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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/11/01

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

Hardonize 31回目、無事に終了致しました。
お越し頂いた方々、この記事をご覧頂いている方々、本当にありがとうございます。

一昨日のボスの記事でも書いてある通り、今回の副題Back to Basic Specialに因んでヴァイナルでプレイする人がいて見た目的にもパーティー初期の感じが表れていたように思います。
ゲストの元レジデント、Shinichi Sasaki氏がヴァイナルなのはいつも通りと云う感じではございますが、初めてハードテクノと呼ばれるものに触れる切欠となった人に当たり、且つ初見時と同じハコで同じヴァイナルを使っている姿を見れたと云うのはなかなか感動に近いものがありました。
10年以上もこうして音楽の縁が続いていることに自分でも驚いています。
そしてharu-kazeは本当に良い曲。

ヴァイナル使いと云えば774Muzikさん、Sangoさんも今回そうでしたが、プレイが終わった後ひたすら疲弊していたので来週の彼らの回ではその辺のことについて語ってくれるのではないでしょうか。
このメンバーでやるB2Bも大分久しぶりでしたが、お互い手の内が分かっているがユエにインパクトの強い曲の乱打戦みたいになってました。
誰が何したとはあえて言いませんが、Blue SunshineDon’t Take More (Jamie Lidell Remix)の件は今年1番あり得ないと思いました。

まぁ曲に関しては別に今回に限らず、Hardonizeは割と頻繁に昔のトラックが流れたりします。
亡霊です。ハードテクノの亡霊。
10周年を超えた来年もおそらく変わらずお送りすることとなるでしょう。

さて、そのHardonizeの翌日が同人音楽即売会、M3であり、またワタクシはHardonize前日にもパーティーに出演していたりと中々忙しい週末でありました。
時期的にはM3リリースの作品レビューを行うタイミングではあるものの、量としては毎度ながら

このくらいあって、ようやくリッピング、ダウンロードが全て終わった段階です。
従って今回はM3関連は見送り、今回のHardonizeでプレイした楽曲について振り返ります。
って云うか煽る割に何でラーメン奢ってくれないのボス?ありえなくない?

こちらがワタクシのHardonize #31トラックリストです。
クドゥル~ブレイクス~ダブステップ~ハードミニマル。

No Artist Trackame Link
01 TGO Feat Baltik Bakan Balkantinnitus SoundCloud
02 SKYFISH feat. 鎮座DOPENESS CHO YABEEE diskunion
03 Buraka Som Sistema Parede Beatport
04 Tactical Groove Orbit Ba Mwen An Ti Punch SoundCloud
05 Figura Ze Bula (Sabbo) bandcamp
06 Boris Viande Night, Pt. 2 (Balkan Techno) Beatport
07 Drop The Lime Hear Me (Buraka Som Sistema Remix) Beatport
08 Disciples Jealousy (Special Request Remix) Beatport
09 Sunship, Chunky feat. Teller Acid Flex Beatport
10 Robert Miles Children (The Beatkillers Remix) Beatport
11 Smith, Mighty feat. Niji 40 B Line Fi Blo Beatport
12 TMSV Gunman Beatport
13 Bunzer0 Oshun Beatport
14 Mikael, J.Robinson Mango Dub Beatport
15 RDG Ironman (D-Operation Drop Remix) Beatport
16 John Matrix Lambs To The Slaughter Beatport
17 Woli Sexual Desire (Vol. Six Industrial Mix) Beatport
18 Painkiller Fleisch Beatport
19 DJ Mente Riders On A Storm Of Acid Beatport
20 Bootek Dj’s Strings Of Life Beatport
21 WALL FIVE GYPSY WOMAN (MEU STR MIX) Beatport
22 mauro picotto & riccardo ferri new time new place Beatport
23 B D Y 08 (B02) Youtube

なかなかテクノ、ハードテクノ界隈ではかからない珍しい感じの内容になったのではと思う一方で、僕としてはテクノを意識した選曲のつもりです。
とはいえ、リストアップしただけでは何が何やらと云う感じもするので、数曲かいつまんでご紹介します。

Buraka Som Sistema / Parede

まずクドゥルとは何かと云うところから。
Wikipediaに記事がありますが、アフリカ、アンゴラ共和国にルーツを持つダンスミュージックのカテゴリーです。
アフリカ民族音楽のパーカッションリズムをベースにハウス、テクノの要素を取り入れたもので、歌い方も西洋のそれとは異なる面白さがあります。

