こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
一昨日のyudukiボスの記事にもありましたように、先日はTechno Alliance Meeting vol.2に出演致しました。
お越し頂いた方々、ありがとうございました。
テックハウスからハードミニマルまでテクノづくし。
なかなかご一緒できない方々のプレイも拝見できて貴重な機会となりました。
尚、我々4人のB2Bはやってる本人たちもよく分からない状態でプレイしてました。
そもそもフロアの真ん中にブースがあって、それぞれ四方に陣取ると云う配置も異質さに拍車をかけていた気がします。
B1F Now Playing Takayuki Kamiya vs TAK666 vs orinetone vs Atomic(DJ) 予測不能の90分をお届けします。 #Techno_Ally pic.twitter.com/LUHBJQgd64
— TECHNO ALLIANCE (@TCN_ALLNC) 2019年3月24日
しかし困ったことに変なこと大好き人間なのでとても楽しかった。
次はミキサー2台体勢でフルチャンネル使ってもっとワケ分からなくしたいです。
一方、先週は過去のHardonizeにもご出演頂いたBEPPUさんが主宰しているハードテクノパーティーUに遊びに行っておりました。
古くからハードテクノのDJとして活動している方々が一堂に会すると云うことで、こちらもまたレアな回だったように思います。
疾走感のある骨太なハードミニマルをシームレスに繋ぐeckozさん、シカゴハウスのようなバウンシーなトラックを織り交ぜつつ、4台のデッキを完璧に使いこなして世界観を構築したHomma Honganjiさん、マッシュアップ仕込みまくりのハードグルーヴで攻め攻めだったDJ ATTさんの並びで3者3様にハードテクノを体現しており、大変参考になりました。
Hardonize以外でハードテクノを聴ける機会としてこのR-LOUNGEと云うハコで行われているUやFIXと云ったパーティーは貴重な存在ですので、是非足を運んでみてください。
そんなワケで割とアップリフティングなハードテクノの余韻に浸っております。
従って今回は久しぶりにファンキーなハードグルーヴのアーティストにスポットを当てることにしましょう。
取り上げたい人は多くいるのですが、特に最近の筆頭株と云うことであれば避けて通れない存在がいると思っているので、今回ご紹介するのはコチラ。
ボスニア・ヘルツェゴビナのDJ、アーティスト。
当連載に於いても度々読み方が分からないことをネタにしておりますが、無理やりカタカナで書くとアウミール・ユーサが近い発音になるようです。
とはいえ、ボスニア・ヘルツェゴビナと云う国は公用語にボスニア語、クロアチア語、セルビア語の3種類が使われている多民族国家なので、言語によっては異なるものになるかもしれません。
一応Almir Ljusaは首都サラエヴォの出身なので大きな違いがあるとは思えませんが・・・。
尚、生まれ年は1983年。
19歳の時にDJを始め、24歳からトラックの制作に打ち込むようになったそうです。
その際に影響を受けたのはBen SimsやD.A.V.E. The Drummer、Joey Beltramなどファンキーでハードなテクノの先駆者たち。
実際、この辺りの要素は現在の彼のトラックの中にも過分に含まれている感じがします。
ちなみにボスニア・ヘルツェゴビナにハードテクノのシーンがあったのかと云う話ですが、小規模ながら存在していたようです。
Almir Ljusa登場以前に活動していたボスニア・ヘルツェゴビナ出身のアーティストを挙げると、2006年以降にHertzやBoriqua Tribezと活動を共にしていたNihad Tuleや、CVM Recordsを主宰し、後にベルリンに拠点を構えて多くのレーベルから作品を輩出したTex-Rec、ハードミニマル~インダストリアルのような重たく冷たいトラックを得意とし、AsagaoaudioやAndy Bskのリミキサーとして抜擢された経験のあるTony Silverなど、活動実績のあるアーティストがいたことが分かりました。
こうした人たちが間近にいたこともまた、Almir Ljusaの活動指針に少なからず影響を与えていたと考えられます。
彼が実際にリリースデビューを果たすのは少し間が空いた2010年のこと。
こちらがそのトラックになります。
Various: T Series Vol 1 at Juno Download
初期作品にして既にファンキーなハードテクノを己のスタイルとして取り込んでいるフシが聴いてとれます。
派手さは控えめですが、それユエにどの時間帯にも使えそうなタイプのトラック。
ちなみに本EPがリリースされた2010年と云うのはハードグルーヴ黎明期に当たり、他の収録曲もそちらに寄せた楽曲が目立ちます。
これ以降ハードグルーヴのアーティストとして頭角を現していくことになるMark ReyやThomas Willの名前があるのも見逃せない作品。
さて、Almir Ljusaはデビューの翌年からトラックメイキングを積極的に行うようになります。
レーベルはSteel Grooves率いるCapital Technoや、先述のMark Reyが上に立つGroove Soldiers Recordsなど当時のハードテクノシーンを支えていたレーベルの数々とサインし、月に1作~2作、多い時は週に1作のペースでリリースを行うようになりました。
いくら曲の中の展開が少ないテクノと云えど、異常な速度です。
そしてそれら大量の発表曲から段々浮き彫りになっていくのがAlmir Ljusaの嗜好性でした。
