こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【近況】
先週末はちょっと珍しい飲み会に参加させて頂きまして、あまり自分がプレイしないジャンルのシーンの話について深掘りできて非常に楽しかったのですが、
その代償として酔っ払い2人の面倒をまとめて見る羽目になり、且つその内1名は身内というしょうもないオチに終わりました。
夜明け前に家内が玄関先に撒き散らした吐瀉物を片付けるところから始まる日曜日は思った以上に最悪なので、皆様もお酒には充分ご注意ください。
【告知】
Hardonize#44の日程及び情報が公開となりました。
05月13日でございます。
ゲストには今年12周年を迎えた渋谷R Loungeで行われている名物テクノパーティー、BUZZ×3よりレジデントであるATTさん、TAKAMIさんの大先輩2名をお招きしてお送りします。
両名とも過去にそれぞれ別々の回でHardonizeにご出演頂いたことはあり、僕個人としても以前BUZZ×3に出演させて頂いたことがありますが、パーティーとしてのコラボレーションは今回が初。
ストイックにグルーヴの連続性を追求しつつ、しれっと大ネタを放り込む時もある精神性はBUZZ×3もHardonizeも同じだと思っているので、相性抜群の6時間をお送りできることでしょう。
というかこの先輩方のプレイを聴いて我々は育っているので、我々が勝手に似せているだけとも言えます。
日付は2023年の05月13日(土曜日)。
会場はいつもの早稲田茶箱でお待ちしております。
【今回のお題】
さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
特集が続いたため、今回2023年1発目に取り上げるサブジャンルは
です。
特別連載に於いては第6回に取り上げた過度に圧縮された重厚なグルーヴと、テクノに於いては最速のテンポを誇るスタイルです。
過去この音楽を取り上げた回としては
新作シュランツ (2020年11月版)
新作シュランツ (2021年05月版)
の2回のみで、去年はあまり触れることができなかったため心残りがありまして。
プレイする機会はそう多くないのですが、そこそこDIGは継続して行っていますし、特に近年はメインストリームテクノの硬質化、先鋭化に伴う影響からか、
ハードミニマルの高速化という現象も見られ、日常のDIGの過程でシュランツに触れる機会はかなり多くなってきています。
個人的な主観になりますが、現代に於いてテンポを揃えた際のハードミニマルとシュランツは微妙とはいえリズムの構造に違いがあります。
ただ、両者のクロスオーバーは余程アクの強い曲を選ばない限り問題なく行えるようになっていますし、ハードミニマルを介した近縁ジャンルへの橋渡しも相変わらず有効であるため、以前よりシュランツをプレイするハードルは格段に下がっていると思っています。
とはいえ、使い方を誤ると大火傷しそうな暴君っぷりは相変わらず健在なので、改めてそのインパクトを認識して頂くというのが本日のテーマになります。
早速ですがここ1~2ヶ月でリリースされた新作シュランツ紹介いってみましょう。
【曲紹介】
Rave Vandal (Original mix) by CRY.NN on Beatport
チェコのプロデューサーCRY.NNによるハードテクノ。
やや歪み度の高いキックと深めの裏打ちベースで硬さと推進力を保っているのと同時に、ポコポコした奇妙な音が乗ったトラック。
ブレイクで唐突にインダストリアルビートにシフトして元に戻る攻めた展開もインパクト大。
シュランツやインダストリアルの導入として機能しそうです。
2000 (Original Mix) by JGMZ on Beatport
スペインのプロデューサーJGMZによるハードテクノ。
ちょっと前のyudukiさんのエントリーにあったように、レイヴサウンドを駆使したハードテクノというのは今や珍しくないのですが、
その中でもシリアスに寄り過ぎず、ポジティブなバイブスを醸し出していたトラック。
アグレッシブで疾走感のあるリズムとの絡みも気分が高まりますが、展開の頭にキックが無かったり、小節を跨いでドラムフィルが入ったりするので油断すると1拍目を見失います。
取り扱い注意。
Back To The Old School (Original Mix) by Schroomp on Beatport
ベルギーのプロデューサーSchroompによるハードテクノ。
何度かyudukiボスが触れてますが、テクノシーンの重鎮Filterheadzのメンバーによるハードテクノの名義です。
これもメインで鳴っている単音シンセが妙にインパクトありますね。
アナスタシアシンセとの絡みもあり、快楽的で荒っぽいレイヴのマインドをハードテクノに落とし込んだかのようです。
Don’t Get Lost in Heaven (Original Mix) by BIIA on Beatport
ポルトガルのプロデューサーBIIAによるハードテクノ。
サイケデリックトランスに見られる刻みの多いベースが最大の特徴。
とはいえキックの質感や展開はハードテクノに準拠しているので、飛び道具的に差し込めます。
ブレイク以降のノスタルジックなウワモノの使い方とかも攻めた印象ありますね。
個人的には2020年にリリースされたBoris S. / Psychedelic Drugがサイケデリックトランスとシュランツのクロスオーバーなので、これと合わせて使いたくなります。
Check My Flow (Original Mix) by A.J.O on Beatport
ベルギーのプロデューサーA.J.Oによるハードテクノ。
強烈なバウンスビートに早口ラップが乗った真っ黒い感じのトラック。
構成のシンプルさもまた黒さに拍車をかけている気がします。
これも飛び道具的に差し込む方が使い方としては映えそうですね。
ブラッブラッブラッ!
