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新作ハードアシッド特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/06/08

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知】

06月25日(日曜日)、新宿WARPで開催されるTOKYO HARD GROOVE SESSION 10TH ANNIVERSARYに出演します。


なんと今年で10周年!おめでとうございます。
Hardonizeといい、BUZZ×3といい、アニバーサリーが続きますね。
多種多様なハード系ダンスミュージックを一堂に集めたお祭り型パーティー。
予てより何回もお招き頂いていたパーティーではありますが、この記念すべき回にもプレイヤーとして参加できるのはとても光栄なことです。

・・・なんですが、新宿WARPはフロアが4つありましてそれぞれコンセプトが異なる面子となっているのですが、
僕と同じフロアの共演者はTAKAMIさんDJ DEPATHさんBEPPUさんDJ KITAさんDJ Champさんなど、各音楽シーンを代表する大先輩の方々。
何なら10個くらい歳の離れている方々しかいない中、1人だけ僕がいる状態です。
ちなみに、他のフロアにはそれぞれ同世代が複数名ずつしっかり揃ってます。

『やりやがったな!』という気持ちが強いです。
ありがたい試練と受け取って当日レイヴ野郎にならないよう臨みます。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

ハードアシッド

です。

特別連載に於いては3回目に取り上げたアシッドシンセを用いたハードテクノです。
この音楽にスポットを当てた特集は過去4回(※)行っておりますが、前回から1年経ってしまったこともあり、改めてここ1~2ヵ月の間にリリースされたトラックについてピックアップしていきます。


新作ハードアシッド (2022年02月版)
新作ハードアシッド (2021年04月版)
新作ハードアシッド (2020年08月版)
新作ハードアシッド (2020年02月版)

早速ですがここ1~2ヶ月でリリースされたハードアシッド紹介いってみましょう。

【曲紹介】

Hardwell, Maddix feat. Luciana / ACID

ACID feat. Luciana (Extended Mix) by Luciana, Hardwell, Maddix on Beatport

オランダのプロデューサー同士、HardwellMaddixによるアシッドテクノ
2010年代のEDMシーンを牽引してきた両者が2020年代に入り、共にテクノのシーンの最前線を走っているとは当時誰も思わなかった筈です。
しかしこの曲にも見られるロングブレイクを活かした展開とインパクトのあるリフのサウンド、そして叩きつけるようなアタック強めのリズムは前出のキャリアに裏打ちされるかのようです。
セットの序盤、中盤、終盤のどこでもバッチリアリーナ映えする即戦力トラック。

Therian Shifter / Godzilla (Nik Wel remix)

Godzilla (Nik Wel remix) by Therian Shifter on Beatport

ドイツのプロデューサーNik Welによるアシッドテクノ
日本が世界に誇る怪獣をテーマにした曲であり、あの鳴き声もサンプリングされております。
原曲はしっとりしたモダンテクノに近い仕上がりなのに対し、こちらのリミックスは重たいグルーヴとアシッドシンセを前面に出したフロア蹂躙スタイル。
リズムが若干前のめりなのとウワモノの質感を活かしてテックトランスとの繋ぎを考えてみるのも面白そうな曲です。

Dica / Mind-Blowing Side Effects

Mind-Blowing Side Effects (Original Mix) by Dica on Beatport

フランスのプロデューサーDicaによるハードアシッド
ディストーションアシッドと疾走感のあるリズム編成によるストレートなハードアシッド
周辺のハードテクノとの橋渡し役として良い感じに機能してくれるので、とりあえず持っておくと安心できます。

Rangel Coelho / Crazy Acidity

Crazy Acidity (Original Mix) by Rangel Coelho on Beatport

ブラジルのプロデューサーRangel Coelhoによるハードアシッド
ローファイなリズムと跳ねるようなリフのアシッドシンセが特徴的なトラック。
ややアングラで妖しい雰囲気がずっと漂っているのがこのサブジャンルならではという感じがしますね。

Zyco, Tio Tony / Lo Que Me De La Gana (Tassid Remix)

Lo Que Me De La Gana (Tassid Remix) by Zyco, Tio Tony on Beatport

イギリスのプロデューサーTassidによるハードアシッド
やや速いテンポとタフなリズムを擁した攻撃的なハードアシッド
うっすら敷かれたアラームのようなシンセからレイヴの残り香も漂ってくるのも個人的には推しポイント。

