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新作ベースライン特集 (2021年04月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2021/04/01

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知】

今週頭にHardonize #38のインフォメーションが公開されました。

2021/06/19(sat) Hardonize #38 at sabaco music&cafe

■Date

2021/06/19(Sat) 14:00-20:00

■DOOR/ADV

DOOR: 2,000yen (with 1drink ticket)

ゲストは前回に引き続きASINさんとBishamonさんの2名。
高速なテンポと狂暴なリズムでフロアを制圧するシュランツシーンの代表プレイヤーとインダストリアルテクノを軸に幅広い展開を紡ぐ腕利きの組み合わせとなっております。
思い返すとストイックなサウンドにスポットを当てる名目でこの2人をお招きしておりましたが、図らずも前哨戦となった前回の配信ではハードコアやドラムンベースまで手の中に含んだプレイを見せて頂きました。
いよいよ皆様の眼前でお披露目となった際にどのようなサウンドを従えてくれるのか、とても楽しみです。

日にちは06月19日土曜日、場所はいつもの早稲田茶箱にて開催致します。
尚、昨今の状況を鑑みて通常より1時間早い14時からの開催となりますのでお間違えの無いよう。
加えて、近隣エリアに東京麺珍亭本舗の新店舗が開店しておりますので是非そちらも是非ご利用ください。(ダイマ。)

【今回のお題】

さて、昨年から自分の回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっておりました。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

ところで社長のみなさん、04月ですよ。
暖かくなってきた気候と同様、陽気な音楽が似合うシーズンとなってまいりました。

というワケで今回取り上げるサブジャンルはハードテクノではなく、

ベースライン

とします。

これは読んで字の如く、ダブステップ、UKガラージ、トラップなどを内包するベースミュージックの1つで、特にUKガラージやグライムの影響を強く受けており、ベースの奇天烈なフレーズや音色に主眼を置いた音楽と言うことができます。
リズムは4つ打ちが多いですが、絶対の要素ではないためブレイクビートも豊富にあり、またハウス、ヒップホップ、トランスなど他ジャンルからの要素の流入やサンプリングもかなり多岐に行われているなど、自由度の高さも魅力。
そのため、変ミュージック好きにとっては必ず面白いものが見つかるジャンルとして欠かせないうちの1つという認識です。
過去にHardonizeにご出演頂いたSILENT TALKER両名にもプレイして頂いたりもしましたね。

ちなみにこのジャンルのクリエイターが多い国は圧倒的にイギリス。
今回ご紹介する曲を手掛けている方々も例に漏れずでして、流石ベースミュージック全体の本場といった塩梅です。

例によって新作というカテゴリーでスポットを当てていきますので、ここ2ヵ月程の間にリリースされたトラックを主に取り上げていきます。
では、新作ベースライン紹介いってみましょう。

【曲紹介】

unknown david / Gypsy On The Dance Floor

Gypsy On The Dance Floor (Original Mix) by unknown david on Beatport

覆面プロデューサーunknown davidによるベースライン
ジプシー感漂う2拍ループのベースシンセに声ネタとオルガンのウワモノがヘンテコでファンキー。
生音の繋がりでディスコ系トラックと相性良さそうなので食指が動きます。

D:Tune / Hold Up

Hold Up (Extended Mix) by D:Tune on Beatport

D:Tuneによるベースライン
こちらも反復系リフを基軸としたシンプルなトラック。
裏打ちベースのアシッドシンセっぽさや、UKガラージを踏襲したリズムなんかは黎明期のハードハウスを彷彿とさせます。
ちゃんとリリースは今年なんですけれどね。

Burt Cope / Business

Business (Original Mix) by Burt Cope on Beatport

Burt Copeによるベースライン
この手の音楽を代表するレーベルの1つFour40 Recordsの新譜。
一聴して分かる脱力系ベースの音色が最大の特徴。
UKガラージ直系のオルガンシンセも差し込まれているのですが、それユエに前者の音が際立って聴こえます。
ガラ悪セットでもバッチリ使える素敵仕様。

JB / Welcome to London Bruv

Welcome to London Bruv (Original Mix) by JB on Beatport

JBによるベースライン
今回の変ミュージック1番星。
レイヴ×エレクトロファンク×テクノといった塩梅のラフでタフなサウンドが聴けます。
ラップも乗っている辺り、グライムっぽさもあったりする味わい深さで色々応用ができそうなのがひしひしと伝わってきます。
大好物。

