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特別連載:ハードテクノとは何か? – 番外第3回:ディスコ編


特別連載:ハードテクノとは何か?
番外第3回:ディスコ編
特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編 (今回)

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

気付けば既に年末と呼べる時期にきております。
毎週2度に渡って更新をしている本連載に於いて、ワタクシの担当回も今回が2019年最後のようです。
毎度のことではございますが、全く年を越すと云う実感がありませんで、あと数日後に迫った2020年に突入する瞬間もきっとこんな調子なのでしょう。

但し油そばは食べる。

実は先週も食べたんですけれども、今期間限定トッピングでチーズ山盛りなんてのがありまして、結構美味しかったです。

次回Hardonizeの時まで残っていたらご来場の方々には是非お召し上がり頂きたいところです。

2020/2/22 Hardonize #35 at sabaco music&cafe


02月22日、お待ちしております。

さて、ワタクシの担当回では過去10回に渡り、特別連載と題しましてハードテクノが内包する音楽のスタイルについて解説していくハードテクノとは何か?をお送りしてきました。
初回ではハードテクノのサブジャンルについて

上のような図を用いて表した上でハードテクノの特徴を

・メインストリームテクノよりは速いテンポ
・4分打ちのハイハットによる疾走感のあるグルーヴ
・キックの強度やベースの厚み

としました。

今回は番外編の第3回と称しまして、ディスコと云う音楽について紹介していきたいと思います。

ここをご覧頂いている方でディスコと云う名称について初めて聞いたと云う方は流石にいないと思います。
現在クラブと呼ばれているダンスホールの前身形態を指す名前であり、且つダンスミュージックのカテゴリーとして1960年代より世界中で使われているジャンル名でもあります。
ソウルやファンクに基づくグルーヴィーでファンキーな曲調が特徴であり、使用楽器も多種類に渡るため、その音も華やか。
何より、黎明期の頃よりシンセサイザーを用いた曲が多く、後のハウスやテクノなど電子楽器を主体とする音楽への礎を築いた音楽と言っても過言ではない存在です。

1970年代後半に於いて数々のヒットソングが生み出された結果世界的なブームを巻き起こし、特に1977年に公開されたディスコを舞台とした映画サタデー・ナイト・フィーバーは一般層も取り込んだ大ヒットを記録。
ジョン・トラボルタの出世作としても知名度の高い一作として知られております。

またそれ以降、日本で店舗としてのディスコが急増。
新宿、渋谷、六本木と云った繁華街での遊び方の1つとしてダンスが定着しました。

その後、時代の変化に合わせてディスコのサウンドも変わっていきます。
生音の質感を残したダンスミュージックの正統後継者としてハウスが挙げられますし、より機械的なリフと快楽性を重視した音楽としてはユーロビートデステクノ(ジュリアナ系)などがよく知られております。
場所としてのディスコもクラブに置き換えられ、現在各地域に根付いているのは言うまでもないでしょう。

とはいえ、これらの全てが別のものに取って変わってしまったわけではなく、少ないながらもディスコは音楽、そして場所としても2019年現在も残存していております。

とまぁ、その歴史がかなり長く、細分化すればするほどキリがないため、ワタクシもそこまでこの音楽に対して掘り下げられきれておりません。
なので、広義のディスコミュージックに対する説明としては概要に留めます。

今回ご紹介したいのはテクノ、ハードテクノと相性の良いディスコになります。
Hardonizeやハードテクノ関連のパーティーでプレイでプレイすることもあるくらい、この手の音は大変好みでして、実際これまでご紹介したハードグルーヴやハードハウスと云ったサブジャンルとの相性も良いと思っております。

1970年代頃の雰囲気を残した曲や有名曲のサンプリングもの、またはそれらを踏襲しながら現代的な音使いをするものまで色々と。
カテゴリーの括りが厳密ではない分、いつもに増して趣味丸出しの内容になりますが、何卒ご容赦の程を。

あと予め申し上げておきますと今回、鬼長いです。

ハウス・ミーツ・ディスコ

まずディスコの直系ダンスミュージックとして真っ先に思い浮かぶハウス部門から。
現在でもディスコハウスニューディスコと云うサブジャンルとして少なからず影響を残している音楽ですが、ここではとりわけテクノに近い質感のトラックをご紹介していきます。

DAVE ARMSTRONG / SOMETHIN’ LIKE DIS (DA’S FLOORFILLA MIX)

DAVE ARMSTRONG / SOMETHIN’ LIKE DIS (DA’S FLOORFILLA MIX) – YouTube

派手な感じではないものの、ちょっと哀愁漂うギターリフが同時にファンキーでもあり、しこたま使っている曲。
Dave Armstrongが2002年にリリースしたデビュー作に当たります。
ヴァイナルでしかリリースされていないのが勿体なく感じるくらい、お気に入りです。
これのリリース元であるSoul Phusion Recordsはとにかく個人的ヒットが多いもので、レコード屋でジャケットを見つけたら内容を見ずに反射的に手に取ってしまう程。

