今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/07/12

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

ラーメンいつ奢ってくれるんですかボス!(挨拶)

本連載も開始から丸2年を迎えました。
週に2度、各人好き勝手にハードテクノ情報をお送りしております。
お役に立てていれば嬉しいです。

ワタクシ以外の3人はその時の新譜に着目していることが多いのですが、ワタクシの回では単体のアーティストだったり、特集を組んで執筆しております。
ふと思い立ってこの2年間の自分の担当記事を以下にまとめてみました。

【2018年】

06月 / 【特集】ブートレグ、フリーダウンロード / 【特集】Incident
05月 / Riotbot / 【特集】『M3-2018春』同人テクノ / 【特集】四文屋難民メンバー紹介
04月 / Rebeld Records / Rob J.
03月 / Filterheadz / 【特集】Bandcamp限定リリース
02月 / 【Hardonize10周年特集】10年前の同人テクノ / 【特集】Hardonize#29 プレイリストピックアップ
01月 / 【Hardonize10周年特集】10年前のハードテクノ / 【Hardonize10周年特集】10年前の日本のハードテクノ

【2017年】

12月 / 【特集】Hardonize#26、Hardonize#27、Hardonize#28 プレイリストピックアップ
11月 / 【特集】『M3-2017秋』同人テクノ / 【特集】Hardonize#28 ゲストDJプレイバック / Sterling Moss
10月 / Norman Andretti a.k.a. Quarill / 【特集】グレイエリア
09月 / Bad Boy Bill / 【特集】ブートレグ、フリーダウンロード
08月 / CAVE / OmanticRecords
07月 / Digital Mafia / Steel Grooves
06月 / X-Dream / Dismantle / Christian Fischer
05月 / 【特集】『M3-2017春』同人テクノ / Chester Beatty
04月 / 【特集】曲名に『春』とか『桜』とか入ったトラック / Andy BSK
03月 / Myler / D.A.V.E. The Drummer
02月 / Jamie Taylor aka Tik Tok / Pasquale Maassen
01月 / 【特集】同人音楽+テクノ / Butch

【2016年】

12月 / Kwadratt / 【クリスマス2016特集】ブートレグ、フリーダウンロード
11月 / Reset! / Dark By Design
10月 / 【特集】Hardonize#25 プレイリストピックアップ / Bryan Cox
09月 / Kanji Kinetic / Technikal / Vinylgroover aka Scott Atrill
08月 / Ganez The Terrible / DJ Reversive
07月 / Raul Mezcolanza / David Moleon

思ったより特集が多かったですね。
思いつきで書いたものもあれば結構実用的な記事もあります。
ピックアップしているアーティストもこうして見ると趣味が出ていると感じます。
こんな調子でお送りしていきますので、『今週のオススメハードテクノ』3年目も何卒よろしくお願い致します。

さて、Hardonizeではファンキーなハードテクノのカテゴリー、ハードグルーヴについて度々取り上げておりますが、真っ先に取り上げられて然るべき重要アーティストが上でピックアップされていないことに気付きました。
このままではハードグルーヴに口煩い熱の入ったSangoさんにどやされてしまうし、まだ実現していないラーメンを驕って貰う約束が反故になってしまう。
それだけは避けなければと急ぎ今回ご紹介する方がこちらになります。

Goncalo M

Goncalo M
https://www.facebook.com/www.djgoncalom https://soundcloud.com/djgoncalom

ポルトガル出身のDJ/クリエイター。ちなみに読み方は『ゴンサロ・エム』。
1978年生まれ御年40歳にして、既に半生以上の時間をDJとして活動しており、地元ポルトガルではA.PaulDu’ArTと並んでハードテクノシーンの重鎮として語られることが多い存在です。
Intuition RecordingsとGlobal Techno Movement Recordsと云う2つのレーベルを運営し、アーティストを広くピックアップしている一方、Yin Yang、Naked Lunch、Soul Access等、ハードテクノを代表するレーベルからのリリース経験もあることがそれを証明していると言えるでしょう。

キャリア初期から現在に至るまであらゆる活動に於いてエネルギッシュなハードテクノを提示し続けています。
DJでは3~4デッキをフルに使いこなし、エフェクトも多用するアグレッシヴなプレイ。
ヨーロッパ各地は勿論のこと、南米、アジアのフェスやパーティーで多くの観客を魅了し続けてきました。
ちなみに2015年に来日もしており、その際の東京公演時のプレイ録画がフルで本人のYoutubeアカウントにアップロードされています。

余談ですが、Goncalo MのYoutubeアカウントにはこういったパーティーに於ける彼のプレイ録画が頻繁に公開されていたりするので、ベテランのMIXスキルを盗むも良し、BGMとして流すも良しの内容です。
更に余談ですが、この時のオフショット集も同時にアップロードされており、日本観光にハシャぐGoncalo Mをご覧頂けます。

