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ガラの悪いドラムンベース特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2022/06/09

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知】

前回も記載した通り、次回Hardonizeのゲストが公開されております。


2022/7/16(sat) Hardonize#41 at waseda sabaco

gekkoさん、Mck4yさんという若きクロスオーバープレイヤー2名がゲスト。
前代未聞のハードテクノのパーティーでハードテクノが流れないかもしれない世界線について大きく期待を膨らませております。
その足掛かりとして前回この連載でハードテクノと全く関係ないアニメソング、ゲームソング特集をお送りしたところ、


なんかよく分からないレスポンスを頂きました。
現段階から情報戦が行われている様相を呈しております。

07月16日、会場はいつもの早稲田茶箱でお待ちしております。
また、今回も入場エントリー制となっておりますので以下のURLよりご登録をお願い致します。
Hardonize #41 in東京 – パスマーケット

15年目を前にHardonizeはどうなってしまうのか、その目で見届けて貰えると嬉しいです。

【近況】

・ちょっとだけ音楽に絡むやつ
前回ちょっとだけ述べた昭和のジャケットに平成テイストの楽曲が入った令和のゲームのサウンドトラック、予約してしまいました。


元ネタは世代と大幅に離れているので完璧な後追いなんですけど、このインパクトに抗えませんでした。
ちなみにゲーム本体は先日酒を飲みつつ知り合いとワイワイプレイしてみたのですが、ちっとも幸せな結末を迎えられませんでした。
厳しい女です。色んな意味で。

・全然音楽と関係ないやつ


我らが茶箱より今月から加熱式タバコ以外喫煙を禁ずるというお触れが出されたため、Ploom Xを買ってみました。
初の電子タバコ、どんなもんじゃろと思って吸ってみたんですけど難しくないですかアレ。
絶対ムセる。初めてかって時ぐらいムセる。
そうかこれがアンチエイジング。僕はまだ大人になれません。
オチと味に対する不満は特にないです。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

それはそれとして前回同様、今回のHardonizeゲストのプロフィールに目を向けるとドラムンベースという単語があるではありませんか。
個人的にはテクノと同じくらい好きなジャンルの1つであり、以前ドラムンベースのパーティーのレジデントを務めていたこともあります。
この音楽も長年の歴史の中でテクノと同様に様々なサブジャンルへと派生していった過去があるためサウンドや雰囲気の幅がめちゃめちゃ広く、近年でも先祖返りや他ジャンルとの異種交配を行い弛まぬ進化を続けている活発なジャンルであるため、ドラムンベースという大枠に絞っても相当色々なプレイが可能です。
楽曲を掘っていて次々新しい発見があるのは楽しいですね。

というワケで今回はドラムンベースに焦点を当てたいと思ったものの、丁寧にサブジャンル1つ1つについて取り上げていくと先の特別連載と同等の大ボリュームになってしまう。
かといって全くテーマを絞らないのも収集がつかなくなる。
どうしたもんかと考えた時、僕にクラブという場所を教え、与えてくれたドラムンベースDJ且つパーティーの師匠である練乳さんがかつてこう言っていたのを思い出しました。

『イギリスのチンピラミュージックことドラムンベース

それだ。
チンピラっぽいドラムンベースにしよう。
大好きだし。そういう曲ばっかりかけ続けるB2Bユニットも組んでたりするし。

というワケで今回取り上げるテーマは

ガラの悪いドラムンベース紹介

とし、年代問わず自分の好きなトラックについて紹介していきます。
パーカーがあればフードを被り、金のネックレスがあれば首に飾り、バンダナがあればそれを口に巻いてからご覧ください。
どれも手元にない場合は好きな寿司ネタを想像してください。

早速ですがガラの悪いドラムンベース特集
いってみましょう。

【曲紹介】

Ebony Dubsters / Ra (Original Sin Remix)

Ebony Dubsters – Ra (Original Sin Remix) – YouTube

イギリスのプロデューサーOriginal Sinによるドラムンベース
ドラムンベースの中でも強調されたベースシンセでフレーズを作るジャンプアップと呼ばれるサブジャンルで、個人的にはこのサブジャンルの存在を強く認識する切欠になった曲。

イントロ、ブレイクの生々しい息遣いが感じられるパートから一転してリズムパートに入った時のホーンめいたフレーズがとにかく印象的。
それに追従するベースの動き方や、脇に添えられたアラームっぽいシンセも合わさって言い逃れできないチンピラ感が漂っています。
あと4分打ちのライドの音がめちゃめちゃデカくて疾走感も凄い。
今回のテーマに当たってはいの1番に思いつく曲です。