派手系が好きならDowntownとかオススメです。
こっちは配信で購入可能。

UMEK, PHNTM / Freaks On The Floor

Freaks On The Floor (Original Mix) by UMEK, PHNTM on Beatport

以前個別でもご紹介した覆面アーティストPHNTMもこの手の音楽に於いて欠かせない存在。
ハードテクノ出身のレーベルボスUMEKとの共作となるこちらはインパクト抜群のリフとフィルターを武器にしたファンキーな仕上がり。
何度かこの連載でも触れているように、これがリリースされた2010年当時は一般的にミニマル指向が強かった時期だったのにも関わらず、こういった派手目なものが出てきたのはとても嬉しかった記憶があります。

ShaunyBoy / Bring Me Love

Bring Me Love | Disco Motion Records

2010年以降に現れた新世代アーティストも多くおりまして、このイギリスのShaunyBoyもその1人。
バウンシーなベースとギター、ストリングスの絡みが大変気持ち良く、ループものと云うことで多少早回ししても違和感なく使える辺り大変優秀なトラック。

新世代アーティストが多く現れた理由の1つにネットレーベルの設立と云う事象が挙げられると思うのですが、中でもこのDisco Motion Records質の良いディスコが大量にフリーで放出されており、かなり存在感があります。
このBring Me Loveもフリーです。
本当にありがたい。

Reset! / Milano a mano armata

Milano a mano armata (Original Mix) by Reset! on Beatport

最後にちょっと変わり種を。
2000年代後期のハウスシーンと言えばエレクトロの大流行が起こり、現在のEDMに引き継がれていると云うのは実体験として想像に難くない方が多いと思います。
これらの音楽のコアであるギラギラした音使いと云うのはディスコの性質とかけ離れていると思われがちですが、この両者を引き合わせて新しい音楽を生み出そうとする一派がおりました。

それがこのイタリアの4人組アーティストReset!です。
こちらも以前個別でご紹介しており、来日公演に複数回足を運ぶほど個人的に好きなアーティストなのですが、1曲に絞るとすると2013年にリリースしたこちら。
全体の音としては現代的なエレクトロ、EDMに近いカッチリした硬いものでありながら、リフやフィルのレトロな感じは紛れもなくディスコを彷彿とさせます。

彼らが推進していたこの手のスタイルはターボファンクと呼ばれており、彼らが立ち上げたレーベルBody Heatを中心に現在でもリリースを聴くことができます。

テクノ・ミーツ・ディスコ

次にテクノ部門。

Hatiras / The Anthem (Joey Beltram Remix)

The Anthem (Joey Beltram Remix) by Hatiras on Beatport

当連載に於いてテクノ、ハードテクノの父と云うような紹介をしておりますJoey Beltramですが、元はと言えばシカゴハウスの出身なので、ディスコとも近しいところで活動を行っていたわけです。
そしてそれが作曲に於いて度々顔を覗かせる瞬間がしばしばありました。
2003年にリリースされたこちらの曲もその1つ。

レトロなシンセとフィルターが交差するかなり派手なテクノ。
石野卓球のMIX CD、In The Boxでも使用されており、自分なんかはそれでこの曲を知ったクチです。

他に似た系統の曲としてBeyonderSuper Magneticなどが挙げられます。
Sliceに至ってはDonna Summer / I Feel Loveのサンプリングだったり、こっち方面に関しても紹介したい内容が山のようにあるアーティストです。

Hatiras / Digital Doom (Part 2)

Digital Doom (Part 2) by Hatiras on Beatport

上の曲の原作を務めたカナダのHatirasも合わせて紹介したい1人。
2002年に出たアルバム、Arrivalに収録された曲で、こちらもレトロなリフとフィルターの合わせ技トラック。

Hatirasもまた早期からエレクトロテイストの音を自身の楽曲に取り入れつつ、旧来のディスコ、ハウスとの接点を追求していたアーティストです。

Bad Boy Bill feat. Alex Peace / Everybody

Everybody feat. Alex Peace (Original Mix) by Bad Boy Bill on Beatport

以前個別でご紹介したアメリカ出身のDJ、Bad Boy Billもここに含まれるでしょう。
同じく2002年のリリースであり、カッティングギターと声ネタループが賑やかなお気に入り曲。

実は上2つとこの曲はリリース元が同じInternational House Recordsと云うレーベルでした。
配信では一部楽曲しか購入することができないものの、インパクトが強く使いやすいトラックの宝庫として信頼の置けるレーベルです。
ちなみにこれまで長らく休止状態だったものの、今年に入ってからBad Boy Billが新作をリリースしており、今後の動きに期待がかかります。

Bryan Cox / Flip The Script

Flip The Script (Original Mix) by Bryan Cox on Beatport

テクノ部門の最後は同じく以前個別でご紹介したBryan Cox
上記International House Recordsからのリリースもあるほか、Joey Beltramのレーベルからのリリース経験もある筋金入りのディスコ系テクノクリエイター。

