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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/01/26

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

これを書いている2017年01月は渋谷のクラブCIRSUS TOKYOがokadada氏、DJ WILDPARTY氏の2名をレジデントとしたレギュラーパーティーを毎週土曜日に行っておりまして、先日その2回目に遊びに行って参りました。
ゲストはKEN ISHIIとCarpainter。片や日本のレジェンド、片や新世代キーパーソンと云った異色の組み合わせでしたが、共にと云うか全員ストイックなテクノでのプレイで、VJもいなくて照明だけの暗い空間で延々とリズムが繰り返されていたのが音に没頭できて大変良かったです。
よくクラブミュージックはハコで聴くと家で聴いていたものから印象が変わると云うような表現を聞きますが、個人的な意見としてテクノはかなり大きく環境に左右される音楽の1つだと思っています。
耳ではなく体感として響く低音がずっと鳴っており、あとのシンセやリズムは拍を取るための最低限でしかないと云う思考を持った音楽。
昔から変わってないと思うなかれ、誕生から20年超を経て尚出音は確実にアップデートを続けております。
機会を作って是非何らかのパーティーに遊びに行って頂きたいところ。
ちなみに上述のCIRSUS TOKYOレジデントパーティーは今週末01月28日にもPEECHBOY、CHERRYBOY FUNCTIONと云ったこれまたテクノに縁のあるゲストを招いて行われます。
【告知ページ】http://circus-tokyo.jp/en/events/okadadadj-wildparty-4

さて、今回はそんなメインストリームテクノの作り手である人にスポットを当ててお送りします。
厳密にはHardonizeがコアとしているハードテクノとは異なる音楽ではあるものの、ハードテクノにのみ焦点を当てていては見えてこないものもあると思うので、こう云った回も積極的に設けていきたい。
聴いてみた結果『やっぱりハードテクノだな!』となるも良し、『あぁこんな音楽もあるんだな。』となっても良しってことでひとつよろしくお願いします。

【Butch】

butch

http://www.cometobutch.com
https://www.facebook.com/cometobutch
https://soundcloud.com/superbutch

ドイツ在住のプロデューサー/DJ。Bouq. Records、Otherside Music主宰。
2007年、ミニマルテクノが流行真っ只中であった時期に名門Great Stuff Recordingsに彗星の如く現れ、そこに収録された自身楽曲On The LineのOxiaによるリミックスがBeatport Music Awardsのリミックス部門2位に入ったことで一気にシーンの台風の目となります。
そのタイミングで彼がリリースしたこの曲がスマッシュヒットを達成、彼の人気を不動のものとします。

Butch / Mushroom Man

試聴して一発で分かると思いますが、大胆なまでのマリオサンプリング。
当時CISCOと云うレコード屋が渋谷にあったのですが、テクノは元よりハウスやトランスの店舗にもこの曲が収録されたヴァイナルが面で並んでおり、いずれも売り切れと再入荷を繰り返していた覚えがあります。
今思うとトランスの人がこの曲をどう自身のセットに組み込んでいたのか気になるところですが、そう云ったシーンの枠を超えて注目の存在になったことは間違いなかった出来事でした。

とまあデビューから僅か1年で一躍出世人となった彼ですが、当時のことを体験している人からするとどうしてもこのMushroom Manのイメージが強くなりがちです。
しかし経歴を見ると彼のDJとしての原体験はテクノよりDMCワールドチャンピオンシップ、つまりスクラッチやジャグリングに端を発している記述が見受けられました。
古い動画がYoutubeにあったので載せておきます。

現在DJに於いてはスクラッチこそ行わないものの、3曲がけ4曲がけは平然と行ったりする辺り、生粋のテクノDJとは違うエッセンスを感じ取ることができる筈。
実際にそれは楽曲にも表れており、ハウス、ディスコ、ガラージ、アシッドなど様々な要素が入り混じった面白いサウンドとなっています。
その他オススメを挙げるとすればこちら。

Heckmann, Butch / Monsterbacke (Monster Mix)

Butch / Disco Shhh

Butch / XTC

Butch / Ice Cream

一通り挙げてから思ったのですが、上記のリリースは全て2010年前後に偏ってしまいました。
当然彼自身は今尚活動を継続中で新曲もギグも活発に行っているのですが、先述の通りかなり多才であり、なかなか彼と云えばコレと云うのは難しかったりします。
それでもテクノ的な観点から最近のトピックを挙げるならばコレでしょうか。
去年の作品です。

