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新作インダストリアルテクノ特集 (2020年05月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/05/14

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

近況報告。


というか今日のお昼ご飯。
マジで食ぐらいしか娯楽がない日常を送っております。

ただ、色々なお店が持ち帰りメニューを用意するようになり、チマチマ買って帰れる状況は地味に楽しいですね。
今まで入ったことのないお店の味を知れたり、持ち帰ったものを魔改造して更にパンチのある料理を作ったり、ということが娯楽になりつつあります。
自分の場合、主な移動手段が自転車ということもあって他者と距離を保つのが比較的容易なので、引き続き感染予防には気を払いつつ、手を広げていきたいところです。
近況報告終わり。

あと先週もお伝え致しました通り、次回Hardonizeの開催日程が発表になっております。
2020年06月20日。あとだいたい1か月。
開催形態については変わらず、世の中の状況によって変動となりますので続報をお待ちください。

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

インダストリアルテクノ

です。

特別連載に於いては8回目に取り上げた、歪んだリズムを最大の特徴とするダークでシリアスなテクノのスタイルです。
ノイズやハードコアとも音が近く、アンダーグラウンドシーンを代表するジャンルとしても挙げることができますが、近年のメインストリームテクノの先鋭化、硬質化に伴い、じわじわとテクノの表舞台を侵食している音楽でもあります。

今年03月に行われ、自分も出演させて頂いたパーティーMantle vol.1なんかは正にテクノとハードコアの架け橋的存在としてこのインダストリアルテクノを大々的にフィーチャーしたものでした。
こういったジャンルの壁を越えた相互流入のある音楽というのはとても重要だと思っており、まぁ期待通り速いのから遅いのまで色々と聴けて楽しかったです。

ちなみに自分がその時プレイしたのはこんな感じ。

主宰からUKレイヴ感というお題を頂いたのとトリだったので、あまり派手にならない感じにテクノとかベースミュージックとか。
この時のプレイは自分でも結構気に入ってます。

そういえばこのパーティーが行われた中野heavysick ZEROに於いてもこのご時世ですので存続支援を募っております。
我らが茶箱の支援についても引き続き継続中ですので合わせて貼っておきます。

heavysick ZERO

コロナウィルス感染症によるお店の運営ご支援のお願い | 音楽喫茶 茶箱 sabaco music&cafe

賑やかで陽気なテクノも当然好きですが、やはり現代テクノの要といえば緊張感のあるストイックさだと思うので、その中でも特に攻撃的なトラックをピックアップしていきます。
上記で最近のメインストリームテクノから注目されていることについて触れましたが、ここはHardonizeらしくハードテクノ、ハードミニマルに近い速度域のもので統一します。
アングラ音楽由来の精神性や表現手法の一端を感じ取って頂ければ幸い。

では、今年入ってからリリースされた新作インダストリアル紹介いってみましょう。

Zaphy / Cochim

Cochim (Original Mix) by Zaphy on Beatport

チリのプロデューサーZaphyによるインダストリアルテクノ。
インダストリアルテクノの発信源として信頼の置けるレーベルOxytech Recordsの作品です。

ローファイなリズムにアシッドシンセの組み合わせが如何にもアンダーグラウンド。
金物ドラムのパターンを複数種類差し替えることで展開を作っていたり、テクニカルな面も感じるトラック。
ちなみにこのZaphyも女性アーティストでして、テクノは女性の方が男勝りな曲を作る説の重要サンプルがまた1つ増えました。

同EPに収録されているこちらの曲もオススメなので合わせて掲載。
リフの鳴り方がちょっとハードダンスっぽいですけどリズムは変わらず低音域ベタ攻め。

Zaphy / Sollicitans

Sollicitans (Original Mix) by Zaphy on Beatport

Scalameriya / Juggernaut

Juggernaut (Original Mix) by Scalameriya on Beatport

イタリアのプロデューサーScalameriyaによるインダストリアルテクノ。
これまたインダストリアルテクノの重要レーベルPerc Traxからのリリース。

紹介2作品目にしていきなり難易度の高い曲ですが、インダストリアルのこういうところが好きでもあるので。
一聴して分かるテンポの倍の速度を基軸にした変則的で密度の高いビートパターン。
耳を劈くようなノイジーなリフも強烈です。
4つ打ちと非4つ打ちの橋渡しに使えそうですが、曲調が引き際を一切弁えていない感じなので、インダストリアル限定でしょうか。
でもそこが良い。

4つ打ちの方が好みでしたら同EPにはこんな曲も収録されています。
ほぼメインリフとドラムのみという、オールドスクールらしさを感じさせるシンプル過ぎる構成のトラック。
2020年の曲とは思えないテイストです。

