eski on Beatport

イギリスのプロデューサー同士、TassidEskiによるハードテクノ
推進力のある金物リズム、地を這うベースライン、シンプルな反復リフの組み合わせはタフなハードテクノそのもの。
ただ、ブレイクの途中から明けて暫く3連符の打ち方になるのがこの手のジャンルにしては珍しい仕掛けです。

ファンキーにもストイックにもなり過ぎない、それでいて遊び心があるように思えたので、ハードグルーヴハードアシッドの橋渡しに丁度良いと思って使いました。
急に真面目ですみません。

19 / BENJI 303 / VAMPIRE SYSTEM

Vampire System | Benji303 | Flatlife Records

イギリスのプロデューサーBenji303によるハードアシッド
当連載でもちょいちょい取り上げているレゲエハードアシッドが融合したスタイル。
アナログな質感のキックに裏打ちのギター、そして疾走感満点に打ち鳴らされたアシッドシンセの組み合わせは今でも違和感はしっかりあるのに、不思議と嫌な感じを全く受けずに聴けてしまいます。
あと音的にそんなに暗い音が用いられているわけでもないのに、絶妙なアングラ感が終始漂っているのも好きなポイント。

昨年末に出たこの曲が収録されているSonic Iration 002は、個人的にかなり良かったリリースの1つでした。
Jah Scoop Feat. The China Shop Horns & Jago / Rockfort Rockなんかはスカを取り上げたブラスサウンドを前面に押し出した、またちょっと違うニュアンスの曲になっていてこれも大変面白かったです。

【まとめ】

以上、Hardonize #43プレイリストをお送りしました。
アニバーサリーっぽくインパクトのあるネタモノや妙ちくりんなウワモノのトラックを多めに、とはいえそれらに頼り過ぎないような内容を目指した形になります。
何事も押し引きが肝心というのは格闘ゲームや麻雀を通して得た知見です。どうでもいいですねそうですね。

これはHardonizeに限らないのですが、グルーヴをキープしながらどこまでサウンドの幅を出せるかというのに毎回1人でチャレンジしております。
今後もそういったプレイをやっていくと思いますので何卒よろしくお願いします。

そんなわけで今回はここまで。

次週02月07日は774Muzikさんが担当します。
では。

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Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【TAK666編】

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
4週間ぶりに担当致します。

遅ればせながら明けましておめでとうございます。
本年もよしなに。

【告知】

予てよりお伝えしておりますように、15周年超豪華回となるHardonize開催がいよいよ2日後に迫っております。


2023/1/21(sat) Hardonize #43 15th Anniversary Special | Hardonize web

DJ、VJに強力なゲスト陣を迎え、時間も1時間拡大した7時間、みっちりハードテクノでお送り致します。
15年変わらず信頼を置いている早稲田茶箱の良質な音響環境で存分にお楽しみください。

尚、PASSMARKETの優先入場予約については定員に達したため、受付を終了しております。
当日入場については先着で若干数のみ受付という形になり、そちらも定員に達した場合は退場者が出た場合に交代入場という形になりますので何卒ご了承ください。
ちなみに、早稲田茶箱の近所にはサイゼリアがあります。

【訃報】

大事なパーティーの前に触れることではないかもしれませんが、以前Hardonize#13にご出演頂き、個人的にも別のパーティーでご一緒した経験のあるDJイオさんがお亡くなりになりました。

以前書いたM3-2022秋特集では彼の(言いたくないけど)遺作となってしまったSampling Roadについてレビューさせて頂いたし、
もっと言えば特別連載:ハードテクノとは何か? – 第7回:ハードグルーヴ編に於いてハードグルーヴの原型となったサウンドに日本でいち早く取り組んでいた存在としてLBTの存在を挙げたりと、予てよりその存在を一方的に追いかけておりました。
LBTのヴァイナルとかちょいちょい持ってるんですよ。

