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【特集】フリーダウンロード2019 (前編):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/01/09

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
4週間ぶりにワタクシが担当致します。

あけましておめでとうございます。
毎度のことながら新年を迎えた実感のないままこのご挨拶をしております。
年跨ぎの瞬間まで茶箱でDJをしており、お雑煮まで頂いているのに。


油そばも食べました。

全然関係ありませんが、これを書いている今使っているキーボードが絶不調でありまして、新年が深淵になりました。
お前が深淵を迎えるとき、深淵もまたお前を迎えているのだ。

早速告知で恐縮ですが、今週末は中野heavysick ZEROにてStart It Upと云うパーティーに出演致します。

Start It Up 2020 – TwiPla

カレーを作ります。

DJもします。
いわば新年会的なパーティーでして、Hardonizeとも近しい方々が揃っておりますのでお時間とカレーにご興味の方は是非お越しください。

そして1か月後にはHardonizeが控えております。

2020/2/22 Hardonize #35 at sabaco music&cafe


02月22日開催。
西日本を代表するハードテクノ女帝DJ RINNさんとボーダレスなプレイを持ち味とするgekkoさんをお招きしてお送りします。
本年もHardonize及びハードテクノをよろしくお願いします。

尚、ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら前回まで約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


そこそこ体系化してお伝えできている自負はありますので、気になった個所だけナナメ読みする感じでも結構です。

さて、今回から通常の連載に戻る次第でありますが、新年恒例のビッグイベントといえば、
そう、

お年玉です。

と云うわけで今回は1年振りの

フリーダウンロード特集を行います。

昨年2019年にフリーダウンロードでリリースされたテクノ、ハードテクノを厳選してご紹介していきます。

尚、今回の特集に際し音源をピックアップしていたところ、あまりにも数が増え過ぎてしまったため、前後編に分けてお送りします。
つまり今回と次回、2週連続でフリーダウンロード特集を行います。

一応カテゴリ分類として

・今回:ハードミニマル&アシッドテクノ

・次回:インダストリアル&ダーク&変わり種

とした上で、それぞれ10曲程度のご紹介を予定しております。
これからハードテクノに触れる人や、自身のプレイ幅を広げたいと考えている方の取っ掛かりとして参考になれば幸いです。

それでは、令和初のフリーダウンロードハードテクノ特集 (前編)いってみましょう。

ハードミニマル部門
Ayako Mori / Trigo (Felix Reichelt Remix Second Version)

Ayako Mori – Trigo ( Felix Reichelt Remix Second Version FREE DOWNLOAD) by Volume Berlin Records | Free Listening on SoundCloud

ドイツのクリエイターFelix Reicheltによるダークでハードなミニマルテクノ。
シンプルな反復シンセと無機質なビートはこれぞテクノといった仕上がり。
ビルドアップするセットの序盤とかで映えそうなテイストです。

Oris / Shorty

Shorty [Free WAV Download] by Oris | Free Listening on SoundCloud

イギリスのクリエイターOrisによるヘヴィーウェイトなハードミニマル。
ベースの深度は凶悪そのものですが、オールドスクールなサンプリングを用いたりしている辺り、なかなか斬新です。
他にもストイックなハードミニマルを多くフリーで公開しているので、是非色々探ってみて欲しいアーティスト。
Beat Boxとかもかなり個人的に気に入ってます。

Diabolus / Life After Death (Triceradrops Remix)

Diabolus- Life After Death (Triceradrops Remix) FREE DOWNLOAD by Triceradrops | Free Listening on SoundCloud

アメリカのクリエイターTriceradropsによるこれまたダークなハードミニマル。
やや走り気味のベースがアシッドシンセっぽい印象を与えており、よくよく聴くとキックも若干サイケデリックトランスを彷彿とさせます。
ハイハットの打ち方と相まって疾走感と深度が同居するトラック。

Homma Honganji / Hard Minimal Summer Festival Remixes

Hard Minimal Summer Festival Remixes | Homma Honganji

お馴染み、ジャパニーズハードグルーヴの立役者Homma Honganjiさんによるハードミニマル。
EPまるごとフリーリリースです。
中でも気に入っているのが表打ちのクラップやシンセの質感など旧世代テクノの手法を意識したこのSequence1 (Homma Honganji Remix)

