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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2016/12/08

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

一昨日更新された我らのボス、Yudukiさんが遂にご結婚されたとのことでHardonizeに於ける独身はとうとう私1人になってしまいました。
思い返せば今年もかなりの結婚ラッシュでしたね。みんなちゃんと収まるべきところに収まっていて良い人生だなとほっこりするばかりです。
どうかいつまでもお幸せに。

さて前回はハードテクノと近いハードダンスにトピックを当てましたが
関連して『ハードテクノ・ミーツ・何か』を考えたときに何が思い浮かぶでしょうか?
ハードテクノ+ディスコ、ハードテクノ+トライバルであるところのハードグルーヴや、ハードテクノ+トランスであるテックダンスなどはHardonize的によく使われており、このブログでも度々紹介されているので想像しやすいでしょう。
明確なカテゴライズこそないものの、私やYudukiさんなんかはハードテクノ+ベースラインみたいなキワモノ曲もしばしば使いますね。

さて、それでは問題。
ハードテクノ+ハードコアは一体どんな音でしょう?
シュランツ?半分正解ですがそれだけではありません。
と云うわけで今回はそんな音の作り手であるこの人をご紹介。

【Kwadratt】

Kwadratt

https://www.facebook.com/kwadratt.fanpage
https://soundcloud.com/kwadratt

ロシア、ヤロスラヴリ出身のクリエイター/DJ。
聞き慣れない地名ですが、歴史ある聖堂が数多く立ち並び、世界遺産にも登録されている一方で工業が盛んな河港都市でもある、歴史と産業が共存する場所です。
音楽も盛んなようでジャズからハードロックまでこの地の出身者がいます。
中でも面白かったのはEDM+ハードロックっぽい音を出しているFail Emotionsと云うバンドもこのヤロスラヴリで結成されたんだとか。

何回か来日経験もあって、このPVなんか思いっきり東京の街中でギター弾きまくってると云うもの。

初手から大幅に本筋と逸れていますが、ともかくロシアの音楽と云うのはこのように『何かがおかしい。』、もっと端的に表現するならば『変』な音楽を作る国の代表格みたいなところがあると個人的には思ってます。
サイケデリック・トランスもブレイクコアもドラムンベースもそう、ロシアのクリエイターにはイカれた曲を作るクリエイターがとても多い。
このKwadrattも間違いなくその一角です。手始めに優しめの曲から紹介。

Kwadratt / Decision

Kwadratt / Reborn

Kwadratt / Embalming Fluid

見事に90年代テクノ感漂ってますが、ここ2年程でリリースされた曲です。
それユエ、ハードミニマルとしては非常に組み込みやすい。
この辺はFreakAudium RecordingsやClimax Labelと云った現行のハードテクノレーベルから出ており、前者は本間本願寺さんも曲提供していた過去があります。
と云うわけでちゃんとハードテクノを作っている人として認識して頂けたと思います。次はハードテクノではない曲をご紹介。

Kwadratt, DJ OleG / Monochrome

渋っ。見事なまでにテックハウスですね。
上の曲と比べて音数も減ってるしテンポも落ちてるし前のめりなグルーヴ感も消えてますが、紛れもなく同じ人が作ってます。
ちなみにこの共作相手であるDJ OleGもまたロシアのクリエイター。
仲が良いのかこの2人でエレクトロからミニマルまで多くリリースしており、中でもTechniqueと云う曲は多くのコンピレーションに収録されております。

とまあ渋い方面はこんな感じ。
それでは180度Uターンをしてエグい方面に参りましょう。

Kwadratt / Hard Reset

嘘でしょってくらいの音密度を誇るシュランツ。ひたすら無機質で暴力的な音圧がループしてます。
この手のトラックはDatablenderやSounds Diabolicと云うレーベルからリリースしており、双方とも日本からK-HoleさんやAsinさんが加わっているのでご存知の方も多いのでは。
更にダメ押しで最後に1つ。

Kwadratt / I am Pain

おかしい。完全に頭おかしい曲です。ハードコアのテンポを保ったシュランツ。
ハードテクノが持つ繰り返しの展開こそ維持しているものの、ここまで来ると別の何かとも言えなくもない。
ちなみに、更に理解できないこととしてBPM200オーバーの曲も作ってるんです。ええこの調子で。