と思っていたらDJイオさんがWebメディアピコピコカルチャージャパン内にて連載していたDJイオの「ワープハウスバカ一代」に僕の名前が挙がっていたり、先の特別連載:ハードテクノとは何か? – 第7回:ハードグルーヴ編に対する感想を寄せて頂いたりと先輩格であるDJイオさんからちゃんと認識されていて嬉しかったです。
好みの近いジャンル、下世話なサンプリングセンスから広がっていく活動をもっと拝見していたかったので、此度の出来事については残念でなりません。

Hardonize一同、ご冥福をお祈り致します。
僕はしばらくぶりにサッポロビールでも買ってこようと思います。

【今回のお題】

さて、先週よりレジデントが過去Hardonizeが行われてきた15年の中からそれぞれオススメの10曲を選出して紹介するHardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選を掲載しており、最後にワタクシTAK666が担当致します。
これまでの掲載はコチラ。

Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【774muzik編】

Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【774muzik編】
Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【Sango編】

Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【Sango編】
Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【yuduki編】

Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【yuduki編】

同じハードテクノといえど、やはり各々の趣向がしっかり出ていますね。
・・・はい、年末の特集の時と全く同じことを今書きました。

でもそれぞれ着目点が違うんだなということが分かる内容で並べてみると面白いなと思います。
というか774muzikさんZedd / Shave It選んでいるのがメチャメチャ意外過ぎる。
そういう人でしたっけ?

ちなみに一昨日のyudukiボスの回で15年振り返りをやっておりましたが、
関連して15年前、つまり2008年の近しい音楽シーンがどういった状況だったのかについては5年前、つまり10周年記念回を行う際に自分が3回に渡って書いたものがございます。
これも今読み返すと懐かしい。
ご興味のある方は是非ご参考までに。

2018/01/11 – 【Hardonize10周年特集】10年前のハードテクノ
2018/01/25 – 【Hardonize10周年特集】10年前の日本のハードテクノ
2018/02/08 – 【Hardonize10周年特集】10年前の同人テクノ

前置きもそこそこに早速お送りします、

Hardonizeクルーが選ぶ
2008-2023オールタイム・ベスト10選
【TAK666編】

いってみましょう。

【Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 – TAK666編】

Yousuke Kaga / Setsuna [2008/02/01]

Spotify – Setsuna – song and lyrics by Yousuke Kaga

日本のプロデューサーYousuke Kagaによるテクノ
小気味良いハイハットとグルーヴィーなベースライン、そして儚げなフレーズのシンセと三役揃ってます。
テンポはそこまで速くないものの、疾走感とエモ感が絶妙な塩梅で同居しているトラック。

Yousuke Kagaさんとは早稲田茶箱を通して知り合った仲で、2008年当時のテクノシーンといえばハードさやエモさとは距離を置いたミニマルなスタイルが主流だった中、
こんなに身近なところにハイクオリティ且つ好みにブッ刺さる曲を作る、しかも歳もそう離れていない人がいたのかというのも衝撃でした。

当連載に於いて僕は度々この曲について取り上げているのですが、一生好きな曲だと断言できます。
Hardonizeの立ち上げと1ヶ月も変わらない時期にリリースされたという点もあって今回真っ先に紹介したいと思ったトラック。

ちなみにこれと同一カテゴリーにあって同じくらい好きな曲の中にryoh mitomi / haru-kazeがあります。
あっちは2005年のリリースなので残念ながら今回のテーマからは外れてしまいますけども。

Aitor Ronda / Chicas de la Vida [2014/04/28]

Chicas de la Vida (Original Mix) by Aitor Ronda on Beatport

スペインのプロデューサーAitor Rondaによるハードグルーヴ
ブラスやアナログな質感のピアノのサウンドがふんだんに散りばめられたスウィングジャズ・ミーツ・ハードグルーヴといった塩梅の曲。
ハードグルーヴに於いてソウルディスコといった要素の流入は決して珍しいものではないのですが、ここまで生っぽく、そしてエネルギッシュなサウンドに仕上がっているトラックはリリースから9年経った今も比肩するものが見当たらないレベルです。