このEPは沖縄ハードミニマリストであるpolygon promptさんが主導している企画、Hard Minimal Summer Festivalに向けて書き下ろされたもの。
上記リンクから参加者による国産ハードミニマルがごそっと入手可能です。
是非。

AZKAR / Arbitrium

AZKAR – Arbitrium [FREE DOWNLOAD] by AZKAR – TECHNO (Official) | Free Listening on SoundCloud

ドイツのクリエイターAZKARによるダークでハードなミニマルテクノ。
これも疾走感+深めのサウンドが特徴的。
時折シンセのパラメーターが変化したり、リズムが崩れたりと遊びはあるものの、使われている音は常に一定と云うミニマルマナーに沿ったトラックです。

ZIKOTIKO / Interval

Interval | Classika Records

アメリカのクリエイターZIKOTIKOによるアグレッシヴなリズムのハードミニマル。
ノイジーなウワモノやテンポの速さなど、シュランツにも踏み込んだ内容です。
リフのシンプルさもオールドスクール感あって使いやすそうな印象を受けます。

V.A. / 3 Years of The Black Hole: Protectors of the Galaxy

3 Years of The Black Hole: Protectors of the Galaxy VA | Whirlwind Trax

アメリカ東海岸のレーベルWhirlwind Traxの設立3年を記念したコンピレーション作品。
27曲全てフリーで公開されております。

アンダーグラウンドらしいラフでレイヴィーなトラックの玉手箱。
中でもScan 7によるこのReThinkable Frequenciesは90年代のJeff Millsを彷彿とさせるハードミニマル。
実はScan 7も90年代から活動を継続しており、テクノの名門レーベルTresorからリリース経験を持つ大ベテランだったりするのですが、この音が2019年にまた蘇っていると云うのはちょっと事件ですよね。

アシッドテクノ部門
Gahbasst – GTA SA Remix

GTA SA Remix – Acid Techno [FREE DOWNLOAD] ?? by ?? Gahbasst ?? | Free Listening on SoundCloud

フランスのクリエイターGahbasstによる深め硬めアシッドテクノ。
タイトルの通り、ゲームGrand Theft Auto:San Andreasのテーマソングとして使われているYoung Maylay / San Andreas Theme Songが元ネタです。
原曲がギャングスタラップなのでかなり魔改造に近いアレンジですが、ある種のワルい感じはしっかり引き継いでいるのが聴き取れます。

ANTIX / FEEL GOOD INC. REMIX

ANTIX – FEEL GOOD INC. REMIX (FREE DOWNLOAD) by Impulsive Records | Free Listening on SoundCloud

イギリスのクリエイターAntixによるシンプルなアシッドベースもの。
これもタイトル通り、Gorillaz / Feel Good Inc.を元ネタとするブートレグです。
原曲の陰鬱さをそのまま4つ打ちに落とし込んでいるものの、リズムの強度やロングブレイクを含む展開などはテクノのみならず、トランスとしても使えそうな良アレンジ。

Isaiah / Disfunktion

Isaj – Disfunktion | Isaiah

オランダの新星クリエイターIsaiahによるハードアシッド。
なんと本作がリリースとしては処女作に当たるそうです。
アシッドシンセとリズムとボイスサンプルと云うシンプルな構成ですが、推進力のあるトラック。
ハードハウスとも相性が良さそうです。

Jamie Taylor / Kalacid Psycodelik

Jamie Taylor – Kalacid Psycodelik (Free Download) by Open Source Records | Free Listening on SoundCloud

最後はこちら。
過去にアーティスト特集を組んだイギリスのモヒカンアシッド野郎、Tik Tokによるド派手ハードアシッド。
複数種類のシンセを重ねたアグレッシヴで厚みのあるリフはTik Tokの得意分野であり、この曲に於いても存分に発揮されております。

