今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/08/14

こんばんは774muzikです。

先日、WIRE03でのChris Liebingのプレイ動画を見ましてね。最高でしたね。ええ。
忘れもしない、2003年の8月30日でした。
WIRE03は僕が初めて行ったWIREなんですが、何もかもが刺激的で、本当に最高でした。

03〜07の5年間は皆勤、08、09とお休みして、最後に行ったのは10だったと思います。
2年行かなかっただけで、深夜の客層がクソ悪くなっててとても残念だった思い出です。

さておき、6回のWIREではそれぞれに感慨深さがありますが、とりわけ、03には特別な想いがあります。
初めての参加、ということも勿論ありますが、それ以上に、DJというものの原点が2003年にある、というところが大きいと思います。

というのも、僕がDJを目指した理由の一つが、2003年にリリースされた卓球の「In The Box」というMix CDに心を鷲掴みにされたからでして、やはりあの時代のテクノは最高だったし、その最高なテクノが詰まったWIRE03は、まさに至上の空間だったわけです。

前置きが長くなりましたが、今回はそんな2003年、更に言えばWIRE03が開催されたあの時の最高さをお伝えしたい、と。そういうことでございます。
ということで、2003年7月〜9月にリリースされた楽曲から、大好きだったあの頃の空気感を感じられるものをご紹介していきます。

Michael Burkat – Analogue Architect (Michael’s Short Cut)

めちゃくちゃカッコいい!けど短い!
Michael Burkatについては個別に紹介したいので、また近日特集したいと思います。

DJ Godfather − Getchobitch (Original Mix)

ビッチだのディックだの言っててクソ下品なトラック。でもクソカッコいい。
このグルーヴィさは一体何だ…!?

Hertz, Rowdy Sparks − Delicado (Original Mix)

まあこの時代、Hertzを抜きにしては語れないでしょう。
最高のファンキートライバル!

Samuel L Session – Body N’ Soul (Original Mix)

セッションの方のサミュエル・エル。
グルーヴィなトライバルに定評あり。

Oscar Mulero − Friday Thirteen (Original Mix)

あ〜、これこれこれだよ!
カッコよさ以外ない。
ズンドコしてて控えめに言って最高。
オスカームレーロさん、今何してるんだろ。

Michael Burkat, Henry Cullen − Its Time (Original Mix)

こういうの、WIREで流れてたよね…!
淡々として硬い。最高。

DJ Rush − The Family (DJ Bam Bam Remix)

この荒々しさね。
Rush姐さん、かっけえよアンタ…

ということで、本日はこの辺りで。
次回はDJ Sangoがお送りします!ではー


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/08/09

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

前回担当ではレイヴとテクノの混合点としてAlan Fitzpatrickをご紹介しましたが、元来ワタクシはレイヴミュージックと云うものが大好きでして。
90年代のレイヴ発祥から既に20年以上経過しているにも関わらず、あの下品と言わずして何と表現できようかと云うシンセは今尚強烈なインパクトを誇っていると思えてなりません。
他にもアーメンブレイクやピッチの上がった声ネタ、アシッドシンセなんかもレイヴを体現する音の代表格と言えますが、1番の魅力はそれらを惜しげもなく用いた上で実験的なフレーズや展開を表現することを恐れなかった点だと思っています。
クラブミュージックを聴き始めたのは2000年に入ってからなので完全に後追いではあるのですが、つい先日もレイヴ、アーメンブレイクにスポットを当てたプレイを行ってきたところです。
Hardonizeでもこの手の音楽は度々使っている気がします。

レイヴミュージックにスポットを当てているのはワタクシの1人相撲ではなく、Redbullの音楽コラムに於けるテーマとして割と挙げられていたりします。
Happy Hardcore | Magazine | Red Bull Music Academy Japan
UKレイヴ&ハードコア最重要クラシック ベスト7
この2つはかなり参考になったので是非ご一読ください。

そんなワケで今回はそんな古きレイヴミュージックに最も近い音楽であろう、レイヴブレイクスを現在進行形で作り続けているこの人にスポットを当てます。

Paul Cronin

Paul Cronin
https://paulc9898.wixsite.com/paulcroninmusic
https://www.facebook.com/paul.josephcronin
https://soundcloud.com/paulc9898

1974年生まれのクリエイター。
出身はイギリス内陸部、リーズであり、現在もそこを拠点に音楽活動を行っております。
とはいえ、DJとしてステージに立つことはあまりなく、作曲とプロデュース業に専念している最近ではちょっと珍しいタイプでもあります。
その一方で現行のレイヴブレイクスシーンに於いては代表格と言って良い程欠かせない存在であり、様々なDJ MIX、ポッドキャストにPaul Croninの曲が使用されています。
(WILDPARTYさんのMIXにも使われていたりします。)

2010年にフリーEPのリリースを行うことでアーティストとしての活動を開始し、その後はDred CollectiveMusic RascalsSonic Fortressと云ったシーンを代表するレーベルからリリースを敢行。
2015年には自身のレーベルRaveskool Recordingsを設立し、新世代クリエイターのデビュー作を多く世に放っていることから、新人育成にも力を入れていることが窺えます。