ちなみに原曲を手掛けたEbony Dubstersというアーティストは共に90年代初期からドラムンベースシーンのトップに君臨し続けるスーパーレジェンド、Shy FXT.Powerによる変名義ユニット。
往年のキャリアを感じさせるオールドスクールフレイバー漂うトラックですので、あの頃のドラムンベースが好きな方にはこちらも是非。

Chase & Status / No Problem

No Problem (Original Mix) by Chase & Status on Beatport

2000年代以降のドラムンベースを代表するイギリスのプロデューサーユニットChase & Statusの曲。
イントロは民俗的なパーカッションにラップが乗った生っぽい雰囲気なのに、メインパートでは一転してビックリするくらい早弾きのスタブがお目見え。
オールドスクールなサウンドと相まってめちゃめちゃインパクトがあります。
メインパート以降も随所に呪術的なパーカッションの音が仕込まれており、それもかなり独特。

ちなみに歌詞にもなかなかのメッセージが込められていて、
You can try copy like a slave to a trend (流行の奴隷のように物真似し続ける)
Nothing they can say and nothing they can do (何も示さないし何も起こらない)
It’s no problem for me, but is a problem for you! (俺には関係ないがお前にとっては問題だ!)
意訳するとこんな感じ。
その直後に放たれる音が当時の流行とかけ離れたあの音なので、お見事としか言いようがない曲。

Gino / Sacrifice

Sacrifice (Original Mix) by Gino on Beatport

イギリスのプロデューサーGinoによるドラムンベース
2019年リリースなので今回取り上げる中では比較的新しめの曲。

ギリギリと締め付けるベースの音にも痺れますが、この例えようのないザラついた質感のメインリフとフレーズがとにかく耳に残ります。
フィルで入ってくるドラムの音以外は無機質でドライな音で構成されており、ひたすら荒廃感が漂っている印象。
頭1拍しかキックを置いていないリズムもちょっと変だし、今回取り上げた中に於いて一際怪しさの光るトラック。

The Prodigy / Voodoo People (Phibes Remix)

Stream The Prodigy – Voodoo People (Phibes Remix) [FREE DL] by PHIBES | Listen online for free on SoundCloud

イギリスのプロデューサーユニットPhibesによるドラムンベース
タイトル通りの大ネタです。
同曲のドラムンベースといえばThe Prodigy / Voodoo People (Pendulum Remix)が有名で、あちらがロックのポジティブなマインドを押し出した高揚感重視のリミックスであるのに対し、こちらはもっとアンダーグラウンドのの臭気を纏ったようなアレンジが施されています。

というのも元ネタのフレーズはイントロとブレイク部分で使用されているに留まり、リズムパートに差し掛かると『と思うじゃん?』と言わんばかりに全く別の曲にシフトします。
それも低いところを蠢くベースラインと反復重視のリフが合わさったダークなテイストで、数寄者には堪らない。
展開が変わる瞬間のフェイクドロップにも悪意が見え隠れする憎たらしい曲。

ブートレグらしくフリーダウンロードで公開されているので、持ってない方はこれを機に是非。

James Marvel (feat. MC Mota) / Trump

Trump (Original Mix) by James Marvel, MC Mota on Beatport

ベルギーのプロデューサーJames Marvelと同郷のMC、Motaによるドラムンベース
曲名及びジャケットからお分かり頂ける通り、かつて某大国の大統領だった人に対するアンチテーゼが込められた曲。
特に政治的思想はないんですが、特にこのジャケットは本当にユーモラス且つ下品で好みです。
それを歌っているレゲエっぽい早口フロウのMCがめちゃテクニカル且つリズミカル。
何よりオーケストラをサンプリングしたような重厚で壮大なウワモノによるデデドン!がお腹いっぱいになるまで聴ける曲として一級品。
細かくプログラミングされたリズムや、それに対してもたついて聴こえるシンセも上記の要素と絡み合って極上のストリートサウンドとして成り立っています。

Qo feat. Nuklear MC / Killcode (Mindscape Remix)

