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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/06/15

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

先日、次回Hardonizeの全情報が公開となりました。
2017/07/08(Sat) Hardonize#27
ここで発表となりましたが、此度のゲストには五条狐萩氏、かわくぼ氏をお招き致しました。
両名のプロフィールをご覧頂きたいのですが、両名ともテクノをコアとしつつ、それ以外にも裾野が広いと云った面で共通している気がします。
なんだかんだでここ数回のHardonizeでは珍しく、所謂昔ながらのハードテクノにスポットが当たる回なのかもしれないなと予想しつつ、でもやっぱり我慢できなくなった誰かがいきなり変わり種ブッ込んでくる可能性も否定できません。
そういうハプニング大好き人間としてワクワクしながら当日を迎えたいと思います。

さて、それとは全く関係ございませんがワタクシの近況報告と致しまして世界的ベースミュージックのフェス、Outlook Festivalの日本版、OUTLOOK JPのDJコンテストにSYNDROMEとのユニットVice Creamでエントリー致しました。
そのエントリー時のMIXがこちらですのでご興味がありましたらお聴き頂けると幸いです。
ROAD TO OUTLOOK JP 2017 by Vice Cream | Free Listening on SoundCloud
ちなみにコンテストの流れとしては運営側で選考のち、一般リスナーによる投票がFacebook上で行われ、上位組が本戦進出となっております。
ひとまず選考結果次第ではございますが、ごゆるりと見守って頂けると嬉しいです。

さて、今回ご紹介するのはそんなベースミュージックとテクノの中間点をひた走るクリエイターです。
最近ではメインストリームテクノがベースミュージック寄りになり、ダブテクノと云うジャンルもすっかり定着した感もあったり、逆にベースミュージックのクリエイターがディープテクノを作ることも珍しくなくなってます。
しかしそれが一般層に普及するより前に、しかもディープ/ミニマルよりもっとフィジカルなダンスミュージックとして提示していた奇特な男がいました。
ご紹介しましょう。

【Dismantle】

dismantle

https://www.facebook.com/dismantleofficial
https://soundcloud.com/dismantlemusic

イギリス、ブライトンの若きアーティスト。
DJを始めた時何と彼は13歳。そしてその頃から多くのクラブミュージックを研究し、文化や世代を超えた音楽に精通するようになっていました。
クリエイターとしてデビューしたのは2011年。
ちなみに当時のベースミュージックシーンはそれまで実験音楽の要素が強かったダブステップが1つのシーンとして商業的な発展を世界的に見せ始めていた頃に当たります。
(あの名高いSKrillexのScary Monsters And Nice Spritesが2010年リリース。)
片や4つ打ち方面は過度に強調されたベースがうねりまくるベースラインハウスの波がありましたし、UKガラージも一定層の支持を得ていた時期でもあります。
そこにDismantleがリリースした曲はそれらのどれともつかない、それでいてそれらの影響を受けているユニークなものでした。

Dismantle / Word Dance


それがこれです。
4つ打ちのキックとパーカッシヴなリズムはテクノやハウスを彷彿とさせますが、ベースはグライムやガラージに近い鳴り、何よりそれら全てを台無しにするかのようなアホっぽいピッチベンドのボイスサンプルは当時誰も聴いたことがありませんでした。
この電子音楽としか形容できない何かはジャンルが枝分かれする前の90年代初頭に『全部まとめてテクノと呼んでいた』感覚に近いものがあると思います。
これはDiploやCaspaと云った彼と同じく先鋭的なものに対するアンテナを広く張り巡らせていたアーティストによって多くプレイされました。

翌年にはジャングル界のリビングレジェンド、Shy FXのレーベル、Digital Soundboy Recordingと契約を結び、この『名前のない音楽』は更に前人未到のサウンドへと突き進みます。

Dismantle / Witch


ワタクシとしてはこれが本当に未だに好きで、先に挙げたROAD TO OUTLOOK JP 2017のMIXでも使用しております。
確かHardonize本編でも何度か使用したことがあった筈です。
ほぼ声ネタとパーカッションとベースと云うシンプルな構成はどんな音楽にも相性が良い一方で、そもそもこのような音を組み合わせた曲自体が大変珍しいことからインパクトも稼げる、DJにとっては願ったり叶ったりなトラック。
『何は無くともとりあえず持っておけば安心』と云う感じはあります。
ちなみに同じEPに収録されているMore Funkと云う曲もドライスネアとベースの珍妙な仕上がりになっており、とてもオススメ。
Dismantleはこの時期からIbiza Rocks、Outlook Festival、BBC 1Xtraと云った大きなフェスやプログラムに多く出演を果たすようになります。

直近のニュースとしては丁度先週リリースがありました。

Dismantle / Squash


FineArt & My Nu Lengによる新興レーベル、Maraki Recordsの2番目となります。
前2曲と同じように民族系のパーカッションは今も健在。
例えるならジャングルテラーを通過した後のラテントライバルハウスと云った感じでしょうが、相変わらず深いベースが鳴っております。
尚、当該リリースについてSkrillexの運営するNEST HQにも記事が掲載されておりました。
Dismantle Channels Latin Percussion on “Squash” Premiere – NEST HQ

リリースペースはそんなに早くないものの、出す曲出す曲が唯一無二であるため、変な曲スキーとしては見逃せないアーティストの1人です。
もしこれを聴いたあなたもDJならば、彼の曲をどのように使うか思考し、実践してみるときっと面白いプレイができると思います。
その他オススメはこちら。

