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オールドスクールレイヴ特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2022/05/12

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

ゴールデンウィーク明けて仕事が忙し過ぎて今回の記事を書く暇がなく、このタイミングでの公開となりました。
本当に申し訳ございません。

【告知】

予てよりご報告の通り、次回Hardonizeの日程が決まっております。


07月16日です。

来週には何かしらの追加情報が出るみたいです。
わくわくしておいてください。
(おもろいですね、あのアニメ。)

あと個人的な告知で恐縮ですが、来週05月21日に新宿WARPで開催されるTOKYO HARD GROOVE SESSION ’22に出演します。


ハードダンスハードコアのお祭り。
拠点を今は亡き新木場ageHaから場所を移しての開催となります。
とにかく面子が多い。そして豪華。この感じ久し振りですね。
好きなプレイヤーの音楽をガッツリ楽しむも良いですし、フロア間を周遊するのも楽しいのでこの手の音楽が好きなら是非お越しください。

ちなみに前回ここで出演した際は元号が切り替わる直前のタイミングということで平成J-POP縛りというハード感ゼロのプレイを行ってました。


更に言うとこの日の僕の後に控えていたのがTakayuki Kamiyaさんでして、『地獄のJ-POPセットだった。』と評されて暫く根に持たれていました。わりぃな。

【今回のお題】

さて、前回前々回は昨年のフリーダウンロード楽曲を振り返る特集を執り行いましたが、今回から通常の形式に戻り、
ハードテクノの1つのサブジャンルからオススメ楽曲について取り上げていきます。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

それはそれとして今回のTOKYO HARD GROOVE SESSION ’22のオファーを頂くに際し、
レイヴっぽい感じでお願いします。』
というオファーを頂いております。

これまでこの連載をお読み頂いてるとチラホラそのフシが見えたかと思いますが、自分はこの音楽が大好きです。
インパクトの強いサウンド、ジャンルによる固定概念のないリズム、テンションの高いアンセムもあればひりつくような空気感を纏ったトラックもあるが、それら全てを包括したレイヴというカルチャーそのものが好きです。
なのでこのオファーも望むところだったりするワケで、当日は20年前~30年前の曲ばかり持って行くつもりでいます。
他の出演者も最新サウンドに焦点を当ててくる方々が多いと思うので、丁度良い感じにスキマを埋められるんじゃないでしょうかという狙いもあります。

というワケでそんなわけで今回取り上げるテーマはその予習も兼ねた

オールドスクールレイヴ

とします。

年代問わず、自分の好きな往年のトラックについて紹介していきます。
本連載に於いては多めの10曲紹介ですが、そもそも好きな曲が多過ぎるのでかなり絞りました。
いずれもう1回くらいやりたいところです。

早速ですがお気に入りオールドスクールレイヴ紹介いってみましょう。

【曲紹介】

The Prodigy / Everybody In The Place

The Prodigy – Everybody In The Place (Official Video) – YouTube

Everybody in the Place (Fairground Remix) by The Prodigy on Beatport

イギリスのレジェンドアーティストThe Prodigyによるオールドスクールレイヴ
1991年リリース。
バウンシーなベースリフと力強いブレイクビート、そしてメインフレーズとなる快楽性満点のスタブがレイヴの何たるかを象徴しているかのような曲。
構成がシンプルである分、余計にインパクトが際立つ感じも堪らないキングオブクラシック。
The Prodigyは個人的に大好きなので他にも取り上げたい曲はたくさんあるのですが、1番良く手が伸びるのがこの曲である気がします。

ちなみに翌1992年にリリースされた彼らのファーストアルバムExperienceはこの音楽を語る上で欠かせない作品なので是非聴いて頂きたいのですが、
この中にEverybody in the Placeの別バージョンが収録されていてそれも大好きです。

The Prodigy / Everybody In The Place (155 And Rising)

Everybody In The Place (155 And Rising) by The Prodigy on Beatport

原曲の快楽性というよりはテンポの速さだったり、リフの細かい刻み方という辺りがアグレッシヴな印象を受けるアレンジ。
ある種の怪しさを感じますが、それもまたレイヴの華。
実は去年も1回プレイしてますこの曲。

