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新作ハードグルーヴ特集 (2020年10月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/10/01

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

近況報告。

備えました。
値上げはしんどいですね。

近況報告終わり。

予てよりお伝えしておりましたHardonize初の公募企画は先日受け付けを締め切りました。
yudukiさんも書いておりましたが、総計10個のMIXが届きました。
率直な所感と致しましては、当初の想定より大勢の方々にご参加頂けて非常に嬉しく思います。
あとざっと聞いた感じ、本当にハードテクノ関係ない内容で送ってきた方がちらほらいらっしゃったことも個人的にはテンション上がりました。
以前も述べましたが、募集要項でオールジャンルと謳ったからにはジャンルの貴賤なしに謹んで審査させて頂きます。
僕自身がそういうスタンスで活動しておりますので。

ともあれご参加頂いた方々、本当にありがとうございました。
本記事作成後、選考致します。

あと10月17日の土曜日に、好きな曲を持ち寄って気ままに喋る会、早稲田音泉 二湯目を開催致します。

こちらもジャンルの縛り一切なし、なんならDJ云々も関係なし、ただ各々の好きな曲を紹介し合うというところをメインに置いたパーティーです。
来場者それぞれの視点からビックリ音楽が飛び出すこと請け合い。
是非推し曲を携えてお越し頂けますと嬉しいです。

参加予約はこちらから。
早稲田音泉 二湯目(にとうめ) in東京 – パスマーケット

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

ハードグルーヴ

です。

特別連載に於いては7回目に取り上げた、ラテンやディスコのフレーズを用いたファンキーなハードテクノになります。
当パーティー、及びブログ記事に於いてはすっかりお馴染みといっても良いサブジャンルであり、我々4人とも幾度となく取り上げている音楽ですね。

前回ワタクシがこの音楽にスポットを当てたのは今年の02月で、その時はSangoさんが『明るいテクノがない』とボヤいていた直後だったのですが、
ハッキリ申し上げてここ最近のハードグルーヴ、

メチャメチャ当たりが多いです。

サウンドの陽気さとかテンションだけを取り上げてもそうですが、新進気鋭の存在、別ジャンルからの流入、外部トピックの多いリリースがかなりありました。
特に先月09月は尋常じゃなかった感があるので、以下でご紹介していくトラックは本当に直近のリリース多めとなっております。

早速ですが新作ハードグルーヴ紹介いってみましょう。

Netrox / Lollipop

Lollipop (Original mix) by Netrox on Beatport

チリのプロデューサーNetroxによるハードグルーヴ。
ブラスのリフと女性ボーカルがインパクト抜群。
芯の細いキックがクセモノではありますが、推進力の高さは他のハードグルーヴ見劣りしない仕上がりとなっております。

ちなみに最近の更新こそないものの、彼がSoundcloudのアカウントで公開している曲は全てフリーダウンロード。
即戦力間違いなしのラテン系ハードグルーヴ多めなので、合わせてチェック推奨です。

R. Natus & Arkus .P / Hardcore Salsa (Netrox Bootleg)

Hardcore Salsa – R. Natus & Arkus .P (Netrox Bootleg) by Netrox | Free Listening on SoundCloud

DJ Brutec / Funky Hipster

Funky Hipster (Original Mix) by DJ Brutec on Beatport

スペインのプロデューサーDJ Brutecによるハードグルーヴ。
これもインパクト大のブラスサンプリングもの。
手数の多いパーカッションといい、ハードグルーヴの醍醐味が感じられるトラックです。
ちなみに先日録ったもし自分がHardonizeの公募に挑戦したらMIXでも使用しました。

Andy Bsk / Bamboocha

Bamboocha (Original Mix) by Andy Bsk on Beatport

ドイツのプロデューサーAndy Bskによるハードグルーヴ。
ストリングスをフィーチャーしたアーバンでありながら重厚さも兼ね備えた曲。
序盤から終盤にかけてどこにでも配置できそうな機能性の高さは流石ベテランアーティストの所業という感じです。

ちなみに先々週のyudukiさんのエントリーで取り上げられていたSuper Sonicoという謎タイトルでのリリースを行ったのもこのAndy Bsk。
(当然ですが、よく知られたあっちとは全く関係ない内容となっております。)
そのSuper Sonicoが収録されたアルバムReal Hyp-Hapが09月にリリースされており、アルバム単位でのリリースが少ないハードグルーヴシーンに於いては貴重な作品であることも合わせてここに紹介します。
大手配信サイトでも購入可能ですが、bandcampで買うとボーナストラックが1曲付いてくるので、そちらで是非。