この音楽に於ける代表格として挙げられるのはポルトガルのBuraka Som Sistemaと云うバンドで、世界的に有名なプロデューサーM.I.A.によって発掘され、2008年に連名でリリースしたSound Of Kuduroが世界中でヒット。
クドゥルの知名度向上に貢献しました。(自分もこの時にこの音楽を知ったクチです。)
ちなみに翌年のFUJI ROCK FESTIVAL ’09に出演すると云う快挙も達成しております。

そんなBuraka Som Sistemaの曲の中からHardonizeでプレイしたのが上のものになります。
シンプルなシンセと非英語のMCをウワモノに、太いビートと多種多様なパーカッションがリズムを構築しているトラック。
本作が収録されているアルバム、Burakaは現在のところ彼らの最新作となっていますが、ソカ、レゲエ、ズーク、そしてベースミュージックにEDMとアフリカ~ヨーロッパ間を縦断しまくる楽曲の連打で大変オススメです。

Figura / Ze Bula (Sabbo)

上述のBuraka Som Sistemaはクドゥルの中でもかなりミクスチャー路線をひた走っているので、クドゥルそのものとしてはこちらの方が参考になると思います。
矢継ぎ早に繰り出されるボーカル(多分ポルトガル語)と独特なパーカッションとシンプルなシンセ、だいたいこの要素がクドゥルのコアとなります。
4小節展開ではないと云うDJ的難点はあるものの、糊代はあるし音もカッチリしてて割と現代寄り、且つベースミュージックっぽさも垣間見えるのでそっちからの変化球アプローチとしても使えそうな感じです。

Disciples / Jealousy (Special Request Remix)

PVがあったのでそちらを貼ってみました。
Beatportへのリンクはコチラになります。

いずれアーティスト単位で紹介したい人ではあるのですが、現代テクノとオールドスクールレイヴの架け橋となる曲を多数手掛けているのが、このSpecial Requestと云うクリエイターです。
深く厚みのあるボトムはベースミュージックシーンからの評価も高く、これらのクロスオーバーを行いたいのであれば欠かせない存在。
この曲はアーメンをメインに据えた太いビートから一転、ブレイクではピアノが炸裂するトリッキーなテクノ。

フルアルバムとしてはSoul MusicBelief Systemと云う2作品をリリースしてますが、どちらも強烈にオススメ。

Bunzer0 / Oshun

ダブステップ。
と言ってもヴワーっとした派手なワブルベースは乗っていないディープ路線のもの。
最近とあるパーティーでこの手の音を積極的にかける回数が増えてきておりまして、その影響がHardonizeにも表れてきました。

と云うのも、この手のダブステップはミニマルな展開や、1音1音の質感がテクノに近いと考えてます。
テンポもほぼ同じですから曲さえ選べばテクノからダブステップにすんなり移行できる筈、と思って白羽の矢を立てたのがこの曲になります。
ダブステップの基本のリズムは1拍目にキック、3拍目にスネアの繰り返しですが、この曲はドライなパーカッションやキックがとにかく忙しい。
怪しげなシンセも相まってかなり無機質な様相を呈しているのが大変好みです。

John Matrix / Lambs To The Slaughter

インダストリアルテクノ×ダブステップ。
兎に角音はエグくて凶暴で、リズムが4つ打ちになったり半分になったりコロコロ変わる異質なトラック。
John Matrixはデビュー当時から少しヒネたダブステップを作る人として信頼が厚いです。
Soundcloudにもちょいちょいフリーダウンロード楽曲が上がっているので、今回の曲と似た路線で挙げるとすればThugFunkでしょうか。

全然関係ないですけど、John Matrixって名前だけ聞くとこっちをイメージしてしまいますが、何か思い入れがあったりするのでしょうか。

DJ Mente / Riders On A Storm Of Acid

今年リリースのハードミニマル。
ロックに造詣のある方なら1発でお分かりの通り、The DoorsのRiders On The Stormがサンプリングされており、それがシュランツ並みに暴力的なビートの上に乗っていると云う塩梅です。
アシッドとタイトルに冠している割にアシッド要素はないのが謎ですが、DJ Menteは基本的にはアシッドテクノを得意とするクリエイターですので、逆にこの作風の方が珍しい部類に当たります。

紆余曲折を経てハードテクノに戻ってくる、みたいなセットが好きなので、持ち時間終盤にようやくこの手の曲をかけることができました。

他の曲も取り上げたいところではございますが、今回はここまで。
ことHardonizeに於いてはハードテクノを意識しつつ、どこまで選曲の幅を広げられるか、と云う点を重視しているので、11年目も変ちくりんな音楽をかけ続けることになろうかと思います。
ご興味を持って頂けると幸いです。