そんな彼の2004年の作品。
リフのループ感やリズムの強度によるテクノらしさ、うねりのあるグルーヴのハウスらしさ、そしてリフの質感のディスコらしさが1度に味わえるトラック。

この手の中間的且つ派手と云うトラックには定評のあるアーティストですので、入門編として紹介記事でも取り上げたアルバムWeapon Records Greatest Hits Volume 01をここでもオススメします。

ハードテクノ・ミーツ・ディスコ

続いてハードテクノ部門。

Raul Mezcolanza / Everybody

Everybody (Original Mix) by Raul Mezcolanza on Beatport

しつこいようですが、ワタクシとにかくRaul Mezcolanza大好きです。
この連載の初回で取り上げたアーティストもRaul Mezcolanzaでした。
今でこそメインストリームテクノの担い手として活動しているものの、キャリア初期の肉厚なハードグルーヴには悉く食らいました。

取り上げたい曲は山ほどあるものの、印象に残っているものとして2011年にリリースされたこちら。
パーカッションを含む手数の多いリズムと太いベース、そこにカッティングギターと声ネタのアッパーな感じが堪らない曲。

何ならこれが収録されているアルバム、Got The Grooveごとハードグルーヴ入門編として取り上げたいところです。
ハードグルーヴの名門であるPatternsからリリースされた数少ないアルバムとしても記念碑的な1作ですので。

Chris Chambers / Get Loud

Get Loud (Original Mix) by Chris Chambers on Beatport

とりわけハードグルーヴとディスコは相性が良いもので、ここで紹介したい曲も大量にあるのですが、Hardonizeで比較的よくかかるのはこちら。
スペイン出身のアーティスト、Chris Chambersによる2014年の作品。

ひたすら単発で攻め続けるシンセとそれを後ろから支えているギターの組み合わせが潔い。
そこに相反するかのようにかなり深いベースが鳴らされているのがハードグルーヴにしては割と珍しい印象です。
ただ使いにくいかと言えば全くそんなことはなく、むしろこのドライブ感が耳に残ることもあってつい手が伸びがちなトラック。

Homma Honganji / Hasaway

Hasaway (Original Mix) by Homma Honganji on Beatport

Hardonize一同お世話になっております。
数少ない日本のハードグルーヴクリエイターであるHomma Honganjiさんの曲の中にもディスコテイストのものが多々あります。

こちらは2017年と比較的最近リリースされたもの。
グルーヴ感のあるベースとギターの絡みが気持ち良い。
あとブレイク跨ぎの展開でビルドアップしてから一旦キックが消えたのち、メインリフを迎える手法がオールドスクールっぽさを感じさせたりもして好きです。

Rob Crawshaw / Fire In The Disco

Fire In The Disco (Original Mix) by Rob Crawshaw on Beatport

これらハードグルーヴ以外にディスコの要素を取り入れたカテゴリーとして、ファンキーハードハウスと呼ばれるものがある、と云うことについてはハードハウス編で触れた通りです。
こちらはハードハウスの本場イギリスを拠点とするRob Crawshawによる2011年の作品。

パワフルなボーカルをフルに使いつつ、ピアノと裏打ちのベースが跳ねるレトロ感漂うトラック。
ハードハウス編にも同じことを書きましたが、この手のハードハウスを多くリリースしているレーベルとしてCheeky TracksToolbox RecordingsIdealなどが挙げられます。
これを橋渡しとして結構色々なジャンルへとハードテクノから飛ばことができるので、是非色々試して欲しいところです。

有名曲サンプリング系

最後に、往年のディスコクラシックのサンプリングを含む曲を紹介します。
最初に元ネタとなった曲を紹介し、そこに続く形で紹介していきます。

まず、手持ちで1番多かったのはこれを元ネタとする曲でした。

Dan Hartman / Relight My Fire

Dan Hartman Relight My Fire 1979 (Video) – YouTube

アメリカ人シンガー、Dan Hartmanが1979年に発売した曲。
全編通してストリングスとホーンの旋律が美しく、耳に残るメロディーを奏でています。
曲自体は知らなくてもどこかで聴いたことあると云う方も多いのではないでしょうか。

で、それを素材として調理したのがこちら。

Kagami / Disco Filter

Disco Filter (Original Mix) by Kagami on Beatport

ご存知、ディスコ~テクノを股に掛けた日本人アーティストKagamiが2002年にリリースしたアルバム、Star Artsへ収録した曲。
大胆にサンプリングを用いつつ、曲名通りのフィルターを使い倒したアグレッシヴなトラック。
これも大好きでよく使います。

Kagamiは割合サンプリングを多用したアーティストとして知られております。
有名曲Tokyo Disco Music All Night LongのビートはPatrick Cowley / Get a Littleが元ネタですし、最早説明不要のYなんかもあります。
あれ、そういえばこれと同じネタを使ったハードテクノがあったような・・・誰でしたっけね774Muzikさん?