Andy Bsk / Super Sonico

Super Sonico (Original Mix) by Andy Bsk on Beatport

Felix R / Spice

Spice (Original Mix) by Felix R on Beatport

オーストラリアのプロデューサーFelix Rによるハードグルーヴ。
過去テックダンス / テックトランス紹介の際に名前を出したFelix Rですが、最新作では今まで培ってきたハードダンスサウンドを活かしたハードテクノを披露しております。
シンセの厚みに特にそれが現れており、一般的なハードテクノと一線を画す面白いサウンドが聴けます。
こういう別ジャンルの要素が流入しているトラックが出てくると、ジャンル間クロスオーバーの民としては嬉しくなりますね。

Omega Drive / Floor Demolition

Floor Demolition (Original Mix) by Omega Drive on Beatport

ドイツのプロデューサーOmega Driveによるハードグルーヴ。
この手のサウンドが好きなら避けては通れないアーティストとなっておりますが、手腕未だ衰えずといった塩梅。
密度の高いパーカッション、ファンキーなシンセリフ、ドライヴ感のあるベースライン、その全てが相互に作用しあっているお手本のようなド派手テクノ。
否応なくピークタイム向けです。

もう1つ直近のリリースでオススメしたい曲があって、それがこちら。
リズムの前のめり感はそのままに、黒めのラフなベースラインが何とも耳に残る不思議な曲。
自分同様の変ミュージック好きにはピンとくるものがあることを期待して。

Omega Drive / Wrong Therapy

Wrong Therapy (Original Mix) by Omega Drive on Beatport

Goncalo M / Nosferatu

Nosferatu (Original Mix) by Goncalo M on Beatport

ポルトガルテクノシーンに於ける大ベテランGoncalo Mによるハードグルーヴ。
Inner City / Good Lifeを彷彿とさせるピアノリフに深めのベースライン、そしてそれを支えるドライクラップとハイハットのスリープラトン。
現行テクノの技術を駆使しつつ、オールドスクールのエッセンスもフックアップしているように聴こえます。

ちなみに上で紹介したAndy Bsk / Bamboochaと同EPに収録されているこちらも個人的に好みなので合わせてご紹介。
ベースの深度、リズムの密度は上記同様、控えめながらも存在感のあるシンセがGoncalo Mらしいトラック。

Goncalo M / G39

G39 (Original Mix) by Goncalo M on Beatport

Mr. Rog / Shamaniac

Shamaniac (Original Mix) by Mr. Rog on Beatport

スペインのプロデューサーMr. Rogによるテクノ。
ちょい哀愁漂うシンセが小気味良いハイハットと並走するメロディアステクノ。
これまで紹介した曲より派手さは控えめながら、ハードグルーヴ文脈も取り入れた曲調ユエに〆にうってつけな感じ。

David Moleon / Oye Bien

Oye Bien (Original Mix) by David Moleon on Beatport

スペインのプロデューサーDavid Moleonによるハードグルーヴ。
ここにきてまさかのAlbita / Ta’ Bueno Yaネタ。
ハードテクノ民的には大クラシックBen Sims / Manipulated (Adam Beyer Remix)でサンプリングされていた曲と言った方が通りやすいでしょうか。
上記の曲に負けず劣らずのトライバルリズムを披露しており、とても2020年の曲には聴こえません。
2020年ハードグルーヴ界の問題作その1といって良いでしょう。

Giorgio Moroder / The Chase (Almir Ljusa Remix)

The Chase (Almir Ljusa Remix) by Giorgio Moroder on Beatport

そしてこちらが問題作その2。
イタロディスコのスーパーレジェンドGiorgio Moroderが1978年にリリースした13分に及ぶ代表曲The Chaseをボスニア・ヘルツェゴビナのプロデューサーAlmir Ljusaがハードグルーヴとしてアレンジしたもの。
何が異質かといえば、今年の02月にGiorgio MoroderのレーベルからThe Chaseのリミキシーズコンピレーションが出ているにも関わらず、本作はAlmir LjusaのレーベルVertex Recordsから出ていること。
他アーティストに比べるとそこまで有名曲のリミックスを手掛ける印象のなかったAlmir Ljusaでしたが、此度の作品はかなり大胆と言わざるを得ません。
肝心の内容ですが、往年のディスコらしいデケデケ鳴っているシンセを中心にレトロなサウンドとハードグルーヴリズムが共存しており、文句なし◎。
ネタ元の強烈さもさることながら使いやすさも抜群の超優秀トラックです。

Almir Ljusaは現行のハードグルーヴを牽引する存在であり、Hardonizeレジデントは全員注目しているアーティストです。
他の直近の作品でもChieftainとかかなり好きな部類に入るのですが、
つい3日前にSoundCloudにこのような楽曲が公開されていました。