このリリース元であるOpen Source RecordsChris LiberatorSterling MossD.A.V.E. The Drummerといった大ベテランのクリエイターも所属するフリーリリースのレーベルなので、アシッドテクノにご興味のある方は見逃し厳禁です。

尚、Tik Tokは昨年中にフリーリリースを盛んに行っており、個人的ツボにハマる曲が多く出ていました。

JAMIE TAYLOR / SHEEDAFILE V1

JAMIE TAYLOR – SHEEDAFILE V1 (FREE XMAS CROAKTEK DOWNLOAD) by CROAKTEK – ACID TECHNO DEMOS | Free Listening on SoundCloud

こちらはハードミニマル色の強いもの。
このCROAKTEKと云うアカウントも去年Tik Tokによって作られたものなので、あまり知られていないのではないでしょうか。

TIKTOK N DILKSY / TRIBAL CHEMISTRY

TIKTOK N DILKSY – TRIBAL CHEMISTRY (FREE DOWNLOAD) by TIK TOK TAYLЯ | Free Listening on SoundCloud

こちらはディストーションアシッドを前面に推し出したもの。
ファンキーなのにガラが悪い。

以上、ハードミニマルとアシッドテクノに焦点を当ててフリーダウンロードハードテクノ特集 (前編)をお送り致しました。
フリーとは思えない程、しっかりクオリティの伴った曲が多いことがお分かり頂けるかと思います。
DJである身としては本当にありがたい限り。

もし気に入った楽曲がありましたらそのアーティストやレーベルを追いかけて欲しいところです。
少なくとも彼らが配信サイトを通してリリースしている曲についてもこれと同様かそれ以上のクオリティが担保されておりますので。

と云った形で次回も引き続きフリーダウンロードハードテクノ特集 (後編)をお送り致します。
2週間後の01月23日公開で、インダストリアルや非4つ打ちなど変化球トラックをご紹介する予定ですので、こちらもご参照頂けると嬉しいです。

次週01月14日は774Muzikさんが担当します。

今回はこれにて。

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特別連載:ハードテクノとは何か? – 番外第3回:ディスコ編


特別連載:ハードテクノとは何か?
番外第3回:ディスコ編
特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編 (今回)

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

気付けば既に年末と呼べる時期にきております。
毎週2度に渡って更新をしている本連載に於いて、ワタクシの担当回も今回が2019年最後のようです。
毎度のことではございますが、全く年を越すと云う実感がありませんで、あと数日後に迫った2020年に突入する瞬間もきっとこんな調子なのでしょう。

但し油そばは食べる。

実は先週も食べたんですけれども、今期間限定トッピングでチーズ山盛りなんてのがありまして、結構美味しかったです。

次回Hardonizeの時まで残っていたらご来場の方々には是非お召し上がり頂きたいところです。

2020/2/22 Hardonize #35 at sabaco music&cafe


02月22日、お待ちしております。

さて、ワタクシの担当回では過去10回に渡り、特別連載と題しましてハードテクノが内包する音楽のスタイルについて解説していくハードテクノとは何か?をお送りしてきました。
初回ではハードテクノのサブジャンルについて

上のような図を用いて表した上でハードテクノの特徴を

・メインストリームテクノよりは速いテンポ
・4分打ちのハイハットによる疾走感のあるグルーヴ
・キックの強度やベースの厚み

としました。

今回は番外編の第3回と称しまして、ディスコと云う音楽について紹介していきたいと思います。

ここをご覧頂いている方でディスコと云う名称について初めて聞いたと云う方は流石にいないと思います。
現在クラブと呼ばれているダンスホールの前身形態を指す名前であり、且つダンスミュージックのカテゴリーとして1960年代より世界中で使われているジャンル名でもあります。
ソウルやファンクに基づくグルーヴィーでファンキーな曲調が特徴であり、使用楽器も多種類に渡るため、その音も華やか。
何より、黎明期の頃よりシンセサイザーを用いた曲が多く、後のハウスやテクノなど電子楽器を主体とする音楽への礎を築いた音楽と言っても過言ではない存在です。