Butch / Magnetic

テクノの名門Drumcodeから出た深いベースと怪しいシンセが場を支配するダークテクノ。ハコで聴いたら相当エグそうですね。
ちなみに何故これだけBeatportではなく、Soundcloudの埋め込みかと云うと、それはこの曲がヴァイナルでしかリリースされてないからです。
このブログで取り上げる機会もあんまりないのですが、実はテクノはメインストリーム系、ハード系問わずまだまだヴァイナル文化が根強く残っていたりします。(勿論大半はデジタルでも手に入ります。)
日本のTOBY氏が今尚こう云った発言をするのもちゃんと理由があるわけなのですよ。
なのでこの作品はレコード店を介さないと聴けないものになりますが、日本国内でも渋谷Technique名古屋Freestyleと云ったレコードショップが販売しているので比較的楽に入手可能です。
まぁ人気商品なので売り切れたりはしますが、そこもまたフィジカルリリースの醍醐味ですね。

次週01月31日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/01/12

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
久しぶりにワタクシが担当致します。

前回のYudukiさんのエントリーと書き出しが同じになってしまいますが、新年を迎えたと云うことで今年も当Hardonizeをよろしくお願い致します。
昨日告知が出た通り、パーティーとしての開催は02月25日、ゲストにMorphonics a.k.a. 紙袋氏、marix氏の2名を迎えてお送りします。
告知ページ⇒http://hardonize.info/event/2017-02-25-sat-hardonize26.html
個人的な所感として両者共ストイックでヘヴィーな音を持ち味としている印象があるので、テクノが持つ緻密な音の抜き差しみたいなところを味わえる回であることを期待してますし、我々もそれに応えるような選曲で皆様のご来場をお待ちしております。

話は変わり私事で大変恐縮ではございますが、Hardonizeと親交のあるテクノパーティー『秋葉原重工』より昨年末にリリースされた『秋葉原重工コンピレーション06』の購入者特典MIXをSangoさんと共に担当致しました。
リリース詳細&ダウンロードページはこちら。

秋葉原重工 : http://www.ahiweb.info/

『秋葉原重工』はその名の通り秋葉原のMOGRAでコンスタントに開催しているパーティーで、アートワークからウェブデザイン、告知に至るまで架空の機械設計企業をモチーフとしたブランディングを行っております。
機械の持つ無機質な感じをそのまま自ら発信する音に落とし込んでいるため、内包するものとしてはミニマルやインダストリアル、テックハウスなど、中音域よりは低音域で反復するリズムがじわりじわりと空間を支配する、そんなサウンド。
パーティーと同様にレーベルとしても機能しており、本作にはHIROSHI WATANABE、A.Mochi、TAKAMI、REBUSTAPEなど日本のテクノシーンを現在進行形で担っている第一線の方々もいる傍ら、Nhato、CRZKNYと云った本来主戦場がテクノではないアーティストもテクノで参加しており、同じ作品内でも方向性は様々。
ハードテクノの側面としてもご存知Homma Honganjiが名を連ねていることから非常に尖ったコンピレーションであることがお分かり頂けるかと思います。
まだ購入されていない方は是非お求めください。でもって特典MIXも聴いて頂けると私とSangoさんが喜びます。

さてここまでが前置き。
上記のCDがどこで初っ端リリースされたかと言うと冬のコミックマーケット、つまりは同人即売会であります。
幾多の流行廃りを繰り返しながらも同人音楽は自身の解釈を拡大させ、アレンジ系は元よりオリジナル系でもバンドサウンド、オーケストラ、民族音楽に朗読、果てはサンプリングCDまで多用なジャンルを内包するようになっているのは周知の通りです。
無論電子音楽、クラブミュージックもその1つであり、大手配信サイトで売られているものと何ら遜色ないクオリティーのものが大量にあります。
それどころか、インディーズらしい突飛なアイディアで勝負している作品はメジャー流通とは別の魅力を秘めており、普段のDJプレイにアクセントを加えたいと云った際には強力な飛び道具にもなります。
そんなワケで今回のテーマは

同人音楽+テクノ。

初出がコミックマーケットやM3と云った同人即売会であるテクノの作品の一例を以下に挙げていきます。

Anne Maddox vs Bee.Bee. / ERGOSPHERE EP (exbit trax)

