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新作ハードアシッド特集 (2020年08月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/08/06

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

近況報告。


世の流行に乗ってみました。
何事もなくて一安心。

近況報告終わり。

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

ハードアシッド

です。

特別連載に於いては3回目に取り上げたアシッドシンセを用いたハードテクノです。
この音楽にスポットを当てた前回の新譜特集から丁度半年経ったので、改めてここ1~2ヵ月の間にリリースされたトラックについてピックアップしていきます。

では、新作ハードアシッド紹介いってみましょう。

Alexey Kotlyar / Pandemija

Pandemija (Original Mix) by Alexey Kotlyar on Beatport

現行のハードテクノシーンを牽引しているレーベルAK Recordingsより、そのボスを務めるウクライナのアーティストAlexey Kotlyarのハードアシッド。
速いテンポに存在感のあるハイハットとアシッドシンセの組み合わせがかなり往年のアシッドテクノっぽい・・・しかしリリースは2020年。
音の軽さも相まってひたすら前のめりなグルーヴを追求している曲。
端的に言うとリッジレーサー感。

OB1 / Go Underground

Go Underground (Original Mix) by OB1 on Beatport

ハードテクノ、アシッドテクノシーンに於ける大御所UKプロデューサーOB1によるハードミニマル。
新興でありながらハードミニマル~ハードアシッドに於いては抜群の存在感を示しているSkuxx Recordsの新譜です。
反復するアシッドベースにスモーキーなエフェクトと無機質なリフと、かなりシリアス寄りのトラック。
前のめりなハードミニマルとして格好良いですが、アシッド⇔ミニマル間の橋渡しとして使うのが便利という印象です。

Jah Scoop / Goodnight Buster

Goodnight Buster (Original Mix) by Jah Scoop on Beatport

こちらもイギリスのリビングレジェンドGeezerの別名義プロジェクトJah Scoopによるハードアシッド。
レゲエ×ハードアシッドという無類のスタイルを持ち味に活動しているJah Scoopですが、此度の新曲はジャズ?スカ?ともかくあまりレゲエらしくない生楽器の音を用いております。
但しリズムパートではアシッド鳴りっ放し。
唯一無二度合いは微塵も薄れていないキワモノテクノで心弾みます。

ちなみにほぼ同時期に本名義でもリリースがありまして、そちらは文句なしに直球なハードアシッド。
伝説未だ健在といった感じでありがたい限りです。

Geezer / Piccadilly (Geezer’s Mullet On Steroids Remix)

Piccadilly (Geezer’s Mullet On Steroids Remix) by Geezer on Beatport

Nikita Zavodchikov / Stomper

Stomper | Nikita Zavodchikov

彗星の如くシーンに現れたロシアのプロデューサーNikita Zavodchikovによるアシッドテクノ。
ジャケットが良い。
リズムの層の厚さに対してリフが派手じゃない分、どのタイプのハードテクノにも問題なく差し込めそうな高い汎用性を秘めています。
割とアングラテクノ界隈に於いては珍しいタイプの曲とも言えるため、今後が楽しみなアーティスト。
ジャケットも良いですしね。

Ganez The Terrible / The Next Movement

The Next Movement | Ganez The Terrible

フランスを代表するアシッドテクノプロデューサーGanez The Terribleによるアシッドテクノ。
ハードでアグレッシヴなトラックに関しても相当な信頼を置けるアーティストですが、実はトランスサウンドも手中に収めている器用さを持っています。
うねりのあるグルーヴが気持ち良い、躍らせつつ聴かせるタイプの曲。
最近のリバイバルサウンドであるテックトランスとの相性も良さそうです。

STEFAN / Aspartam

Aspartam | STEFAN | Industrial Techno United

ドイツのプロデューサーSTEFANによるアシッドトランス。
これがリリースされているIndustrial Techno Unitedはその名の通り、硬くて狂暴なインダストリアルテクノを主軸とするレーベルなのですが、何故か今月にリリースされたこれはアシッドトランス。
浮遊感のあるパッドに並走するアシッドシンセの組み合わせは誰がどう聴いてもアシッドトランス。
但し、リズムに関しては現行のメインストリームテクノを踏襲した深度を持ち合わせており、そういう意味ではテクノのレーベルから出ているのも間違いではない感じを受けます。

ところで、このIndustrial Techno Unitedというレーベル、ほぼ1日に1作品というペースで何らかのリリースがされており、2017年の設立から2020年現在までの作品数は810本というとんでもない数字を叩き出していることに全く理解が追いつきません。
更にBandcampで全作品まとめ買いすると90%オフという冗談みたいなセールもずっと行っておりまして、インダストリアル界隈ホントにワケ分からんですね。

The Prodigy / No Good (Neun’s Remix)