極稀に渋めのテックハウスが存在するのですが、大方は激パーカッシブか激ディスコリフ。
要するに滅茶苦茶派手な曲が多かったのです。
Disco nights (Original Mix) by Almir Ljusa on Beatport
これが2012年の作品。
言わずと知れたディスコクラシックが元ネタ。
ファンキー且つハードと云うハードグルーヴのお手本とも言える1曲。
本連載の担当1回目で紹介したRaul Mezcolanzaの後継者が出たような印象さえ受けました。
2014年、Almir Ljusaは自身のレーベルVertex Recordsを立ち上げました。
稀に外部ゲストやリミックスが収録された作品がありますが、それ以外は全て自ら手掛けたトラックの発表拠点として機能しており、2019年現在に至っても尚、月1作~2作のペースで新作が出ています。
いつ寝ていらっしゃるのかしら・・・。
非常にタイムリーなことに、来週04月10日にリリースを控えた作品のタイトルがDefinition Of Hardgrooveと云う強いメッセージ性のあるタイトルのものでした。
Definition Of Hardgroove (Original Mix) by Almir Ljusa on Beatport
原点回帰したようなグルーヴキープ系のトラック。
使いやすそう。
また、リリース時期はまだ未発表ですが、Soundcloudで公開されたプレビュートラックのタイトルがなんとJapanでした。
Almir Ljusa – Japan (Original Mix) by Vertex Records | Free Listening on SoundCloud
これは一体・・・?
特に曲中に日本を連想させる音ネタがあるわけでもなく、上記同様ストレートなハードグルーヴ。
Almir Ljusaとリミックスを作り作られの仲にあるHomma Honganjiさんに聞いたら何かご存知かしら。
Soundcloud繋がりの話題としてAlmir Ljusaは自身のアカウントでサンプルパックを公開しております。
ハードグルーヴ界隈だとDavid MoleonやGoncalo Mが自身の曲のパーツを公開していますが、Almir Ljusaもまた行ってました。
何故かベースループのみ20個と云う不思議な感じですが、プロの素材なので頂けるだけでありがたい。
しかもフリーダウンロードです。
そのまま使うだけでなく、作り方の参考にもなるかと思いますので、是非。
Almir Ljusaは表立ってメディアに出てくるタイプのアーティストではなく、また彼自身SNSの類も今はノータッチのようなので、作品やレーベルの話が多くなってしまいました。
ボスニア・ヘルツェゴビナのクラブミュージックポータルみたいなものはあったのですが、Almir Ljusaの出演パーティーなどに繋がる情報は得られず、異様なペースで粛々と曲を作ってリリースしている人と云う印象を変えることはできませんでした。
しかし、現行のハードグルーヴに触れる上で避けて通れない存在になっていることは間違いありません。
上記のようにリリースの数も多いこともさながら、Paul OakenfoldのMIXに彼の曲が使われている辺り、異質です。
勿論同業であるハードテクノクリエイターからの信頼も厚く、MicheやRob J.なども彼のトラックを頻繁にプレイしています。
また、遡って昔の曲を知る上でも彼の参加しているレーベル伝いに得られるものは多いため、ハードグルーヴの入り口として紹介したいアーティストでもあります。
この音楽に於ける黎明期と現代を結ぶ架け橋、それがAlmir Ljusaです。
そんなAlmir Ljusaのオススメはこちらです。
Hydraulic Failure (Original Mix) by Almir Ljusa on Beatport
地味過ぎず派手過ぎずのハードグルーヴ。
やや重たいボトムと反復リフがハードミニマルとも相性良さそう。
Cubana (Original Mix) by Almir Ljusa on Beatport
トライバル寄りハードグルーヴ。
チャカポコしてファンキーなウワモノとは対極的に地鳴りのようなベースがなかなかエグい1曲です。
つい半年ほど前に公開された大ネタハードグルーヴ。
市販のトラックと比べても遜色ない仕上がりでありながら、彼自身こういったブートレグはそこまで作る方ではないので、大変貴重です。
勿論フリーダウンロード。
Enter (Original Mix) by Almir Ljusa on Beatport
ベースライン系のベースを中心に構成された変わり種トラック。
ハードテクノに於いてこう云った音使いのものは今まで聴いたことがないです。
クロスオーバー向き。
Fiesta (Vocal Mix) by Almir Ljusa on Beatport
アーバンな歌ものハードグルーヴ。
ベース運びもハウスっぽいグルーヴィーな感じでつい使いたくなるタイプの曲。
Tribal (Original Mix) by Almir Ljusa on Beatport
稀にテックハウスを作ることがある、と云うことについては上でも触れましたが、こちらはハードグルーヴとテックハウスの中間に当たるトラック。
リフのレトロな質感はAlmir Ljusaプロデュース作の中でも結構レアです。
ジャンル間の橋渡しか、〆に使っても良い感じ。
次週04月09日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。
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