SOUVLAKI / Inferno

SOUVLAKI – Inferno – YouTube

これもよく使ってますねワタクシ。
ハードハウス界ではよく知られた存在、Scorccioの変名義による1996年の作品。
元ネタのフレーズに加え、ピッチ高めのラップが入ったり、ピアノが乗ってたりド派手なアレンジ。

Fantastic Explosion / チョコレート

Fantastic Explosion – Chocolate – YouTube

永田一直さん率いる昭和ネタサンプリング集団Fantastic Explosionの2003年の作品。
一聴して分かる日本語のパーツが面白く、ついそっちばかり注目してしまいますが、バックトラックはこの通り。
サビ前のパートまでしっかり使っているのが割と珍しい気がします。

Arabesque / In The Heat of a Disco Night

In The Heart Of A Disco Night – ARABESQUE ‘1979 – YouTube

続いての元ネタはこちら。
ドイツのシンガーグループArabesqueが同じく1979年にリリースした曲。
こちらはギターとストリングスにスポットを当てた曲調となっており、よりファンクに近いアーバンな印象を受けます。

ちなみに邦題はディスコ・フィーバー
良いですよね、この飾らない感じ。

Rydel / Very Disco

Very Disco (Original Mix) by Rydel on Beatport

2010年リリース。
ド直球ハードグルーヴアレンジ。
ハードミニマルの名残なのか、キックの圧が目立って強く、この試行錯誤感もハードグルーヴ黎明期っぽいなと思ったりします。

The Phantom’s Revenge / Mr. Fahrenheit

Mr. Fahrenheit (Original Mix) by The Phantom’s Revenge on Beatport

同じく2010年リリース。
サンプリングしたものを更に細かく切って貼った所謂エディットと呼ばれる種類のトラック。
原曲と同じ音なのに全く違うグルーヴとして聴こえるので、変化球的な楽しさがあります。

Fake Blood / I Think I Like It

I Think I Like It (Original Mix) by Fake Blood on Beatport

これも2010年でした。
作ったのは現行のハウスシーンを率いているイギリスのアーティスト、Fake Blood
当時この人が手掛けていたのはフィジェットハウスと云う新種のエレクトロハウスがメインだったので、この曲はかなり珍しいタイプに入ります。

これもエディット駆使のタイプ。
とにかくストリングスのインパクトに重点を置いている感じがします。

ちなみにこちらの曲はEDMを題材にした映画、We Are Your Friendsの劇中で使われたりもしました。
更に付け加えるとPVもありまして、通販番組の最中プレゼンターが喧嘩しだすと云う内容。
ちょっと面白い。

以降は1曲ずつ紹介していきます。

Musique / Keep On Jumpin’

Musique – Keep On Jumpin’ – YouTube

アメリカのシンガーグループMusiqueによる1978年の曲。
ストリングスとホーンをメインにパーカッションリズムとベースがグルーヴ感のある曲調を支えています。

Corenell, The Lisa Marie Experience / Keep On Jumpin (Corenell Extended Mix)

Keep On Jumpin (Corenell Extended Mix) by Corenell, The Lisa Marie Experience on Beatport

アレンジ後がこちら。
2007年リリース。
原曲より力強いボーカルへと差し替えられ、フィルターも挟みまくりのアッパーハウス。
一応ハウスではあるものの、リズムの強度的にテクノとも相性が良かったりするバージョンです。
実際ハードテクノのブートレグもヴァイナルでありました。

Peter Jacques Band / Walking on Music

Peter Jacques Band – Walking on Music (LP Version) – YouTube

Jacques Fred Petrusを中心メンバーとするイタリアのディスコバンド、Peter Jacques Bandによる1978年リリースのデビュー作。
ベースの手数の多さに加え、シンセとストリングスの絡みなど全体的に音が厚く、ハイテンションな曲。

Chester Beatty, Peter Jacques Band / Shot Of Love (Walking On Music)

Chester Beatty/Peter Jacques Band – Shot Of Love (Walking On Music) 1.01. – YouTube

日本人クリエイターChester Beatty氏による2003年のリリース。
原曲に負けじとテンションの高いハードテクノ。
原曲の各パートを余すところなく使用した上で氏の代名詞とも言える重厚なビートがそれを支える完全独走型トラック。
同時期に発売となったアルバムのタイトルトラックにもなっており、日本のハードテクノ史としても重要度の高いものとなっております。

K.C. & The Sunshine Band / Give It Up

K.C. & The Sunshine Band – Give It Up・TopPop – YouTube

アメリカのディスコバンドK.C. & The Sunshine Bandによる1982年の作品。
ギターの手数の多さもさながら、何と言ってもサビに於けるホーンの存在感たるや。
これまでの曲と比べるとテンポが遅いのもあって大分メロウな感じを受けます。

余談ですがKingsmanで使われた曲でもあるので割と色々な人が耳にしているのではないでしょうか。

RAM RIDER / MUSIC

RAM RIDER MUSIC – YouTube

日本人クリエイターRAM RIDER氏が2005年にリリースしたアルバム、PORTABLE DISCOに収録した曲。
メロディーのある上に日本語歌詞まで(しかも爽やかに)乗ったテクノと云う貴重なもの。
そしてやはりホーンの存在感。