最後に、今週末は千葉県の南部でたてあにキャンプ!と云うパーティーに出演致します。
たてあにキャンプ!
過去、と云うか前回のHardonizeにもゲストでご出演頂いたREV-TUNE氏が段を取る野外パーティーで、アニメソングとテクノの2ステージに分かれて進行します。
ワタクシはつい先日、らき☆すたを見ていないことを理由に人間的地位が下げられた程アニメに疎いので、テクノステージでプレイします。
ちなみにTakayuki Kamiya氏とB2Bになります。何度目だろう。
そして彼とは昨日一昨日と合わせてラーメンを5回一緒に食べているにも関わらず、全く何の打ち合わせもしておりません。何やってんだろう・・・。

他にもgekko氏、NOMY氏、orinetone氏など、Hardonizeに縁のある方々が出演されますのでお時間のある方は野外でガッツリテクノとアニソン成分を補給しに来てください。

次週11月05日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/10/18

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

来週はHardonize本編が行われる週末となります。
予てよりお伝えの通りパーティーインフォメーションはこちら。

2018/10/27 Hardonize #31 -Back to Basic Special-
「ハードテクノ」を様々な周辺ジャンルも内包し 各々のDJによる解釈でフロアにお届けするハードグルーヴパーティ。 10年の...

Shinichi SasakiことLZDさんを外部客演とし、Hardonizeの原点に立ち返るメンバーでお送り致します。
何卒よろしくお願い致します。

余談ではございますが、翌日は当連載でも度々取り上げている同人音楽即売会、M3が控えております。
回顧も良いけど新譜もねってコトで是非足を運び、多種多様な気鋭の国産音楽に触れて頂きたいと願っております。

と云うことは次のワタクシの担当回はその直後になるワケですね。
なーに、深い意味はありませんよ?

それはさておき、今回のゲストであるLZDさんのDJについて少し触れましょう。
ワタクシが初めて拝見したのは2005年だったと記憶しておりますが、その頃から今に至るまでハードテクノ、それも反復を軸とするハードミニマルと呼ばれる音楽に傾倒しています。
少し前まで自他共に認めるヴァイナル主義で、20年近いキャリアの中から厳選したヴァイナルをターンテーブルに乗せることを至上としていたフシがありました。
それがつい最近、遂にラップトップを使うようになったと本人から聞いたときはビックリしたものです。
恥ずかしながら彼のラップトップスタイルは未見であり、今回のHardonizeで初めて見ることになります。

彼のMixcloudアカウントに当時の録音音源がそのままアップロードされておりました。

Shin’ichi Sasaki / RESPONSE


RESPONSE by Shin’ichi Sasaki | Mixcloud

当時ワタクシはテクノについてロクに知らない身分であったので、『世の中にはこういう音楽もあるのだな。』と勉強させて頂く構えで聴いていたのを覚えています。
今こうしてテクノについてある程度語ることができるようになったのは毎度聴きに行っていたLZDさんのプレイと、音源を紹介してくれたHardonizeレジデントの774Muzikさんのおかげと言って良いでしょう。

ハードミニマルと呼ばれる音楽が世界的に流行していたと言えるのはせいぜい2005年までのことで、現在はテクノに於けるメインストリームではなくなりましたが、リリースが途絶えることはありません。
アシッドテクノ界隈でヘヴィーウェイト且つ速いリズムは未だにスタイルの1つとして受け継がれていますし、インダストリアル、ノイズ方面に於いても近いものを見出すことができます。
シュランツもハードコアテクノ関連のフェスでしばしばエリアの1つを昼夜ジャックすることも珍しくない程高い人気を誇っています。

逆に、当時ハードミニマルを手掛けていた人がメインストリームテクノを手掛けるとなった際に、その影響を色濃く残した楽曲に仕上がることもままあります。
先日取り上げたハードミニマルの名門Drumcodeからリリースされた新作コンピレーションなんかはその具体例として挙げておきます。

ではそんなLZDさんに因んでハードミニマルの大御所を取り上げるなら誰になるだろうかと考えた時、自分の趣向と相まってうってつけな人物に思い当たってしまいました。
この人の作品はLZDさんや774Muzikさんからテクノについて教わった後、レコード屋に行って掘っているうちに探し当てたもの。
詰まるところワタクシのハードテクノライブラリーの中でも初めて買ったものに近いのです。
そう思ってmp3のファイル情報見たら作成日が2006年になってました。うへぇ。

