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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2019/01/10

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
4週間ぶりにワタクシが担当致します。

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あけましておめでとうございます。

クリスマスが過ぎ去り、正月も終わって2019年になりました。
当連載も少しお休みを頂いており、ワタクシはその間DJをしたりカレーを作ったりしてました。年跨ぎ感ゼロ。

話は変わりますがHardonizeを開催している茶箱の近くに東京麺珍亭本舗と云う油そば屋さんがあり、クルー一堂贔屓にしていると云うのはここでも何度か挙げている通りです。
このお店、元旦は流石にお休みなのですが大晦日は営業しておりまして、しかも通例の閉店時間が27時と日を跨ぐため、年越しそばどころか

年の明けた直後、最初の食事が油そば

と云うウルトラCが実現できるのです。
ワタクシはこれを毎年の恒例行事にしており、今年も恙なく執り行いました。


そういう意味では年跨ぎ感はゼロではないかもしれません。
0.1くらい?
皆様も是非召し上がりにお越しください。

そんな油そばチャンスを我々から提示できるとすれば来月09日、a.k.a. Hardonize #32の開催日でございます。

2019/02/09 Hardonize #32
「ハードテクノ」を様々な周辺ジャンルも内包し 各々のDJによる解釈でフロアにお届けするハードグルーヴパーティ。 2019...
ほぼ1ヶ月後となりました。
ゲストにはハードスタイル、ハードダンスシーンで手腕を発揮しているお馴染み、Morphonicsさん。
古くからハードハウスやハードテクノにも精通しているため、抜群の信頼感から再々度のご出演に至りました。
数々の現場で研ぎ澄まされたバンギンでアップリフティングな選曲に期待しております。

ハードハウスと云えば今週末、Morphonicsさんが出演するパーティーにこのようなものがございます。


90年代から現代に至るまで脈々とシーンを形成しているハードハウス、ハードエナジーに焦点を当てた近年では珍しいコンセプトの催し。
出演者全員自分から見れば先輩方で、且つ当時のシーンを肌で体験している人で構成されている何と云うか、男らしいパーティーです。
ここ10年かける人いなかったんじゃないかレベルで珍しい曲がガンガン投下されるであろうレアな機会だと思われますし、ハードハウスもハイハットの打ち方やアシッドシンセと云う要素がハードテクノに通ずるところもあって新たな発見に繋がることも期待できます。
お時間のある方はこちらも是非足を運んでください。

さて話は戻りますが、皆様はサンタさんからプレゼントが届いたりお年玉を貰ったりしたでしょうか?
むしろあげる側でしたでしょうか?
余計な話ですけど774Muzikさんは何を、そしていくらお子さんに渡したのでしょうか?
まぁそれはさておきHardonizeから何か用意できるものはないのですが、イベントには軽率に便乗したいお年頃なので新年1発目にお送りする本日のテーマはコレです。

フリーダウンロード。

ワタクシの不定期恒例となっているフリーで公開されている楽曲をアーティスト問わずご紹介していく回となります。
前回はコチラ
前々回はコチラ
過去に紹介したもの以外、且つ(一部を除いて)去年リリースされたものを選出致しました。
詳細ジャンルはハードテクノを中心にテクノ、アシッド、シュランツ、その他周辺ジャンルまで広く。
ストイックに格好良いものから強烈なサンプリングものまで結構見つかりましたので、今回もいつもより多めに掲載しております。
お気軽にポチってハードテクノDIGの糧にするも良し、B2Bで相手を殺すも良し。

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それではいってみましょう。

【メインストリーム系】
D.A.V.E. The Drummer / Acid Funk Xmas Bootleg


Acid Funk Xmas Bootleg by D.A.V.E. The Drummer / Dave The Drummer | Free Listening on SoundCloud

以前アーティスト紹介でもスポットを当てたアシッドテクノシーンの大御所、D.A.V.E. The Drummerによる90年代シカゴハウスネタ。
今までこういった形でブートレグを発表する印象は無かったため、なかなかの衝撃でした。
トラックは現行テクノに寄せた太いボトムが支配する重厚な仕上がり。
中盤の全盛期のオーバードライヴ感増し増しになる展開が無茶苦茶攻撃的なトラック。

Da Hool / Meet Her At The Loveparade (Shadym & Alain Delay Rework2018)