Outlander / Vamp

Vamp (Original Mix) by Outlander on Beatport

ベルギーのプロデューサーOutlanderによるオールドスクールレイヴ
1991年リリース。
何といっても最大の特徴はオルガンシンセのフレーズ。
6音をひたすら繰り返しているだけなのにダンスミュージック史上最大級のインパクトを誇っています。
あと意外とビートがしっかりしているので、近年のテクノにも繋げられたりします。
02月にお呼び頂いたRAVE-A-RIDEではそういった使い方をしました。

Cubic 22 / Night In Motion

Cubic 22 – Night In Motion (Official Vdeo) – YouTube

Night In Motion (Original Mix) by Cubic 22 on Beatport

ベルギーのプロデューサーユニットCubic 22によるオールドスクールレイヴ
1991年リリース。
攻撃的なレイヴスタブが鳴らされるパートと開放感のあるパッド、そしてピアノのユニゾンによって構成されたパートの落差が凄い曲。
所謂ジュリアナ、デステクノの文脈から取り上げられることもあるため、日本でも知名度が高かったりします。
使いやすいしインパクトも高いしでこれもよく使います。

SL2 / On A Ragga Tip

SL2 – On A Ragga Tip – YouTube

On A Ragga Tip (Original Remastered) by SL2 on Beatport

イギリスのレジェンドプロデューサーSlipmattの変名義プロジェクトによるブレイクス
1992年リリース。
レゲエのクラシックJah Screechy / Walk & Skankをまるっとサンプリングし、タフなブレイクビート(こちらも元ネタがあります。)と合わせた危険なシロモノ。
原曲では裏打ちのギターが入っているところをピアノに置き換え、ブレイクでレイヴィーな連打になるという今聴いても斬新な展開を含んでます。
あとリマスター版ではビックリするくらいベースが太くなっており、力強さと土臭さがより強調されていて断然オススメ。

Awesome 3 / Don’t Go

Don’t Go (Original Mix) by Awesome 3 on Beatport

イギリスのプロデューサーグループAwesome 3によるオールドスクールレイヴ
1992年リリース。
いなたいブレイクビーツに高揚感煽るレイヴシンセ、そこからピアノとボーカルが絡むメインフレーズがレイヴの華やかな側面を強調しているトラック。
否応なしにテンションが上がるフレーズですし、実際様々なリミックス、ブートレグが出ていますし、このフレーズをサンプリングした大量にあります。

同テンポ帯だとこれを頻繁に使います。

Supreme, Ramos / Crowd Control (DJ Twista Future Jungle Remix)

Crowd Control (DJ Twista Future Jungle Remix) by Supreme, Ramos on Beatport

Don’t Goを元ネタとするハッピーハードコアが1993年にリリースされており、時を経た2011年に突如リミックスされたレイヴブレイクス
イントロ後、即レイヴシンセという初速の速さや、その後もテンションを落とさない展開がインパクトと相まってまぁホントよく使いがち。

Bizarre Inc / Playing with Knives

Bizarre Inc – Playing with Knives (Official Video) – YouTube

Playing with Knives (Radio Edit) by Bizarre Inc on Beatport

イギリスのプロデューサーグループBizarre Incによるオールドスクールレイヴ
1991年リリース。
この特徴的なピアノフレーズは後年あらゆるジャンルの音楽にサンプリングされまくったので聞き覚えのある方もいるのではないでしょうか。
ビートはハウスを基調とした4つ打ちなので、周辺ジャンルとの相性も抜群。
レイヴのポジティブな側面が凝縮された1曲。

Pianoman / Blurred

Pianoman – Blurred (Official Video) – YouTube

Blurred (Pianoman Original Club Mix) by Pianoman on Beatport

イギリスのプロデューサーユニットPianomanによるオールドスクールレイヴ
1995年リリース。
リフにJimi Polo / Better Days、ボーカルにBlur / Girls And Boysをサンプリングしたハイパービッグボム。
パーカッションはブレイクビートを刻んでいるのにキックは4つ打ちという、両者の良いところを上手く融合したリズムがクロスオーバープレイヤーとしてめちゃ推せる。
テクノではあまり聴かないようなアシッドシンセのフレーズも特徴的で快楽度高め。