面白いことに、Goncalo Mのリリースキャリア発端となったのはヴァイナルではなく、地元ポルトガルで発行されていたDance Clubと云うダンスミュージックマガジンに封入されていた付録CDでした。
この雑誌は2000年から2009年頃まで発刊されていたようで、ほぼ毎号、何かしらのコンピレーションやMIX CDが付録としてパッケージされておりました。
収録内容はやはり地元ポルトガルのアーティストに的を当てたものが多かったのですが、中にはUmekや、Luke Slaterの変名義、Earnest Honest、日本からもTakashi Watanabe氏の楽曲が収録された号があったり、豪勢と言いつつどこか変なラインナップだったことは記しておきます。
Wehbbaがロングインタビューに答えている回もあったようです。ビックリですよね。

さて、Goncalo Mを語る上で欠かせないのが、彼がハードグルーヴと云う名称を広めた有力な1人であると云うことです。
彼はトラックメイキングを始めた2002年からハードでパーカッシヴなテクノを手掛けてきました。
当時ハードグルーヴと云う単語は世の中になかったので、それらはハードミニマルのスタイルの1つと云う認識でしかなかったのですが、徐々にハードミニマルの傾向が無機質で深いものになっていき、Goncalo Mと彼の一派が作るハードテクノとの間に乖離が生じてきます。

そんな折、ファンキーでトライバルな要素を持ったハードテクノを指す名称としてハードグルーヴと云う単語がじわじわと浸透してきました。
未だにこの単語の初出がどこに当たるのか突き止めきれておりませんが、自分が確認している最古のリリースがFeverからリリースされたHardgroove Techno Fever Volume 1と云うコンピレーションになります。
これが2010年。

ちなみにこのシリーズ、意外に好評だったらしくVolume 6まで出た挙句、Masters Of Hardgrooveと云うコンピレーションまで出ました。

その翌年に当たる2011年、Goncalo Mは『コレだ!』と言わんばかりにPortuguese Hardgroove Drumsと云う名前でトラックをリリースするのです。

Goncalo M / Portuguese Hardgroove Drums

無機質なシンセは旧来のハードミニマル然としている一方、ドライブ感のあるベースと前のめりなハイハットリズムは、それらと一括りにできない何かを感じさせました。
加えて地元ポルトガルの名前をトラック名に含めてくる辺り、ある種の決意表明と受け取ることもできます。
これが自分の知る限り、最古のハードグルーヴとして作られたハードグルーヴ楽曲です。

尚、この直後にStephane SignoreのWhip It Outのリミックスがリリースされるのですが、その正式タイトルがWhip It Out (Goncalo M Hardgroove Remix)であったことも併記しておきます。
こちらは天下のPatternsからリリースされたこともあってより深く印象付けられたかもしれません。

これ以降、Goncalo Mはハードグルーヴの担い手としての地位を確立し、DJにリリースにプロデュースとトップクリエイターとしての道を歩み続けています。
ハードグルーヴの基準点は彼にある一方で、彼のサウンドは進化を止めず、より研ぎ澄まされていくのです。
しかもそれを大量生産する信じられないバイテリティの持ち主でもあります。今でも月に1作品は必ずリリースしています。超人か。
そんなに作れないよと云うアナタにはGoncalo Mが直々に手掛けたサンプルパック、Hardgroove Legacy Vol 1をオススメします。
おめでとう、これでアナタが2人目のGoncalo Mだ。
尚、Vol 2もあります。

そんな彼のオススメ楽曲がこちら。

Goncalo M / Like A Glove

夏っぽい、ややアーバンなリフが気持ち良いですね。
こう云う感じにせり上がるベースはリフの逆を行く感じで特徴的ですが、うまいことマッチしてます。

Goncalo M / Last Words

一昨日の記事でYudukiボスが載せたトラックリストとまさかの被り紹介。
これもまたハードミニマルを踏襲した形のハードグルーヴ。
ダークな雰囲気をキープするスタイルもまたGoncalo Mの得意分野です。

Goncalo M / Outmanipulated

AlbitaのTa’ Bueno Yaネタ。
古いテクノ好きならBen SimsのManipulated (Adam Beyer Remix)ネタと言った方が通りが良いかもしれません。
たまにこう云う大胆なネタモノをしれっと作る人でもあります。
前回の記事でIncident特集を行った際にもIncident (GONCALO M edit)について紹介しましたし、Zafra NegraのSufriendo Por Ellaネタなんてものもあります。(元ネタ)
こちらもMonika KruseのLatin Loversネタと言った方が伝わりやすい?

Goncalo M / Ritalina

割と古い、2010年の頃のGoncalo Mワークスの中でも特にお気に入りのトラック。
シンプルなリフ回しと派手なパーカッションが疾走感あってついピークタイムに差し込みたくなります。

Goncalo M / Awakening

最後に最近のトラックをば。
こういうスペーシーなシンセはここ最近のハードグルーヴを掘っているとよく耳にしますが、ダントツに深いベースはGoncalo Mならでは。

長くなってしまったので紹介しきれませんでしたが、Goncalo Mはハードテクノではない、テクノのトラックを手掛ける別プロジェクトとしてG Techと云う変名義を持っています。
普通にテクノセットに使える曲が多く、ハードグルーヴの手法でテクノを表現しているので、是非本名義と聴き比べてみてください。
03月に自身のGlobal Techno Movement Recordsから出したリリースの総集編アルバム、Underground Top Selectionが発売されておりますので、割と手を出しやすくなっておりますよ。

次週07月17日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。