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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/12/14

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

年の瀬が迫ってまいりました。
私事で恐縮なのですが、この時期になると毎年『5TRAX』と云う企画を執り行っておりまして、現在その運営でてんてこまいでございます。

概要としては今年リリースされた単一ジャンルの5曲を選出しMIXしてもらったものを提出して貰って、一挙公開すると云ったもの。
その結果ジャンル問わず大量のMIXが集まることになり、しかも1つ当たりのMIXが5曲と短いため次々聴けると云う塩梅になっております。
現時点で若手、ベテラン問わず参加して頂いており、また7年もやってると常連と呼べる方々の存在も見受けられるようになりました。
本当にありがたいことです。
尚、締め切りは3日後17日の23時59分ですのでまだ間に合います。
膨大なリリースの中から5曲に絞ると云う悩みはありますが、参加して頂けるととても嬉しいです。

さて、上に因んで今年行ったHardonizeでの自分のプレイを振り返ったりしてみると・・・いやはや、今年も好き放題させて貰えたなと云う所感を抱いております。
ざっくり記すと

2017/02/25 Hardonize#26

2017/02/25(Sat) Hardonize#26
「ハードテクノ」を様々な周辺ジャンルも内包し 各々のDJによる解釈でフロアにお届けするハードグルーヴパーティ! 2017年一...
Guest DJ:
Morphonics a.k.a. 紙袋(EXTREMA/DefDistortion)
marix

自分のDJ:
テクノ ~ ダウンビート ~ ブレイクビート ~ インダストリアル

2017/07/08 Hardonize#27

2017/07/08(Sat) Hardonize#27
「ハードテクノ」を様々な周辺ジャンルも内包し 各々のDJによる解釈でフロアにお届けするハードグルーヴパーティ! 27回目のH...
Guest DJ
五条狐萩 (天燈通信社/AVSS)
かわくぼ(ACID FOG/DELTROID)

自分のDJ:
ハードグルーヴ ~ レイヴ ~ ベースミュージック ~ UKハードハウス

2017/11/04 Hardonize#28

2017/11/04(Sat) Hardonize#28
「ハードテクノ」を様々な周辺ジャンルも内包し 各々のDJによる解釈でフロアにお届けするハードグルーヴパーティ! 10周年を目...
Guest DJ
Die (HONDALADY / 全日本レコード)
Bee.Bee.(exbit trax)

自分のDJ:
テクノ ~ グレイエリア ~ テクノ ~ ディスコ

こんな感じだったようです。思ったよりハードテクノやってなかった・・・。
割合メインストリーム系テクノにどっぷり浸かった年だったかもしれません。
実はHardonize以外でもテクノをプレイする機会が多かったです。
とりわけ無骨なトラックを選んでプレイしていたフシがあり、現場でお聴き頂いた方ならお分かり頂けたかと思いますが、あのサウンドはハードテクノに勝るとも劣らないエグさがありますよね。

と云うわけで今回は今年行われた3回のHardonizeにて自分がプレイした曲の中から2つずつ取り上げてご紹介します。
折角なので冒頭の5TRAXに絡めて今年リリースされたもの縛りにしました。
自分のプレイスタイルが焦点を定めないアレだもんで傾向の整合性なんか全くなく、『テクノ』としか括れない6曲になりました。
まだパーティーにご来場頂いたことのない方は『こういうのが実際に流れたんだ。』くらいの認識を持って貰えると嬉しいです。

では早速、Hardonize#26で流したものから。

Orbital / Kinetic 2017


何と言ってもこれかなぁと。この日の〆に流した気がします。
今年も様々なテクノ重大ニュースが飛び交った1年でした。
UMEKやDerrick Mayの来日、Aphex Twinに至っては今年のフジロックフェスティバルでAsagaoaudio氏の曲をプレイしたり、Jeff Millsが朝のバラエティ番組に出演してThe Bellsが全国で流れたり、Hardfloorが交響詩篇エウレカセブンの劇場版に新曲を提供したり・・・。
そしてOrbital、2度目の復活も今年だったわけで、1992年のレイヴアンセムとなった曲のリメイクを引っ提げて帰ってきたわけであります。
昨年にはT99のAnasthasiaがリメイクを果たしたり、いよいよレイヴ回帰が始まるかもと思わせる出来事として印象深い一作。

Joy Orbison / Off Season


レイヴ回帰を意識させるトラックとして同じくらいインパクトがあったのがこれ。
極太のキックの周囲を固めるようにアーメンライクなリズムが跳梁跋扈する上に乗るヒプノティックなサウンドが不穏なトラック。
シンプルではありますが、ダークで怪しい側面もまたレイヴにおける大きな魅力の1つだと再認識させてくれた曲でした。
余談ですがこれ、ヴァイナルでも出てます。
今年福岡にお招き頂いた際、向こうのレコード屋にあってビックリしました。
ちなみにここです。大変良いお店。聞くところによるとこのお店のせいで音楽遍歴に多大な歪みが起こった人も多いそうな。
https://www.jungleexotica.com/