1970年代後半に於いて数々のヒットソングが生み出された結果世界的なブームを巻き起こし、特に1977年に公開されたディスコを舞台とした映画サタデー・ナイト・フィーバーは一般層も取り込んだ大ヒットを記録。
ジョン・トラボルタの出世作としても知名度の高い一作として知られております。

またそれ以降、日本で店舗としてのディスコが急増。
新宿、渋谷、六本木と云った繁華街での遊び方の1つとしてダンスが定着しました。

その後、時代の変化に合わせてディスコのサウンドも変わっていきます。
生音の質感を残したダンスミュージックの正統後継者としてハウスが挙げられますし、より機械的なリフと快楽性を重視した音楽としてはユーロビートデステクノ(ジュリアナ系)などがよく知られております。
場所としてのディスコもクラブに置き換えられ、現在各地域に根付いているのは言うまでもないでしょう。

とはいえ、これらの全てが別のものに取って変わってしまったわけではなく、少ないながらもディスコは音楽、そして場所としても2019年現在も残存していております。

とまぁ、その歴史がかなり長く、細分化すればするほどキリがないため、ワタクシもそこまでこの音楽に対して掘り下げられきれておりません。
なので、広義のディスコミュージックに対する説明としては概要に留めます。

今回ご紹介したいのはテクノ、ハードテクノと相性の良いディスコになります。
Hardonizeやハードテクノ関連のパーティーでプレイでプレイすることもあるくらい、この手の音は大変好みでして、実際これまでご紹介したハードグルーヴやハードハウスと云ったサブジャンルとの相性も良いと思っております。

1970年代頃の雰囲気を残した曲や有名曲のサンプリングもの、またはそれらを踏襲しながら現代的な音使いをするものまで色々と。
カテゴリーの括りが厳密ではない分、いつもに増して趣味丸出しの内容になりますが、何卒ご容赦の程を。

あと予め申し上げておきますと今回、鬼長いです。

ハウス・ミーツ・ディスコ

まずディスコの直系ダンスミュージックとして真っ先に思い浮かぶハウス部門から。
現在でもディスコハウスニューディスコと云うサブジャンルとして少なからず影響を残している音楽ですが、ここではとりわけテクノに近い質感のトラックをご紹介していきます。

DAVE ARMSTRONG / SOMETHIN’ LIKE DIS (DA’S FLOORFILLA MIX)

DAVE ARMSTRONG / SOMETHIN’ LIKE DIS (DA’S FLOORFILLA MIX) – YouTube

派手な感じではないものの、ちょっと哀愁漂うギターリフが同時にファンキーでもあり、しこたま使っている曲。
Dave Armstrongが2002年にリリースしたデビュー作に当たります。
ヴァイナルでしかリリースされていないのが勿体なく感じるくらい、お気に入りです。
これのリリース元であるSoul Phusion Recordsはとにかく個人的ヒットが多いもので、レコード屋でジャケットを見つけたら内容を見ずに反射的に手に取ってしまう程。

派手系が好きならDowntownとかオススメです。
こっちは配信で購入可能。

UMEK, PHNTM / Freaks On The Floor

Freaks On The Floor (Original Mix) by UMEK, PHNTM on Beatport

以前個別でもご紹介した覆面アーティストPHNTMもこの手の音楽に於いて欠かせない存在。
ハードテクノ出身のレーベルボスUMEKとの共作となるこちらはインパクト抜群のリフとフィルターを武器にしたファンキーな仕上がり。
何度かこの連載でも触れているように、これがリリースされた2010年当時は一般的にミニマル指向が強かった時期だったのにも関わらず、こういった派手目なものが出てきたのはとても嬉しかった記憶があります。

ShaunyBoy / Bring Me Love

Bring Me Love | Disco Motion Records

2010年以降に現れた新世代アーティストも多くおりまして、このイギリスのShaunyBoyもその1人。
バウンシーなベースとギター、ストリングスの絡みが大変気持ち良く、ループものと云うことで多少早回ししても違和感なく使える辺り大変優秀なトラック。

新世代アーティストが多く現れた理由の1つにネットレーベルの設立と云う事象が挙げられると思うのですが、中でもこのDisco Motion Records質の良いディスコが大量にフリーで放出されており、かなり存在感があります。
このBring Me Loveもフリーです。
本当にありがたい。