Da Hool – Meet Her At The Loveparade (Shadym & Alain Delay Rework2018)// Buy = FREE DOWNLOAD!!! by Shadym (Official) | Free Listening on SoundCloud

90年代~00年代にドイツで開催されていた大規模テクノフェス、MAYDAYアンセムトラックが元ネタ。
このフレーズが2018年に蘇ったこと自体奇跡のようなトラックです。
曲調は上で紹介したものに輪をかけて凶暴。
サンプリングされたリフのインパクトもそうですが、全体的にハイハットの音が強く前に出ている辺りがリズムの深度と相まってそう感じさせる要因でしょう。

Florian Binaural & Tonschaden / Umbrella Corporation


Florian Binaural & Tonschaden – Umbrella Corporation [Mastered & Free DL] by Florian Binaural | Free Listening on SoundCloud

聴いた瞬間、思わず『嘘でしょ!?』と言ってしまった曲。そのいち。
映画版バイオハザードのメインテーマが元ネタ。
ちなみに原曲を手掛けたのは映画のサウンドプロデュースを行っていたMarilyn Manson
完全に余談ですけど先日こんなニュースが飛び込んできました。もう50歳かー・・・50歳!?
YOSHIKIも!マリリン・マンソンの誕生日会にスターが集結 | MTV Japan

『メインストリーム系』と云うカテゴリーには入れましたけど、ここまで歪まされたリズムはインダストリアルと呼んだ方がしっくり来ますね。
後ろの方で延々と呻き声が鳴ってたりするのもダーク且つホラーな雰囲気に一役買ってます。

【ハードミニマル系】
3Phazegenerator / Looter (Naked Van Mirk Remix)


3Phazegenerator – Looter (Naked Van Mirk Remix) [Filth Infatuated Digital] *Free Wav Download* by Mark Neenan | Free Listening on SoundCloud

現在も活動を継続している(なんなら今月も新譜のリリースを控えている)Filth Infatuated Digitalと云うレーベルから2012年にリリースされた曲が年末にフリーで公開されたのがコチラ。
7年前の作品とは言えど古めかしい印象はなく、現行のトラックと何ら遜色ない無機質で重低音響くハードミニマル。
中盤以降で鳴らされる高音域に寄った小走りのシンセリフと、随所に散りばめられたサイレンみたいなSXの使い方が独特です。

Dj Slugo / Wouldn’t You Like To Be a Ho Too (SveTec HT Rework)


(FREE DOWNLOAD) Dj Slugo – Wouldn’t You Like To Be a Ho Too (SveTec HT Rework) by SveTec | Sve Tec | Free Listening on SoundCloud

シカゴハウス、ゲットーテックの伝説的存在、DJ Slugoが2008年に手掛けたヒットチューンを、こちらはハードテクノ、シュランツ界の大御所SveTecがリミックス。
歪みまくったリズムが高速テンポで走るシュランツです。
この手のゲットーなボイスサンプリングとシュランツの相性が良いのは2006年に出たLala Landの例もあり実証されているので、非常に喜ばしい。
ただこうして聴くと地鳴りのようなベースが響いているので、やはり現行のテクノに沿った作り込みをされているなぁと感じます。

【ハードグルーヴ系】
Ny D’ Jesus / Ami Nsa Moku (HardGroove REMIX)


Ny D’ Jesus- Ami Nsa Moku (HardGroove REMIX) by Ny D´Jesus | Free Listening on SoundCloud

ソカ、レゲトン辺りのワールドミュージックを元ネタとする元気いっぱいなハードグルーヴ。
パーカッションの鳴らし方が土着音楽感あって大変好みです。
これを手掛けたNy D’ Jesusはドレッドヘアーにタトゥービッシリと見た目ヒップホップな様相。
ポルトガル出身と云うことでGoncalo Mとは共演経験もあるみたいです。
まだまだ若手なのでこの先が楽しみです。

SAFRI DUO / FALLING HILL (JOHN ASKEW REWORK)


SAFRI DUO – FALLING HILL (JOHN ASKEW REWORK) Free Download by John Askew | Free Listening on SoundCloud

Safri Duoと云うデンマークのパーカッションユニットの曲をアレンジしたもの。
手掛けたのはトランスからテクノまで硬くて煌びやかな音使いを得意とするJohn Askew
昨年来日してたんですよねー・・・開催は知っていたのに予定が被って見れなかった。