続いてHardonize#27で流したもの。

Remo-con / Turn It On, Turn The Boogie On (Original Edit)


夏だったのでハードグルーヴやるかーってところにピッタリハマったのがコチラ。
Remo-Con氏のメインフィールドとなるハードダンスのリズムとド派手なディスコリフが見事にマッチした贅沢な1曲です。
初発は2016年の夏にexbit traxからリリースされたコンピレーションでしたが、今年に入ってから2つのリミックスと共に再発売されました。
ちなみに内片方はHomma Honganji氏によるリミックス。そちらもド直球ハードグルーヴでオススメです。(Yudukiボスが当連載で挙げてました。)

Ross Homson / Snakehead (Megaman Remix)


UKハードハウス。この日トリで、最後の方アップリフティング方面に向かう際に使った曲です。
この日の流れがベースミュージックからトランスに向かう感じだったので、丁度UKガラージっぽいオルガンの音が両者の橋渡しとして機能するこの曲をキーにしました。
バウンシーなベースもかなりファンキーで気に入ってます。
丁度この時期に所謂ワープハウスとか、ハッピーハンドバッグと呼ばれていた90年代の曲が結構配信されていることに気付いて、しこたま買った覚えがあります。
機会があったらそっち方面のセットもいずれやってみたいですね。

最後は先月のHardonize#28で流したもの。

D-Unity / Singing for money


一転して渋い路線。今年初頭にフリーダウンロードで公開されたテクノ。
長年にわたりテクノ、ハウスで散々使われたと思っているGypsy Womanですが、2017年になってもこのネタで出るんだなぁと思いました。
これを作ったD-Unityは今をときめくメインストリームテクノのトップスター。
テックハウス、ミニマルのような大人しめの音からインダストリアルと云った尖ったエグい音まで幅広く手掛けています。
SoundcloudにあるMIXを聴くと無機質一辺倒だと思われがちなテクノの持つ表情の豊かさみたいなものに触れられると思います。
ちなみに同場所には他にも聞き覚えのあるネタのブートレグが挙がっているので、そう云う意味でも1度覗きに行くことをオススメします。

Grey Area 05 / Grey Area 05 #2


最後にご紹介するのはやはりグレイエリア。やはりこの音楽には大分衝撃を受けました。
その特性からエレクトロニカテイストなリズムになるのかと思いきや、こういったテクノの質感の強いものが存在することも大きな要因です。
この曲に関しては探していて最初期に見つけたがユエに印象に残っていると云う点も勿論ありますが、キックが入ってくると完全に3拍子にしか聴こえなくなる不思議さや、あえて匿名で世に放つと云うマーケティングのインパクトなど、総合的に判断して『変な曲』筆頭だと思います。
今後もHardonizeに絡められるところはどんどん絡めていきますので何卒よろしくお願いします。

グレイエリアについてはこちらの記事で触れているので初見の方は是非ご参考にしてください。

今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/10/19
こんばんは。TAK666です。 レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、 2週間ぶりにワタクシが担当致します...

以上足早ではありますが、自分が使った曲の一部について焦点を当ててみました。
メインストリームもアンダーグラウンドも面白い音楽ばかりで大変良い時代になったものです。
テクノ1つ取り挙げてもこの幅なので、他の音楽は一体どうなってるのか気になるところ。

そして来年はどんな音が出てくるだろうかと思いを馳せております。
が、差し当たり目の前に積まれたタスクを消化せねばならない現実とも戦わなければなりません。
どうかHardonizeと5TRAXをよろしくお願い致します。

次週12月19日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/11/30

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

先週Ceephax Acid Crewを見てきました。
Squarepusherの実の弟で、ハードウェアを駆使したアシッドテクノのライブを長きに渡って行ってきたアーティスト。
今回もブース上には機材がずらり。
手法はアナログでありながら次々に変化を見せるサウンドは懐かしさと荒削りな高揚感を同時に与えてくれて実に楽しかったです。
個人的に好きだったSidney’s Sizzlerが聴けたことも一層。


Sidney’s Sizzler (Original Mix) by Ceephax Acid Crew on Beatport

先週の話で続けますと、これと同じ日にblock.fmでRemo-Con氏が行っている番組Remote Controlが303回目を迎えたと云うことでアシッドテクノの核となる音を出すシンセサイザー、TB-303とTB-303クローンの特集を組んでましたね。
リスナーから受け取ったフレーズをリアルタイムで打ち込んだりしてて自由奔放な放送内容となっておりますのでお聴きになられていない方はアーカイブが公開されているうちに是非。
素人耳にもかなり滅茶苦茶と思える音階の羅列でもカッコ良く聴こえてしまうアシッドテクノの魔力がひしひしと伝わってきます。
Remote Control | block.fm