Killcode feat. Nuklear (Mindscape Remix) by Qo, Nuklear MC, Nuklear on Beatport

ハンガリーのプロデューサーMindscapeによるドラムンベース
ビックリするくらい圧が強いベースが最前面に出ているシリアスさを伴った曲。
これもイントロ、ブレイクとの落差が凄いですね。
リズムパート中盤のベースはそのままにビートが複雑に崩れる展開とか、個人的には涎出るくらい好きです。

この曲のように無機質でエッジのある音を特徴とするサブジャンルはニューロファンクと呼ばれ、先のジャンプアップ同様にガラの悪い曲が多い印象です。
是非お見知り置きを。

Mefjus, June Miller / Saus

Saus (Original Mix) by Mefjus, June Miller on Beatport

オーストリアのプロデューサーMefjusと、オランダのプロデューサーJune Millerによるドラムンベース
今回取り上げる中に於いてぶっちぎりの変態リズム枠。
4つ打ちです。但しスネアが。
それもある程度進行するとテンポに対して半分の打ち方になるので、緩急がとんでもないことになってます。
その上でフィルの打ち方が異様に細かい上、様々な音色のドラムパーツを駆使している緻密さも併せ持った曲。
ブレイクに入るとより顕著にそれが表れていますね。

この頃のJune Millerは変なリズムの曲が多くてめちゃめちゃよく聴いてました。
同時期にリリースされたアルバム、Robots & Romansは彼の尖りまくったセンスが表れている作品なので、是非。

June Millerも大変好みのアーティストではあるのですが、Mefjusもまた個人的に好きなアーティストの筆頭でして、特に斬新なベースの音作りという点に於いては一歩抜きん出ていた印象を受けます。
彼の周囲にもそんなアーティストが数多く集っているのでその一例を以下に。

Mefjus / Ringshifter (Culprate Remix)

Ringshifter (Culprate Remix) by Mefjus on Beatport

イギリスのプロデューサーCulprateによるドラムンベース
先のSausのパートの一部にあったテンポに対して半分のビートを拡大解釈したスタイルの曲。
そして終始『何を食ったらこんな音が出せるんだ?』という音色のごっついベースが次々登場します。
随所でエレクトロニカ的な細かい音の抜き差しがあったりしてインテリジェンスな側面も見えるのですが、それを見失わせるくらいには凶悪な音が鳴っています。

ここまではリズムやサウンドなど、どこかしらにアグレッシヴな要素がある曲を取り上げてきましたが、本テーマを語る上ではそれだけに留まらないというのがドラムンベースの面白いところ。
次に紹介する曲は大分雰囲気が異なります。

Need For Mirrors / Wiggle

Wiggle (Original Mix) by Need For Mirrors on Beatport

イギリスのプロデューサーNeed For Mirrorsによるドラムンベース
聴き始めはリズムが硬いわけではない、派手なウワモノが乗っているわけでもない、渋いベースが淡々と鳴っている・・・と思っていたらそのベースがどんどん太くなっていき、ドラムとベースだけでリズムパートに流れ込んでいく、まさしくジャンル名を体現している曲。
そのベースのフレーズもめちゃくちゃ変。
例える言葉が見当たらないのですが、ぐわんぐわんする感じ。
少なくとも今のところはこの曲に似たベースを持つ曲というのは聴いたことがないくらいにはオリジナリティとクセの強い曲。

HyperJuice feat. Jinmenusagi / BADMAN DRUMZ

HyperJuice “BADMAN DRUMZ feat. Jinmenusagi“ [full stream] – YouTube

以前hardonizeにもご出演頂いたharaさんが所属するプロデューサーユニットHyperJuiceがラッパーのJinmenusagiさんを起用したドラムンベース
ラップ、歌、リフ、それぞれの聴かせ方をパートによってガラッと変えている展開の妙をドラムンベースに落とし込んでいる曲。
このジャンルに和楽器の音が入っているというのも斬新ですし、リフのパートではそれが聴いたことない高速の刻み方をされていて斬新極まれり。
その際のリズムもジャングルジュークが合わさったようないなたい感じで、やっぱりなかなか聴けないものに仕上がっています。

一方ラップや歌のパートでは808ドラムを用いた現行ヒップホップを彷彿とさせるビートとなっており、コントラストが凄い。
今や第一線のラッパーとして活動されているJinmenusagiさんの独特なフロウの歌い方もこの頃から健在で、リリックの内容も相まって曲の攻撃性に拍車をかけています。
新しいスタイルの到来を予感させた1曲。

Ozma / Censored (Dub Peddla Remix)