鹿取洋子 / ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

和モノ Japanese Disco Classic   Going Back To China / YOKO KATORI (1980)7inch – YouTube

最後はこちら。
歌手であり女優でもある鹿取洋子が1980年に出したデビューシングル。
ちなみにこの曲にも原曲があり、前年に出たDiesel / Goin’ Back To Chinaのカバーだったりします。
構成はシンプルながら、シンセを中心に置いたオリエンタルなメロディーが特徴的。

doremimate / tonight (can’t stop mix)

tonight (can’t stop mix) | doremimate

現在は解散してしまったものの、関西を拠点にしていたネットレーベル、Vol.4 Recordsの所属アーティストだったdoremimate氏が2010年に出した曲をセルフリミックスしたもの。
エレクトロ+ディスコの共存形・・・と云うか最早Kagamiの再来ではないかと云う風格すら感じさせます。
原曲のサビのサンプリングのインパクトと相まって好みの1曲です。

以上、ディスコ編をお送り致しました。
この音楽の特徴についてまとめると、ディスコの要素を含んだ音楽です。
(テンプレに則ってみたものの、全然まとまってない。)

気付けば過去最大分量でお送りしてしまいました。
あまりこういった視点からこの音楽を掘り下げることもないだろうと思い、大分長々と紹介してしまいました。

ワタクシは当然リアルタイムにこれらの音楽に触れてきた世代ではないものの、ダンスミュージックの歴史に於いて少なからず重要な役割を果たした音楽として認識しております。
その影響がこうして現代の音楽にも引き継がれている、と云うことが少しでも伝われば幸いです。

さて、どうやら2019年内のワタクシの担当回は今回が最後だそうです。
それに合わせて半年に渡ってお送りしてきました『特別連載:ハードテクノとは何か?』につきましても今回で最後とさせて頂きます。
長きに渡りお付き合い頂き、ありがとうございました。

ハードテクノの中にも色々な種類があり、それぞれに特色を持つと云うことが伝わればこれまた嬉しいです。
少しでもハードテクノDIGの指針になれれば本望です。

当Hardonizeでは番外編で触れたような音楽も含め、包括的にハードテクノの流れるパーティーとして10年以上開催しております。
ご興味がありましたら02月22日、茶箱までお越しください。

次週12月17日は774Muzikさんが担当します。
ちょっと早いですが、よいお年をお迎えください。

今回はこれにて。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編 (今回)

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特別連載:ハードテクノとは何か? – 第9回:テックダンス編


特別連載:ハードテクノとは何か?
第9回:テックダンス編
特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次
特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編 (今回)

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

先日、次回Hardonizeのゲストが発表となりました。

2020/2/22 Hardonize #35 at sabaco music&cafe


西日本テクノシーンの女帝DJ RINNさんと、数々のパーティーに於いて数々のジャンルを渡り歩く若武者gekkoさんの2名をお招きして執り行います。
キャリアもバックグラウンドも異なる両名のプレイを是非体感してください。
令和2年0222日(覚えやすい)、いつもの茶箱にて開催致します。
何卒。

さて、ワタクシの担当回では過去10回に渡り、特別連載と題しましてハードテクノが内包する音楽のスタイルについて解説していくハードテクノとは何か?をお送りしてきました。
初回ではハードテクノのサブジャンルについて

上のような図を用いて表した上でハードテクノの特徴を

・メインストリームテクノよりは速いテンポ
・4分打ちのハイハットによる疾走感のあるグルーヴ
・キックの強度やベースの厚み

としました。

今回は第9回と称しまして、この中のテックダンスと云う音楽について紹介していきたいと思います。

前回、番外編と銘打った上でハードダンスと云う音楽についてご紹介致しました。
その中でハードダンスとはトランスの流れを汲むハード系ダンスミュージックの総称と記しましたが、今回ご紹介するテックダンスと云う音楽もこの中に含まれるものになります。
にもかかわらず何故今回別立てで取り上げるのかといえば、それはこの音楽がハードテクノのエッセンスを取り入れたハードダンスとして確立しているためです。
詰まるところ、2019年現在に於いて最もハードテクノと相性の良いハードダンスがこのテックダンスと云う音楽だと言えるのがまず1点。

加えて、この音楽が確立した背景には日本が大きく関わっていると云うのも大きなトピックとして挙げられます。
広くクラブミュージックと云う括りで見てもこういった経緯を持つ音楽はなかなか見当たらないので、同じ日本人としてはかなり特殊なジャンルであると云う認識を持っています。

あとは当Hardonizeの楽曲紹介に於いても割合頻出する単語でもあり、実際にパーティーに於いてもかかる類の音でもあるため、この特別連載に於いても欠かせないであろうと判断しました。