ARDL / Everybody In The Basement

Everybody In The Basement (Original Mix) by ARDL on Beatport

フランスのプロデューサーARDLによるハードアシッド
本日の最硬リズム大賞。
アシッドシンセのパターンも展開によって細かく変えていたり、ハードダンスに通ずるギラついたシンセも並行して鳴っていたりとかなりアグレッシヴなサウンド使いをしています。
レイヴ文脈にもハードテクノ文脈にも跨ったド派手なトラック。

Marcio M. & Tiago Santos / Detonation Procedure

Detonation Procedure | Marcio M. & Tiago Santos | Pounding Warehouse

ブラジルのプロデューサー同士、Marcio M.Tiago Santosによるハードアシッド
アシッドシンセは前面に出ているというより、ベースとして曲全体の前のめりなグルーヴを支えているような役割を担っています。
リフの単音の感じとかあんまり聴かないですし、ましてやそれがパラメータを変えて進行していくという風変わりな音使いが特徴的。
ブレイクで急に鳴るホーンの音もちょっとした面白ポイントですね。

“Bad Boy” Pete vs. Schnootz / Acid Dub Tekno Lineage

Acid Dub Tekno Lineage | “Bad Boy” Pete vs. Schnootz | Flatlife Records

イギリスのプロデューサー“Bad Boy” Peteによるハードアシッド
裏打ちで入っている生音っぽいサウンドやボーカルに対する残響の効かせ方にレゲエのマインドが見えるトラック。
アシッドシンセのパターンもめちゃめちゃ詰まっていて忙しさと異質な感じが同居しているアングラな印象を受ける、その一方で暗さが殆どないので特徴的なスタイルだなと感じます。

FLYMEON / RAVING MOTHAFUCKA

RAVING MOTHAFUCKA | FLYMEON | Rave Alert

ハードロックの大名曲をアシッドテクノに魔改造し、あまつさえ自身もギターを弾きながらライブを行うフランスのプロデューサーFLYMEONによるハードアシッド
(いつ見てもこのライブ風景はこの人オリジナルだなと思えるので何度でも見てしまう。)

して、この曲ものっけからヲトコ臭いボイスループが繰り広げられ、シャウトの後にアシッドシンセINという、なんというか精神性がハードロックとかメタル過ぎる。
ブレイクでも叫びまくっているし、とてもうるさくて良い。
リズムの質感やウワモノの豊富さ、タイトな構成からハードダンスの方が合わせやすいかもしれませんね。

最後に直近ではないものの、今年リリースされた中から個人的にインパクトの高かったものを。

DJ Caline / Acid Megadrive

Stream Free DL | DJ Caline – Acid Megadrive [DUR004] by The Finest Techno | Listen online for free on SoundCloud

フランスのプロデューサーDJ Calineによるハードアシッド
プリセット感丸出しのキックにいきなりビックリさせられますが、そこにアーメンブレイクが乗っているのも輪をかけて変わっているというか、初期衝動感が凄い。
そこにアシッドシンセが入ってくるもんだから、作曲の思想が2023年から30年程かけ離れている印象を受けます。
ちなみにフリーダウンロードです。

あとオマケ的に今回のテーマにだけは沿っているやつをさっくりと。

Andrew Meller / Born Slippy (Luca Morris Extended Remix)

Born Slippy (Luca Morris Extended Remix) by Andrew Meller on Beatport

なんでこれが今更!?
そしてなんでアシッドシンセアレンジ!?

今年出た今更感のあるアシッドシンセが乗っているやつといえば前回のHardonizeでTAKAMIさんがかけて爆沸きした

Members Of Mayday / Mayday Anthem (Thomas Schumacher Remix)

Mayday Anthem (Thomas Schumacher Remix) by Members Of Mayday on Beatport

これもそう。
先の話をするとなんとやらですが、Hardonizeクルーが毎回年末に行っているハードテクノ10選、今年もやるとなるとまだ半分も経ってないのにもう大変なことになりそうな予感がします。

【まとめ】

以上、新作ハードアシッドをお送りしました。
相変わらず探すのには一工夫要る界隈ではあるものの、旧来のStay Up Forever直系の王道サウンドから、最近のハードテクノと融合したようなスタイルまでまだまだリリースが続いている状況です。
反面、変わり種系は自分の観測範囲には無かったのですが、まぁタイミングの問題かもしれませんし、年末くらいになったら改めて今年のDIG成果を報告したいところです。

と言いつつ、オマケでちょろっと書いたように今年はとにかく大ネタリメイクが出まくっている印象があるので、そればっかりのとてもシャバい10選になるかもしれない可能性を否定しきれないため、戦々恐々としながら引き続き見守っていきたいと思います。