Hardonizeにもゲスト出演頂いたことのあるni-21氏擁する『exbit trax』の昨年末リリースがこちらのAnne Maddox氏とBee.Bee.氏のスプリットEP。
両名は同じく昨年末に行われたパーティー『TOKYO HARD GROOVE SESSION ’16 -Xmas-』に於いてもB2Bで出演しており、一直線に派手煌びやか路線を進むAnne Maddox氏に対して淡々とBee.Bee.氏がボトム寄りのトラックで追随すると云う構図が面白かったと記憶しております。
そんな様相がそのままこのCDにパッケージングされているのがまた面白く、ハードダンスをテーマとしながらもメロディー主体であったりリフに重きを置いたり、かと思えばサイケデリックトランスやドラムンベースまで取り込んでいく大胆さが光る1枚です。
制作者の言葉を借りるなら『チャカポコ』したリズムはハードテクノとの相性も良く、中盤~終盤にかけて段々シンセを派手に持っていくと云うようなDJの際には大いに機能することでしょう。
exbit trax : https://exbittrax.jimdo.com/

V.A. / GREenRMX003 (GREen)

『GREen』も先述の『秋葉原重工』同様に親交のあるパーティーの1つ。
こちらは往年のテクノにスポットを当てており、耳に馴染みやすい温かみのあるリフを使いつつも踊らせるところはしっかり踊らせる、そんな印象があります。
こちらもまたTOBY、NEWDEALと云った日本テクノ界のビッグネームが参加していて驚くのですが、REV-TUNE氏がえらく無機質なジュークを提供しているのも個人的には聴きどころ。
あと最後に収録されているdai氏のリミックスが金管楽器をメインに据えた土着トライバルグルーヴ全開で大変良かったりとEPサイズながら『使える』1枚。

The Third Man / We are The Third Man (R135 Tracks)

ハードダンスからトランス、EDM、ダブステップまで幅広くリリースを続ける『R135 Tracks』の新譜がThe Third Manと云う覆面プロジェクトアルバム。
今回取り上げる中に於いては1番アグレッシヴな作品であり、音色こそハードダンスでありながら反復リフものが多いため、派手なハードテクノとしての解釈も可能ではなかろうかと思い、ここに挙げました。
こう云う何の前触れもなしに謎のアーティストが出てくるところもまた同人音楽の魅力の1つだと感じており、現にこの作品も某有名ゲームのアレンジあり、高速ハードコアあり、笑いを誘うレベルで唐突な展開を多く含みます。
変な曲好きとしては3曲目、PAND3MICのちょっと綺麗目なピアノのブレイクで揺さぶってからワブルベース推しの4つ打ちになる展開とか大好物。
R135 Tracks : http://r135.net/

TUSA / night flapper (circumstance)

エレクトロニカを始めとする電子音楽をメインとしているパーティー、レーベル『circumstance』よりリリースされたディープ且つデトロイトなテクノ。
5曲入りEPとしてリリースされた中の1曲で、他のものもアシッドやトライバルと云った塩梅でまぁとても渋いわけなんですが、ベースは深く、リズムはカッチリしている辺りリスニングとしてもダンスミュージックとしても聴けるテクノらしさが溢れた作品でした。
同Soundcloudアカウントから過去のリリースも試聴することができますが、何と言っても味のあるアートワークがずらり。語彙が乏しいので的確な表現かどうか分かりかねますが、あえて言うならジェットセットラジオっぽい感じ。
テクノのクリエイターでこういうイラスト沿えている人は見たことがなかったのもあって紹介します。
circumstance : http://www.circumstanceinc.com/

次週01月17日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。

余談1.
即売会リリースではないので上では書けませんでしたが、去年結成20周年を迎えたテクノユニット、ホンダレディの新作コンピが某超有名レイヴレーベルを模倣したジャケットと云う時点で大変面白いし、収録曲もアシッドあり、レイヴあり、テクノあり、歌ものありのゴッタ煮感満載でとてもオススメです。

HONDALADY : http://www.hondalady.net/

余談2.
直近のコミックマーケットやM3で買ったのはどちらかと云うとエレクトロニカとかアンビエントの方が多くてしかもなかなかにナイスな作品もいっぱいあったので、ボスさえ許せばそっちも書きたいなと思っております。どうかな?ダメカナ?カナ?