ではその成り立ちについて順を追ってご説明していきます。
2000年代初頭~中期にかけて、ハードテクノはその中で多くのサブジャンルを確立させ、より洗練された楽曲を生み出していました。
中にはハードトライバル編で紹介したCave / Street Carnivalであったり、メロディアス・ハードテクノ編で紹介したJoris Voorn / Incidentのように、ハードテクノ以外のシーンでも大ヒットを記録したトラックもぼちぼち見受けられた時代です。

それらとほぼ時と同じくして、こういったトラックも出てくるようになりました。

Hertz / Recreate

Recreate (Original Mix) by Hertz on Beatport

スウェーデンテクノシーンの重鎮Hertzが2003年にリリースしたもの。
ハードグルーヴ編に於いて軽く触れましたが、お聴きの通りT99 / Anasthasiaネタであり、これもまたジャンルの垣根を越えてビッグヒットを記録しました。
この曲の特徴として、単音でインパクトのあるシンセ(この場合はAnasthasiaのリフ)をメインに据えた点が挙げられます。
これは特にハードテクノ出現以降のテクノに於いてあまり聴くことのない手法であり、どちらかと言えばトランス、ハードダンスに近い要素とも言えるため、かなり意表を突く音に受け取られたように思います。
『こういう音もテクノにはアリなんだ。』と云う、だからこそ超売れたと云うのもあるのでしょう。

これ自体はテックダンスではないのですが、後に定義付けられるテックダンスの予兆を感じさせるものとして好例だと思ったのでここに載せました。

一方、同時期のハードダンスシーンに於いても新しいスタイルとしてテクノの硬質なリズムを吸収する動きが見られました。
特に強烈にそれを推進していたのがご存知、日本が世界に誇るハードダンスレジェンド、Yoji Biomehanikaさんです。

Yoji Biomehanika / Samurai (The Keyboad Cowboys) (2004 Original Mix)

Samurai (The Keyboad Cowboys) (2004 Original Mix) by Yoji Biomehanika on Beatport

2004年リリース。
ハードダンスの特徴とも言える筈の煌びやかなシンセをバッサリと切り捨て、硬いキックとベースが蹂躙する骨太なトラック。
当時あまりこういったスタイルのトラックはなかったように記憶しております。
余談ですが、後にこの曲とRemo-con / Narky Lightをセルフマッシュアップしたその名もSamulightと云う曲がリリースされております。

このように、ハードテクノとハードダンスの互いが互いに要素を取り入れ合っていたことに注目したYoji Biomehanikaさんをはじめとするクリエイターが、これらを一纏めにして新しい呼び名を付けようと2007年に提唱したのがテックダンスです。
その旗揚げとしてリリースされたのが、Six Hoursと云うEPと、GIGA Tech-Dance Extremeと云うMIX CDでした。

Yoji, Romeo / Six Hours (2007 Original Mix)

Six Hours (2007 Original Mix) by Yoji, Romeo on Beatport

キックの質感やハイハットの鳴らし方はハードテクノっぽい一方、ロングブレイクを絡めた展開やメインとなるピアノリフの派手さはハードダンスのそれ。
現代ほどクロスオーバーが盛んではなかった時期に双方の音楽に精通した人ならではの発想でもって現れたこのスタイルは、かなりインパクトがありました。

一方、MIX CDの方はテックダンスの拡大解釈を提示するかのような内容となっており、上記Six Hoursも収録されている一方でCJ BollandOrtin CamIgnition Technicianと云ったハードテクノのアーティストのトラックも入っています。

Cj Bolland – Riot – YouTube

Love Delux (Original Mix) by Ortin Cam on Beatport

Ignition Technician – Take It Back To The Old School – YouTube

勿論、第一線のハードダンスクリエイターの曲も織り交ぜたハイブリッドなMIXで、テックダンスの方向性が名付け親によってかなり早い段階で示唆されていたように思えます。

おまけ動画。

yoji_remo-conドミューンLive07 – YouTube

2011年にDOMMUNEにご出演された際の映像。
おそらくターンテーブルの上でくるくる回っているピザを手を汚さずに食べられるようにと用意されたのであろう割り箸でミキサーを操作するスーパースター。
今見ても謎過ぎて面白い。

もう1人、黎明期からテックダンスを支えた人物としてインターネットラジオ局block.fmRemote Controlと云う番組のパーソナリティを務めているRemo-Conさんもその1人です。

Remo-con / Cold Front

Cold Front (Original Mix) by Remo-con on Beatport

これも2007年のリリース。
浮遊感のあるシンセがトランスのエッセンスそのものを体現していて気持ち良い一方、リズムのグルーヴはテクノっぽい。

何より衝撃的だったのはこれがリリースされたのがAnjunabeatsと云う、トランスの超名門レーベルだったことです。
ハード系はおろか変わり種すら少ない、ストイックにメインストリームのトランスを追求しているレーベルと云う印象が強かったところにこういった曲が入り、しかもそれが日本人によるもの、と云うのはなかなかの事件でした。