Dismantle / Detonate

Dismantle / D Riddim

Breakage, Dismantle / Ass Up

次週06月20日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/06/01

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

一昨日のYudukiボスの記事の通り、次回Hardonizeは07月08日に早稲田茶箱にて執り行われます。
ゲストの発表はまだですが、相当の硬い音を打ち鳴らす方々に出演を依頼しております。
時期的に夏!ってコトで陽気なトラックが飛び出すのか、ボスの言うところのソリッドなグルーヴが展開されるのか、乞うご期待。

ちなみにその1週間前の07月01日及び02日にはワタクシ20代最後のロングアワーズと云うものが予定されておりまして。
#20代最後のロングアワーズ
タイトル通り、この開催日が20代最後の週末なので、つまるところ次回のHardonizeが30代最初のパーティーでございます。
一方で今年30代から卒業するHardonizeレジデントもいらっしゃ(以下検閲)

話を変えましょう。
ワタクシ以外のHardonizeレジデントはDJデビュー当初からテクノをプレイし続け今に至る方々ですが、ワタクシの場合はサイケデリックトランスがDJの入り口でした。
テクノも聴くようになったのは774muzikさんのお導きもあってのことだったりしますが、実はサイケデリックトランスの中にもテクノっぽいカテゴリーが存在します。
予てより挙げているアシッドテクノなんかも丁度両者の中間に位置しますが、主体はサイケでありながらテクノのミニマル感や無機質さを引き継いだ音楽と云うのもそれはそれで独特なもので。
当時はテクノが何なのか分かっていなかったので『ああこんなジャンルもあるんだな。』程度の認識しか持てませんでしたが、改めて聴き直した結果、Hardonizeで取り上げても良いんじゃないかと脳内会議で可決された次第でございます。
そんなワケでご紹介するのはコチラ。

【X-Dream】

x-dream

http://www.x-dream.org
https://www.facebook.com/x.dream.music

Marcus Christopher MaichelとJan Mullerによる2人組ユニット、フロム・ドイツ。
元はサウンドエンジニアとテクノ、レゲエのミュージシャンだった2人ですが、JanがMarcusのコンピューターを修理したことで1889年に意気投合、そこからセッションをこなすようになったのが結成の切欠だそうです。
デビュー作は1993年、つまりヨーロッパを席巻していたオールドスクール・レイヴからトランスと云う新しいジャンルが生まれようとしている真っ只中です。
『Trip To Trancesylvania』と名付けられたそのアルバムはまだトランスが成熟しきっていない時期であったにも関わらず、神秘的でロングスケールのメロディーとアシッドシンセの快楽的な面を強く押し出したトラックの数々は後にゴアトランス、サイケデリックトランスと呼ばれる音楽のまさに原型でした。
この後のゴアトランスの発展における屋台骨としてX-Dreamと云うアーティストが認知された切欠と言えるでしょう。

X-Dreamの最も名高い作品として挙げられるのは1998年にリリースされた『Radio』と云うアルバムです。
この作品に於いて彼らはゴアトランスの代名詞とも言えるメロディーを、よりダークでインダストリアルな方向に洗練させました。
その手法はまさしくテクノ的であり、その後の作品もゴアやサイケの音色を保ったまま更にミニマルな展開に傾注したものが多く見受けられます。
今でこそ数多くあるサイケデリックトランスのカテゴリーの1つとしてこのようなミニマル・サイケデリックトランスと云うのは浸透しておりますが、当時としては形容する用語が全くなく、唯一無二の存在感を放っておりました。
先述のゴアトランスの基礎を築いたこともそうですが、最早彼らの通った道の後に時代が追いかけてくるような気さえしてしまいます。
不倒の前衛精神から繰り出される音はジャンルの枠を超えて多くのリスナー、DJ、そしてクリエイターにとって新鮮なものとして映ることでしょう。

そんなX-Dreamのオススメはこちら。

X-Dream / Universal Chaos


先の『Radio』を受けてよりテクノ色を前面に出した曲がコチラ。2002年リリース。

X-Dream / Insanity


Solstice Musicと言えば老舗のサイケデリックトランスレーベルですが、これが収録されているコンピレーションはテクノに焦点を当てた珍しいもの。
Thomas P HeckmannとかCJ Bollandも参加してる一方でゴアトランスのレジェンドJuno Reactorも名を連ねてる辺り、ちょっと凄い1枚。

X-Dream / Move And Proceed


レースゲーム『Gran Turismo 4』の公式コンピレーションに収録された曲。
追走されてるかのようなシンセが格好良いんですがゲーム中に聴くとむしろ焦って操作ミスしてしまいそうです。

X-Dream / We Interface


暫定最新アルバム『We Interface』より。
ちなみに10年程前、Sangoさんと初めて共演した時に僕が最初にかけた曲だったりします。覚えてないですよねー。

X-Dream / Outfiled


Boshke Beats Recordsと云う生粋のダークミニマルレーベルに所属した時のトラック。
プログレっぽい雰囲気を醸しつつもレーベルカラーを損なわない渋いグルーヴに仕上がっているのは流石。

ちなみに最近はライブを活動のメインとしており、(つい先週来日しておりました。)アルバムとしては2007年以降リリースが無かった彼らですが、つい先日新作発表のアナウンスがされました。(該当記事)
どうやらリミックスアルバムのようでShpongle、Astral Projection、Eat Static、日本からはJoujouka等相当たる面子の楽曲が収録予定となっております。
サイケ、テクノ、プログレ、アンビエント、色々聴けそうですし、何よりこの孤高のサウンドがどう調理されるのか興味深いです。楽しみ。

次週06月06日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。
(なんかワタクシが次回担当した方が良かったんじゃないかと思う日付ですね。)