Almir Ljusa / Ta Bueno Ya 2.0 Turbo

Almir Ljusa – Ta Bueno Ya 2.0 Turbo (Original Mix) by Almir Ljusa | Free Listening on SoundCloud

またしてもAlbita / Ta’ Bueno Yaネタ。嘘だろお前ら。
今のところ未リリースとなっておりますが、リリースされたら問題作その3になること必至です。

以上、ハードグルーヴにスポットを当ててお送りしました。
ここにきて脂っこいリリースが続いた期間だったなと思いました。
確かにテクノ全体から見ると少数ユエ、探すのには一工夫要るようなジャンルではありますが、いざ新譜を聴くとまだまだ活きの良い音が揃っております。
渋い側面だけではなく、明るくて陽気な側面もテクノにはあるのだということを引き続き提示していきたいと思います。

次週10月06日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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【特集】公募用DJMIXの組み方 - Resident’s Recommend 2020/09/19

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

今回の執筆に際して準備が間に合わず公開が2日も遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした。

予てよりお伝えしておりますように、ハードテクノパーティーHardonizeの37回目を11月14日に執り行います。
そしてその連動企画としてMIX公募を受付中です。


応募用フォームはこちら

クラブミュージックに於いて公募制度を設けたパーティーというのも以前はちょいちょい見かけたものの、最近では珍しい気がしますね。
前回の記事でも書いた通り、我々Hardonizeクルーは4人とも15年前にやってたとあるMIX公募型パーティーの出身者でして、公募というものに思い入れを持っています。
先週の記事内で774MuzikさんSangoさんがそれぞれその丈を綴っておりましたが、自分も概ね同じような所感を持っております。

前述の通りHardonizeはハードテクノのパーティーではありますが、今回の公募では

使用ジャンルはオールオッケーとなっております

ので、様々なアプローチによるMIXのご応募、お待ちしております。

あと03月に急遽開催したB2Bを交えつつ好きな曲についてダラダラ喋る会こと早稲田音泉の2回目を10月17日に行います。

前回は本当にビックリ音楽勢揃いでしたので、またやるからには新記録を更新していきたい。
加えて我々から紹介するだけではなく、皆様からの推し曲も募っていきますので是非ご来場の上、エントリーして頂けますと幸いです。
我々は音楽に飢えているので。

こちらもオールジャンルとなっております。
参考までに前回はアニメソング、ゲームミュージックは当然としてメタルとかヒップホップも飛び出しました。

さて本題。

通常であればワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっておりますが、
折角自らのパーティーでMIXの公募を受け付けている最中でありますので、
今回は

公募用DJMIXを作る際の考え方

について自分なりの意見を述べていきます。

よって今回曲紹介はありません。
文章主体の回になりますのでひとつご容赦ください。

(一応)自己紹介

まずお前は誰なんだという話から。

TAK666という名前で15年程DJをしております。
ジャンルの専門は特にありません。
4つ打ちからブレイクビートまでその場に合わせて色々と。
ただ、それらが違和感なく1本のMIXとして展開されていく流れを好む傾向があります。

下記SoundCloudのアカウントでちょいちょいMIXの公開を行っておりますのでご参考の程。
TAK666 | Free Listening on SoundCloud

公募との関わりについては、最初のDJデビューが公募制のパーティーで、応募者の中から出演権を勝ち取ったことによるものでした。
その後も公募制度を設けていたパーティーが多かった時期までは積極的に応募し、そこそこの打率で出演権を頂いていた自負はあります。
大きな経歴としてはOUTLOOK FESTIVALが開催していたROAD TO OUTLOOK JP 2017のセミファイナル進出でしょうか。
(Vice Creamがワタクシと最近ブレイズヘアになったSYNDROMEさんのユニットです。)
余談ですが、以前大阪のとあるパーティーに応募して受かった際、審査員全員満場一致で採用された経緯を聞いたのは嬉しかった思い出。
但しその後に茶化し半分で『若手の目を潰して酷い人やで!』とも言われました。

また、規模の大小を問わず公募制度を設けていたパーティーで応募されてきたMIXの審査を担当したり、自分でそういったパーティーを開催したこともあります。
なのでジャンルを問わず公募で送られてくるMIXというものを多く聴いてきておりますので、採用不採用の基準については話せる部分があると思います。

尚、自分のキャリア上これらは全てクラブミュージックの範疇になりますので、現在も公募制度を設けているパーティーの多いアニメソング系についてはこれから書く内容は必ずしも当て嵌まらない可能性がありますのでその点はご留意ください。