更にもう1人挙げるとすると、ハードダンス編でも触れたNishさんが思い浮かびます。

DJ OZAWA / TOKYO (Nish Dubstek Remix)

TOKYO (Nish Dubstek Remix) by DJ OZAWA on Beatport

ちょっと間が空いて2012年のリリースです。
と云うのも、テックダンスのプロデュースに関しては同じ時期に行っていたものの、ヴァイナルやCDと云ったフィジカルメディアでのリリースが大半だったため、現在オンラインで試聴できる手段のないものが多く、上記2曲と時代を揃えることができませんでした。
で、こちら、原曲にもあった三味線のパーツがとにかく変わりモノ。
しかもブレイク以外にリードシンセはなく、メインリフが三味線と云う本当に変な曲。
リズムは上記2曲にも通じる塩梅でありつつも、ところどころに差し込まれるダブステップ由来のワブルベースはこの時代に於いてはやはり変わりモノ。
インパクト勝負好きな方は是非。

その他に当時からテックダンスを手掛けていたアーティストとして、Night LiberatorさんやGEORGE-Sさん、そしてHardonizeにも度々ご出演頂いているni-21さんなんかが挙げられます。
尚、ここまで紹介しております方々は全員日本人です。

引き続き日本に焦点を当てて話をするならば、上記で名前を挙げた方々はいずれもトランスやハードダンスのシーンで長いキャリアを持つ、言わばベテランであったわけです。
が、突如聞き慣れない名前でもって目の前に現れた新しい音楽に影響を受けた当時若手のアーティストの存在もありました。

例えばMad Childさん。

Mad Child / Tourbillon (Madstiff Mix)

Tourbillon (Madstiff Mix) by Mad Child on Beatport

2013年リリース。
この人も黎明期に当たる2007年からテックダンスを手掛けております。
強烈なアシッドシンセと硬いキック。
シンプルながらアグレッシヴな印象を持つトラック。

また、ハードコアとしてのキャリアが大きいものの、トランスやハードダンスも手掛けるDJ Norikenさんもその1人。

DJ Noriken / The Beach

The Beach (Original Mix) by DJ Noriken on Beatport

2011年リリース。
これでもかと言わんばかりのピアノ連打やら線の細い哀愁系リードシンセやら、とにかくウワモノが派手厚い。
上で取り上げたNishさんの曲同様、ワブルベースもふんだんに使われているあたり、どれだけ当時猛威を振るっていたか分かります。

Norikenさんは一時期JP-H/Dと云うハードダンスのコンピレーションを手掛けていたこともあり、その中に於いても様々なテックダンスを聴くことが出来ます。
配信はなく、CDオンリーっぽいのですが、見かけたら是非手に取ってみてください。

加えて先に取り上げたYoji Biomehanikaさんに天才と言わしめたNhatoさんも活動当初はテックダンスにスポットを当てておりました。

Nhato vs Hedonist / Raise

Nhato vs Hedonist – Raise (Original Mix) – YouTube

2011年にリリースされたHedonistさんとの共作。
緻密に刻まれたシンセが厚いボトムと共に進行するアップリフティングなトラック。
浮遊感たっぷりのブレイク含む展開が本当に気持ち良い。

テンポ的にはテックダンスと比べるとやや遅い感もありますが、自分の観測範囲に於いては早回しした上でテックダンスとして使っていることの方が多い気がします。
何せ上に載せたYojiさんのDommune出演動画に於いて、最後にかかっているのがまさしくこれなので。

ここからやっと海外アーティストのトラックをご紹介。
若干時期は前後しますが、Yojiさんのレーベル、Hellhouse Digitalよりリリースされたのがこちら。

Fabio Stein / Techtris

Fabio Stein – Techtris (Original Mix – HQ) – YouTube

2008年リリース。
南米トランスシーンを率いるFabio Steinによるタイトル通りのネタモノ。
元ネタのインパクトも当然ありますが、シンプルでレトロな音が重厚なリズムの上を走っていると云うのが単純に面白い曲。

余談ですが、元ネタを同じくするDoctor P / Tetrisと云うダブステップがあり、この両方を持ってると4つ打ち⇔非4つ打ちの橋渡しが2曲で完了すると云う卑怯な手を当時よく使ってました。

Vandall / Viva La Revolution

Viva La Revolution (Original Mix) by Vandall on Beatport

イギリスの2人組ユニットVandallによる2009年の作品。
一聴して分かるレイヴサンプリングもの。
リズムのシンプルさを補って余りあるインパクトがあります。
滅茶苦茶好きな曲。

Oyaebu / Ferret

Ferret (Original Mix) by Oyaebu on Beatport

こちらはロシアの2人組Oyaebuによる2011年の作品。
ドライブ感満載のリズムに太いベース系シンセが延々と鳴り響くグルーヴ重視系。
ブレイクでコロコロ音が変わる忙しさやリフに合わせたリズムの抜き差しなど、テクニカルな側面も見える逸品。