ちなみに本作が収録されているGrimehood – EPはまるっとこの手のスタイルのトラックが収録されているので、土臭いバリアレックサウンドをお探しでしたらEPごと是非。
The Prodigy / Voodoo PeopleネタのShoot to Killもかなり面白い曲です。

Darkzy / The Feeling

The Feeling (Original Mix) by Darkzy on Beatport

Darkzyによるベースライン
ブレイクで鳴り響くトランシーなフレーズを経て繰り出される大層ガラの悪いベースが対極的な、大規模フェスからアングラ小箱まで使える派手系トラック。
最近のベースラインといったらこういう感じを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
基本形にして王道。

RRRitalin / A Owl

A Owl (Original Mix) by RRRitalin on Beatport

RRRitalinによるベースライン
彼のトラックはここでも度々紹介しておりますが、10年以上この音楽に携わっているだけあって打ち込みの細かさが半端じゃない。
展開によってメインに据えるベースを使い分け、時に前のめり、時にヘンテコとその全てにユニークなセンスが発揮されている痛快作。
ブレイクに該当するパートでもほぼキック鳴りっ放しというシーケンスも珍しい、アグレッシヴ一辺倒なトラック。

LADY’S ONLY feat. 星宮とと / ex-senpai

ex-senpai feat. 星宮とと | LADY’S ONLY

最後に紹介するのは日本のプロデューサーユニットLADY’S ONLYによるベースライン
ボーカルにネオンライトで名を馳せた星宮ととを起用し、フューチャーベース進行のパートを経てグライム、ベースライン、トラップと複数のベースミュージックを跨いでいく盛り沢山な展開を見せるトラック。
パーカッションの使い方も結構意外性があって、先の展開と相まって遊び心が感じられます。
03月にリリースされたばかりの国産トラックということで注目度高し。
是非。

まとめ

以上、ベースラインにスポットを当ててお送りしました。
ものによってはテクノやハウスからの展開を作れる一方、それらの音楽からかけ離れたベースの音色は強いインパクトを持っているように感じます。
テクノとこれらを並列で用いるプレイヤーはまだまだ少ないと思われるので、互いに良い感じの流入が起こると僕が喜びます。

今回は紹介しませんでしたが、もっとディープでストイックなスタイルとして確立しているベースラインもそれはそれで存在するし面白かったりもするので機会があればそちらも紹介したいところです。
むしろ次回Hardonizeで自分がプレイするとしたらそちらの色の方が強そうですね。

そんなワケで今回はここまで。
次週04月06日は774Muzikさんが担当します。
では。

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新作テックダンス / テックトランス特集 (2021年03月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2021/03/18

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【前置き】

一昨日のyudukiボスのエントリーで触れられていたHardonizeレジデントご用達の東京麺珍亭本舗の新店舗は開店翌日に足を運びました。
元店舗とは比べ物にならないくらい綺麗になってました。
鶴巻町本店には人生の半分以上通っておりましたので、思い入れも一入。
当然ですが、味は元のままなので引き続き信頼が置けます。
近くにお立ち寄りの際は是非。

【今回のお題】

さて、昨年から自分の回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっておりました。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

テックダンス / テックトランス

です。
特別連載に於いては9回目に取り上げたテクノの質感を含んだトランス、ハードダンスのスタイルです。
前回は約1年前にお届けしており、インパクトの強いサウンドが用いられている一方で現行のハードテクノにも通用するリリースが多いことを示しました。
この手のトラックもHardonizeで流れることが多いため、改めて直近のリリースについて触れていきたいと思った次第です。

今回は新作というカテゴリーでスポットを当てていきますので、ここ2ヵ月程の間にリリースされたトラックを主に取り上げていきます。

加えて前回同様になりますが、どうしても配信サイトの試聴ではブレイクの部分しか含まれていないケースも多々あったため、長い尺で音源が公開されているYouTubeリンクを埋め込み音源として貼り付けます。
その下にbeatportへのリンクを記載しておきますので、購入はそちらからどうぞ。

