こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【告知】
次回Hardonizeの情報が公開となっております。
2023/10/14(sat) Hardonize #45 at waseda sabaco | Hardonize web
ゲストにお招きしたのはDJ KITAさんとDJ YO-Cさんの2名。
20年以上のキャリアを誇る大先輩2名を迎えてお送りする15年目のHardonize、いつも以上にハッピーでファンキー、そしてバンギンなサウンドにスポットが当たることと思われますのでお楽しみに。
日にちは10月14日(土曜日)、スタート時間が若干変わりまして15時からとなります。
場所はいつもの早稲田茶箱にて皆様のご来場をお待ちしております。
尚、参加予約登録フォームもございますのでこちらから申請を行って頂けると入場が確実です。
Hardonize #45 参加予約登録フォーム
【近況】
直近でyudukiボスに会ったわけでもないのに若干風邪気味です。
風邪ってXやDiscordを介して伝染ったりしましたっけ?
そうか、これがニューノーマルか。
【今回のお題】
さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
さて、本日が暦の上では夏最終日、明日から09月となります。
1年の2/3が終わって今年も残すところ・・・というお決まりの文言はさて置いて季節柄、夏というワードには賑やかなイメージがつきものです。
それは曲に於いても顕著に現れるものでして、夏に関連する単語を冠するトラックは派手でアッパーなテンションのものが多く、逆に冬に関連する単語の付いたトラックはちょっと哀愁漂うしっとりしたものが多く見受けられます。
勿論テクノにもそういったトラックがあるわけなのですが、今までそういった括りでこの連載をお送りしたことがなかったことに気付き、『やるなら夏最後の今日しかない。』という妙な使命感に駆られた次第です。
早い話、今回のテーマは
になります。
過去に行った似たような特集としては2017年の04月に行った曲名に『春』とか『桜』とか入ったトラックとか、2021年の02月に行った曲名に『チョコレート』が入ったトラックがあります。
曲を掘る際にタイトルをキーワードにするというのはメインの掘り方ではないものの、時代やジャンルに因らない一方、(特に夏とか冬とかイメージが連想されやすいワードだと)ある程度指向性を持ったテイストの曲と出会う切欠になることがあるのでたまにやってみたくなる時があります。
今回も特に時代やジャンルを絞らず10曲程ピックアップしておりますので、夏をイメージしながらお楽しみ頂けますと幸いです。
というか選び終わってみれば無理やりにでも夏が連想されるようなエネルギッシュな10曲になりました。夏のパワー恐るべし。
Semitechno2が公開されていれば是非紹介したかったですね・・・。
それではタイトルに夏関連のワードが入ったテクノ紹介いってみましょう。
【曲紹介】
日本のプロデューサーCarpainterさんによるテクノ。
タイトル通り屋台のある祭りの喧噪がパーカッション(太鼓)と指笛を通して伝わってくるかのよう。
オリエンタルな要素をトライバルテクノに落とし込んだ和心を刺激するトラック。
Nobuharu Morimoto – Mura No Matsuri (Original Mix) [EME] | Music & Downloads on Beatport
日本のプロデューサー、且つテクノ系トピックに関するYouTube活動もされているNobuharu Morimotoによるテクノ。
高インパクトの太いキックを中心に、展開ごとに金物のパターンを変えてくるリズム主体のトラック。
この生っぽくてラフなドラムパーツから土着感がめちゃくちゃ漂ってきます。
Raito – Summer Of Love (Rave Mix) [Boysnoize Records] | Music & Downloads on Beatport
フランスのプロデューサーRaitoによるテクノ。
ピッチの高いボーカルやレトロなアナログシンセ、開放感のあるブレイク、タイトルも含めてレイヴの臭気が充満しています。
キックこそ硬めの4つ打ちですが、裏でうっすらブレイクビーツのリズムが聴こえるのも個人的にはツボ。
スタブに頼らずにレイヴマインドを体現している曲という印象です。
Yuken – Matsuri (Original Mix) [Speedsound] | Music & Downloads on Beatport
(多分)中国のプロデューサーYukenによるテクノ。
三味線、囃子と日本の伝統音楽のサウンドが用いられている以上に目立っているのがしつこいまでの『こんにちわ。』サンプリング。
途中でビートダウンする展開があったり、かなり謎のアイディアが詰まっている作品。
メインのリズムが硬さよりグルーヴに重きを置いた、ちょっと前のテクノを彷彿とさせる仕上がりになっているのが逆に面白サンプリングにハマっている気がします。
ちなみにこのアーティスト、他にもこういう曲をリリースしております。