Reset! / Milano a mano armata

Milano a mano armata (Original Mix) by Reset! on Beatport

最後にちょっと変わり種を。
2000年代後期のハウスシーンと言えばエレクトロの大流行が起こり、現在のEDMに引き継がれていると云うのは実体験として想像に難くない方が多いと思います。
これらの音楽のコアであるギラギラした音使いと云うのはディスコの性質とかけ離れていると思われがちですが、この両者を引き合わせて新しい音楽を生み出そうとする一派がおりました。

それがこのイタリアの4人組アーティストReset!です。
こちらも以前個別でご紹介しており、来日公演に複数回足を運ぶほど個人的に好きなアーティストなのですが、1曲に絞るとすると2013年にリリースしたこちら。
全体の音としては現代的なエレクトロ、EDMに近いカッチリした硬いものでありながら、リフやフィルのレトロな感じは紛れもなくディスコを彷彿とさせます。

彼らが推進していたこの手のスタイルはターボファンクと呼ばれており、彼らが立ち上げたレーベルBody Heatを中心に現在でもリリースを聴くことができます。

テクノ・ミーツ・ディスコ

次にテクノ部門。

Hatiras / The Anthem (Joey Beltram Remix)

The Anthem (Joey Beltram Remix) by Hatiras on Beatport

当連載に於いてテクノ、ハードテクノの父と云うような紹介をしておりますJoey Beltramですが、元はと言えばシカゴハウスの出身なので、ディスコとも近しいところで活動を行っていたわけです。
そしてそれが作曲に於いて度々顔を覗かせる瞬間がしばしばありました。
2003年にリリースされたこちらの曲もその1つ。

レトロなシンセとフィルターが交差するかなり派手なテクノ。
石野卓球のMIX CD、In The Boxでも使用されており、自分なんかはそれでこの曲を知ったクチです。

他に似た系統の曲としてBeyonderSuper Magneticなどが挙げられます。
Sliceに至ってはDonna Summer / I Feel Loveのサンプリングだったり、こっち方面に関しても紹介したい内容が山のようにあるアーティストです。

Hatiras / Digital Doom (Part 2)

Digital Doom (Part 2) by Hatiras on Beatport

上の曲の原作を務めたカナダのHatirasも合わせて紹介したい1人。
2002年に出たアルバム、Arrivalに収録された曲で、こちらもレトロなリフとフィルターの合わせ技トラック。

Hatirasもまた早期からエレクトロテイストの音を自身の楽曲に取り入れつつ、旧来のディスコ、ハウスとの接点を追求していたアーティストです。

Bad Boy Bill feat. Alex Peace / Everybody

Everybody feat. Alex Peace (Original Mix) by Bad Boy Bill on Beatport

以前個別でご紹介したアメリカ出身のDJ、Bad Boy Billもここに含まれるでしょう。
同じく2002年のリリースであり、カッティングギターと声ネタループが賑やかなお気に入り曲。

実は上2つとこの曲はリリース元が同じInternational House Recordsと云うレーベルでした。
配信では一部楽曲しか購入することができないものの、インパクトが強く使いやすいトラックの宝庫として信頼の置けるレーベルです。
ちなみにこれまで長らく休止状態だったものの、今年に入ってからBad Boy Billが新作をリリースしており、今後の動きに期待がかかります。

Bryan Cox / Flip The Script

Flip The Script (Original Mix) by Bryan Cox on Beatport

テクノ部門の最後は同じく以前個別でご紹介したBryan Cox
上記International House Recordsからのリリースもあるほか、Joey Beltramのレーベルからのリリース経験もある筋金入りのディスコ系テクノクリエイター。

そんな彼の2004年の作品。
リフのループ感やリズムの強度によるテクノらしさ、うねりのあるグルーヴのハウスらしさ、そしてリフの質感のディスコらしさが1度に味わえるトラック。

この手の中間的且つ派手と云うトラックには定評のあるアーティストですので、入門編として紹介記事でも取り上げたアルバムWeapon Records Greatest Hits Volume 01をここでもオススメします。