その他代表的な海外アーティストとしてはJoe-EScott AttrillAnne Savageなどがそうでしょうか。
いずれもテックダンス専門のアーティストではなく、包括的にハードダンスを手掛けている中にテックダンスも含まれている、と云う印象です。

最後に、最近のテックダンスについて。
リリースペースとしては以前よりは減少傾向にあるものの、水面下で継続しているアーティストはちらほら見受けられます。

例えば海外アーティストでありながら何度かM3特集で紹介している国産ハードダンスレーベルexbit traxのコンピレーションへの参加経験を持つHagane Shizuka

Hagane Shizuka / #D3Nd1

#D3Nd1 (Original Mix) by Hagane Shizuka on Beatport

今年、2019年のリリース。
インダストリアル・ミーツ・ハードダンスと言わんばかりの強烈な重厚リズムにピアノ連打。
仕舞にはハードスタイルキックまで入ってくるハチャメチャっぷり。
間違いなく新しいタイプのテックダンスと言える筈です。

国内シーンに於いては世代交代が起こったかのような印象も受けます。
上で取り上げた2010年代初頭に若手と呼ばれていた方々が別のジャンルに移り、新しい若手が頭角を現しているのが現状でしょう。

これに当て嵌まるのが、前々回のHardonizeにご出演頂いたDon2Kのメンバーs-donさん。

s-don / Into The Dark

Into The Dark | Masamune

2018年リリース。
これもちょっと度肝抜かれました。
キックやベースはサイケっぽくて、メインリフはハードスタイルっぽくて、アーメンブレイクまで入ってくる散らかりよう。
但し、後ろに重心を置いたハイハットだけはテックダンスのそれであり、『これは何?』と聞かれたらテックダンスと答えるしかない曲。

テックダンスの定義が揺らぎかねない危険な曲。
お願いなのでもっとやって欲しい。

あと、世代的にもDon2Kと近い存在としてYosshie 4onthefloorさんもここで挙げておきます。

Yosshie 4onthefloor / Future Star

Future Star (preview) [xbtcd30 – V.A. / GOLD DISC] by Yosshie 4onthefloor | Free Listening on SoundCloud

2018年リリース。
これもブレイクのストレートなピアノリフに対して相当偏屈な展開を見せる曲。
ブレイクが明けると音数が減る、まぁこれはよくある手法としても、極端なリズムの崩れ方をするのが意味分からない。
そして何でこのような謎曲にFuture Starと云うキラキラした名前が付いているのかも分からない。

ただ試聴ではカットされている部分であるイントロとアウトロはテックダンスのフォーマットに則っているのです。
いやしかしそれだけでこの曲をテックダンスと呼んでいいものか非常に悩ましい。
頼むからもっとやって欲しい。

上記楽曲に見られるように、黎明期のテックダンスとは別のアイディアでもってハードテクノとハードダンスの交差点を見出しているようなものが近年ちらほら目に入ってきます。
忘備録的に以下に掲載致しますが、新しいハードダンスの形であることは間違いなく、また発展途上ユエに面白い楽曲も多いのでご興味のある方は参考にしてみてください。

Fridge Magnet (Original Mix) by Argy (UK) on Beatport

Dropkick (Original Mix) by Side E-Fect on Beatport

Addicted (Original Mix) by Rufio, Splinta on Beatport

以上、テックダンス編をお送り致しました。
この音楽の特徴についてまとめると、ハードテクノのリズム+ハードダンスのリフです。
シンセに関しては、メロディーと云うより1~2小節くらいの短いスケールでのループが多いように感じますが、絶対ではありません。
リズムもキックの音圧が強いものが主流ではあるものの、上のs-donさんの楽曲にあるようにどちらかと言えばハイハットのパターンの方がテックダンスに於いては重要なのかもしれません。

強みとしてはハードテクノにもハードダンスにも流用でき、且つそれらの橋渡しとしても機能しやすい点でしょう。
この点に於いては黎明期より一貫しているように思えます。
とは言え、やはりハードダンスのエッセンスの分だけ煌びやかでアグレッシヴな印象は強いので、ハードテクノに関してはサブジャンルを選ぶことになります。

逆にハードダンスの視点でこの音楽を見るならば、ハードダンスが抱える数あるサブジャンルの中でも割と特徴的なリズムを持った音楽だと思うので、グルーヴの種類で勝負したいと云う人にはうってつけかもしれません。
前述のリフのスケールの短さをセットの中で活かすと云う考え方もアリだと思いますので、趣向に合わせてテックダンスの可能性を探って頂きたいところではあります。

ハードテクノ、ハードダンスの中に於いては認知されてから比較的日の浅いジャンルでもあるため、今後の進化を引き続き見守っていきたい音楽です。

と云うわけで次回の『特別連載:ハードテクノとは何か?』につきましては12月12日に公開。
小テーマは番外編の3回目としてハードハウスやハードグルーヴと相性の良いディスコ編をお送りします。
予め申し上げますが、100パーセント趣味の記事になります。
ご容赦の程。

次週12月03日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編 (今回)

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編

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