そんなワケで今回はここまで。

次週06月13日(予定)は774Muzikさんが担当します。
では。

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【特集】Hardonize#44 プレイリストピックアップ - Resident’s Recommend 2023/05/25

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【近況】


レジェンドの前でレジェンドに生き恥を晒されました。

【Hardonize #44 無事終了】

先々週はHardonize #44でした。
お越し頂いた方々、お聴き頂いた方々、本当にありがとうございました。

15周年イヤーの第2回目としてATTさんTAKAMIさんBUZZ×3レジデント両名をお迎えした回でしたが、両者とも我々が見てきた大先輩としての威厳とスキルに溢れたプレイで非常に眼福でした。
ATTさんのグルーヴキープ力が冴えまくっていた不協和音やブレの一切ないストイックなハードグルーヴセットは聴いてて痺れましたし、
TAKAMIさんのシリアスな最新トラックと往年のテクノアンセムを使い分ける現場主義のテクノプレイもめちゃめちゃ参考になりました。
奇遇なことにパーティー直前の担当回で取り上げたMembers Of Mayday / Mayday Anthem (Thomas Schumacher Remix)がかかり、フロアが爆沸きしたのは非常に面白かったですね。
(本人曰く、『05月だから!』)

おそらくですが、今年中にもう1回くらいHardonizeの開催があると思います。
15周年イヤーとしてそちらもバッチリ準備を進めてまいりますので公表までしばしお待ちください。

【告知】

来週06月03日の15時より日本酒とクラブミュージックをテーマにしたパーティーに出演致します。


オールジャンルのパーティー。
出演者が日本酒を持ち寄り、自身も飲んだくれつつ来場者に振る舞います。

日本酒飲み放題バー兼イベントスペース錦糸町LITTLE SAKE SQUAREの店長mizmさん
ご存知我らが早稲田茶箱店長エージさん
1990年代よりドイツと日本のアーティストを繋げる仲介者としてテクノシーンに大きく貢献し、テクノ外交官と呼ばれた大レジェンドTobyさん
20年以上も続いている老舗ハードコアパーティーHAPPY DYNAMITE主宰DJ Champさんなど、各シーンのベテランたちが集っている豪華な一晩。
お気に入りの音楽と日本酒を探しに是非お越しください。

【Hardonize #44 トラックリスト】

さて、自分はこの日トップバッターを務めました。
トップバッターというのはそのパーティーの胎動を担う役割であり、言うなれば無音とそのパーティーがコアとしている音をどのように繋ぐかといった気持ちで毎回臨んでおります。
なので、暴れん坊とかレイヴ野郎とか呼ばれがちですけど、こういう時はあんまりおふざけしないことの方が多かったりします。

大まかにはディープベースブレイクス非4つ打ちテクノ速めミニマルテクノメロディアスハードテクノ
特に序盤はジャンル不定形なトラックを結構使いました。

全容はこちら。

No Artist Trackname Link
01 Re:fill Impulse (SofaTalk Remix) Beatport
02 Sarayu The Bag Beatport
03 Peverelist Pulse II Beatport
04 Kincaid On Hands Beatport
05 Sister Zo The Devil Beatport
06 Burland Untitled 140 Beatport
07 Daniel Haaksman, Malaguera Momotombo Beatport
08 3Phaz Shoulder Dance Beatport
09 Drumheller Barracuda Beatport
10 Cocktail Party Effect Fixing the Roof Beatport
11 Pugilist Circuit Breaker Beatport
12 Ana Rs Take Me There Beatport
13 Rox Eclipse Beatport
14 Altinbas Elements Beatport
15 THIRD WIFE 7 AM Beatport
16 Hertz Collision Next One Beatport
17 Antic Soul Mangrove Beatport
18 23.4 Legacy Beatport
19 SHIN NISHIMURA KEEP ON DISCOTHEQUE 試聴なし
20 ryoh mitomi haru-kaze YouTube

例によって数曲かいつまんでご紹介します。

【曲紹介】

03 / Peverelist / Pulse II

Pulse II (Original Mix) by Peverelist on Beatport

イギリスのプロデューサーユニットPeverelistによるベースミュージック
穏やかなパッドシンセを強調しつつも深めのベースとトライバルなパーカッションリズムが特徴的なジャンル不定形音楽。
上述の通り、無音の状態から徐々に音を足していくプレイを目指していたのでこういう音の隙間が多いトラックは使いたくなりますね。