ハードテクノ・ミーツ・ディスコ

続いてハードテクノ部門。

Raul Mezcolanza / Everybody

Everybody (Original Mix) by Raul Mezcolanza on Beatport

しつこいようですが、ワタクシとにかくRaul Mezcolanza大好きです。
この連載の初回で取り上げたアーティストもRaul Mezcolanzaでした。
今でこそメインストリームテクノの担い手として活動しているものの、キャリア初期の肉厚なハードグルーヴには悉く食らいました。

取り上げたい曲は山ほどあるものの、印象に残っているものとして2011年にリリースされたこちら。
パーカッションを含む手数の多いリズムと太いベース、そこにカッティングギターと声ネタのアッパーな感じが堪らない曲。

何ならこれが収録されているアルバム、Got The Grooveごとハードグルーヴ入門編として取り上げたいところです。
ハードグルーヴの名門であるPatternsからリリースされた数少ないアルバムとしても記念碑的な1作ですので。

Chris Chambers / Get Loud

Get Loud (Original Mix) by Chris Chambers on Beatport

とりわけハードグルーヴとディスコは相性が良いもので、ここで紹介したい曲も大量にあるのですが、Hardonizeで比較的よくかかるのはこちら。
スペイン出身のアーティスト、Chris Chambersによる2014年の作品。

ひたすら単発で攻め続けるシンセとそれを後ろから支えているギターの組み合わせが潔い。
そこに相反するかのようにかなり深いベースが鳴らされているのがハードグルーヴにしては割と珍しい印象です。
ただ使いにくいかと言えば全くそんなことはなく、むしろこのドライブ感が耳に残ることもあってつい手が伸びがちなトラック。

Homma Honganji / Hasaway

Hasaway (Original Mix) by Homma Honganji on Beatport

Hardonize一同お世話になっております。
数少ない日本のハードグルーヴクリエイターであるHomma Honganjiさんの曲の中にもディスコテイストのものが多々あります。

こちらは2017年と比較的最近リリースされたもの。
グルーヴ感のあるベースとギターの絡みが気持ち良い。
あとブレイク跨ぎの展開でビルドアップしてから一旦キックが消えたのち、メインリフを迎える手法がオールドスクールっぽさを感じさせたりもして好きです。

Rob Crawshaw / Fire In The Disco

Fire In The Disco (Original Mix) by Rob Crawshaw on Beatport

これらハードグルーヴ以外にディスコの要素を取り入れたカテゴリーとして、ファンキーハードハウスと呼ばれるものがある、と云うことについてはハードハウス編で触れた通りです。
こちらはハードハウスの本場イギリスを拠点とするRob Crawshawによる2011年の作品。

パワフルなボーカルをフルに使いつつ、ピアノと裏打ちのベースが跳ねるレトロ感漂うトラック。
ハードハウス編にも同じことを書きましたが、この手のハードハウスを多くリリースしているレーベルとしてCheeky TracksToolbox RecordingsIdealなどが挙げられます。
これを橋渡しとして結構色々なジャンルへとハードテクノから飛ばことができるので、是非色々試して欲しいところです。

有名曲サンプリング系

最後に、往年のディスコクラシックのサンプリングを含む曲を紹介します。
最初に元ネタとなった曲を紹介し、そこに続く形で紹介していきます。

まず、手持ちで1番多かったのはこれを元ネタとする曲でした。

Dan Hartman / Relight My Fire

Dan Hartman Relight My Fire 1979 (Video) – YouTube

アメリカ人シンガー、Dan Hartmanが1979年に発売した曲。
全編通してストリングスとホーンの旋律が美しく、耳に残るメロディーを奏でています。
曲自体は知らなくてもどこかで聴いたことあると云う方も多いのではないでしょうか。

で、それを素材として調理したのがこちら。

Kagami / Disco Filter

Disco Filter (Original Mix) by Kagami on Beatport

ご存知、ディスコ~テクノを股に掛けた日本人アーティストKagamiが2002年にリリースしたアルバム、Star Artsへ収録した曲。
大胆にサンプリングを用いつつ、曲名通りのフィルターを使い倒したアグレッシヴなトラック。
これも大好きでよく使います。

Kagamiは割合サンプリングを多用したアーティストとして知られております。
有名曲Tokyo Disco Music All Night LongのビートはPatrick Cowley / Get a Littleが元ネタですし、最早説明不要のYなんかもあります。
あれ、そういえばこれと同じネタを使ったハードテクノがあったような・・・誰でしたっけね774Muzikさん?