Censored (Dub Peddla Remix) by Ozma on Beatport

アメリカのプロデューサーDub Peddlaによるドラムンベース
1曲目に紹介したジャンプアップへと戻ってまいりました。
ボイスサンプルがガラの悪さを声高に叫んでいますが、これもまた特徴的なフレーズのベースラインが肝になっています。
パラメーターが変わって別の音になる箇所とか笑顔になるくらいガラが悪い。
あとやっぱりこの疾走感のあるライドの打ち方が好きだということを認識させられます。

これだけ派手に聴こえるのに、よく聞くと不思議と重なっている音はそんなに多くはないんですよね。

まとめ

以上、ガラの悪いドラムンベースにスポットを当ててお送りしました。
テクノで聴けるガラの悪さとは違い、電子音楽といえどコチラの方がより生々しい音使いをしているような気がします。
そのフィジカル感みたいなものが魅力の1つだと思っているフシはあるのですが、それはそれとしてフェス映えするような煌びやかなスタイルも、逆にアングラ極まったような実験的サウンドも、泣けるような美しいメロディーの曲も全部良い。
機会があったらそういった楽曲たちも取り上げられると良いですね。
・・・これ、何の連載でしたっけね?

あともしもっとこういうの聴きたいというマインドになられた方がいらっしゃいましたら拙作MIXをよろしくお願いします。
今回紹介した曲もちょいちょい含めつつ、こういうテイストのものばっかり取り入れております。
尚、ロゴは自信作です。

TAK666 – チンピラ合衆国国営放送 Vol.1 – 2020.05

Stream Jumpup, Neurofunk, Dnb Mix – 2020.05 by TAK666 | Listen online for free on SoundCloud

そんなわけで今回はここまで。

次週06月14日は774Muzikさんが担当します。
では。

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アニメソング、ゲームソング特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2022/05/26

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

またスケジュールミスって変なタイミングでの公開となりました。
申し訳ございません。

【告知】

予てより日程のアナウンスを行っておりました次回Hardonizeのゲストが先週公開されました。


2022/7/16(sat) Hardonize#41 at waseda sabaco

というわけでgekkoさんとMck4yさんをお招きしてお送りします。
両者ともテクノのみならず、様々なサウンドに対する造詣の深いプレイヤーでして、むしろわざわざハードテクノをプレイしているのを不思議に思う程。
他ジャンルとのクロスオーバーも頻繁に自身のプレイに盛り込んだりするので僕個人としては勝手にシンパシーを感じておりますが、何が流れるか分からないという意味に於いてはHardonize史上最大級と言っても過言ではありません。
もしかしたらハードテクノのパーティーなのにハードテクノが流れないという世界線もあるのではないかと思うと非常にわくわくしている、そんな回です。

あと両者ともHardonizeレジデントより若いので、これまでお招きしてきたベテランプレイヤーとも違ったニュアンスのプレイが聴けるのではないかという楽しみもあります。
07月16日、会場はいつもの早稲田茶箱でお待ちしております。

【近況】

いきなりで恐縮ですが自分はDJ歴=PCDJ歴でして、ブースに入るときは常にラップトップと一緒です。
なのでラップトップが壊れる、或いはラップトップからブースに音が送れないと詰みというリスクを常に持ち合わせております。
前者は昨年末に味わって大分冷や冷やしました。

このラップトップからブースに音を送る方法は色々あるのですが、自分は会場に備え付けのミキサーにUSBで接続し、ミキサーをラップトップのオーディオインターフェースとして用いる方式を採択しております。
ケーブル1本で接続完了するので本当に楽。
ラップトップを置くスペースさえ確保できていれば5分で展開が完了できますが、稀にミキサーをオーディオインターフェースとして認識しなかったり、そもそもUSB接続できないミキサーが置いてある環境に当たることがあります。
こうなると詰みですね。

これを回避するために自分はラップトップと一緒に小型のオーディオインターフェースを持ち歩いており、上記のようなシーンに直面した際はRCAケーブルを用いてミキサーと繋ぐことで音を出せるようにしています。
ちなみに型番はドイツの音響機器メーカー、ESIのGIGAPORT HD
相当前に購入したので現在は取り扱っていないと思われますが、ACアダプターを必要とせずUSB給電のみで稼働し、アウトプットが複数ある(驚異の4ch出力可能、その上でイヤホン端子も常備。)上に軽量で小型というモデルは相当珍しく、かなり重宝しておりました。
上記のような詰み状況もこいつのおかげで何度回避できたことか分からないくらい、頼れる相棒でした。