では、新作テックダンス / テックトランス紹介いってみましょう。

【曲紹介】

Key4050 / Just A Dream

Key4050 – Just A Dream (Original Mix) – YouTube

Just A Dream (Original Mix) by Key4050 on Beatport

お互いソロでも活動しているアイルランドのプロデューサー同士、Bryan KearneyJohn O’CallaghanのユニットKey4050によるテックトランス
かなりレトロなトランスのサウンドが散りばめられており、かと思えば急にウワモノが消えてキックとベースだけになったり、押し引きの塩梅が絶妙なトラック。
ブレイクの高揚感煽る感じはトランスならではの気持ち良さですし、何より出音がメチャクチャ綺麗なので早く大きい音で聴きたいという気持ちです。

Felix R / Sin City

Felix R – Sin City (Original Mix) – YouTube

Sin City (Original Mix) by Felix R on Beatport

オーストラリアのプロデューサーFelix Rによるテックトランス
yudukiさん、774Muzikさん、僕の3人で最近かなり推し気味のアーティスト。
ハードダンス界隈の出身でありながらここ最近のリリースがかなりハードテクノ寄り、それもかなり硬質なリズムを擁したトラックが目立っており、それでいてハードダンスの重厚なシンセ層と細かい音の差し込みがまぁ美味い美味い。
この曲もそんな得意分野が遺憾なく発揮されたもの。
ハード系4つ打ちなら何でも幅広く応用できそうな懐の広さを見せてくれます。

推しということでもう1つ直近のリリースを。

Felix R / Need You

Felix R – Need You [Tranceformer Darkside] – YouTube

Need You (Original Mix) by Felix R on Beatport

こちらはもっとピュアなテックダンスという印象を受けます。
リズムの厚さに反比例するようにシンプルなアラーム系リフが逆にインパクト強め。

Blashear / Brisk Tempo

Blashear – Brisk Tempo – YouTube

Brisk Tempo (Extended Mix) by Blashear on Beatport

アルゼンチンのプロデューサーBlashearによるテックトランス
ハードグルーヴに近い前のめりなリズムが鳴っている曲。
これも実はかなり多いシンセを使い分けている器用さが見て取れます。
フィルの種類も豊富な上、逐一細かくて思わずニヤリとしてしまう。

ちなみに声ネタはFatboy Slim / Ya Mamaでお馴染み、Doug Lazy / Let The Rhythm Pump
この辺りのチョイスもファンキーで良いですね。

Indecent Noise / R.A.V.E

Indecent Noise – R.A.V.E – YouTube

R.A.V.E (Extended Mix) by Indecent Noise on Beatport

ポーランドのプロデューサーIndecent Noiseによるテックトランス
今回紹介する中ではド派手1番星。
アシッドシンセあり、レイヴオルガンあり、スタブありというタイトルに偽り無しのレイヴサウンドてんこ盛り。
反面リズムはシンプルなのがまた使いやすそうでもう猫まっしぐら。カルカン。

Stuarty Baillie / Detonization

Detonization – YouTube

Detonization (Original Mix) by Stuarty Baillie on Beatport

イギリスのプロデューサーStuarty Baillieによるテックトランス
前回のテックトランス特集時にもあった『何このリフ』枠。
アタック強めのソリッドなキックで構成されたリズム、厳かなブレイク、気分の高まるスネアロールを経て飛び出すのが聴いたことのない音とパターンで、初めて聴いたとき普通に『は?』って言ってしまいました。
ちょっとこの音は説明が出来ないので是非聴いてほしいです。
変ミュージック好きには何か胸打つものがある筈と信じて。

ちなみにこれがリリースされたレーベルは前出のFelix R / Need Youと同じくTranceformer Darksideというところで、Tranceformerのサブレーベルという立ち位置で今年設立されたばかりの新興レーベル。
そのためリリース数もまだ少ないにもかかわらず、これだけインパクトの強いトラックを輩出しているということで個人的に関心を寄せています。

Alignment / Into The Unknown

Into The Unknown (Original Mix) – YouTube

Into The Unknown (Original Mix) by Alignment on Beatport

イタリアのプロデューサーAlignmentによるテックトランス
AlignmentはSuaraからのリリース経験もあるテクノをメインに手掛けている人ですが、直近の作風がBPM140前後のテンポで硬質なテクノのリズムとトランスのサウンドを組み合わせたスタイルでほぼ統一しており、この曲もそういった中の1つ。
ユーフォリックなメロディに聴き惚れているとキックが入った瞬間にブッ飛ばされます。