EarBreaker / EX-Tension

EX-Tension (Full Version) / EarBreaker – YouTube

日本のプロデューサーEarBreakerさんによるレイヴ
2004年リリース。今回取り上げる楽曲の中で最新のリリースです。
音楽ゲームのコンポーザーとして古くから活動されているCrankyさんのレーベル、Feline GrooveからリリースされているスプリットアルバムSPEEDSTERに収録された曲。
つまり同人音楽です。

ブレイクビートと4つ打ちを展開によってスイッチする巧みなリズム使い。
ウワモノについてはギターとレイヴシンセを駆使した攻撃的なパートがある一方、メインパートはスムースなボーカルとオルガンシンセが鳴り響くアップリフティングな構成。
レイヴの魅力をあらゆる角度から取り上げて1つの曲に凝縮したかのような印象を受ける曲です。

今回これを書くに当たってSPEEDSTERを全部聴き直したんですけどクラシック音楽レイヴユーロビートという一見ありえないジャンル同士の掛け合わせというコンセプトの斬新さ、
そこにジャングルハードコアハウスの要素まで取り込んだ幅広さが内包されており、同人音楽の醍醐味がギッシリ詰まった作品だったと再認識しました。
個人的には超名作なので駿河屋とかで買える人は是非聴いて欲しいところですが、Crankyさんの提供曲の一部については配信でも購入可能です。
R176とか今聴いても良いですね。

Cranky / R176 (Short Edit)

Stream Cranky – R176 [Short Edit] by Feline Groove Label | Listen online for free on SoundCloud

公式にはエディット版しか公開されてないのですがリリース版だとフルレングスで収録されており、展開の妙もまた良かったりするのでそちらで聴いて頂きたいところです。
あとメインリフの音が可愛い。
こういう音使いをするアーティストは当時の国内、海外のハードコアシーンにはいなかったと思うので、それもまた斬新でしたね。

折角オールドスクールレイヴにスポットを当てているので、そこから派生した音楽であり、且つ未だに自分も好きなジャンルであるところのハードコアから2曲取り上げます。

Trickster / Stop the Rhythm

Stop the Rhythm (Original Mix) by Trickster on Beatport

オランダのプロデューサーTricksterによるガバ
1997年リリース。
ビックリするくらい細かく打ち鳴らされたレイヴシンセが高速のガバキックと共に迫り来る爆発力満点のトラック。
ガバに於いては珍しくアーメンブレイクを使いまくっているのも大きな特徴です。

自分が知る中で最もレイヴに直結したガバは何だろうと考えた時にこれが思い浮かびました。
とにかく全編通してテンションの高さが異常。
この曲がリリースされているRuffneckというレーベルは、まぁこの手の痛快なガバが多くて大好きです。

DUNE / Can’t Stop Raving

DUNE – Can’t Stop Raving (HQ) Original Version – Oliver Froning – Official Dune Channel – YouTube

Can t Stop Raving by Dune on MP3, WAV, FLAC, AIFF & ALAC at Juno Download

ドイツのプロデューサーDUNEによるハッピーハードコア
1995年リリース。
かつてヨーロッパ中を席巻したハッピーハードコアに於ける大クラシック。
伸びのある女性ボーカルとちょい儚げなシンセのフレーズがこれぞアンセムという仕上がり具合。
バッキングピアノのエモーショナルさも相まって〆にこれを流せば万事綺麗に片付く・・・ということでこの紹介順になりました。

どうでもいいですが、自分が最初期にヴァイナルで購入した曲の1つでもあって思い入れがある1曲。

まとめ

以上、お気に入りのオールドスクールレイヴにスポットを当ててお送りしました。
オールドスクールと銘打っている以上、1990年代のトラックばかりになってしまいましたが、30年前にこれだけ表情豊か且つ印象的なトラックが多く生み出されていたかと思うと凄まじいものがあります。
自分はリアルタイム世代ではないので当時に思いを馳せることしかできないのが悔しいところですが、同じような所感を持つ若手のクリエイターがこのサウンドを駆使した最新のトラックでそれぞれのシーンを盛り上げているという現象は度々見られる昨今、たまにはこうした昔の曲を振り返るのも重要ではないかと思ったりします。