前置きが長くなりましたが、先週のTOKYO HARD GROOVE SESSION ’22出演直前にこいつが壊れました。
昨年末のラップトップが逝ったのと数ヶ月違いと考えるとそういうタイミングだったんだなと思うことで納得はできる。
納得はできるがしかし、これで音が出せなかった場合詰みに直結するタイミングでもある。

というワケで出演当日に新しいオーディオインターフェースを購入しました。
それがコレです。

ESI MAYA44 USB+ Audio Interface Product Overview – YouTube

同じくESI製のMAYA44 USB+という機種です。
前より更にコンパクトになっているのに外装は金属製なので堅牢さも兼ね備わったもの。
これとは別でGIGAPORT HDと同じ4ch出力が可能なモデルも同サイズ帯にありましたが、結局使わなかったので汎用性を取って2ch入力と2ch出力が可能なこちらにしました。
手のひらサイズでこの機能性が実現できていると思うと凄い時代になったなと思うばかりです。

まぁ結局現場ではミキサーにUSBケーブルを刺せたので買って即実地投入とはいきませんでしたが、先代同様ピンチを救ってくれると信じて持ち歩くことにします。
珍しく真面目な近況でした。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

それはそれとして今回のHardonizeゲスト2名のプロフィールで、両者ともアニメというキーワードを取り上げております。
そう、この2人はアニメ、サブカルチャー方面にもやたらと詳しいという共通点を持ち合わせていたりもするわけです。
一方自分はそこまでアニメを見てきたわけではなく、むしろ割と最近までアニメを見ることに対して心理的ハードルを感じていました。
基本的に集中力が無いので、決まった時間に新しい回を試聴するのを最低13回も繰り返さないといけないとか、そもそも数が多過ぎて何を観れば良いのか分からないとか色々あります。
最近クレーンゲームにドハマリしたせいでようやくプライズ化されているタイトルに興味を持つようになり、Re:ゼロから始める異世界生活とか転生したらスライムだった件を見ました。
最近だと鬼滅の刃を経てSPY×FAMILYを見ているとか、概ねその程度です。

ただその一方でアニメソングの持つ、流行も既存のジャンルも関係なく独自路線を走るアートフォームが変ミュージック好きとしてブッ刺さる瞬間が多くあります。
この辺りは同人音楽を好きな理由とも被るのですが、一般的なポップスでは用いられない歌詞や曲の展開、用いられるサウンドを組み合わせ、クラブや即売会といった空間より遥かに開かれたメディアであるところのテレビで流れるくらい洗練された曲というのはアイディアと技術の塊だと思っています。
この感覚はアニメソングでしか味わえないので、今放送されているアニメの主題歌を全部試聴して良さげなやつを買うということをたまにやるのですが、その結果作品は全然見てないけどアニメソングは知ってるという、まぁこれを書いている人の出来上がりです。
こういう存在をアニメファンであるgekkoさんとMck4yさんはどう思っているのか聞いてみたいところではありますが、彼らが『原作も知らずにアニメソングを聴くな!』というような過激派だった場合、僕の命日が07月16日になります。

というワケで今回取り上げるテーマは

お気に入りアニメソング、ゲームソング紹介

とします。

年代問わず、自分の好きなトラックについて紹介していきます。
以前ゲームミュージックに於けるテクノというテーマで特集を組んだことがありますが、今回はテクノに限りません。
前回もそうでしたが、最早『最近の』でもなければ『ハードテクノ』でもなくなってきました。
上記の通り作品の中身まで必ずしも追っていないので、曲単体で聴いたときのサウンドや展開のインパクトが主な紹介基準だとお考え下さい。

あと所謂有名アーティストや、バンドを起用した系は除外しました。
作品に携わった声優だったり、専属のサウンドコンポーザーが手掛けた曲のみを今回は取り上げております。
但し最後の1曲以外。

早速ですがお気に入りアニメソング、ゲームソング紹介
いってみましょう。

【曲紹介】

MAHO堂 / おジャ魔女カーニバル!!