SOUVLAKI / Inferno

SOUVLAKI – Inferno – YouTube

これもよく使ってますねワタクシ。
ハードハウス界ではよく知られた存在、Scorccioの変名義による1996年の作品。
元ネタのフレーズに加え、ピッチ高めのラップが入ったり、ピアノが乗ってたりド派手なアレンジ。

Fantastic Explosion / チョコレート

Fantastic Explosion – Chocolate – YouTube

永田一直さん率いる昭和ネタサンプリング集団Fantastic Explosionの2003年の作品。
一聴して分かる日本語のパーツが面白く、ついそっちばかり注目してしまいますが、バックトラックはこの通り。
サビ前のパートまでしっかり使っているのが割と珍しい気がします。

Arabesque / In The Heat of a Disco Night

In The Heart Of A Disco Night – ARABESQUE ‘1979 – YouTube

続いての元ネタはこちら。
ドイツのシンガーグループArabesqueが同じく1979年にリリースした曲。
こちらはギターとストリングスにスポットを当てた曲調となっており、よりファンクに近いアーバンな印象を受けます。

ちなみに邦題はディスコ・フィーバー
良いですよね、この飾らない感じ。

Rydel / Very Disco

Very Disco (Original Mix) by Rydel on Beatport

2010年リリース。
ド直球ハードグルーヴアレンジ。
ハードミニマルの名残なのか、キックの圧が目立って強く、この試行錯誤感もハードグルーヴ黎明期っぽいなと思ったりします。

The Phantom’s Revenge / Mr. Fahrenheit

Mr. Fahrenheit (Original Mix) by The Phantom’s Revenge on Beatport

同じく2010年リリース。
サンプリングしたものを更に細かく切って貼った所謂エディットと呼ばれる種類のトラック。
原曲と同じ音なのに全く違うグルーヴとして聴こえるので、変化球的な楽しさがあります。

Fake Blood / I Think I Like It

I Think I Like It (Original Mix) by Fake Blood on Beatport

これも2010年でした。
作ったのは現行のハウスシーンを率いているイギリスのアーティスト、Fake Blood
当時この人が手掛けていたのはフィジェットハウスと云う新種のエレクトロハウスがメインだったので、この曲はかなり珍しいタイプに入ります。

これもエディット駆使のタイプ。
とにかくストリングスのインパクトに重点を置いている感じがします。

ちなみにこちらの曲はEDMを題材にした映画、We Are Your Friendsの劇中で使われたりもしました。
更に付け加えるとPVもありまして、通販番組の最中プレゼンターが喧嘩しだすと云う内容。
ちょっと面白い。

以降は1曲ずつ紹介していきます。

Musique / Keep On Jumpin’

Musique – Keep On Jumpin’ – YouTube

アメリカのシンガーグループMusiqueによる1978年の曲。
ストリングスとホーンをメインにパーカッションリズムとベースがグルーヴ感のある曲調を支えています。

Corenell, The Lisa Marie Experience / Keep On Jumpin (Corenell Extended Mix)

Keep On Jumpin (Corenell Extended Mix) by Corenell, The Lisa Marie Experience on Beatport

アレンジ後がこちら。
2007年リリース。
原曲より力強いボーカルへと差し替えられ、フィルターも挟みまくりのアッパーハウス。
一応ハウスではあるものの、リズムの強度的にテクノとも相性が良かったりするバージョンです。
実際ハードテクノのブートレグもヴァイナルでありました。