あんまり他のHardonizeメンバーはこの連載でやってくれないですけどね。
特定のテーマで年代問わず、個人的お気に入りを取り上げる、みたいなこと。
ほら、次回のHardonizeはあんな感じなわけですから。

そんなわけで今回はここまで。

次週05月17日は774Muzikさんが担当します。
では。

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【特集】『M3-2022春』同人テクノ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2022/04/28

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知】

先週もご報告の通り、次回Hardonizeの日程が決まっております。


07月16日です。

グストについては追って情報公開致しますので引き続きご愛好の程、よろしくお願いします。

あと個人的な出演機会ですが、今週末04月30日に渋谷Another Dimensionにて行われる『¡¡SAKE!!』というパーティーにお招き頂きました。


その名の通り、日本酒にスポットを当てたパーティーで出演者もみんな日本酒好き。
あまつさえ1人1本ずつ選りすぐりの日本酒を持ち寄り、注文可能なメニューとして当日提供します。
先日選定を終えたところなのですが、ご来場者に気に入って頂けるかどうか、結構ドキドキです。
DJに関しては多分いつも通りハチャメチャです。
透明なお水が好きな方は是非お越しください。

【今回のお題】

さて、先週末は同人音楽即売会M3でした。
釣果はこんな感じ。


前回とほぼ同数くらいだと思います。
おかげでこれらの取り込みには丸1日かかりました。
今まで知らなかったサークル、レーベルに興味を持ってしまうとつい喜んで大量購入しがちなんですけど、こればっかりは止められそうにありません。

というワケで、今回のM3でゲトった中から一部を紹介していきたいと思います。
当連載に於いて11回目となるM3特集です。

前回M3-2021秋特集はこちら。

【特集】『M3-2021秋』同人テクノ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2021/11/11

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

それより以前の特集はこちらになります。
2021春 / 2020秋 / 2020春 / 2019秋 / 2019春 / 2018秋 / 2018春 / 2017秋 / 2017春

これまでと同様、表記順は『【アーティスト名】 / 【リリース名】 [【サークル(レーベル)名】]』でテクノ的オススメをメインに、あといくつか個人的趣味で挙げていきます。

それでは

『M3-2022春』で買った同人テクノ

いってみましょう。

【曲紹介】

本間本願寺 / トライバルかおる! [ビッグファイア]

本間本願寺/トライバルかおる!【Preview】 – YouTube

我らがハードグルーヴマスター、本間本願寺さんがまたやってくれました。
このふざけきったタイトルとジャケット(元ネタ)に反して100%ハードトライバルという、おそらく同人音楽史上ハイパーレアな作品。
少なくとも2022年のテイストではない。
どの曲をとっても手数の多いパーカッションリズムと厚いベースラインに支えられた太いグルーヴを奏でており、フロアユース度は抜群。
是非何らかの手段で手に取ってもらいたい1作です。

個人的な好みはパーカッションリズムに加えてラテン系のボーカルとブラスのサンプリングが乗ったファンクネス全開の5曲目、タイトル無し
(というか全曲タイトル無し。)

公式サイト:https://soundcloud.com/homma_honganji

ところでこれはM3とは全く関係が無いのですが、Omega DriveMr. Rogといったハードグルーヴシーンのベテランアーティストが中心となって今年設立されたレーベル、Not Answer For Thisのニューリリースが本間本願寺さんの作品なのですが、前代未聞のテレビ探偵団のオープニングネタハードグルーヴです。

Homma Honganji / TV Detectives Club

TV Detectives Club (Original Mix) by Homma Honganji on Beatport

この曲の存在そのものに『嘘だろ!?』って言いたくなること以上に、この曲が海外レーベルからリリースされており、普通に配信サイトから購入可能という状況にも『嘘だろ!?』と言いたくなる作品。
絶対外人に伝わらないし、ホント何やってんのあの人。
それでもリズムはバッチリ本間本願寺節全開なのが憎い。
ナードコアのハードグルーヴだから・・・ナードグルーヴ?