Eric Sneo

Eric Sneo
http://www.ericsneo.de/
https://www.facebook.com/EricSneo
https://soundcloud.com/ericsneo

ドイツ、フランクフルト出身のアーティストであり、20年以上音楽に携わっている大ベテラン。
現在彼が率いているレーベルはMudra Audioで、Axel KarakasisPeppelinoと云ったハードグルーヴに縁のあるアーティストも所属しております。

彼のキャリアを紐解いていくと、発端に当たる1990年代初頭に彼がやっていたのはDJでもアーティスト活動でもなく、スタジオエンジニア。
つまり音楽が仕事になったわけではなく、仕事として音楽に従事していた側です。
そのため、テクノとは直接関係のない楽曲の制作に関わっていたこともあったワケなのですが、その中で最もインパクトのある作品がコチラです。

Captain Jack / Captain Jack

ご存知ですか?ご存知ですね。
日本でも音楽ゲームDance Dance Revolution 3rdMixに収録されたことで爆発的ヒットとなったユーロポップの金字塔的作品です。
この、と云うかCaptain Jackの作品全てに於けるサウンドデザインにEric Sneoが勤務していたBeatdisaster Studioがガッツリ関わっています。
これだけでも相当異色の経歴持ちだと云うことが伝わったでしょうか。

完全に余談ですが、Captain Jackっておどるポンポコリンのカバーとかやってたんですね。
今知って笑ってしまいました。

更に余談を重ねるとこの曲の木村カエラによるカバーのバックトラックを手掛けたのは石野卓球で、フィーチャリングにスチャダラパーを起用していると云うものです。謎に豪勢。
おどるポンポコリンは何かしらテクノに通じるものがある模様。

話をEric Sneoに戻しましょう。
彼が本格的に1人のアーティストとして活動を開始したのは1995年からです。
上記のCaptain Jack然り、当初からダンスミュージックを作ることには長けていたようで、最初期のリリースはジャーマントランスでした。

DJ Eric Sneo / Forces Of Nature


何故かiTunesで買えます

この頃からこのくらいの速いBPMにアシッドシンセを織り交ぜてみたり、ヨーロピアンレイヴ直系のアップリフティングな作品が多く、程なくしてドイツの有名クラブ、PalazzoのレジデントDJを任されることになります。
以来2016年のPalazzo閉店まで20年間、彼はここでパーティーを続けておりました。
クロージングパーティー後の店内の様子を紹介している動画がこちらです。

こういうのを見るとなかなか切なくなるものがありますね。

2000年に入ると煌びやかな音に対するアプローチは目立たなくなり、リズムをより重くした硬質なトラックの作り手として存在感を強めていきます。
音楽活動を本格化させるようになったのもこの時期からで、その1歩としてこれまでレーコディングスタジオであったBeatdisaster StudioをレコードレーベルBeatdisaster Recordsとして運営するようになりました。
元々プロデューサー気質だったこともあってか、The AdventChris LiebingHertzと云った当時勢いのあったハードテクノ勢を次々招聘、そして自身の楽曲Ciao Bellaがドイツのテクノチャートにランクインさせるなど目覚ましい活躍を見せます。

Eric Sneo / Ciao Bella

レゲエのようなアーバンなリフに前のめりなリズムがひた走るハードテクノ。
初出は2003年で、この頃はテクノとトランスが互いの共存点について探り合っていたような印象があります。
その点に於いてEric Sneoはジャーマントランス出身と云う経歴から大きな強みを発揮しており、このような別ジャンルの要素を融合させたような曲が映えたのだと思います。

ちなみに同時期にトランスシーンからテクノに目を付けたアーティストとして大御所Mauro Picottoの存在があります。
1990年代からBXRNukleuzなど大手レーベルを通して世界中のトランスの発展に寄与してきた彼が、2004年にRiccardo Ferriと組んでリリースした曲は、それまでのトランスのイメージを覆す何とも奇妙なものでした。

Mauro Picotto & Riccardo Ferri / New Time New Place


New Time New Place (Original Mix) by Mauro Picotto, Riccardo Ferri on Beatport

シーケンスとサウンドの双方に於いてテクノとトランスが混然一体となった賜物。
石野卓球のMIX CD、IN THE BOX ~Live at WOMB Tokyo~ではラストを飾るトラックでもあり、これで知った人もいらっしゃるのではないかと思います。
(当時のCISCOでも盛んにプッシュされていたのを覚えています。)
個人的には大傑作と認識しております。