これだけSangoさんのオールタイム・ベストと被ってしまいましたね。
けど個人的に受けたインパクトの大きさから考えたらやっぱり外せなかった。
実際今でもSangoさんと取り合いになることが多い曲の1つです。

Andy BSK / Balkan Groove [2014/09/14]

Stream Balkan Groove FREE DOWNLOAD!!! by Andy BSK | Listen online for free on SoundCloud

ドイツのプロデューサーAndy BSKによるハードグルーヴ
タイトル通り、バルカン音楽+ハードグルーヴの交配を試みた異色作。
脱力感すら漂ってくるメインフレーズのホーン、曲全体を通して延々と裏打ちで鳴らされるベースホーン、サイドを添えるブラスと西洋音楽に慣れ親しんだ耳で聴くとそのどれもがカッコ良くない。
しかし裏を返すとそれだけ破壊的なインパクトがあります。
当ジャンルに於いては旗手となっているアーティストが手掛けただけにリズムはガッチリと作り込んでおり、そのギャップがまた面白さを誘うトラック。

自分の中では先のAitor Ronda / Chicas de la Vidaと合わせて二大奇作ハードグルーヴという位置付けをしています。
この2曲の影響は今でも自分の中に色濃く残ってますね。
っていうかどっちも2014年リリースだったのかこいつら。

Special Request / Make It Real [2017/10/13]

Make It Real | Special Request

イギリスのプロデューサーSpecial Requestによるテクノ
現行のテクノマナーに沿った重厚なボトムを擁する傍ら、アーメンブレイク、ボイスサンプル、ピアノなど、いなたい雰囲気を纏ったオールドスクールレイヴのパーツとの共存を図っている曲。
とりわけベースの深度が凄まじく、中盤では完全な非4つ打ちにシフトするクロスオーバー好きには堪らない仕掛けがあります。
煌びやかさはないものの、魂の籠った1音1音を感じることができるトラック。

同時期にエレクトロシーンから彗星の如く現れたRaitoや、ハードスタイルシーンから転生したT78、そしてジャングルディープベースと並行して活動していたこのSpecial Requestたちによって、
それぞれがそれぞれの手法でレイヴサウンドを取り入れたテクノの開拓に精を出しており、
実際この少し後から現在に至るまでにそういったスタイルの曲が増えたことを考えると、1つの道標を示したアーティストと言えるのではないかと思います。
古めかしいサウンドと新しいテクノロジーを交配した前衛的なトラックは当時かなりワクワクしながら追いかけていた記憶があります。

Yves Deruyter / Calling Earth (UMEK Remix) [2020/10/09]

Calling Earth (UMEK Remix) by Yves Deruyter on Beatport

スロベニアの大御所プロデューサーUMEKによるテクノ
原曲トランスの大クラシックとあってそれだけでも充分過ぎるのですが、この強度のリズムはちょっと類を見ないレベルで凄いと思いました。
勿論これよりアグレッシヴで派手なリズムの曲というのはいくらでも見つかるのですが、あくまでメインストリームテクノのスタンスを保ちつつ、それでいて硬いと感じさせてくるバランスがとにかく絶妙。
この延々聴いていたくなる感覚こそテクノの最大のポテンシャルであり、改めてテクノの良さを認識させてくれた1曲です。

これに関しては好き過ぎてヴァイナルまで持ってます。
コレクターズアイテム的に購入したので1度しか針を落としてません。
盤面がマーブルカラーで綺麗ですよ。

Junichi Watanabe / ベッセマー型転換炉 (Screaming Fist IIV 2009 Remaster) [2010/01/15]

コンビナートデ鳴ラスベキ音楽 by Junichi Watanabe on Apple Music

日本のプロデューサーJunichi Watanabeによるインダストリアル
収録されているアルバムタイトルがコンビナートデ鳴ラスベキ音楽というのも強烈で、そのタイトル通り強烈に歪み、無機質で硬く、冷たいインダストリアルばかり収録されているというのも特筆すべき点の1つです。
また、一般的とされるテクノの枠から大きくはみ出た非4つ打ちのリズムやダウンビートのテンポを取り入れた曲が多く収録されており、作風のバリエーションが豊富だったというのもあって個人的には何度も聴き返したくなるアルバムとなってます。