以前のフリーダウンロード特集の際も彼の曲は挙げておりますが、相変わらずリフ回しが秀逸。
説明文にも書いてある通りカーニバルっぽさが連想されるピークタイム周辺で放り込みたいトラック。

The Prodigy / Smack My Bitch Up (Phutek 2017 Remix)


The Prodigy – Smack My Bitch Up (Phutek 2017 Remix )FREE DOWNLOAD by Phutek | Phutek | Free Listening on SoundCloud

もう曲名の通りではあるんですけど、90年代レイヴの残党にして絶対王者The Prodigy代表曲アレンジです。
これを原曲とするテクノ~ハードテクノは数多く存在するのですが、ブレイクの部分で原曲のサビをブレイクビートまで含めて使ったものはなかなか珍しい気がしますね。
メインストリーム系、ハード系どっちにも使えるリズムと云うのも使いやすいですし、使いようによってはジャンル間のクロスオーバーとしても機能します。
アリガタヤアリガタヤ。

【ハードアシッド系】
Fil Devious / Welcome To Brighton!


Fil Devious – Welcome To Brighton ! FREE DOWNLOAD by Fil_Devious | Fil Devious | Free Listening on SoundCloud

速いテンポに前のめりなリズムとうねるベース、そして忙しなく奏でられるアシッドシンセのリフ。
お手本のようなオーバードライブもの。
Fil Deviousはアシッド~ハードテクノの有名レーベルに所属し、このような攻撃的なトラックを生産し続けているアーティストなので是非お見知りおきを。
彼のSoundcloudアカウントには他にもフリーダウンロード楽曲がいくつかあり、比較的最近アップロードされたBeyond Recognitionなんかはもう少しテンポを落としたハードミニマルに近い曲となっています。

Ling Ling / Dr. Wily’s Castle (Remix)


Ling Ling – Dr. Wily’s Castle (Remix) by freetaxler | Free Listening on SoundCloud

聴いた瞬間、思わず『嘘でしょ!?』と言ってしまった曲。そのに。
ロックマン2より、Dr.ワイリーステージのBGMが元ネタ。
しかもこれまで紹介した曲のようにサンプリングした素材を加工したものではなく、アシッドシンセによるフレーズの弾き直しを行っているのがもうおかしくておかしくて。
随所で明らかに元ネタと関係ないフレーズに置き換わったりするのも明らかに遊んでいるフシがあって完敗です。私の負けです。
あまりのインパクトユエ、使える局面は限られてくると思われますが、こう云う曲が使えるパーティーからのオファー、心よりお待ちしております。

【オマケ】
Kenji Kawai / Ghost in the Shell (SIRO BOOTLEG)


[FREE DL] Kenji Kawai – Ghost in the Shell [SIRO BOOTLEG] by SiRo (Official) | Free Listening on SoundCloud

公開されたのが2015年と少し前なので補足的な扱いでご紹介。
これも曲名の通り、川井憲次のネタのブートレグです。
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のオープニング曲とあって国内外で数多くのアレンジが生み出されているのは認識していましたが、まだここにもいたかと云う感じ。
メインストリームテクノのお手本とも言うべき、リズムの強度で全てを引っ張っていくシンプルな構成、ユエに使いやすい。
と云うかこの歌は本当にそれだけで雰囲気出ますね。

ちなみにアレンジしたアーティスト名が『シロ』で、顔立ちが少しアジア系寄り(口元が774Muzikさんに似てない?)だったり、アーティスト写真で来ているTシャツにでっかく東京と書いてあったりしますが、生粋のドイツ人。

更に余談ですが先日とある人から大量のDVDを渡され、全て視聴せよと云う命令が下っており、その中にGHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊があったので正月に見ていたと云う出来事がありました。


年跨ぎ感0.2くらい?逆に減点でゼロ?