Yuken – The Sound of Shinjuku (Original Mix) [Speedsound] | Music & Downloads on Beatport
なんでちょっとサイケデリックトランスっぽいんだ。
日本と中国の伝統音楽を現代のダンスミュージックに配合させるという趣旨のプロジェクトらしいのですが、先の曲も合わせた日本語のたどたどしさとか音使いはどうも日本っぽくないアヤしさがあります。
そこが変ミュージック好きには魅力とも言えます。
DJ Kobeによるテクノ。
リリースが1998年と古く、またこのアーティストはこの曲しかリリースしていないため、正体が分かりませんでした。
裏打ちを基本とするベースに前のめりなハイハットリズムの構成は1998年当時らしさがありますね。
変わっている点と言えばスケールの長いオリエンタルな笛の音と日本的な合いの手が入っているところでしょうか。
これには元ネタがあって、日本が世界に誇る環境音楽、エレクトロニカを代表するシンセサイザー奏者、喜多郎の同名曲がそれに当たります。
更に驚く点として、この曲はブートレグではなく、正式にライセンス許諾を経てリリースされた言わば公式リミックスであるということ。
そしてこの販売元は泣く子も黙る天下のAvex Traxです。
1990年代のAvex Traxが無敵の存在であったことに対する確信がまた1つ深まりました。
CrazyRomantic – Summer Sunshin Sample (Original Mix) [RT TRAX] | Music & Downloads on Beatport
日本のプロデューサーCrazyRomanticによるテクノ。
せり上がるようなメインリフやフィルター使い、エレクトロのような厚みのあるベースなど、ループ主体でありながらかなりファンクネス指数の高い作品。
ブレイクスを意識させるようなリズムの打ち方も良い感じ。
故Kagamiサウンドが好きな方は是非。
Rapunzel – Summer Time (Original Mix) [Adult Records] | Music & Downloads on Beatport
チリのプロデューサーRapunzelによるハードグルーヴ。
うねりと跳ねのあるベースライン、メインとなるフレーズを支えるブラスとストリングス、時折差し込まれるコーラスと全てがゴージャスであり、凄まじいファンクネスの塊。
リズムからウワモノまでみっちり詰まった厚みもあり、ハードグルーヴ屈指のピークタイムチューンの1つです。
2010年代初頭のAdult Recordsには本当に悉く興奮させられました。
ちなみに同EPに収録されている本間本願寺さんのリミックスワークもかなり素敵。
Rapunzel – Summer Time (Homma Honganji Remix) [Adult Records] | Music & Downloads on Beatport
当時から本間本願寺イズム健在の太いリズムを軸にフィルターと細かい展開作りでガンガン牽引していくタイプのトラック。
これを聴いた当時まだ本人と繋がりが無く、同ジャンルの他クリエイターの作品に引けを取らないサウンドだったため、『どこぞの外人が日本風の名前冠してるわ。』くらいに思っていたのを思い出しました。
そのくらいこの音は当時の日本のテクノとの間に乖離があり、日本人だと知ったときは大分衝撃を受けました。
イタリアのプロデューサーEmiliano CassanoとドイツのプロデューサーNik Welによるメロディアスハードテクノ。
芯のある硬いキックに厚みとグルーヴ感のあるベースラインという重厚な組み合わせにエコー+ディレイ処理されたデトロイティッシュなシンセがエモーショナルに鳴り響きます。
たっぷり設けられたブレイクで溜めた感情を明けてから一気に開放する瞬間が極上ドラマティックな1曲。
日本のプロデューサーKei Koharaによるメロディアスハードテクノ。
度々紹介している通り、個人的趣向のかなり上位に食い込み続けております。
厚いベースラインにパーカッションリズム、そしてピアノやブラスの混合編成によるアーバンなウワモノという、ハウスの要素が落とし込まれたハードテクノ。
夏の夜のワクワクする感じが想起される、テンションの高い作品です。
Summerlove (feat. Anabelle) (Scorccio Edit) – YouTube
イギリスのレジェンドプロデューサー、サウンドエンジニアであるMark Summersの代表的ソロプロジェクトScorccioによるユーロハウス。
軽快なビートに裏打ちの跳ねたベース、生音感を残しつつも快楽的なシンセのフレーズにピッチの高いボーカルにボイスサンプル・・・個々の要素を挙げればキリがない程、アップリフティングなパーツがそこかしこに散りばめられた個人的大傑作。
ハウスを軸としながらテクノのループ感も備え、トランスのサウンドを使いつつブレイク以降のレイヴっぽさが増す様々な要素が入り混じったバリアレックなスタイルは正にSummerloveのタイトルに相応しいですね。
原曲のスムースな雰囲気が一切感じられないアレンジの妙も含めて秀逸だと思うトラック。
【次回】
そんなワケで夏はここまで。
次週09月05日の秋は774Muzikさんが担当します。
では。