【公式】アニメ『おジャ魔女どれみ』OP映像:MAHO堂「おジャ魔女カーニバル!!」/Magical Doremi – YouTube

アニメ、おジャ魔女どれみ主題歌。 (1999年)
作品としては女児向けであるものの、世代によっては改めて聴くまででもないくらい男女問わず知られている曲です。

しかし改めて聴くとサウンド、フレーズ、展開、全てに尖った箇所があることが分かります。
冒頭からビックリするくらい早弾きのストリングスが騒がしくインパクト満点なのは言うまでもなく、一方リズム部分はディスコっぽいデンデケデンデケ鳴っているベースに4つ打ちのキックという既にミスマッチ感。
その上このクセのあるメロディも何を参考にしたのか分からない挙句に1曲通して転調しまくるという変態テクニカルぶりを発揮しています。
それら全てをこの作品のメインターゲットであろう女子小学生に伝わる歌詞が走るという、最早あらゆる要素の巨大鍋。
こんなにキャッチーなのに、聴けば聴くほどワケ分からなくなる曲です。

あと絶妙に音程を外して歌っているように聴こえる箇所がたまにあるのですが、作品の主要人物である小学生の女の子という設定をこの曲の歌唱にも忠実に反映させたと考えると声優の技術にも感嘆する1曲。
そういう手法はまさしくアニメソングでしか聴くことができない醍醐味の1つだと確信しています。

桃月学園1年C組 feat. 一条さん / ルーレット☆ルーレット

ぱにぽにだっしゅ! op2 |paniponi dash! – YouTube

アニメ、ぱにぽにだっしゅ!主題歌。 (2005年)
ちなみにこれは自分が学生時代に全編見た数少ない作品の1つ。
単行本も全部持ってます。

全体的にラテンっぽいリフを駆使しているのに、一貫してテクノビートという、これもちょっとアンバランス感のある1曲。
曲の中で掛け合いやコール&レスポンスが多用されているがそれぞれに特に意味はないという脱力加減も、曲が作品を代弁しているかのような印象を受けます。
曲単体としてはミスマッチだが、作品自体とマッチしているという、これも1つのアニメソングの正着なのだなと勝手に納得した曲。

土間うまる / かくしん的☆めたまるふぉ~ぜっ!

TVアニメ『干物妹!うまるちゃん』ノンクレジットOP映像「かくしん的☆めたまるふぉ~ぜっ!」 – YouTube

アニメ、干物妹! うまるちゃん主題歌。 (2015年)

展開の妙、これに尽きます。
作品としては清楚でしっかり者の外の顔と、我儘で怠け者の家の顔の2つを持ち合わせたキャラクターを軸としたコメディなのですが、この曲の中でもやたらとテンションの高いパートと、凛としたオーケストラ風味のパートに分かれて構成されており、まさしく作品が曲に落とし込まれた形です。
歌っている声優もパートに合わせて声質を使い分けており、その技術が凄いことは勿論のこと、こういった変に見える手法までアリにしてしまうのがアニメソングの魅力だと思っています。
とにかく聴いてて楽しい曲。

IV KLORE / 極闇グロッソラリア

【試聴PV】IV KLORE「極闇ク゛ロッソラリア」【ラピスリライツ】 – YouTube

ゲーム、ラピスリライツ作中歌。 (2020年)

リズム部分のフレーズは古典クラシック音楽山の魔王の宮殿にてをアレンジしたもので、出足からインパクトがあります。
全体的にクラシックゴシックを意識したウワモノを配置しているものの、リズムが芯のあるEDMライクなパーツでまとめられており、特にスネアの音が本当にチャラい。
テンポの速さと完全裏打ちのベースも相まって程良く古さと現代っぽさが同居している、中二病留年生には堪らない曲。
自分と同じような世代だと絶対に伝わると思いますが、ALI PROJECTのゴシック×電子音楽というコンセプトを現代寄りに先鋭化させた感じ。

ちなみにこの曲はクレーンゲームに勤しんでいた際にゲームセンターの店内BGMで流れていたのが切欠で知りました。
即Shazam、即購入。

KOTOKO / Princess Bride!