The Prodigy – No Good (Neun’s Remix) by Neun’s | Free Listening on SoundCloud

これだけ2019年のリリースなのですが、さっき見つけたのでご紹介。
フランスのマルチジャンルプロデューサーNeun’sによるアシッドテクノ。
タイトル通り、No Good (Start The Dance)ネタ。
テクノにもトランスにも使えるサウンドとなっており、元ネタのインパクト以外でも優秀なアレンジです。
ただ、特に聴いてほしいのがセカンドブレイクパート、アシッドシンセで原曲のメロディーをなぞっているのがもうおかしくておかしくて。
以前紹介したロックマン2ネタのアシッドテクノもそうでしたね。

ブートレグなのでフリーダウンロードです。
ありがたく持ち帰りましょう。

以上、ハードアシッドにスポットを当ててお送りしました。
1990年代から脈々と受け継がれているサウンドのインパクトは唯一無二でありながら、ストイックなテイストのものもアグレッシヴなテイストのものも揃っているのが聴いていて楽しいです。
その時代から活動している老舗アーティストが数多く現役で残っているのも割と特殊だと思う一方、地下シーンでは新しい価値観を持ったクリエイターが誕生していたりもするので、引き続き注視していきたいと思います。

次週08月11日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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新作ディスコ特集 (2020年07月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/07/23

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

4連休でございます。
某国際的スポーツ大会もなくなり、タダの4連休。
なんか雨も土砂降りだしで本当にテンションの上がらない連休となっております。
こんな日常に慣れるのも嫌だなぁと思い、

カレーを作りました。
いつも通りでした。

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

ディスコ

です。

特別連載に於いては番外編の3回目に取り上げたダンスミュージックの元祖とも言える音楽。
ダンスフロアという概念を生み出し、音楽を超えたカルチャーとして支持されており、ストリングスやブラスといったファンキーなサウンドは後年のテクノ、ハウスに多大な影響を与えました。

本来のディスコの全盛期としては1970年代となるためレガシー的な立ち位置ではあるものの、2010年代以降のヴェイパーウェイヴをはじめとするレトロに対する再評価というムーブメントによって、現在の若い世代からも注目を集めていたりします。
従って現行のクリエイターの年代層も他のジャンルと比べるとかなり広く、多様なトラックが日々生み出されている音楽です。

何分、定義が尋常じゃなく広く、全てを網羅しようとすると時間がいくらあっても足りなくなってしまうので特別連載時と同様、ハードテクノ目線で見たときに使えそうなトラックに焦点を絞ります。
新作ということでここ1~2ヵ月の間にリリースされたものをメインに扱いますが、何曲か今年初頭くらいのものも含まれます。
ナイストラックなのでご勘弁を。

では、新作ディスコ紹介いってみましょう。

Laroze / You Inspired Me

You Inspired Me (Original Mix) by Laroze on Beatport

フランスのプロデューサーLarozeによるディスコ。
ソウルフルなボーカルとグルーヴのあるベースライン、生音に主体を置いたリフも含めてファンクネスてんこ盛り。
ストレートなディスコものとして色々なシーンで活躍できそうな曲。

Yoyopcman Malefique’s / I Love Me More

I Love Me More (Original Mix) by Yoyopcman Malefique’s on Beatport

フランスのプロデューサーYoyopcman Malefique’sによるフィルターハウス。
収録作品がAnniversary (EP)と銘打たれているものの、11曲入りとEPサイズではない曲数。
そしてその全てがファンキーなリフと小気味良いリズムによって構成されたディスコ直系のハウスでして、EPまるごとオススメできる作品です。
強いて挙げるならアグレッシヴなフィルター使いを見せるこの曲が印象的。でも全部推したい。

Star Warriors / Keep On Moving (Club Mix)

Keep On Moving (Club Mix) by Star Warriors on Beatport

謎のファンクプロデューサーStar Warriorsによるハウス。
そもそもこれのリリース元となっているJaguar Recordsヒップホップ、R&B、グライムなどブラックミュージックを主な生業とするレーベルであり、何故この曲がここから出ているのかさえ分からないリリースとなっております。
(所属アーティストの別プロジェクトとかなんでしょうか?)
しかし聴けば分かるように、曲そのものはそれに全く相反するシンセティック且つメロウなハウス。
ジャケットの感じそのままのフューチャーレトロっぽさが曲にも反映されていて好みです。

Househead Samira / Radio Safia

Radio Safia (Original Mix) by Househead Samira on Beatport

フランスの女性プロデューサーHousehead Samiraによるディスコ。
ちょい強めのキックとエディットされたシンセリフを中心に据えたシンプルなトラックです。
ちなみに本作が初のソロEPとなる若き新星なので、今後とも要チェックお願いします。