Homma Honganji / Solarqueen [秋葉原重工]

Stream AHIDG03 – Solarqueen by Akihabara Heavy Industry Inc. | Listen online for free on SoundCloud

続いてこちらも本間本願寺さんのリリース。
こちらは真面目な本間本願寺さんというか、ストイックな本間本願寺さんの作風が味わえます。
どの曲もピアノやシンセを軸にしたフーレズを活かしつつ、厚いアレンジが施されたリズムと絡まりハード且つメロウなハードテクノに仕上がっております。

個人的な好みはシンプルなシンセでなぞったラテン風味なフレーズとバッキングピアノの絡みが気持ち良い2曲目、Moonseed

でもってこの作品は本間本願寺さんのオリジナル曲3つに加え、豪華陣営によるリミックスが10曲収録された大ボリュームな内容となっております。
TAKAMIさん、Seimeiさん、Nhatoさんといった各シーンを代表する面々が集う中、我らがHardonizeから774Muzikさんが抜擢されております。
往年のハードトライバルフレーバー漂うリミックスで良かったですよ。
あとbassmicrobeさんのリミックスが原曲のトライバルリズムを活かした変わり種ベースラインになっていて大好物でした。

公式サイト:https://www.ahiweb.info/
作品購入:Solarqueen | Homma Honganji | Akihabara Heavy Industry Inc.

Kouki Izumi / Germanium Stone EP [technoA]

Stream [PREVIEW]Germanium Stone EP snippet by Kouki Izumi (Aramitama / technoA) | Listen online for free on SoundCloud

毎度真っ暗闇で硬いビートのテクノを手掛けているKouki Izumiさんのニューリリース。
飾り気のない、無機質なサウンドの反復によって構成されたトラックが多く、現代のハードめなメインストリームテクノに程近いものがメインですが、テックハウス非4つ打ちテクノもそれぞれ1曲ずつ入っていて手腕の幅広さも感じられるEPとなっております。
特にKouki Izumiさんの非4つ打ちテクノはストイックなダブステップブレイクスといった別ジャンルとの合間を良い感じに埋めてくれるので、僕のようなクロスオーバープレイヤーにはありがたいものだったりします。
日本でこういう要素にスポットを当ててくれる人もそんなに多くないですしね。

個人的な好みはストンプ系リズムと延々ループするラフなシンセが攻撃的な印象を受ける3曲目、Dexterity

公式サイト:http://technoa.info/

vc fox / The beginning of life EP [VC FOX]

Stream [CFD]The Beginning Of Life EP by VC FOX | Listen online for free on SoundCloud

ハードウェア機材を駆使してトラックメイキングやマシンライブを行うvc foxさんのニューリリース。
ミニマルエレクトロニカといった『聴ける』ものから芯のあるリズムを軸とした『踊れる』ものまで幅広く手掛けている技巧派アーティストです。
本作はどちらかというと『踊れる』寄りのトラックが多く、それもアシッドシンセをメインに用いているタフなテクノにスポットが当てられているように思います。
こういった曲で聴かせるにはどういった機材でどう操作しているのか、またvc foxさんのマシンライブが見たくなるような作品。

個人的な好みはシンセ、パッド、ピアノが互いに絡み合い、流れるようなメロディーが美しいプログレッシヴハウス寄りの5曲目、The beginning of life

公式サイト:http://vc-fox.com/
作品購入:The beginning of life EP | vc fox | VC FOX

gravizaava / Shark ep [gravizaava]

Stream gravizaava | Listen to Shark ep playlist online for free on SoundCloud

ピアノ奏者というポジションから本間本願寺さん率いるテクノバンドBigfireのサポートや後述のCharterhouse Records作品に参加されているgravizaavaさんの作品。
今回初めて知りましたが、アナログシンセを用いたテクノがメインとのことで、前出のような経験もあってか全体的にコード感の強く出たトラックが多め。
複数のフレーズやサウンドの組み合わせによって構成されている楽曲はライブ感があって聴きやすいようにも感じました。