プリンセスブライド / KOTOKO [ ErogesongFull 2003 ] – YouTube

ゲーム、もっと有体に言えば18禁ゲーム、Princess Bride主題歌。 (2003年)

この曲を知った経緯もなかなかに変なのですが、2000年代初頭、この世にダンスミュージックというものがあることを知り、サイケデリックトランスにハマっていたTAK666少年は、
ある時本場海外の有名なクリエイターを数多く起用したサイケデリックトランスのコンピレーションが国内レーベルからリリースされていることを知ります。
それが当時I’veという音楽プロダクションが手掛けていたVERVE CIRCLEというシリーズで、それ自体は個人的に当たりだったのでじゃあ別の作品も聴いてみようと思ったは良いものの、実はI’veが多く手掛けていたのはKeyを始めとする美少女ゲーム、18禁ゲームの曲であり、最初に手に取ったサイケデリックトランスのコンピの方が珍しかったということを後から知りました。
今書いていて昔からやってること変わってないな自分と思いましたよ。

で、その流れで聴いた曲。
所謂電波ソングというカルチャーを知ったのもこの曲が切欠です。
パーカッション的に細かくアクセントをつけた歌唱法や、随所で韻を踏んだ歌詞などリズム的な耳障りが気持ち良い。
リズムの質感やテンポの速さは当時のユーロビートっぽいと思う一方、シンセではなくボーカルを強調したこういうスタイルには独自性を感じます。

あとこの曲、先日のMusic Unity 2022で出演したKOTOKO本人が歌っていたという情報を聞いてマジかってなりました。
ほぼ20年前の、しかも18禁ゲームの曲が本人によって今尚披露されるってなかなかの事件だなと思いました。

そういえば同じアーティスト繋がりで今年に入ってからこういった曲も出ましたね。

Aiobahn feat. KOTOKO / INTERNET OVERDOSE

@Aiobahn feat. KOTOKO -INTERNET OVERDOSE(『NEEDY GIRL OVERDOSE』主題歌) – YouTube

ゲーム、NEEDY GIRL OVERDOSE主題歌。 (2022年)
令和の時代に突如出現したガッチガチのユーロビート、且つ電波ソング。
そして歌詞の内容はインターネットの承認欲求と時代感が混然一体となっている曲。
完成度が素晴らし過ぎてサウンドトラック付きでゲーム買いました。まだやってません。

ちなみにサウンドトラックのフィジカルリリースが来月に控えているそうですが、見てくださいこのジャケット。
これで令和の内容を平成のサウンドに乗せて歌った曲が、昭和のジャケットで出ることになるわけです。
ちょっと欲しい。
(元ネタ)

古代祐三, flair / すばらしき新世界

Namco X Capcom Intro 4K 60FPS Remastered – YouTube

ゲーム、ナムコクロスカプコンオープニングテーマ。 (2005年)

ウィスパーボイスのボーカルが特徴的なトランス
それもシンセバキバキ系のサウンドではなく、薄く敷かれたギターと随所に差し込まれるピアノという控えめなウワモノに荘厳さを感じさせるボーカルの残響処理が組み合わさったエモーショナルなスタイル。
ウワモノがシンプルな分ベースのリフがよく聴こえるのですが、それもまた曲の雰囲気に一役買ってます。

そしてそんな曲のエモさに反比例するかのような熱量を誇っているのがこのオープニング映像。
ナムコカプコン、両社のキャラクターが一定の世界観で各カットごとに次々登場する情報量の多さは、これまでゲームに触れてきた数が多ければ多い程テンションの上がり具合と比例します。
個人的にかなり好きなゲームのオープニング映像の1つ。

alan / Over the clouds -BURST mix-

God Eater Burst – Over the Clouds -BURST Mix- (English Subtitles) – YouTube

ゲーム、GOD EATER BURSTオープニングテーマ。 (2010年)

聴いて分かる通り、ダブステップです。
今となってはゲームミュージックに於いて採用されるジャンルとしては珍しくないダブステップですが、本作のリリースは2010年。
2010年というと世界中を震撼させたSkrillex / Scary Monsters And Nice Spritesがリリースされた年であり、もっと正確にはこのGOD EATER BURSTの方が先にリリースされています。
つまり日本に於いてはごく僅かな好事家しかこの音楽を知り得ない時代に、クラブミュージックとは全く異なる文脈で突如出現したのがこの曲ということになります。

しかもちゃんとこのジャンルの肝であるところのワブルベース、インパクトの強い2拍4拍のスネアなど当時のダブステップのサウンドをパッケージしているんですよね。
その上で伸びのあるボーカルを乗せているから特段クラブミュージックに触れていない人でも聴けるようになっています。
というか当時ボーカルもののダブステップというのもあまり一般的ではなかったので、相当チャレンジング且つ革新的なことをやってます。

この年以降、多くのクラブミュージックに於いてダブステップのサウンドが取り入れられるようになり、あらゆるジャンルに変革が訪れるのも見てきているので、ただただこの曲の先見の明には驚かされました。
個人的にはゲームミュージック史に残る重大事件の1つとして捉えています。