そもそもレイヴブレイクスとはどのような音楽かと云えばこのようなものになります。

Paul Cronin / Bitch

大方想像通りかと思いますが、冒頭で書いた通りレイヴシンセを強烈にフィーチャーしたBPM140周辺のブレイクビートです。
Paul Croninのトラックはそれに加えて、アーメンブレイクを用いたこれまたインパクトのあるリズムが特徴と云う印象がありますが、アーメンブレイクはレイヴブレイクスの必須要素と云うわけではなく、作り手によってマチマチです。
グライム、アブストラクトの系譜からもっとベースに重点を置くタイプもあれば、EDMライクなカッチリしたドラムキットにダイナミックなベースの上でレイヴシンセが鳴っているようなものもあるので、この辺りもいずれ紹介できたら良いなと思っております。

念のため申し上げておきますと、90年代のオールドスクールレイヴとの間に確たる違いがあるわけではありません。
強いて挙げるとすれば、出音が現代のダンスミュージックらしく中音域が明瞭になるようなマスタリングされていることと、基本的に8小節展開を守っているので曲の展開を読みやすくなっていることだと思います。
(テクノもそうですが、昔の曲は変なところで展開が変わるものがしばしばありました。)

もう1つ似たような系統の楽曲を。

Paul Cronin / Phase 4

こちらの方がよりアップリフティングな曲調でピークタイム向きですね。
信じがたいかもしれませんが、前の曲共々2010年代に入ってからのリリースです。
前の曲に至ってはリリースから僅か1年しか経っていません。

Paul Cronin / Piano Choon

レイヴと云えばM1ピアノを始めとする明るい鍵盤の音もまた1つの印象深いものとして耳に残りますね。
それを軽快なボイスサンプリングと共に全面に打ち出しているのがこちら。
音そのものは古臭い一方で細かいリフやドラム刻みが現代チックなハイブリッドトラック。

Paul Cronin / Wonky

派手な曲調ばかりがレイヴの特性ではありません。
アーメンブレイクはこれまで紹介した曲同様使い倒しつつも、怪しげなストリングスがグライミーなベースと共に進行するマニアックな路線の曲。
ワタクシの場合、こういう渋い系と派手系の中間点みたいな曲は両者間の橋渡しとして、或いは多ジャンルとの橋渡しとして使うことが多く、割と重宝してます。

すっかり紹介し損ねておりましたが、レイヴミュージックの作り手と云うのは変名義をいくつか抱えているパターンが割とあります。
Paul Croninもその慣習に則り、本名義と同時進行でBreakbeat Allianceと云うプロジェクトを抱えており、そちらはレイヴ要素をサブウェポン程度に留め、よりブレイクビートに軸足を置いた楽曲制作を行っております。
従って上記のような曲調が好きであればこちらの名義を追ってみても良いかもしれません。
勿論現在も両者平行して活動継続中で、今年に入ってから既に3枚のEPをリリース済み。

Paul Cronin / Cauldron

さて、数あるレイヴブレイクスアーティストの中であえてPaul Croninを選出した理由の1つがこの曲にあります。
ちょっとBPM速めで怪しげなベースラインが鳴り響いている、と云うのが第一印象なのですが、しばらく聴いていると突如としてゲームSIRENで使用されている奉神御詠歌のサンプリングが差し込まれるのです。
同じホラーゲームでもSIRENT HILLネタなんかは割とあった方ですが、これをネタ元とする曲はゲーム本体の知名度の高さに反して未だにこれ以外出会ったことがなく、しかもよりによって派手な曲調のものが多いレイヴブレイクスの中にあったことがかなりの衝撃でした。
尚、Paul Croninの作品と云う括りで見てもこれ以外これと云って同系統のネタモノがあるわけではないため、この曲の突然変異度はかなり高め。

Paul Cronin (feat. The MaD mC) / Welcome To The Asylum

最後にしょーもない路線の曲を。
最早このジャケットから嫌な予感がモリモリ漂ってきますが、その通り、きかんしゃトーマスのテーマネタです。
本当にイギリス人はきかんしゃトーマス大好きだなと思う程に数多くのリミックスやミーム的マッシュアップが大量生産されているのはご存知の通りだと思いますが、これもその中の1つ。
ほぼサンプリングとアーメンブレイクの勢いのみで突っ走っている、Paul Croninワークスの中でもダントツに雑な曲でもあります。
これ売っちゃうんだーって感想も至極ご尤も。

しかしこういうシンプルな方がむしろ実験的でレイヴらしいと思ってしまう辺り、ワタクシは沼から抜け出せそうにありません。
皆様に於かれましてはレイヴの摂取はくれぐれもほどほどに。

と、ここまでPaul Croninのオススメ楽曲を紹介してきました。
他にもSoundcloudアカウントにはブートレグ含むフリーダウンロード楽曲が公開されていたりするので(と云うかこの界隈結構頻繁にフリーリリースしていたりもするので)、トラック収集はある程度の量までかなり簡単に行うことができます。
同テンポ帯の音楽にカウンターとして差し込む分には申し分ないインパクトを稼げるので、DJの方々にも是非積極的に使って欲しいところです。
何よりワタクシがレイヴ好きなので。何卒何卒。

次週08月14日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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