こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
今でこそ無節操に音楽を掘っているものの、ワタクシがクラブミュージックと云うものにのめり込む切欠になった音楽はサイケデリックトランスでした。
アシッドシンセを筆頭にパラメータの変わりまくるリフが過度なピッチシフトによって生まれたキックの上で鳴らされる独特なトランス。
ありがたいことに今でも年に数回この音楽でのDJオファーを頂いておりまして、丁度今週末行われます。
03/24 23:00- 高円寺CAVE~Spiklenci Slasti~
詳細は割愛しますが、この音楽も相当多くのサブカテゴリーを含んでいるので一口にサイケデリックトランスと言ってもDJによってそのカラーは様々です。
ご興味のある方は是非お越しください。
で、ワタクシはこういう時もやっぱりクロスオーバーしたがりなので『サイケやってください。』⇒『ハイ、分かりました。』と答えても素直になれないお年頃。
ハードテクノ的にも関連するところでお察しの通り、アシッドテクノなんかはしれっと混ぜてプレイしたくなってしまいます。
鳴っている音に共通する部分がある一方でシンセを聴かせるサイケデリックトランスとボトムで躍らせるアシッドテクノとではシーケンスが全く異なるため、どちらか一方だけ掘っていては作れないような起伏を演出できる。
贅沢を言えばハードハウスを突っ込めればより馬鹿っぽさが増しますし、ベースミュージックやレイヴなど土臭い方向にも行くことができてしっちゃかめっちゃかな感じにすることも大いに得意分野ですが、
この話をし出すとまたNOMYさんにバトンを渡す際、『大馬鹿野郎!』と罵られるので止めておきます。
ともかく今回はアシッドテクノ。アシッドテクノです。
過去の自分の連載を振り返ってみるとまだまだ紹介していない人がいっぱいいるので、その中から大御所に当たるこの人にスポットを当てます。
テクノを聴いている人なら説明不要かもしれません。
と云うか先週のエントリーでさんごさんも新譜載せてましたよ。あの人と連載スタイルを変えててよかったと思った次第。
20年以上のキャリアを持つロンドンアシッドテクノシーンのボス。
彼の運営するHydraulixも90年代から現在に至るまでリリースを続けており、テクノを代表するレーベルと言っても差し支えないでしょう。
ヨーロッパ全域は元よりアメリカ、ブラジルの大小様々なパーティー、フェスでのDJを行っており、日本にもアシッドテクノパーティーMASSの手引きによって数回招聘されてます。
彼がコアとするのはレイヴやアシッドの持つ快楽主義とテクノの持つダークさ、ストイックさの間を埋める音です。
ずっしりと構えたビートにテクノらしからぬ派手な音のシンセがミニマルの要素を保ちつつ、それでもある種の疾走感を伴って鳴らされており、メインストリーム、アンダーグラウンド双方から支持を得ています。
そしてそれはジャンルの垣根すら超えており、Eric Sneo、A Paulと云ったテクノ界隈のリミックスも手掛ける傍らCaptain TinribやNick Sentienceらトランス、ハードダンスのリミックスもこなし、
オリジナル楽曲の提供も両者に跨るような広い範囲で行っている様は正に鬼神。
様々なシーンで『使える』仕上がりでありながら他のクリエイターとは一線を画すようなトラックは是非聴いて頂きたい。
そんなD.A.V.E. The Drummerのオススメはこちら。
Marcello Perri, D.A.V.E The Drummer / Music 4 Life
DJ Geraldine, D.A.V.E The Drummer / Hydraulix 35 B
D.A.V.E The Drummer / Scarecrow
BK, D.A.V.E The Drummer / Major Disturbance
ハードなボトムにインパクトのあるリフと云う点ではハードグルーヴと共通していますが、こちらはもっとストイック。
これも一種のハードミニマルを含む反復ダンスミュージックの到達点と言えるのではないでしょうか。
尚、上で述べたように元はと云えばダークなテクノを主眼に据えていたこともあり、ハードやアシッド要素の無いトラックもリリースしていることもここで紹介しておきます。
例えばこちら。
Marcello Perri, D.A.V.E The Drummer / Disko Dancer
テクノよりはグルーヴィーなんですがテックハウスよりは重いと云う、ここでもジャンル間のスキマを縫うような楽曲になってます。
上でも別途挙げてますが、Marcello Perriはイタリア生まれロンドン在住のテクノクリエイター。
これまでにもD.A.V.E. The Drummerとは何曲かコラボレーションを行っており、ある曲はダーク、ある曲はファンキーとこちらも一筋縄ではいかない人です。
余談ですが、D.A.V.E. The Drummerの曲をProketと云うドラムンベースのクリエイターがリミックスしたと云うものがあります。
原曲はやや渋いハードミニマルと云った感じなんですが、このリミックスはテクノっぽい音とミニマル展開を擁したドラムンベースのスタイル、テクノイドとして実は真っ先に挙げられるトラックだったりします。
D.A.V.E The Drummer / Hydraulix 9 (Proket Remix)
ダークなリフが延々と続き、リズムもドラムンベースにしては強調されていないものの、相当細かいパターンが組まれていると云った辺りが当時新鮮で、テクノイドに特化したレーベルなんかも生まれたりしたのですが、
残念ながらあまり注目されず、ひっそりと幕を下ろした感があります。(このProketと云うアーティストも活動終了してます。)
このようにハードテクノの曲が新しい、しかもドラムンベースに絡んでいると云うのは他に例が無く、個人的には大きな出来事の1つでしたが、
D.A.V.E The Drummer自身は度々フェスでドラムンベースのベテランと共演していたりするので、また何かの拍子にこう云う新しい音楽が生まれてくれないかなと期待しております。
次週03月28日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。