DAGames / Build Our Machine

BENDY AND THE INK MACHINE SONG (Build Our Machine) LYRIC VIDEO – DAGames – YouTube

ゲーム、Bendy and the Ink Machine作中歌。 (2017年)
今回唯一の海外枠です。
当初はDAGamesというアメリカの配信実況者によって本作をモチーフにしたファンソングとして作られたものなのですが、それを公式が気に入り、実際にゲーム内で採用された経緯を持つなかなか凄い曲。

まずこのゲームはかつてモノクロのカートゥーンを制作していたスタジオを舞台とし、その制作に携わっていた主人公がそのスタジオから脱出を図るという趣旨のホラーゲームです。
その道中でカートゥーンキャラクターたちから度々襲撃を受けるのですが、彼らには彼らのバックストーリーがあり、ゲームの進行によってそれを知ることができるといったコンセプトでして、
この曲はそんなカートゥーンキャラクターの視点から主人公に向けたメッセージを歌ったものになっております。
その内容というのが有体に言って呪詛そのもの。
ホラーゲームらしく物々しいワードが、古めかしく処理された雰囲気のあるボーカルによって次々と飛び出します。

その一方でバックトラックは軽快なピアノとグルーヴィーなコーラスがムード溢れるスウィングエレクトロでして、作中世界のレトロさとカートゥーンの楽しさを持ち合わせた雰囲気が漂っています。
先のボーカルに於いて細かく韻を踏んでいるのも軽快に聴こえる要因の1つですが、とにかく歌詞の内容と曲の雰囲気が離れまくっているのです。
こういった相反性のある曲は日本のアニメソングに於いてもTHE NEUTRAL / 日曜日の太陽などが挙げられますが、結構好きな仕掛けです。

大島ミチル / ICO -You were there-

Spotify – ICO-You were there- – song by ICO

ゲーム、ICOエンディングテーマ。 (2001年)

ケルト民謡的な楽器を用いた幻想的で穏やかなダウンビート
英語歌詞によるボーカルも儚さと優しさを伴って聴こえてくる、エンディングテーマのお手本みたいな曲です。
イントロ後、ボーカルが入ってくるAメロとBメロに於いてはノンビートで進行し、サビ手前でようやくリズムが入ってくるストーリー性のある展開はまるで映画のよう。
疲れた時とか、何かを終えた時とかに聴きたくなる曲筆頭です。

TM NETWORK / Get Wild

TM NETWORK 『Get Wild』 – YouTube

アニメ、シティーハンターエンディングテーマ。 (1987年)
ここまで有名アーティスト起用は無しで選定しておりましたが、この曲だけはこのテーマに於いて外せないくらい個人的に好きなので。
とはいえ、それまでチャートのトップ10圏外だったTM NETWORKが初めてトップ10入りを果たしたのがこの曲らしく、作られた経緯もシティーハンターのために書き下ろされたものだったらしいので、そういう意味では大外れでもないという言い訳をさせてください。

サウンドに80年代のレトロ感と近未来感が、歌詞に都市の煌びやかさと寂しさがそれぞれミックスされており、その配分が絶妙。
4つ打ちのキックにグルーヴ感のあるベースラインというダンスミュージックの要素を満たしたリズム、Aメロに於ける哀愁のあるパッドとサビに於けるタイトル通りワイルドなギターの相反する要素が合わさった構成は、様々な人が行き交っている都市というテーマに合致しているように思えます。
それでいて1つ1つのサウンドは決して派手過ぎず、互いに互いを引き立たせることによって1つのインパクトのある曲になっているのも愛おしいですね。

ちなみにこの曲が起用されているシティーハンターですが、2019年の劇場版、及び実写版が大ヒットしたことを受けてまた劇場版が制作されるらしいですね。
両方見たんですけど両方楽しかったので今回も期待して待ってます。

まとめ

以上、お気に入りのアニメソング、ゲームソングにスポットを当ててお送りしました。
メインストリームのポップスの洗練された感じと、アンダーグラウンドなチャレンジ精神が一緒くたになっている曲が好きなのでこのようなセレクトになりました。
年代も良い感じにバラけている通り、古きにも新しきにもそれぞれの良さがあると思っておりますので、引き続きチェックしていきたいと思っております。

そんなわけで今回はここまで。

次週05月31日は774Muzikさんが担当します。
では。

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