で、このリミキサーとして起用されたのが紛れもなくEric Sneoでした。
適材適所と云う他ない。

Mauro Picotto & Riccardo Ferri / New Time New Place (Eric Sneo Remix)

原曲のリフそのままにアグレッシヴなハードミニマルアレンジ。
ヘヴィーウェイトなキックと地を這うベースはEric Sneo節として以降のリリースにもしっかり引き継がれていきます。

余談ですが冒頭で述べた初めて買ったハードテクノの作品はコレでした。

また、Eric Sneoの特筆すべき点としてライブパフォーマンスが挙げられます。
スタジオエンジニアのキャリアが成せる技なのか、彼は多種多様な楽器を演奏することができます。
最も代表的なのはエレクトリックドラムですが、その他にもアコーディオン、パーカッション、ディジュリドゥ、ピアノなど枚挙に暇がありません。
驚くべきはそれらを自身のライブセットに於いて次々に披露するのです。
最も有名な映像はこちらですね。

Eric Sneo presents ART OF LIVE @ Nature One 2009

2011年に出たライブ映像集、Art Of Live @ Nature Oneに収録された一部分をEric Sneo自らYoutubeアカウントで公開したものです。
見ての通り、ハードミニマルの上でドラム叩きまくり、アコーディオン弾きまくり。
バックトラックのコントロール含めて全て1人で行っているのが分かります。
かつてハードテクノに於いてここまでインタラクティヴな演奏をしているアーティストがいたでしょうか。
少なくともワタクシは知りません。

ちなみにこのArt Of Live @ Nature Oneには2010年にWIRE10で来日した際のライブも収録されております。
1時間に満たない短い演奏時間でありながら、やはり多数の楽器を駆使したスタイルだったようで実際に見た人が羨ましい。
レジデント各位は見たんでしょうかね?全員WIRE世代の筈ですが。

現在彼が手がけるトラックはと云うとテンポを落としたメインストリーム系テクノが主流ではありますが、深く硬質なリズムは彼の持ち味として未だ健在です。
加えて上記のインタラクティヴなライブスタイルも継続中であり、4デッキでDJをしながらパッドを叩きまくると云うやはり忙しい演奏を見ることができます。

実は先述のWIRE10の後にも先にも来日経験がないアーティストだったりもします。
ギグのロケーションもヨーロッパに集中しているので、拝見が叶う日は来るのかイマイチ分かりません。
それでもワタクシにとっては実際にテクノに触れる機会を与えてくれたアーティストとして敬意を払っており、また起伏のない音楽として捉えられがちなテクノと云う音楽に分かりやすく波を作る演出に心血を注ぐスタンスには大いに共感します。
今後もユニークな演奏方法や楽曲を以って我々の視覚、聴覚を存分に震わせてくれることでしょう。

そんなEric Sneoのオススメはこちら。

Eric Sneo, DJ Rush / Beatboxx

ゲットースタイルのテクノを多く手掛けたことで知られるDJ Rushとの共作。
DJ Rushらしいボイスループに対して淡々とビートが進行するシンプルな作りですが、当時のハードミニマルを体現する曲として最適。

Monika Kruse / Latin Lovers (Eric Sneo Forward Mix)

Zafra NegraのSufriendo Por Ellaを元ネタとするMonika Kruseの代表曲をEric Sneoがリミックス。
タイトル通りラテンフレーバーのウワモノに対してボトムが極太のハードミニマル。

今回余談が多くて本当に申し訳ありませんが、つい先々週、土日2日間共出演があった際、何故か両方のパーティーでプレイしてしまいました。
魔が差したとしか。

Eric Sneo / Morgasm

これも先述のNew Time New Placeよろしく、テクノらしからぬ音が鳴っているハードミニマル。
疾走感のあるハイハットはハードグルーヴに通じるところもあり、ウワモノも相まって用途は富んでいるのではないかと思われます。

Eric Sneo / Number Of The Beast

最後に最近のメインストリームスタイルの曲を1つ。
リズムに対して3連符で進行するリフが気持ち悪いですね。
全体的に音の重心が下に寄っている辺りがハードミニマル時代の名残を感じさせて、曲調に反してエモくなったりします。
別にワタクシの名前に獣の数字があるからって理由で選んだわけではないですよ。

次週10月23日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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