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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/02/09

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

前回の記事でテクノは未だにヴァイナル文化が残っていると云う話を出した後の774Muzikさんの投稿がヴァイナルリリース音源紹介で非常に懐かしい気持ちになりました。
我々HardonizeクルーはDJ始めた時期がそこそこ似通っていて、当時行ってたレコード屋も然程変わらず、しばしば同じ作品の取り合いをしたものです。
先のエントリーで紹介されてたブートレグものなんかは正に争奪戦そのもので、存在自体がイリーガルだもんで買い逃したら再入荷されるかどうかも怪しかったことから
持っているだけで羨望の眼差しを味わえたり、まぁ逆にウキウキで買って帰って聴いてみたらそんなに良くもなかったものを、しかも片面1曲しか入っていなかったりするものを高い値段で買っちゃった事実に気が付いてヘコんだり。
それが今やブートレグはBandcamp、Soundcloudなどで気軽に手に入れられるようになり、改めて振り返るとこの便利さには感激してしまいます。
その辺の紹介は去年のフリーダウンロード回で挙げましたけれども、また曲数溜まってきたら紹介しようと思います。

さて、冒頭の話題に戻ってヴァイナル文化のお話。
前回『テクノはメインストリーム系、ハード系問わずまだまだヴァイナル文化が根強く残っていたりします。』と書いた中のハード系に目を向けると云うのが今回の主旨です。
5年くらい前まではハードグルーヴも頻繁にヴァイナルリリースがあったんですが、今はPrimevilとかMoop Up、KickMaSomaAssなど一部を除いてほぼリリース媒体はデータメインになりました。
しかし未だにヴァイナルリリースに重きを置いたハードテクノがあります。
やや速いハードダンスのテンポで地を這うベース、そしてコアとなるTB303特有のうねりまくるシンセ音。
ご推察、アシッドテクノです。
909londonを筆頭にジャンル単体にスポットを当てたレコード店が今尚存在し、1音1音はテクノ的でありながらロングブレイクやレイヴカルチャーを匂わせるボイスサンプリングの多用などテクノらしからぬシーケンスとフレージングを奏でるこの音楽は現在独特のシーンを形成しております。
今回スポットを当てるのはそんなアシッドテクノの作り手であるこの人です。

【Jamie Taylor aka Tik Tok】

tik tok

https://www.facebook.com/tiktok303
https://soundcloud.com/jamietaylor

イギリス在住のプロデューサー/DJ。
このアーティスト写真のモヒカンからして相当なアナーキーっぷりが見て取れますが、主宰レーベル名もCDJ303、MP303とまた面白い。
2004年から作曲活動を開始しており、当時作っていた音はちょっとテクノっぽいハードダンス・・・と云うか今聴くと完全にハードグルーヴですねコレ。

DJ GRH & TikTok / Heatwave

2005年、デビューから2~3枚目にリリースされた曲です。
ややファンキーなリフとフィルター、シャカシャカ系の金物リズムが今と遜色ない。
とは言え当時はハードグルーヴと云う単語はなく、このNeonateと云うレーベルががUKハードダンス、ハードエナジーの大手Vicious Circleからの派生だったこともあり、ハードダンス、トランスのDJに向けたリリース扱いになってました。
尚、これらと並行してアシッドテクノも作っており、Dave the DrummerやAaron Liberatorなど大手プロデューサーにもプレイされていたんですが、2009年に一旦活動を休止しています。
その後2012年から自身のレーベルを立ち上げて再始動しており、Tik Tok名義を完全にアシッドテクノのクリエイターとして統一、現在配信サイトで買えるのはこれ以降の作品です。

Tik Tok / Blaze Up

Tik Tok / Run!

ヴァイナルリリースとしての活動母体レーベルはアシッドテクノ総本山であるStay Up Foreverや909london、新興のレーベルだとThe Geezerが始めたPlanet TechnoやロシアのInterstate Oneなど、ほぼ自身のレーベルオンリーで流通しているデジタルリリースとは違った側面を見ることができます。
こちらもまた相当突っ走っている音源多数。

Tik Tok / Dodges Dirty Bass

Tik Tok / Barnyard Beats

加えて本名、Jamie Taylor名義での活動も並行して行っており、こちらはアシッドシンセを控えたハードテクノをリリースしてます。

Jamie Taylor / Jalapeno

Jamie Taylor / Awkward

渋かったり派手だったり色々あるものの、一貫してハードテクノからはブレていない。
最初に紹介した2005年の曲からもそれは読み取れると思います。
アナログ、デジタル、双方の良さを活かしながらレイヴ、テクノ、トランスの境界線をアシッドテクノの疾走感を武器に強引に捻じ曲げていく(あの髪型も含め、)反骨精神のカタマリのようなアーティスト、それがTik Tokです。

次週02月14日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


余談ですがPrimevilと云うレーベルは90年代後半からスタートしている由緒正しいテクノレーベルなのでして、2007年の活動休止後2015年に密かに復活してました。
今のところ年1枚のリリースに留まってますが、全盛期のパーカッシヴテクノの再来なるか、今後の動向に注目です。
本来であればこれ1本で記事が書けるくらいの出来事でした。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/01/26