Just Go Techno (Pro Mix) by Kinetic on Beatport
イタリアのプロデューサーKineticによるシュランツ。
実はこれは厳密にはシュランツではなく、ハードスタイルの亜種であるロースタイルに当たります。
ロースタイルの特徴として暴力的且つ前衛的なリズムが挙げられますが、近年そこにシュランツとの共通点を見出した一派というのがあって、このKineticもその1人に当たります。
だもんで、この曲は序盤と終盤こそシュランツですが、中盤で全く別のリズムにシフトします。
テクノではまず聴かない斬新な音が鳴っているので、変ミュージック好きの方は是非。
注意点として尺が3分程度しか無いので、使う際はクイックミックス必須です。
ちなみに昨日03月15日にもKineticは同じようなスタイルの曲をリリースしております。
こっちはもっとラフなビートが用いられているので、好みに合わせてどうぞ。
Altern-8 (Pro Mix) by Kinetic on Beatport
The Sky Has Memory (Original Mix) by 19.85 on Beatport
チリのプロデューサー19.85によるシュランツ。
存在感のあるインダストリアルキックが4つ打ちを越えた手数で迫り来るトラック。
中盤では複数種類のガバキックに変容し、更にしっちゃかめっちゃかになります。
永続的に鳴っているウワモノの妖しさと相まって、アングラなハードサウンドという塩梅。
Related (Original Mix) by Jason Little on Beatport
ドイツのプロデューサーJason Littleによるシュランツ。
Jason Littleは特別連載でも取り上げた、現行のシュランツを代表するアーティストですね。
過剰な速度のテンポと強度のビートに反してあざといピアノが哀愁を感じさせる曲。
まぁこれで泣けるかと言ったらまず無理なんですけど、意外にこういうスタイルのトラックは珍しく、それこそ一般的なテクノからスタートして徐々にビルドアップしてシュランツで〆、みたいなセットには大いに使えるのではと思います。
Cognition Ignition (Original Mix) by Riotbot on Beatport
フィンランドのプロデューサーRiotbotによるシュランツ。
個人的には毎年何かしらの曲にやられているアーティストですが、今年始まって2ヶ月の現時点でもうくらってます。
何なのこの往年のエピックトランスみたいなレトロなシンセリフは。
重厚で圧の強いビートに乗るべき音ではない筈なんですが、彼がやるとアリなのかもと思えてしまうRiotbotマジック。
十八番の非4つ打ちパートもあってお得感満載のトラック。
母さん、どうやら今年も彼から目が離せなさそうです。
Never Leave Your Side (Original Mix) by Arman John on Beatport
ドイツのプロデューサーArman Johnによるハードテクノ。
これを何と表現したら良いのでしょう?
ウワモノで用いられているシンセやベースの質感は古き良きトランスの塩梅なのですが、それにしてはテンポが速いのと、ここまでハイハットが前に出てるのはおかしいという、よく分からない何か。
ボーカルの処理もトランスっぽいのにトランスとして使うにはあまりにもハードルが高い印象です。
ポジティブなハードテクノ?
最早自分でも何言っているか分からなくなってきましたが、とにかく変ミュージックです!好き!
【まとめ】
以上、新作シュランツ紹介をお送りしました。
思ったよりストレートなシュランツを紹介できませんでしたが、個人的な趣向によりどうしても変な曲に目が行きがちなので、リリースがないわけではないです。
あのーアレだ、昨年末にSepromatiqが出したアルバムなんかはピュアなシュランツ且つ器用にウワモノでも聴かせるようなトラックが揃っているので、物足りないと思われた方はそういうところで補完してください。
The Show Must Go On | Sepromatiq
とはいえ、別ジャンルの流入が割と多いサブジャンルである印象は相変わらずなので、今後もどういった変貌を遂げていくのか楽しみに触れていきたいと思います。
そんなわけで今回はここまで。
次週03月21日は774Muzikさんが担当します。
では。