HUGO / SPB1

SPB1 (Extended Mix) by HUGO (UK) on Beatport

イギリスのプロデューサーHUGOによるディスコ。
シンセ、ベース、ドラム、そしてシーケンスに至るまで、そのどれもが良い意味で古めかしい。
ここまで2拍4拍のクラップを強調する潔さよ。
これまで紹介した曲に比べるとリズムが硬く、反復に重きを置いている感じも含めてかなりテクノに接近したトラックであるように思えます。

Fuzzey / Big Brother

Big Brother (Original Mix) by Fuzzey on Beatport

フランスのプロデューサーFuzzeyによるディスコ。
徹頭徹尾ギターフレーズもの。
全体的にアーバンな雰囲気を出しつつも、ちょっと早いテンポだったりハイハットの刻み方が前のめりなドライブ感を演出していたり、という辺りで共通項を探るとRidge RacerのBGMにあっても良いタイプのトラックだと思います。
どうでもいいですが、なんとなくYamajetさんが好きそう。

Morgan Hislop / Ultraslick Ultrahuman

Ultraslick Ultrahuman (Original Mix) by Morgan Hislop on Beatport

イギリスのプロデューサーMorgan Hislopによるディスコ。
冒頭で少し触れたインターネットミュージック出現以降のエモーショナルなリフ回しをメインにしつつ、少し偏屈なビートを取り入れたタイプのトラック。
これも硬めのビートが往年のテクノを彷彿とさせます。

Cerrone / Midnite Lady

Midnite Lady (Original Mix) by Cerrone on Beatport

フランスのプロデューサーCerroneによるディスコ。
今までフィジカルでしか流通していなかったものがこの度配信開始された、言わば再発ものになりますが、このオリジナルはなんと1976年リリース。
Cerroneはこの曲でデビューしてから現在に至るまで活動を継続中で、なんと今年の頭にも新作アルバムをリリースしているスーパーおじいちゃんです。
(ヨーロッパ圏内に於いてはGiorgio Moroderと並ぶディスコ界の巨匠と称されている存在です。)

従ってほぼ全てのパートが生楽器によって構成されているため、明らかに他の曲と音の質感が異なっているのが分かりますし、展開も現行のクラブミュージックのそれとは全く異なっています。
いずれにしてもこれまで手に入りにくかった昔の曲がこうして入手できるようになるというのは喜ばしいことなので、是非他のレーベル、アーティストも追随して貰えると嬉しいですね。

Madam Misfit / Feels a Little Strange

Feels a Little Strange (Original Mix) by Madam Misfit on Beatport

イギリスのボーカリストMadam Misfitによるエレクトロ・スウィング
厳密にはディスコではないですが、今回のリサーチを行っていく上で見つけたので忘備録的に掲載。

ディスコにほど近いジャンルにこういった電子音を駆使してスウィングを追求していくものがあることは知っていたのですが、DIGに際して起点となるレーベルやアーティストについてはそこまで押さえてなかったところがありまして。
これのリリース元であるElectro Swing Thingを拝見したところ、Mix、フリーダウンロードがかなり多めに公開されていたので、ここを起点にすると広がりそうということで情報のお裾分け。
ちなみにエレクトロ・スウィングに関してはDeorro / Rise and ShineがPVの絶妙な古臭さ含めて好きです。

ミカヅキBIGWAVE / El Dorado 魔法少女伝説

Cutie Dance 音楽 – EP | ミカヅキBIGWAVE

日本のプロデューサーミカヅキBIGWAVEによるフューチャーファンク。
もう1つ類似ジャンル紹介。

冒頭で述べたヴェイパーウェイヴから派生した音楽の1つにフューチャーファンクというものがあり、ざっくばらんに説明すると『80年代~90年代のレトロな音楽をサンプリングしつつ、エモいリフをキーワードとしてダンサブルなリズムアレンジを加えた音楽』になります。
サンプリング対象としてはシティーポップやアニソンが多い印象ですが、アレンジによってはかなりリズム強め+テンポ速めのファンキーなトラックが作られており、何よりこれらの作り手たちはその80年代~90年代をあまり経験していない世代のクリエイターが多く、サンプリング元に対して独自のレトロ解釈をもってアレンジを加えるので、それが面白さを生んだりもします。
サンプリング文化が嫌でないならこの辺りは押さえておくことをおススメします。
ちなみにこの曲の元ネタはコレ

以上、ディスコにスポットを当ててお送りしました。
テクノに於けるハードテクノと同様、メインストリームの楽曲とは少し趣の異なるトラックが紹介できたのではないでしょうか。
思えばHardonize設立当初からディスコのファンキーな感じは大好きで、それ自体は今も変わっておりません。
とはいえかなりご無沙汰な感じもあるので、いずれHardonize本編でもこういった音楽にスポットを当てるプレイをしようと思います。
魅力的な音楽が多過ぎるのが悪い。

ここ数回特集続きでしたが、以降は暫くこのスタイルの紹介に戻りますので引き続きご愛好の程よろしくお願い致します。

で、ボス、ラーメンいつですか?

次週07月28日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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