DJ MIX作成について

では実践編。

大前提としてDJの基礎を心得ていることです。
具体的には

(1) ドタらない
(2) 曲の前後、及びMIX全体で音量の極端な上下がない
(3) 曲と曲を重ねている際、出音の帯域ごとにバラつきが生じない

この辺りです。

(1)は言うまでもないでしょうし、DJに於けるミスといえば真っ先に思い浮かぶのがこれです。
ですが実際には『よく聞くとドタっているがまぁ許容範囲だし良いだろう』と見受けられる箇所を含んだまま提出されるMIXがたまにあります。
現場だとこれが結構通用してしまうのですが、審査されるものとしてビートシンクの精度は良い方が好ましいです。
ちゃんとモニタリングして重ねましょう。

(2)もDJ教則本なんかに度々挙げられるようなポイントですが、実践となると意外に蔑ろにされがちな部分です。
というのも最近のDJ機器、ソフトウェアの技術面の向上によってある程度までは使用機材が自動的に補正をかけてくれるため、DJ自身の手による大幅な介入をしなくても済むためです。
但しそれはあくまでもある程度までの話で、レベルメーターで見ると揃っているものの、実際に人の耳で聴くと音量や音圧に差があるように聴こえるということは頻繁に起こります。
そのため、曲ごとのゲインの微調整は必ず意識しましょう。
経験則になりますが、ここが採用不採用の分かれ目になるケースを多く見てきました。

最近のクラブミュージックは尺が短いものも多く、そこまで意識している余裕がないという意見もDJとして理解できますが、公募に於いては1本のMIXとして聴いた上で評価することになるので、無視した方が良いということにはならないと思います。
厳密にやるならMIXを作る前に使用曲全てに対してマスタリングを行うとかになりますが、録音後にマスタリングを行う形でも大分聴こえ方が改善される場合があります。

(3)はロングミックスを行うジャンルに対する注意点です。
オーソドックスなテクノ、ハウス、トランスとか。
曲を重ねる前、重ねている最中、重ねた後でフラットな出音となっていることが望ましいです。
(我々の時代ではよくスムーズなMIXなんて表現をされていました。)
例えば低音を重ね過ぎないとか、逆に切り過ぎないとかそういったことになります。

これは曲ごとの出音の特性によってどこまでEQを操作するかが変わってくるので、繰り返し練習を行って気持ち良いポイントを探すしか方法がありません。
あとMIXは音を重ねるときより音を抜いていく方が難しいので、音を重ね過ぎるとその瞬間の出音の違和感もさながらその後のリカバリーもかなり無理をしなくてはならないので、そうなったらいっそ録り直した方が良い気がします。

あとどんなに良い内容であっても定められた規定時間の超過だけは絶対に避けましょう。
応募本数が多かった場合、問答無用で落とされる可能性があります。

自分は規定時間に収まるかどうか事前に調整を図るため、このような表を作っております。

後述のMIX作成の際に使ったものです。
左の列に曲番号が振られており、上から順に

1曲目の1分21秒時点で2曲目を再生すると展開が合う。
2曲目の1分49秒時点で3曲目を再生すると展開が合う。
・・・
15曲目の2分5秒時点で16曲目を再生すると展開が合う。
16曲目はフルで再生すると4分である。
⇒合計で43分40秒程の長さになる。

ということがメモされております。
実際にはここからテンポ調整などが入るため、目安の数値ではありますが、完成したものが43分ちょいなので精度としては十分です。

加えてどのポイントにも言えることですが、少しでも納得いかなかったら即座に録り直す勇気は絶対に必要です。
『成功が努力の前にくるのは辞書の中だけだ』という言葉があるように、繰り返し練習を行うことで良いMIXが出来上がるものと自分は思ってます。

選曲について

前章と順番が前後しますが、実際に行う手順としてはご存知の通り、こちらの方が先になります。
DJは現場に臨む際、事前に選曲するのが善か悪かなんて議論がよく見受けられますが、こと公募に於いては絶対に手を抜けないポイントであり、ガチガチに組んだ方が良いと思っております。

基本的には自分が普段現場で行っているプレイ、或いは応募先のパーティーでやりたいプレイを中心に考えれば良いと思いますが、個人的にはその上で起承転結を明確にすべきと考えます。
どのジャンルにも言える話ですが、様々なスタイルを持った曲があります。
ウォームアップ系、ピークタイム系、メロディアス系、主体はリフなのか、フレーズなのか、サウンドのインパクトなのか、曲調はシリアスなのか、馬鹿っぽいのかなど、それぞれに特性があり、それらを相互に活かすのがDJの役割だと思っております。
同じような曲ばかり展開されるMIXから見えてくるのはあくまで制作者の趣向であって、DJの特性ではないのです。
従って、規定時間内でテンションの山や谷を作るような選曲が望ましいと言えます。