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

これを書いている2017年01月は渋谷のクラブCIRSUS TOKYOがokadada氏、DJ WILDPARTY氏の2名をレジデントとしたレギュラーパーティーを毎週土曜日に行っておりまして、先日その2回目に遊びに行って参りました。
ゲストはKEN ISHIIとCarpainter。片や日本のレジェンド、片や新世代キーパーソンと云った異色の組み合わせでしたが、共にと云うか全員ストイックなテクノでのプレイで、VJもいなくて照明だけの暗い空間で延々とリズムが繰り返されていたのが音に没頭できて大変良かったです。
よくクラブミュージックはハコで聴くと家で聴いていたものから印象が変わると云うような表現を聞きますが、個人的な意見としてテクノはかなり大きく環境に左右される音楽の1つだと思っています。
耳ではなく体感として響く低音がずっと鳴っており、あとのシンセやリズムは拍を取るための最低限でしかないと云う思考を持った音楽。
昔から変わってないと思うなかれ、誕生から20年超を経て尚出音は確実にアップデートを続けております。
機会を作って是非何らかのパーティーに遊びに行って頂きたいところ。
ちなみに上述のCIRSUS TOKYOレジデントパーティーは今週末01月28日にもPEECHBOY、CHERRYBOY FUNCTIONと云ったこれまたテクノに縁のあるゲストを招いて行われます。
【告知ページ】http://circus-tokyo.jp/en/events/okadadadj-wildparty-4

さて、今回はそんなメインストリームテクノの作り手である人にスポットを当ててお送りします。
厳密にはHardonizeがコアとしているハードテクノとは異なる音楽ではあるものの、ハードテクノにのみ焦点を当てていては見えてこないものもあると思うので、こう云った回も積極的に設けていきたい。
聴いてみた結果『やっぱりハードテクノだな!』となるも良し、『あぁこんな音楽もあるんだな。』となっても良しってことでひとつよろしくお願いします。

【Butch】

butch

http://www.cometobutch.com
https://www.facebook.com/cometobutch
https://soundcloud.com/superbutch

ドイツ在住のプロデューサー/DJ。Bouq. Records、Otherside Music主宰。
2007年、ミニマルテクノが流行真っ只中であった時期に名門Great Stuff Recordingsに彗星の如く現れ、そこに収録された自身楽曲On The LineのOxiaによるリミックスがBeatport Music Awardsのリミックス部門2位に入ったことで一気にシーンの台風の目となります。
そのタイミングで彼がリリースしたこの曲がスマッシュヒットを達成、彼の人気を不動のものとします。

Butch / Mushroom Man

試聴して一発で分かると思いますが、大胆なまでのマリオサンプリング。
当時CISCOと云うレコード屋が渋谷にあったのですが、テクノは元よりハウスやトランスの店舗にもこの曲が収録されたヴァイナルが面で並んでおり、いずれも売り切れと再入荷を繰り返していた覚えがあります。
今思うとトランスの人がこの曲をどう自身のセットに組み込んでいたのか気になるところですが、そう云ったシーンの枠を超えて注目の存在になったことは間違いなかった出来事でした。

とまあデビューから僅か1年で一躍出世人となった彼ですが、当時のことを体験している人からするとどうしてもこのMushroom Manのイメージが強くなりがちです。
しかし経歴を見ると彼のDJとしての原体験はテクノよりDMCワールドチャンピオンシップ、つまりスクラッチやジャグリングに端を発している記述が見受けられました。
古い動画がYoutubeにあったので載せておきます。

現在DJに於いてはスクラッチこそ行わないものの、3曲がけ4曲がけは平然と行ったりする辺り、生粋のテクノDJとは違うエッセンスを感じ取ることができる筈。
実際にそれは楽曲にも表れており、ハウス、ディスコ、ガラージ、アシッドなど様々な要素が入り混じった面白いサウンドとなっています。
その他オススメを挙げるとすればこちら。

Heckmann, Butch / Monsterbacke (Monster Mix)

Butch / Disco Shhh

Butch / XTC

Butch / Ice Cream

一通り挙げてから思ったのですが、上記のリリースは全て2010年前後に偏ってしまいました。
当然彼自身は今尚活動を継続中で新曲もギグも活発に行っているのですが、先述の通りかなり多才であり、なかなか彼と云えばコレと云うのは難しかったりします。
それでもテクノ的な観点から最近のトピックを挙げるならばコレでしょうか。
去年の作品です。

Butch / Magnetic

テクノの名門Drumcodeから出た深いベースと怪しいシンセが場を支配するダークテクノ。ハコで聴いたら相当エグそうですね。
ちなみに何故これだけBeatportではなく、Soundcloudの埋め込みかと云うと、それはこの曲がヴァイナルでしかリリースされてないからです。
このブログで取り上げる機会もあんまりないのですが、実はテクノはメインストリーム系、ハード系問わずまだまだヴァイナル文化が根強く残っていたりします。(勿論大半はデジタルでも手に入ります。)
日本のTOBY氏が今尚こう云った発言をするのもちゃんと理由があるわけなのですよ。
なのでこの作品はレコード店を介さないと聴けないものになりますが、日本国内でも渋谷Technique名古屋Freestyleと云ったレコードショップが販売しているので比較的楽に入手可能です。
まぁ人気商品なので売り切れたりはしますが、そこもまたフィジカルリリースの醍醐味ですね。

次週01月31日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。