中でもこの曲は一貫してインダストリアルマナーを維持したサウンドで構成されている傍ら、ブレイクの前後でリズムやウワモノに変化を加えて曲としての展開をしっかり作っているという点で、同じ音が延々と反復する当ジャンルに於いてかなり目立つ特色があると言えます。
こんなに聴きやすいインダストリアルは他に例が思いつきません。

一聴してマニアックなサウンドであることは分かるのですが、日本にもこうした音に心血を注いでいるアーティスト、作品があったことに当時かなり刺激を受けました。
ちなみにJunichi Watanabeさんがよく楽曲提供していたAsianDynastyというレーベルは当時ハードテクノのリリースがあった貴重な国産レーベルの1つで、そちらも相当にお世話になりました。
今でも大好きなKei Kohara / Bloom After Broken Life (Midsummer Mix)がリリースされたのもこのAsianDynastyです。

Greg Notill, Golpe / Blower [2012/07/24]

Blower (Original Mix) by Greg Notill, Golpe on Beatport

フランスのプロデューサーGreg NotillとチェコのプロデューサーGolpeによるシュランツ
元よりテクノの枠から大きく外れた速いテンポを特徴の1つとしていたシュランツですが、この頃になると数値で言ったら160オーバー、いよいよハードコアめいてきた領域に足を踏み入れていた時代です。
またそれと並行して他ジャンルの要素を取り入れるという試みが行われていた時代でもあり、ドラムンベースにシフトするAlex TB / Despertar De Um Amanhecerや、ダブステップにシフトするBuchecha / Smashなどがリリースされました。

そのような状況下で世に出てきた曲の中でハチャメチャ度でいったら一等賞だったなと思うのがこちら。
まずアーメンブレイクが入っている、更にガバキックっぽい音も入っている。
これらは各小節の節目にコラージュ的に細かく差し込まれており、メインのリズムと相まってとにかく情報量が多いのなんの。
現代のMIX手法の1つとして細かく曲を差し込んでいくのが広く確立されていることを考えると、より今の方が映えそうな気さえしてきます。

— / Grey Area 01 #3 [2015/12/04]

Grey Area 01 #3 (Original Mix) by Grey Area 01 on Beatport

ドイツのレーベルHoroとアメリカのレーベルAuxiliaryの共同プロジェクトとしてリリースされた新興音楽グレイエリア
この音楽については以前特集記事を組んでいるので簡単に説明すると、4拍子のドラムンベースのパーツを鳴らしながらその速度を3/4倍した3拍子のテクノのパーツを重ね、どちらのリズムとも取れる(=白黒つかない灰色の領域)音楽の総称になります。

自分はこれまで色々なジャンル同士を交配させたプレイを披露してきましたが、ご存知のようにダンスミュージックというのは大抵4拍子と決まっているのでこの考え方自体目から鱗でした。
実際当時ディープダブステップにハマっていたこともあり、この辺りのジャンル遷移のやり方の幅が広がったように思えます。
何より変ミュージック好きなので、こういった作り手のアイディアが光るシーンには大きな魅力を感じるのです。

で、この曲はグレイエリアに於いてはインパクト強めのリフが鳴っており、3拍子ビートと4拍子ビートのバランスも絶妙で本当にどちらにも聴こえるのが素敵ポイント。
この音楽を認識した最初期に聴いたこともあって余計に印象に残っているフシもあります。

ところで先のグレイエリア特集記事、未だに色んな人からちょいちょい見られているようでつい先日もとあるパーティーに遊びに行った際、『あの音楽最近知ったんですけどヤバいっすね!』と話しかけられました。
こういうレスポンスが直接貰えると連載を続けていた甲斐があったなと嬉しくなりますね。

Ling Ling / t5080s [2021/01/29]