RRRitalin / 15 Cans


Dick & Qwerty 001: RRRitalin – 15 Cans [FREE DOWNLOAD!!] by RRRitalin | Free Listening on SoundCloud

00年代終盤に自分がハマっていた音楽にミュータントベース、フィジェットハウスなどの4つ打ちベースミュージックがあります。
主にUKガラージから派生したこの音楽はベースのフレーズを変幻自在に操り、それまでのダンスミュージックになかったある種の気持ち悪さと面白さを擁していました。
その当時からKanji KineticThe Squire Of Gothosらと共にシーンを支えていた人物がこのRRRitalinです。
ベースミュージックのみならずブレイクビーツ、アシッド、レイヴまで取り込んだ彼のサウンドは、まさしく異形と称するに相応しい新しさがあったのです。

では現在まで音楽活動を維持していたかと云うとそうではなく、2013年以降DJ活動も休止していた期間が数年ありました。
それがここ1~2年でじわじわ復活しており、実に6年ぶりにフリーダウンロードと云う形で世に放たれたのがこちらのトラックなのです。
何と云うか両手を揚げて『おかえり!』と言う他ないのですが、曲自体もあの頃から全く衰えていないクオリティで一層喜ばしい出来事です。
速いテンポに手を変え品を変え迫りくるベース、散りばめられたボイスやレイヴ感のあるリフのサンプリングは下品でいて気持ち良い。

昨年はイギリスの大規模レイヴフェス、BANGFACE WEEKENDER 2018にも出演していたこともあり、本格的な活動再開が期待されます。
過去曲の一部はBeatportMutant Bass Recordsから今でも入手が可能なので、こちらも是非お見知りおきを。

Wiley / Flip The Table


Wiley – Flip The Table [Dizzee Rascal & Skepta diss] – YouTube

グライムと云えばヒップホップとベースミュージックの中間に位置する音楽の1種で、近年テクノとベースミュージックが接近していることもあってシーンを超えて注目されているジャンルでもあります。
去年グライムの主要レーベルであるButterzのクルーが一斉に来日すると云うパーティーもありまして、いやはやアレは楽しい一夜でした。
この音楽がヒップホップに近いと言える理由の1つが、グライムを主戦場とするMCが何人もいると云う点だと思うのですが、そのトップクラスに君臨するのがこのWileyと云うアーティストです。

同じくトップMCに挙げられる人物としてDizzee RascalSkeptaの存在が欠かせないのですが、昨年Wileyはこの2人を所謂DISする曲を発表。
それがこちらになります。
グライムのトップMC同士によるビーフ(抗争)と云うことで海外音楽メディアは一斉に記事を掲載(※)したのですが、日本だと言及しているところが見当たりませんでした。
個人的にはかなり大きなニュースだと思うんですけれど。
(※例:‘The war has officially started’ – Wiley takes aim at Dizzee Rascal and Skepta in new track ‘Flip The Table’)

要約するとWileyとDizzee Rascal自体は元々仲が悪かったところへ、Dizzee RascalがSkeptaをフィーチャリングしてMoney Rightと云う曲をリリースし、彼のツアーにまで同行させたのが引き金となったようです。
かつてWileyとSkeptaはBoy Better Knowと云う(これも超有名な)レーベルに共に在籍し、共同作品も多くリリースしていただけに、Wileyはこの行為を『裏切り者。』と批判。
戦争は始まった。』と云う発言と共にこの曲が投下されたと云った経緯が書いてあります。

トラックそのものは単調であるものの、全編3分30秒に渡って休みなく歌いっぱなしと云うキレっぷり。
この先Dizzee RascalやSkeptaからのアンサーは返ってくるんでしょうか。展開が気になります。

ダウンロード先はコチラ。


最後は音楽ニュース的な感じになってしまいました。

以上フリーダウンロード楽曲の紹介でございました。
予想以上に長くなってしまいましたが、琴線に触れるトラックと出会えたら幸いです。

ハードテクノに限らず、音楽はアーティストたちの手によって日々生産されており、その数は膨大です。
勿論チャートやアワードにランクインするような広く支持される曲を注視していくことは大事ですが、上記で紹介した楽曲はそれらとはまた質の異なるものであると認識しています。
その最たる利点は完成したらそのまま流通できると云う強みだと思っており、それユエにアーティストの発想がそのまま曲に反映されているのです。
ローコストと云う点ばかりに優位性が認められがちですが、それだけが魅力ではないと云うのがワタクシの持論です。

我々はそれらも含めてハードテクノを中心とした音楽の魅力を提示していきたいと思っております。
重ね重ねになりますが、02月09日のHardonize #32、そして本年もHardonizeをよろしくお願い申し上げます。