如何でしたしょうか?
ハードテクノ、テックハウスからハードコアまで紹介してきて、しつこいようですが全部同じ人の作品です。
そこそこ多く音楽を聴いてきた自負はありますが、こういったスタイルで多様な音楽を表現した人はこのKwadrattくらいのものでした。
〆はあの国を評価するに相応しいお決まりの台詞で終わりたいと思います。
おそロシア。

次週12月13日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident ‘s Recommend 2016/11/24

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

時期的には前回更新のちょっと前に六本木CUBEで行われたENIGMAと云うパーティーに遊びに行ってきました。
このパーティーが主軸としている音はハードダンス。
トランスを原型として様々な解釈の『ハードさ』が加わったダンスミュージックの総称で、トランスが壮大なメロディーとロングブレイクで高揚感を演出するのに対し、もっと攻撃的で躍らせることに特化した音楽を指します。
ハードダンスが内包するものとしてトランスの曲構成に沿いながらもリズムを太くしたハードトランス、『ゴウン』と云うキックが特徴的なハードスタイル、バウンシーなベースやリフを前面に出したハードハウスなどが挙げられます。
さて、このENIGMAで招聘された海外ゲスト、SplintaのDJプレイが結構個人的にツボでした。
音の傾向としてハードスタイルのようなキックも使いつつ、ギラギラした派手なシンセも鳴っているのですが、ブレイクが明けると途端にほぼリズムだけになるものがあり、音色はハードトランスなのにシーケンスとしてはハードミニマルに近いと云うのは最近の聴いた来日ゲストの中ではかなり珍しいように感じました。いやぁ良かった良かった。
前置きが長くなりましたが、今回は彼が所属するレーベル、Gearbox Digitalにも参加しているこの人にスポットを当てます。

【Dark By Design】

darkbydesign

https://www.facebook.com/darkbydesignofficial
https://soundcloud.com/darkbydesign-official

イギリス在住のベテランプロデューサー/DJ。
2002年のデビュー以来、様々なレーベルからハードなダンスミュージックをリリースし続け、DJとしても老舗パーティー、Tidy WeekenderのオフィシャルMIXを担当した過去も持つ実力者。
また、ハードダンス以外にも造詣が深く、Soundcloudには自身のプロデュースワークのみでBPM128のEDMからトランス、ハードダンスを経由し、175のドラムンベースまで運ぶMIXが公開されてます。

これに関して思いつくトピックとしては2008年の時点で当時まだ新しかった筈のシュランツと云う音楽を取り入れたハードダンスを作っていたこと。

Dark By Design / Loops ‘n’ Tings

コレですね。曲名通りのLoops & Tingsネタですが、何故か途中でテンポがハネ上がってまた元に戻ると云う謎の展開をします。
ネタものついでに2曲続けて紹介。

Dark By Design, DJ Husband / Murder Was The Schranz

Dark By Design / Sweet Harmony

どっちもそのまんまです。この辺はハードテクノとしてすんなり使えそうなラインですね。
大分本題からズレてしまいましたが、先述のSplintaが使っていたのはこんな感じの曲でした。

DBD, Sykesy, Cunning Linguists / Dirty Coke Whore (Hard Dance Slut Mix)

大きな展開もなく、延々と硬いリズムが鳴っていると云う点でテクノとの共通点を見出せるのですが、やはり音使いが異なるので別のものと言えます。
とは言えこれはこれで非常に面白い一曲ですし、こう云う曲を橋渡しにハードテクノとハードダンスが相互流入を図れたらもっと幅のあるDJプレイが出来る筈。
最後にエグめ派手めの曲を紹介。

Dark By Design, Chris Tait / Every Time You Drop It

ダブステップ特有のワブルベースをふんだんに用い、ハードスタイルのキックも混ぜて煌びやかなシンセも散りばめる。
一体何種類の音を使っているのか正気を疑いたくなりますが、これも長年ハードダンス界を歩んできたからこそ出来る賜物。
勿論ここに挙げた曲以外にストレートなハードトランスも作っておりますので是非チェックしてみてください。

余談ですが彼のSoundcloudを覗くとSystem Of A DownのChop Sueyネタハードダンスなんてケッタイなものがあります。
『何でだよ。』とお思いかもしれませんが実は彼、生粋のメタルファンと云う顔も持っており、影響を受けたアーティストとしてSlipknot、Metallica、Machine Headなどを挙げております。
彼の曲に代表される重厚感はここからきてるのかと考えれば納得いくものがあったりなかったり。

次週11月29日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。