Ling Ling – t5080s by freetaxler | Free Listening on SoundCloud

オーストラリアのプロデューサーLing Lingによるハードアシッド
リリースは2021年と大分新しめになります。
その上でHardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選にも選出しています。

ピアノとギターをメインに、ブレイクパートに差し掛かるとホーンの音まで入ってくるアーバン全開の音使い。
普通に考えたらこの爽やかな組み合わせにアシッドシンセなんて入るわけないんですけど、普通じゃないんですよこの曲。
実際聴いてみると意外と悪くない組み合わせ・・・どころか個人的にはメチャクチャ良いと思ってしまいました。
良くも悪くもアングラ感があり、ひたすらアシッドシンセの細かな変化に耳を傾けるのがこういった音楽の醍醐味だと思っていたので、
こんなに夕暮れの海沿いを車で流しながら聴きたくなるようなハードアシッドが出てきたのは青天の霹靂という他ないです。
ホント、初めて聴きましたこんな曲。

Rawtek, Psycho Boys Club / Come Closer [2022/06/24]

Come Closer (Original Mix) by Rawtek, Psycho Boys Club on Beatport

アメリカのプロデューサーRawtekと、デンマーク出身のStoltenhoffとアメリカ出身のJuyen SebulbaによるプロデューサーユニットPsycho Boys Clubによるディスコ
こちらのリリースは2022年、去年です。
はい、Hardonizeクルーが選ぶ2022年のハードテクノ10選にも入ってます。
本来直近の曲がここに入るべきではないと思うのですが、この曲に関しては一生好きになれるかもしれないと思っていますので、最後に紹介します。

フィルターのかかったカッティングギターによるメインフレーズ、アンニュイな男性ボーカルと細かくエディットされたボイスサンプルやシンセなど、とにかくウワモノが豪勢。
その重なりを感じながら流れ込む1番ブレイクからの1番リズムパートはガラージっぽいハイハットの打ち方とハウスのグルーヴを合わせ持ったテンション高めのディスコといった感じでここだけでもまぁ素敵な仕上がり。
で、2番ブレイクを挟んで繰り出される2番リズムパートは何の脈絡もなくハードミニマルビートが鳴り響くという、強烈な二面性を見せてきます。
ウワモノはそのままディスコをキープし続けているため、このハードミニマルビートとは水と油なみに混ざり合ってないのがまた面白く、やっぱりこんな曲未だに聴いたことないと思わせてくれたトラックでした。

本作がリリースされているBarong FamilyというレーベルはEDMベースライン辺りに強い印象がありますが、
決してそれらだけに留まらず、常にジャンルの垣根を越えて新しい音楽を生み出そうとするマインドが強いレーベルだと認識しているので、新しい音楽と出会いたい方は是非チェックをお願いします。
2021年のリリースだとRawtek, Sihk / Gabber! At The Discoもまずタイトルでやられましたし、曲を聴いて笑った以上にバッチリくらいました。

【まとめ】

以上、Hardonizeクルーが選ぶ2008-2023オールタイム・ベスト10選 【TAK666編】をお送りしました。
選出基準としてはまぁやっぱり変なウワモノの曲選びがちではあるものの、それまで聴いたことのなかったもの、その後の選曲やDIGに大きく影響したものが主なポイントとなっています。
yudukiボスも書いてましたが、やっぱり15曲くらいあっても良かったですね。
テックトランスとかブレイクス方面でも取り上げたい曲があったのですが、その辺をゴソッと除外してしまいました。

と、ここまで書いて勝手におかわり回があっても良いのでは?と思い始めました。
こういうのは後々見返すと面白かったりしますし、次回までにどうするか考えておきます。
勿論、通常のサブジャンルピックアップ回もこれまで通り行っていきますので15年目のHardonizeを引き続きよろしくお願い申し上げます。

そんなわけで今回はここまで。

皆様01月21日のHardonize #43 15th Anniversary Specialでお会いしましょう。

次週01月24日は774Muzikさんが担当します。
では。

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