その上で審査員に刺さる選曲をどのように行うべきかという話になりますが、自分が行うことの1つにリサーチがあります。
そのパーティーを主宰しているのは誰なのか、どういうジャンルに精通しているのか、現場ではどんな曲がかかるのか、などについて調べ、そこにアプローチできる楽曲はないかと探すわけです。
ある程度それらのピックアップが完了したらそれをMIXの前半、中盤、後半のどこに配置するか決めたのち、そこに肉付けする形でセットリストを作っていきます。

今回作成したものの中で比較的序盤に挙がった曲としてはボス、yudukiさんが最近お熱のテックトランスであるこれや、

Richard Lowe / Razorback

Razorback (Original Mix) by Richard Lowe on Beatport

Hardonizeで比較的よくかかっているハードグルーヴの直近のリリースであるこれや、

DJ Brutec / Funky Hipster

Funky Hipster (Original Mix) by DJ Brutec on Beatport

ネタ元が強烈なこれとかでした。

KAGAMI / Tiger Track (Yurizo Refix)

[Free DL]Tiger Track(Yurizo Refix) by 百合蔵/Yurizo | Free Listening on SoundCloud

あとは個人的な趣向として、

(1) 序盤3曲はイントロダクションパートとして渋い曲調のものでまとめる
(2) 応募先パーティーがメインとしていないであろうジャンルについても触れる

この辺は重きを置いています。

(1)は上記でも書いた起承転結の起に該当する部分です。
現場でのDJと違い、審査時は前後の脈絡がない状態で聴かれることが多いため、一旦リセットした状態から展開していくのを意識してのものです。
加えて自分の場合は最初と最後で全然違う曲になっていることが多いので、その落差をより顕著にするためにもこういったトラックを序盤に持っていきがちです。

(2)は起承転結以上に自分の幅の広さを提示している感じです。
単一のジャンルをストイックに追及しているわけではないが、だからこそできる展開の作り方があるのではないかと思うわけでして。
予想できない展開をするDJというのが昔から好きなので、そこに無理やり感が出ないギリギリのラインを突いていきたいとは思っています。

実際にやってみた

以上を踏まえてワタクシが実際に今回のHardonizeに公募MIXを提出しようとしたらどうなるのかとやってみたものがこちらになります。
コイツのせいで2日遅れました。
申し訳ございません。

TAK666 / Hardonize #37 Contest Entry (If I Challenge) – 2020.09

Rave, Hardminimal, Tech Trance, Hardgroove, Hardhouse, Bassline Mix – 2020.09 by TAK666 | Free Listening on SoundCloud

トラックリストはリンク先公開です。
レイヴブレイクスに始まり、ハードミニマル、テックトランス、ハードグルーヴなどを経由してハードハウス、ベースラインで終わる43分16曲。
規定通りです。

Hardonizeのメインジャンルであるハードテクノにスポットを当てつつ、オールジャンルと謳われたからには別の要素も取り入れた内容です。
録り終わってから気付きましたが、いつものHardonizeのプレイでした。
全然ドラムンベースとか、ハードコアとかもアリなんですよ。
過去どっちも流れてますし。

念押ししますが、これが最適解とは思っていません。
あくまで自分だったらこうするというだけのものなので、応募をお考えの皆様に於かれましては各自のスタイルを前面に出したMIXをお作り頂きたいですし、その上で本記事やこのMIXを参考程度に留めて頂けると嬉しいです。
むしろこのぐらいだったら自分にもできると思って頂いて全然オッケーです。
引き続き皆様からのご応募、お待ちしております。

締め切りは09月27日。あと1週間!

以上、公募用DJMIXの組み方についてお送りしました。
この手の話はパーティーそれぞれにポリシーやセオリーがあるので、なかなか明文化しづらい部分だとは思います。
ただ、それユエに知識の共有化もなされないのは公募に関わってきた者として少々勿体ないような気もしたので、散文ではありますが拵えてみました。

また公募制のパーティーが増えてくると挑戦者側として喜ばしく思ったりするのですが、ところで若手の方々に聞いてみたいこととして、『キャリア10年超えみたいな人がわざわざ公募してくるのってどう思う?』ってのがあります。
先の大阪の方々じゃないですけど、あれが半分本気だったらちょっと申し訳なかったなとも。
あ、Hardonizeは全然オッケーです。
老若男女人外まで門戸は開きっぱなしです。

次週09月22日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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