こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
冒頭から全くテクノと関係ない話題で恐縮ですが、今更『ストレイト・アウタ・コンプトン』拝聴致しました。
80年代末期~90年代初頭にかけてアメリカ、コンプトンで活動していた伝説的ヒップホップグループ、N.W.Aの伝記映画。
あのヘッドホン、Beatsシリーズを手掛けたDr.Dre、そして俳優としても活動しているIce Cubeの名前はヒップホップを知らないと云う人でも聞いたことがあるのではないでしょうか。
その2人が在籍し、当時エレクトロやファンクの要素が強かったヒップホップ界に強烈な内容の歌詞と云う新しい要素を持ち込み、今現在まで引き継がれているカテゴリー、ギャングスタ・ヒップホップを確立しました。
のちにFBIから警告される程世界を熱狂させたN.W.Aの結成から成長、メンバー脱退、その後の対立からメンバーの死去までを綴った作品です。
2015年の映画ですが、全米で記録的興行収入を叩き出し、同じく伝記ヒップホップ映画であったEminem主演の『8マイル』を打ち破ったそうです。
ワタクシ、ヒップホップに関しては完全に後追いで、特に黎明期の部分に関してはまだ掘り下げきれてない部分があるので、『なんで彼らは暴力的な歌詞を歌い上げるのか』と疑問に思っていたところもあったわけですが、背景には考えられないような貧困だったり人種間差別だったり暴力だったりが本当にあって、その抑圧から生まれた音楽だったんだと云うのがこれを見ると少し分かりました。
そんなヒップホップ門外漢でも楽しめるストーリーになっていますし、マニアなら尚一層楽しめるのではないかと思います。
オススメです。
ちなみに映画でもコンプトンと云う町はアメリカ屈指の犯罪都市であると描かれておりますが、これは現在も改善されていないようで、VICE Japanが去年公開した『noisey Bompton 犯罪都市コンプトン・ヒップホップ・シーンの現在 ①』と云う動画にてKendrick Lamarを始めとした今のコンプトンを生きる人たちへのインタビューから窺い知ることができます。
なかなか日本にいると実感湧かない話です。
さて、前置きがアメリカに関する話だったので今回はアメリカ出身のハードテクノアーティストを紹介します。
と言ってもテクノは現在でもアメリカよりヨーロッパがシーンを牽引しているフシがあり、音楽と云う広い括りでアメリカが強いとされているのは上で挙げたヒップホップや、ポップス、ハウスなどです。
勿論一時期はJeff Millsを筆頭とするデトロイトテクノが脚光を浴びていた歴史もありますが、現行のハードテクノともなると本当に稀。
ワタクシも数えられる程度しか存じておりません。もしUSハードテクノ事情に精通している方がいらっしゃったら是非お話を聞かせて頂きたいところです。
そんな中からハードグルーヴ成長期よりシーンにトラックを作り続けていたこの人を紹介します。
アメリカ、テキサス出身のアーティスト。
1996年に15歳だった頃からDJを始め、プロモーターとして数々のゲストを自身のパーティーに招聘。
その腕が認められ、地元テキサスの大箱Kingdom NightclubやEthics Music Loungeでレギュラーパーティーを担当するようになります。
現在はHypersonic RadioにてJason Jenkinsと共に番組を持つなどパーソナリティとしても活動中で、定期的に世界中のテクノを発信し続けています。
その活動拠点となっているのが彼がプロデュースを務めるレーベル、Capital Techno Recordingsです。
元は1つのパーティーとして始まり、彼はその中のレジデントと云う立ち位置だったそうですが、リリース拠点とするに当たりSteel Groovesが主宰となることに。
Fer BR、G8、Goncalo Mなどハードグルーヴのキーマンとなるアーティストが多く携わり、国際的に評判の高いレーベルとなりました。
(本間本願寺氏も何枚かCapital Techno Recordingsからリリースされてますね。)
トラックメイクは2008年からスタートとDJに比べると遅咲きの感はありますが、Keep On Techno Records、Unaffected Records、Toyfriend Musicなどハードグルーヴシーンの核となったレーベルに次々と参加。
その音も反骨心の塊と云うか、テクノのイメージのない国から生まれたとは思えない程ハードでアグレッシヴなものだったため、一躍トップクリエイターへの仲間入りを果たします。
その背景にはやはりアメリカでテクノを続けてきたと云う20年来のDJ経験があり、常に『地下の音を表現する』ことを使命としているからでしょう。
その挑戦的とも言えるプロダクションはSubforceやSingle Cellと云った別名義を経て現在にも引き継がれています。
本名義であるSteel Groovesとは別にこれらの名義で作っていたのはざっくり説明するとテンポを落としたハードミニマルだったのですが、最近はSteel Grooves名義に於いてもこの手の楽曲が多く見受けられます。
ハードグルーヴが彼の主軸から変わってしまったことに対する賛否はあるかもしれませんが、このハードミニマルもなかなかのクセモノ揃い。
全体的に金属音丸出しな音をフィーチャーしており重厚な側面を持ちながら、思いっきり前に出た前のめりなベースは実際のBPM以上に速い印象を与え、まさに『Steel Grooves』の名前に相応しいトラックが揃ってます。
ファンキーな曲が好きな人にもダークな曲が好きな人にもオススメしたいアーティスト。
折角ですので双方半分ずつ列挙します。
次週08月01日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。