個人的な好みはリリースの長いシンセの音を複数種類重ねつつ、ややレトロなメインリフがゲームミュージックっぽくて楽しい3曲目、Dolphins

ちなみにこちらのShark epは2019年にリリースされたものであり、この日の新譜としてはInsectsという作品が出ておりましたが、そのリミキサーの1人がyousuke kagaさんという個人的に古い付き合いのあるクリエイターでした。
なんかちょっとした縁を勝手に感じております。

公式サイト:https://soundcloud.com/gravizaava
作品購入:Shark ep | gravizaava

V.A. / LBTのおきなわ紀行 [LBT]

Stream [2022春M3、0424発売]LBTのおきなわ紀行 by lbtweb | Listen online for free on SoundCloud

ビールとファンキーミュージックをこよなく愛する長いキャリアを持つレーベル、LOVE BEER TRAXことLBTのニューリリース。
レーベルメンバーに加え、沖縄に縁のあるアーティストを招いてそれっぽいサウンドやサンプリングを駆使した楽曲が揃ったコンピレーション。
収録ジャンルも様々でテクノブレイクビーツは勿論、ドラムンベースや古めかしいハッピーハードコアまで手を広げています。
誰が手に取ってもどれかは気に入る曲があるんじゃないかと思える、愉快な作品です。

個人的な好みは沖縄民謡×ダブ×ハードグルーヴという滅茶苦茶なジャンル間のクロスオーバーを見せている4曲目、DJイオ / 行こう! 国際通り! (Hardgroove dub mix)

ところでこれもM3とは関係ないのですが、今年に入ってレーベルが運営するbandcampのアカウントから過去(2001年~2008年)にリリースされたヴァイナルリリース音源が再販されております。
下に貼り付けるのは特に好きな1作。元ネタは大好きなコレ

パリッコ / UNDERAGE DRINKERS e.p.

LBT004「UNDERAGE DRINKERS e.p.」 | パリッコ | lbt

自分はヴァイナルを持っているものの、これは本当に熱い出来事だと思っています。
ハードグルーヴというスタイルがシーンに定着する前から、それも日本でこういった曲を作り、DJを行ってきた面々の作品なので、とても意義のある作品なのです。
歴史を再確認する意味でも、まだ持っていない方は是非。

公式サイト:http://www.lbt-web.com/

V.A. / HYVE Vol.3 [HYVE]

Stream HYVE Vol.3 Crossfade Demo by HYVE | Listen online for free on SoundCloud

ハードテクノ同様に数々のサブジャンルを抱えるハードダンスを包括的にカバーするレーベルHYVEの新作コンピレーション。
現行のシーンのトレンドを押さえたものからアーティストの個性が強く発揮されたトラックまで、同ジャンルに於ける陰陽が余すところなく味わえます。
この種のコンピレーションはそのジャンルに新規層を取り込むための入口として絶対に必要な存在ですし、また新進気鋭のクリエイターを積極的に採用しているので好事家も飽きさせない双方両得な内容に仕上がっていると思います。
更に全曲しっかりフロアユースなので硬め4つ打ち音楽DJ諸氏に於いては特に見逃し厳禁のリリースではないでしょうか。

個人的な好みはベースラインでありながらドンクベース、レイヴスタブ、2ステップリズムやグライムビートなど他ジャンルの要素が複合的に凄まじい密度で襲い来る6曲目、Dustvoxx / Wheel Up

公式サイト:https://soundcloud.com/hyve-hard
作品購入:HYVE Vol.3 | V.A. | HYVE

Motoki Hada / Bold Action EP [Charterhouse Records]

Stream Charterhouse Records | Listen to Blod Action EP – Motoki Hada playlist online for free on SoundCloud