更に同日、アシッドテクノの大御所であるHardfloorが来日してました。こちらは行かれた方も多いのではないでしょうか。
1992年にリリースされた名曲、Acperience 1から25年経ってAcperience 7が発表されたことは大きなニュースでしたし、それもアニメ『交響詩篇エウレカセブン』の劇場版挿入歌として使われると云うこともまた拍車をかけています。
旧来のテクノか最新鋭のテクノを追っているわけでもなければそう頻繁に聴ける音ではない筈ですから、ライブに行った方々の大半は新鮮に聴こえたのではないかと思われます。行きたかったけど仕方ない。

そんなワケで疑うべくもなくアシッドテクノ日和と呼べる日がありまして、かくいうワタクシも週末のプレイでちょろっとアシッドテクノ回したりもしてしまいました。(しかも全然テクノと関係ないパーティーで。)
まだ余韻に浸っている方もいると信じ、今回取り上げるのもアシッドテクノとハードテクノに因んだこの方にします。

【Sterling Moss】

Sterling Moss

https://www.facebook.com/sterlingmossuk
https://soundcloud.com/sterlingmoss

イギリス、ロンドンのDJ/クリエイター。
2001年にリリースされたデビュー作品から現在に至るまでアシッドシンセを軸に置いたハードなダンスミュージックをリリースし続けているベテランです。
Raceway Recordings、RaceTrax、Rebeltekなど自身のレーベルを複数抱えながら多くのアーティストと交流を持ち、Aaron Liberator、Chris Liberator、Julian Liberatorが立ち上げたStay Up Forever、D.A.V.E. The Drummerがボスを務めるApex Recordings、Hydraulix、そしてGuy McAfferによって運営されているRAW (Ripe Analogue Waveforms)など大御所レーベルにも積極的に作品を提供しております。
北米、南米、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアの25カ国以上でツアー経験を持ち、日本にも2009年と2012年に来訪。
特に2012年はStay Up Foreverのリリース記念パーティーでの来日であったのでAaron Liberator、Chris Liberatorと共に招聘されていたようです。めっちゃ豪華。

また、彼の来歴を語る上で欠かせないのがMC-909の開発に携わったことです。
MC-909は2002年にローランドから出たサンプラーやシンセサイザー、エフェクターが一体となったワークステーションで、リズムマシンとして使えたり、あわよくば1台完結でトラックメイキングまで行えると云う高機能なシロモノ。
液晶画面が搭載されていたり、USB経由でPCとの連携も容易になったと云う点で当時としてはかなり画期的な要素もあったこの機材のプログラマーとして抜擢されたのがSterling Mossでした。
ハウス、テクノ、トランスなどの4つ打ちダンスミュージックに大きく貢献した機材であったことから、彼の敏腕っぷりの片鱗を窺い知ることができるでしょう。
余談ですがCo-FusionのWall5ことタニヘイゴ氏やRemo-Con氏がこのMc-909にプリセット音源を提供しています。

さて、Sterling Mossのサウンドについてですが、何と言っても印象深いのはダイナミックでバンギンなアシッドテクノでしょう。
ハードテクノ、ハードダンスの垣根をアシッドと云う武器を持って軽々と越えていく楽曲が多く、アシッドテクノシーン以外にもAndy FarleyやYoji Biomehanika氏らトランス系のDJによるMIX CDにも収録されました。
(余談ですがNish氏のリミックスも行った経験もあったり、何かと日本とはちょくちょく関わりのある方ですね。)

DJに於いても非常に卓越したスキルを持っており、一般的な2デッキに加えて『3番目の何か』を使うことが多くあるようです。
それは時にターンテーブルであり、2曲を繋ぐ際の橋渡しとしてアカペラを重ねたりスクラッチを加えたりするために使い、ある時はサンプラーやリズムマシンであり、より複雑なグルーヴを表現するために用いられます。
これらはハードテクノやハードダンスの持つエネルギーを最大限生かすために考え付いた手法であると語られており、音楽の融合によって生み出される高揚感に比重を置いていることが汲み取れます。

同時に彼はこれらのハード系4つ打ちの垣根が崩壊してきているとも語っており、『それがテクノであれトランスであれ、自分が良いと思ったものをプレイしている。だから特定のジャンルを挙げて自分のスタイルを説明することは難しい。』と云うような発言を残しています。
従って厳密にはアシッドテクノの人とここで形容したのもSterling Mossからすれば良しとしないのかもしれません。
事実、彼はE.S.C.と云う名義でメインストリームテクノをリリースしたり、The Boardroomと云うエレクトロロックバンドを結成したりもしています。
多くのクリエイターと親交を持ち、世界中の魅力的なサウンドを絶え間なく巡りながら得た新しい音楽とアイディアをプロダクションやDJに反映させる探求者、それがSterling Mossです。
DJたる者であれば彼のようなハングリー精神は欠かせないものであると肝に銘じましょう。

そんなSterling Mossのオススメはこちら。

Dynamo City / One Night In Hackney (Chris Liberator & Sterling Moss Remix)

Sterling Moss / Bring The Bass

Sterling Moss / Don’t Fuck Around

Sterling Moss, Lethal One / Turn It Up

Sterling Moss, DVS / Techno Punks

Paul Janes, Sterling Moss / Karneval

次週12月05日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。