次週01月15日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/12/13

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

一昨日のYudukiボスによるエントリーで記載されていた通り、先週は25th ANNIVERSARY OF MANIAC LOVE – ML PROGRAM 2と云うパーティーがありまして、自分もそこに行っておりました。
青山にあった本家MANIAC LOVEには1度も行ったことなかったのですが、当時から周囲の話題として挙がっていたハコではあったので数年越しになってしまったものの、雰囲気だけでも味わおうと極めて軽い気持ちで足を運んだわけなのですが、何と云うか、想像以上にエネルギッシュな空間を体感しました。
曲が変わる、どころか1曲の中でも展開が変わる度に歓声が上がっており、それに応答するかのように往年のテクノアンセムがバンバン投下される。
これは自分が知っているテクノと同じ音楽なのかと疑ってしまう程でした。

本家があった頃はもっとお客さんがアグレッシヴだったらしく、常にどこかしらで歓声が上がっている状態が続いていたそうです。
ああ、これは影響を受ける人が出てくるわけだと思いましたし、またもや『もう少し生まれる年が早かったら』と悔しくもなりました。
大変良いパーティーでした。

ちなみに25th ANNIVERSARY OF MANIAC LOVE – ML PROGRAM 2に行く前はFIX #030と云うパーティーに行っておりまして、こっちはこっちで現行のハードテクノがガンガンかかる空間でした。
同じハードテクノと云ってもHardonizeとは少し質の違うものが流れており、
ストイックなリフを軸に据えながらも暗過ぎず、硬過ぎず・・・強いて分類するならアグレッシヴなハードミニマルがメインだったように思えます。

細かい話になってしまうのですが、ワタクシを含むHardonizeレジデントは割と曲単体が映えるようにその展開を踏まえたミックスをする傾向があるのですが、このFIXと云うパーティーでは逆にDJが積極的にエフェクトやカットインなどを駆使して展開を作っていくと云う違いがあって、それは物凄い参考になりましたし、面白いと感じた部分でした。
この日ゲストのHomma Honganjiさんの4デッキスタイルなんかは正にその象徴でしたね。
相変わらず忙しそうなプレイだなと思って拝見していた一方、ヴァイナルを含む複数デッキで音圧調整とビートキープが完璧であるその技術は謎過ぎてゾワゾワします。

そんなワケで先週はかなりテクノ充してました。
丁度次回Hardonizeの日程も2019年02月09日と発表されたので、それまでにこの日得たものを消化して臨みたいと思います。
何卒よろしくお願いします。

一方で未だ消化に時間のかかっているものがコチラです。

前回記事の冒頭で触れた通り、先月末を以って閉店してしまったレンタルCDショップ、ジャニスの在庫放出期間中に購入したCDたちです。
ざっくり数えたところ、150枚を超えておりました。
悲しみの度合いを表した数字と受け取ってください。

前回担当日の翌日が閉店日だったのですが、案の定と云うか、結局その日も足を運んでしまいました。
閉店日に近付くにつれてお客さんも多くなっていき、数万枚あったと言われる在庫も着実に減っていた印象はあるのですが、それでもまだ掘り尽くせなかった感があります。
こんな店はもう2度と現れないだろうなと名残惜しさが募る一方、うち10数年はこのお店と関わることができたのを光栄に思うことにします。
本当にお世話になりました。

で、この中にはテクノのレア盤も含まれているのでございまして、今回はそれらの一部をご紹介したいと思います。
速い話が

DIG自慢

です。

R&S RECORDS関連

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In Order To Dance Two (CD, Compilation) | Discogs
Order To Dance III (CD, Compilation) | Discogs
In Order To Dance 5 (CD, Compilation) | Discogs
R&S Classics (CD, Compilation, Limited Edition) | Discog

R&S RECORDSは80年代に設立されたベルギーのレコードレーベル。
ヨーロッパレイヴの誕生に大きく貢献し、そのままシーンの中心に君臨した伝説的存在でもあります。
その影響力は90年代に入っても衰えず、多くのテクノアーティスト、DJから絶大な信頼を寄せられていました。
当時の所属アーティストはAphex TwinCJ Bollandなど。
これだけでも凄さが伝わってきますが、AKIRAの原作及び監督を務めた大友克洋がPVのイラストを担当したKen Ishii / Extraがリリースされたのも、Boom Boom Satellitesがアーティストとしてデビューを果たしたのも、このR&S RECORDSなのです。