カセットテープをリリース媒体とし、ハウステクノの中間を縫うようなトラックに於いて、個人的に全面の信頼を寄せているレーベルCharterhouse Recordsのニューリリース。
ですが、本作はブレイクビートベースラインといったこれまでの作品とは異なるアプローチのトラックが多く収録されており、意外な一面が見られたものでした。
またそれらが押し並べて良い。
1曲目のタイトルトラックBold Actionは前述のgravizaavaことShinya Kuramotoさんを招いたアナログテイストなサウンドの2ステップ
3曲目の無機質なドラムパターンと時折差し込まれるアーメンブレイクの上をスムースなホーンの音が広がっていくCell Division
5曲目のレゲエに於ける大クラシックWayne Smith / Under Me Sleng TengネタRiddim Is Riddimなど、インパクトの強い曲が揃ってます。
同人音楽の醍醐味の1つとも言える実験的マインドに溢れた作品。

公式サイト:http://charterhouserecords.com/
作品購入:Bold Action EP | Motoki Hada | Charterhouse Records

V.A. / NOCURNAL EDGE [Liminal Warp]

Stream 【2022春M3】[LNWP-001] Nocturnal Edge (Preview) by Liminal Warp | Listen online for free on SoundCloud

今年設立され、フィジカルリリースも今回のM3が初めてというponiyamaさん主宰のレーベルLiminal Warpのコンピレーション作品。
アニメ×ベースミュージックをコンセプトとして謳っており、本作もアニメのセリフをサンプリングしたダブステップドラムンベースエレクトロニカが収録されております。
但しそれらは総じて冷たく無機質で鋭利なサウンドによって構成されており、所謂ナードコア的な快楽性、煌びやかさは皆無。
暗闇の中でズブズブに沈ませるようなストイックなトラックの数々は入り組んだ現代社会を反映しているかの印象を受けるものの、新興のレーベルの処女作とは思えない発想です。
サンプリングの元ネタを辿ることで見えてくるメッセージ性なんかもありそうですし、そういった深読みや実験的アプローチが好きな方の手に届くことを願っております。

個人的な好みは緻密に組まれた複雑で無機質ビートとアシッドシンセのユニゾンが終始不穏な雰囲気を纏っている6曲目、sanmal / Snatcher

公式サイト:https://soundcloud.com/liminal_warp

V.A. / CONSTELLATION 2 [hoshizora]

Stream 2022春M3-CONSTELLATION vol.2 by hoshizora labels | Listen online for free on SoundCloud

音楽のみならず映像作家、イラストレーター、デザイナー、ステージパフォーマーなどエンターテイメントに関わるアーティストが数多く所属している集団hoshizoraの音楽部門による新作。
前作も個人的にはお気に入りだったドラムンベースコンピレーションのシリーズ2作目です。
ドラムンベースもまたハードテクノ同様、曲調が明るかったり暗かったり、サウンドが生音重視だったり無機質だったりと数々のサブジャンルが内包されているのですが、
本作もまたそれらを総合的に含んだ内容となっており、またクオリティも本場海外のものと比べても遜色無いためドラムンベース入門編としてはかなり最適な内容となっております。
まだサブジャンルとして定着しきっていないような最新のスタイルまでバッチリ取り入れている辺りからも、この作品に対する相当な意気込みが伺えます。

個人的な好みはブレイクの荘厳な感じとメインリフのガラの悪さのコントラストが本場のメインストリーム感そのまんまの印象を受ける4曲目、Nim / Uncaged

公式サイト:https://hoshizora.works/
作品購入:4/24 NEWリリース (春M3出展)「CONSTELLATION2」/ドラムンベース・コンピレーション | Creator shop

まとめ

以上、『M3-2023春』で買った同人テクノをお送りしました。
ここ数回、世の中的な情勢もあってあからさまに少なかった参加者の数もようやく戻り始めたかなという感じで、かなり収穫のあった回でした。
クオリティの高さやアイディアの奇抜さには驚かされるばかりなので、音楽即売会はやはり意義のある催しだということをひしひしと感じております。
まだ行ったことがないという方がいらっしゃいましたら是非次回はご検討ください。

そんなわけで今回はここまで。

次週05月03日は774Muzikさんが担当します。
では。

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