Peter Jacques Band / Walking on Music

Peter Jacques Band – Walking on Music (LP Version) – YouTube

Jacques Fred Petrusを中心メンバーとするイタリアのディスコバンド、Peter Jacques Bandによる1978年リリースのデビュー作。
ベースの手数の多さに加え、シンセとストリングスの絡みなど全体的に音が厚く、ハイテンションな曲。

Chester Beatty, Peter Jacques Band / Shot Of Love (Walking On Music)

Chester Beatty/Peter Jacques Band – Shot Of Love (Walking On Music) 1.01. – YouTube

日本人クリエイターChester Beatty氏による2003年のリリース。
原曲に負けじとテンションの高いハードテクノ。
原曲の各パートを余すところなく使用した上で氏の代名詞とも言える重厚なビートがそれを支える完全独走型トラック。
同時期に発売となったアルバムのタイトルトラックにもなっており、日本のハードテクノ史としても重要度の高いものとなっております。

K.C. & The Sunshine Band / Give It Up

K.C. & The Sunshine Band – Give It Up・TopPop – YouTube

アメリカのディスコバンドK.C. & The Sunshine Bandによる1982年の作品。
ギターの手数の多さもさながら、何と言ってもサビに於けるホーンの存在感たるや。
これまでの曲と比べるとテンポが遅いのもあって大分メロウな感じを受けます。

余談ですがKingsmanで使われた曲でもあるので割と色々な人が耳にしているのではないでしょうか。

RAM RIDER / MUSIC

RAM RIDER MUSIC – YouTube

日本人クリエイターRAM RIDER氏が2005年にリリースしたアルバム、PORTABLE DISCOに収録した曲。
メロディーのある上に日本語歌詞まで(しかも爽やかに)乗ったテクノと云う貴重なもの。
そしてやはりホーンの存在感。

鹿取洋子 / ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

和モノ Japanese Disco Classic   Going Back To China / YOKO KATORI (1980)7inch – YouTube

最後はこちら。
歌手であり女優でもある鹿取洋子が1980年に出したデビューシングル。
ちなみにこの曲にも原曲があり、前年に出たDiesel / Goin’ Back To Chinaのカバーだったりします。
構成はシンプルながら、シンセを中心に置いたオリエンタルなメロディーが特徴的。

doremimate / tonight (can’t stop mix)

tonight (can’t stop mix) | doremimate

現在は解散してしまったものの、関西を拠点にしていたネットレーベル、Vol.4 Recordsの所属アーティストだったdoremimate氏が2010年に出した曲をセルフリミックスしたもの。
エレクトロ+ディスコの共存形・・・と云うか最早Kagamiの再来ではないかと云う風格すら感じさせます。
原曲のサビのサンプリングのインパクトと相まって好みの1曲です。

以上、ディスコ編をお送り致しました。
この音楽の特徴についてまとめると、ディスコの要素を含んだ音楽です。
(テンプレに則ってみたものの、全然まとまってない。)

気付けば過去最大分量でお送りしてしまいました。
あまりこういった視点からこの音楽を掘り下げることもないだろうと思い、大分長々と紹介してしまいました。

ワタクシは当然リアルタイムにこれらの音楽に触れてきた世代ではないものの、ダンスミュージックの歴史に於いて少なからず重要な役割を果たした音楽として認識しております。
その影響がこうして現代の音楽にも引き継がれている、と云うことが少しでも伝われば幸いです。

さて、どうやら2019年内のワタクシの担当回は今回が最後だそうです。
それに合わせて半年に渡ってお送りしてきました『特別連載:ハードテクノとは何か?』につきましても今回で最後とさせて頂きます。
長きに渡りお付き合い頂き、ありがとうございました。

ハードテクノの中にも色々な種類があり、それぞれに特色を持つと云うことが伝わればこれまた嬉しいです。
少しでもハードテクノDIGの指針になれれば本望です。

当Hardonizeでは番外編で触れたような音楽も含め、包括的にハードテクノの流れるパーティーとして10年以上開催しております。
ご興味がありましたら02月22日、茶箱までお越しください。

次週12月17日は774Muzikさんが担当します。
ちょっと早いですが、よいお年をお迎えください。

今回はこれにて。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編 (今回)

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