そんなレーベルの90年代初期~中期にかけてリリースされたコンピレーションをゴッソリ救出。
収録曲はどれも有名曲ばかりですし、R&S RECORDSは現在も活動を継続中、且つ過去の音源を積極的に配信していることもあって、楽曲単体で手に入れることは比較的容易です。
『古きを温めて新しきを知る』と言いますし、この時代の音楽から得られるものは決して少なくありません。
R&S Records Releases & Artists on Beatport

Joey Beltram / Energy Flash

RISING HIGH PRODUCTIONS関連

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Rising High Techno Injection 2 (CD, Compilation) | Discogs
World Techno Tribe (CD, Compilation, Mixed) | Discogs
Rising High Trance Injection (CD, Compilation) | Discogs
The Secret Life Of Trance 4 (CD, Compilation) | Discogs
Avantgardism – Drum ‘N’ Bass (CD, Compilation) | Discogs

こちらも90年代のレイヴからその後のジャンル分派に於いて大きくシーンに貢献した名門レーベル。
本家はイギリスですが、最盛期にはアメリカにも傘下レーベルを持ち、Atom HeartHardfloorJohn Digweedなどがリリースを果たしています。
1999年に1度活動を休止してしまったのですが、2015年からリマスター版の配布を始めており、現在は新曲のリリースも行っていることから復活したと言って差し支えないのではと思います。

こちらも90年代初期~中期のコンピレーションを一気買い。
ドラムンベースのコンピレーションがこの当時でしか実現しないような面子でアツい。
配信もあるにはあるのですが、フィジカルのリリース数に比べて圧倒的に不足しており、且つアーティストに偏りがあります。
そう云う意味では内容に於いてもレア度が高い作品群です。
Rising High Releases & Artists on Beatport

The Hypnotist / Pioneers of the Warped Groove

Q’HEY + SHIN – PLANETARY ALLIANCE

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Q’hey & Shin Nishimura – Planetary Alliance (CD, Album) | Discogs

奇しくも冒頭で述べた25th ANNIVERSARY OF MANIAC LOVE – ML PROGRAM 2に出演されていたQ’heyさんが同じく日本でテクノを手掛けていたShin Nishimuraさんとタッグを組んで作られた全曲共作によるアルバム。
ちなみにジャケットイラストを先述のKen Ishii / ExtraのPVにて監督を務めた森本晃司が手がけています。
出音はどれもカッチリした双方得意とする感じにはなっているものの、アシッドシンセに焦点を当てた曲があったり、ブレイクビーツ混じりの4つ打ちがあったり、エレクトロのようなファンキーなリフのトラックがあったと思えばゴリゴリのハードミニマルも収録されているなどバラエティに富んだ1枚となっております。
当時から好きで何度か使ったこともあります。

残念ながらアルバムとしての配信はなし。
但し、収録曲の中に1つだけ別レーベルからシングルカットされた曲があり、これに関しては配信されていたので以下に挙げておきます。
これがHardonizeにうってつけのハードミニマルで、大変カッコ良い。

Q’hey, Shin / Melissa

HITOSHI OHISHI – metronomerampage

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Hitoshi Ohishi – Metronomerampage (CD, Album) | Discogs

日本人のテクノクリエイターの中でも4つ打ち重視ではあるものの、それでも変則的なグルーヴを奏でていた人と云うと個人的には真っ先にこの人が挙げられます。
ジャパニーズテクノレーベルの代表とも言えるFrogman Recordsに所属し、ラッパーの環ROYと共作でアルバムを手掛けると云う一風変わった経験の持ち主。
作品に於いてはキック以外のハイハットやスネアと云った金物の打ち方がブレイクビーツっぽいのと、リフがバウンシーだったりするのが変則的に聴こえるのだと思いますが、本作ではその辺りのテクニックがふんだんに使われており、音は無機質なのに感情的と云う相反した印象が同時にやってくるので、聴いていて楽しいのです。

海外配信サイトに於いては本作はおろか、HITOSHI OHISHIさんのアーティストページすらないところが多かったのですが、なんとOTOTOYで楽曲データを買えることが判明しました。
HITOSHI OHISHI / metronomerampage – OTOTOY
と云うかFrogman Recordsの作品がほぼ揃っているように見えます。
ヴァイナル作品までしっかりデータ化されている辺り、大変ありがたい。
ジャングルの奥地に黄金郷を発見した探検家の気分が分かりました。

そして本作収録曲は埋め込み可能な方式としてはどこにもアップロードされていなかったので、HITOSHI OHISHIさんの作品の中でも特に好きなものを以下に貼付してお茶を濁します。
硬くはないのですがファンキーなリフ回しがとても好みです。