このスタイル、実は最近のテクノのフィールドでかなり数が出ており、それに応えるかのようにトランスのDJもこれらの楽曲をプレイするという良い相互作用が生まれています。
作り手もニューカマーから大ベテランまで幅広く、サウンド同様かなりカオスなことになってて面白いのでいずれここにもスポットを当てて紹介したいところ。
以下類似楽曲を2曲程載せておきます。

Ahl Iver / Danger Close

Ahl Iver – Danger Close (Lenske015) – YouTube

Danger Close (Original Mix) by Ahl Iver on Beatport

SveTec / Set Up

Set Up (Original Mix) – YouTube

Set Up (Original Mix) by SveTec on Beatport

Rick Guyez / Find A Way

Rick Guyez – Find A Way – YouTube

Find A Way (Extended Mix) by Rick Guyez on Beatport

オーストラリアのプロデューサーRick Guyezによるテックダンス
ロングブレイクを挟む展開と、それに沿って鳴らされる煌びやかなシンセが直球で派手。
リズムも黄金期のテックダンスに忠実な打ち方となっているので、現行のテックダンスとして取り上げるのにピッタリのような気がします。
やや哀愁漂うところからするとセットの終盤向けが合うかなという印象。

Cunning Linguists / Thunderpants

Cunning Linguists – Thunderpants – YouTube

Thunderpants (Extended Mix) by Cunning Linguists on Beatport

イギリスのプロデューサーSykesyと、同じくイギリスの大御所ハードダンスプロデューサーDark By DesignによるユニットCunning Linguistsによるハードダンス
これだけ去年の作品になるのですが、あまりにも変な音が鳴っているので紹介させてください。
全体的な特徴として、持続の短い音が多く用いられており、4つ打ちなのにつんのめってしまいそうなリズム構成となっています。
その上でウワモノもシンプルなリフやボイスサンプルが入れ替わり立ち替わりで差し込まれ、とにかく落ち着かなさが顕著。
間違いなく変ミュージック好き向け。
っていうか何でジャケットそんなにキモいの。

Otira / Take Kontrol

Otira – Take Kontrol – YouTube

Take Kontrol (Extended Mix) by Otira on Beatport

フランスのプロデューサーOtiraによるハードダンス
たまげるくらいラフなリズム、たまげるくらいレトロなSuper Sawシンセ、絶対リリース年度間違ってるだろと思ってしまう程に1990年代丸出しな曲。
格好良さや完成度といった尺度ではなく、インパクトというポイントを全力で稼ぎにいった感じが見受けられます。
そして多分それは成功している。
これがSteve Aoki率いるトップEDMレーベルDim Makからリリースされる2021年、実に愉快です。

ちなみにこの後Take Kontrol EPという本作品を含む6曲入りの作品もリリースされました。
他の曲もなかなかに異形のハードダンスが揃っているので、こちらも変ミュージック好きに是非。
っていうか何でジャケットそんなにアニメでイヤらしいの。

まとめ

以上、テックダンス / テックトランスにスポットを当ててお送りしました。
何故か毎回多めに取り上げてしまう。
前回紹介しきれなかったハードダンスまで踏み込んで取り上げましたが、煌びやかさとは別のところに重点を置いたトラックの面白さが伝われば嬉しいです。

あと上で紹介したAlignmentSveTecのように、硬めテクノ界隈でトランスのサウンドが用いられた曲がちらほら目立つようになったというのも1つのトピックのように感じます。
(紹介し損ねましたが、SveTecはシュランツシーンの古豪ということもあって特に驚きました。)
前回で取り上げたT78は新曲New Worldでも現行テクノにトランスのサウンドを落とし込んでいますし、
昨年末にリリースされたCalling Earth (Umek Remix)は1998年のジャーマンテクノのフレーズを突如現代に蘇らせた話題作として記憶に新しいですね。
これに関しては余りに衝撃的過ぎてヴァイナルで買ってしまいました。

このようにじわじわとテクノシーンを侵食している感のあるトランスサウンドがハード、インダストリアル路線に対する次の一手となりえるのか、引き続き注目していきたいところです。

そんなワケで今回はここまで。
次週03月23日は774Muzikさんが担当します。
では。

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