05 / Sister Zo / The Devil

The Devil (Original Mix) by Sister Zo on Beatport

イギリスのプロデューサーユニットSister Zoによるベースミュージック
不穏なシンセと深いベース、そしてトライバルなパーカッションリズムが呪術的な雰囲気を醸し出している曲。
前述の3曲目辺りからパーカッションリズムをキーにして繋いでおります。
キックのパターンこそ非4つ打ちなのですが、裏打ちでハイハットが鳴っている辺りは4つ打ちに通ずるところもあるなと思うところで目に留まりがち。

07 / Daniel Haaksman, Malaguera / Momotombo

Momotombo (Original Mix) by Daniel Haaksman, Malaguera on Beatport

ドイツのプロデューサーDaniel Haaksmanがチリ出身のシンガーMalagueraを迎えて作られたブレイクス
ほぼほぼ太鼓の音とボーカルで構成されたガチンコトライバル。
太古より受け継がれしプリミティブなダンスミュージックと言っても過言ではないでしょう。
でもリリースは今年。

08 / 3Phaz / Shoulder Dance

Shoulder Dance (Original Mix) by 3Phaz on Beatport

エジプトのプロデューサー3Phazによるブレイクス
テクノっぽい質感のキックに規則的なリフが乗っており、ようやくテクノに接近しようかなという意思も込めて使いました。
でもトライバルリズムは遵守。
そのミスマッチさも含めて全体的にシリアスな雰囲気を漂わせているものの、この曲のブレイク以降に入ってくる笛っぽい音のリフからどうしても可笑しさを感じてしまう変ミュージック。

10 / Cocktail Party Effect / Fixing the Roof

Fixing the Roof (Original Mix) by Cocktail Party Effect on Beatport

ドイツのプロデューサーCocktail Party Effectによる非4つ打ちテクノ
一貫して歪んだ無機質なリズムが鳴り響くアグレッシブさと冷たさが同居したスタイルの曲。
今回自分は非4つ打ちと4つ打ちのリズム間の橋渡し要員として使いましたが、テクノの流れで変化球的に使う方がしっくりくる場面が多そうです。

余談ですが、Cocktail Party Effectのプレイはこの手のジャンル不定形且つ無機質な音が多く含まれているのでかなり参考になります。

12 / Ana Rs / Take Me There

Take Me There (Original Mix) by Ana Rs on Beatport

モンテネグロのプロデューサーAna Rsによるテクノ
オーセンティックなテクノのリフを主軸にしたループ感の強く出ているスタイルの曲。
ビートがちょっとヒネた4つ打ちという感じなので、これもまたリズム間の橋渡しとしては適材と言えます。

14 / Altinbas / Elements

Elements (Original Mix) by Altinbas on Beatport

ベルギーのプロデューサーAltinbasによるテクノ
ローファイなビートにシンプルなシンセのリフという非常にディープでミニマルな構成。
ややハイハットが前のめり且つテンポも少し速いので、遠くの方にハードテクノを感じることができるのも個人的ポイント。

メシで例えると昔ながらの中華そばみたいな味わいがあります。

17 / Antic Soul / Mangrove

Mangrove (Original Mix) by Antic Soul on Beatport

ドイツのプロデューサーユニットAntic Soulによるテクノ
前回担当回でも取り上げた浮遊感のあるパッドが特徴的なトラック。
ウワモノから穏やかさを感じる一方、ビートはしっかりと現行テクノの強度に仕上がっているので機能性抜群です。

20 / ryoh mitomi / haru-kaze

Ryoh Mitomi – Haru Kaze – YouTube

日本のプロデューサーryoh mitomiによるメロディアスハードテクノ
Hardonizeに於ける春の風物詩。そして今回もVJのSTCnさんの反応感度抜群でした。
小気味良いハイハットに主張の強いグルーヴィーなベースにオルガンライクなシンセがドラマティックに展開する国産ハードテクノの隠れた名曲。
一生忘れないハードテクノ特集でも挙げた通り、この路線に於いては堪らなく好きな曲です。

【まとめ】

以上、Hardonize #44プレイリストをお送りしました。
全体的な雰囲気としてはストイックさを一貫したものの、リズムやウワモノなどの振れ幅は持たせたような内容になれたかと思います。
派手なサウンドやサンプリングのスタイルも勿論好きなのですが、こういうズブズブに沈んでいく曲も好きで集めている一方、あまりプレイする機会がなかったりするので今回やりたかったことの1つでした。
この手のトラックも速度的にはハードテクノと遜色ないものが多数リリースされていたりするので、それこそ前回の連載担当回新作仄かに旋律を感じるテクノ辺りを足掛かりに触れて貰えると嬉しかったりします。

そんなワケで今回はここまで。

次週05月30日は774Muzikさんが担当します。
では。

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