Hitoshi Ohishi / Round Sell

leopaldon関連

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Leopaldon – Cake Or Girl? (CD, Album) | Discogs
Leopaldon = Leopaldon – ヤバコプター (CD, Album) | Discogs

レオパルドンと云えばサンプリング、ネタモノを主体としたテクノ、所謂ナードコアを語る上で避けて通れない存在で、一部界隈に於いては未だに絶大な人気を誇っているユニットです。
来歴については最近掲載されたこちらの記事に詳しいことが載っております。物凄い熱量。
第62回「レオパルドン」/ #62 “Leopaldon”: 面白外人イアンの「謎の文化チガイ」 / Fascinating Foreigner Ian presents “Enigmatic Cultural Differences”

その作品は中古市場やヤフオクでたまに流通されるもののすぐに買い手がつくため、入手困難と云う状態が少なく見積もっても10年以上続いております。
それがまさかこんな形で手に入るとは思いませんでした。

Cake Or Girl?についてはナードコアと云う単語をそのまま落とし込んだかのような強烈且つ謎のサンプリングによって構成された楽曲で構成されていて、とにかくおかしい。(2つの意味で。)
一方、ヤバコプターの方も基本的なスタンスはCake Or Girl?と変わらないものの、一部楽曲に於いてはメンバー或いは外部フィーチャリングによるラップが挿入されており、よりジャンルクロスオーバー的。
実際これらの作品のリリース後、レオパルドンはナードコアのアーティストと云うよりはヒップホップ・ミーツ・テクノユニットとしての側面が強くなります。

ナードコア全般に言えることですが、極めて危ういシロモノであるため、当然本作の配信はありません。
が、メンバーの高野政所さんが直々に当時の未発表音源をアーカイブしたものがBandcampで配信中。
レオパルドンのナードコア墓場1998-2000 | やばさ RECORDINGS
また、上記記事にて告知されておりますが、今年の年末31日にナードコアアーティストを一挙に招集したパーティーが開催されますので、その面白さと大胆さを是非体感して欲しい。
「ナードコア・テクノ」の夕焼け

Leopaldon / Cake or Girl

NISH関連

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Nish – Quadroid -Selected Live Tracks- (CD, Album, Mixed) | Discogs
Nish – Euphoride (CD, Album, Mixed) | Discogs

YOJIさん、REMO CONさんに続く次世代ハードダンスシーンの担い手として知られたNISHさんの初期作品。
後年国内/海外問わず有名レーベルからヴァイナル、デジタルリリースを行っており、意外なところでは音楽ゲームに楽曲を提供していたこともあるため、何らかの作品に触れたことがあると云う人は少なからずいらっしゃるかもしれません。
おそらくそう云った方々の印象からは煌びやかでメロディアスな曲を主体に手掛けているのだと思いがちですが、この2作品に於いてはより攻撃的なハードハウス、ハードエナジーがメイン。
シンプル且つインパクトが高いリフが楽曲ごとに手を変え品を変え押し寄せてくるので、良い意味でハードダンスの初期衝動感満載です。
収録曲の中にはヴァイナルカットされたものもありますが、本作を通してしか聴けない曲も多数含まれているので、流通数の少なさも相まって大変貴重な作品でもあります。

ざっくり調べてみたものの、これらの収録曲の中でデータ購入可能な曲は1つもありませんでした。
1曲だけNISHさんの代表曲と言えるSagittariusが聴けるようになっていたので以下にご紹介。
これとBlue Sunshineはアップリフティングスタイルの2大双璧だと思ってます。

余談になりますが、NISHさんは現在Ken Plus Ichiroと名前を変えて活動中。
よりユーフォリックでプログレッシヴトランス寄りの楽曲を展開しているのでメロディアス好きの方は是非ご愛好ください。
Ken Plus Ichiro Tracks & Releases on Beatport

Nish / Sagittarius

ひとまず以上で今回は〆。
今回の一件がなくとも、今でも頻繁にCDショップに足を運んでは妙なCDを発掘していたりするので、その時発掘した作品をここで取り上げる機会があっても良かったなと今更思い至りました。
折を見てシリーズ化していくかもしれませんのでその際はお付き合いください。

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ボス、ラーメンご馳走様でした。んまかったです。

次週12月18日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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