Scalameriya / Plothole

Plothole (Original Mix) by Scalameriya on Beatport

Mickey Nox / Syd, The Liar (Snitch Mix)

Syd, The Liar (Snitch Mix) by Mickey Nox on Beatport

オーストラリアのプロデューサーMickey Noxによるインダストリアルテクノ。
自身が主宰を務めるGreen Fetish Recordsからのリリースです。

Mickey Noxも現代インダストリアルテクノを牽引している重要なアーティスト。
シンプルなリフにシンプルなビートパターンなのですが、とにかくキック単音の圧が強い。
ものによっては一般的なテクノ、ハードテクノにも繋がりそうなので、細かいジャンル遷移などに使えそうなトラック。

Rendered / Seekersofjustice

Seekersofjustice (Original Mix) by Rendered on Beatport

ArchitectHaujobbLiebknechtなど数々のプロジェクトの中枢として活動しているドイツのプロデューサーDaniel Myerと、
これまたソロでも精力的にリリースを行っているフランスのプロデューサー14angerのユニットRenderedによるインダストリアルテクノ。

インダストリアルテクノに於いては珍しくアーメンブレイク入り。
キックの質感とかはオランダ産ハードコアとして有名なガバを彷彿とさせます。
基礎は4つ打ちですが、これも少しヒネったパターンのビートなのでアーメンと合わせて飛び道具的な側面が強い気がします。

Begez, Dj Balu / Acid People

Acid People (Original Mix) by Begez, Dj Balu on Beatport

共にイタリアのプロデューサーであるBegezDj Baluによるインダストリアルテクノ。
ちなみにこの曲の出典はKobayashi Recordingsとなっており、露骨な日本感が漂っておりますが、彼らと同じくイタリア人のAl Feroxを発起人とし、1997年からテクノのリリースを継続している由緒正しいレーベルだったりします。

タイトル通り、アシッドシンセを前面に押し出したレイヴ感の強いもの。
これもガバキックっぽいですね。
そこまで歪み度も高くないので、アシッドテクノのセットに於ける変化球として使えます。

Swan Meat / SUCKLING GROWN

SUCKLING GROWN (Original Mix) by Swan Meat on Beatport

アメリカのプロデューサーSWAN MEATによるインダストリアルテクノ。
上記Soundcloudアカウントをご覧頂ければ分かるかと思いますが、この人は別段テクノを専門とする活動を展開しているわけではなく、EDM、ブレイクス、ベースミュージック、ハードコアからドローンまで物凄い幅広く楽曲制作を手掛けております。
そして女性。文句なし強キャラ。

その多彩なバックグラウンドに裏打ちされたかのように、インダストリアルテクノの中ではかなり風変わりなトラックがコチラ。
なんと驚くことにメロディーがある。
かなり明確に展開も作られており、途中で4つ打ちからブレイクビートにスイッチしたりするのもかなり異質です。
それでもボトムは一貫して無機質なのが面白い点。
やはりジャンルの相互流入があるとこういうアイディア系のトラックが出てくるので、益々目が離せなくなります。

And / 3 ([KRTM] Remix)

3 ([KRTM] Remix) by And on Beatport

ベルギーのプロデューサー[KRTM]によるインダストリアルテクノ。
リリース元はPRSPCT Recordings
これを読んでいる方の中でこのレーベルの認知度が如何程なのか分かりませんが、ドラムンベース、ダークステップ、特にハードコアとドラムンベースの混合点であるクロスブリードと呼ばれる音楽の中では間違いなく最大手のレーベルです。
年に数回、アリーナ規模のレーベルフェスなんかも開催しているくらいファンを獲得しているところなのですが、本筋のハードコア、ドラムンベースとは別に昨年からPRSPCT SPCRというテクノのサブレーベルを発足(これもなかなかの事件でした。)、その最新作がこちらになります。

Andの手掛けた原曲はかなりシンプルな4つ打ちテクノでしたが、[KRTM]お得意のヘヴィーウェイトなチューニングが施された結果、仄かにレイヴ感漂うアグレッシヴなリミックスとなっております。
ハードミニマルとしてもバッチリ使えそうな丁度良い歪み度。
そしてやはりこれがハードコア、ドラムンベースのレーベルから出ていることが驚きなので、特異点として是非お見知りおきの程。

Havocknoize / Archangel Program

Archangel Program (Original Mix) by Havocknoize on Beatport

スロベニアのプロデューサーHavocknoizeによるインダストリアルテクノ。
最後の方になってきたので、よりハードなインダストリアルテクノをリリースしているベルギーのレーベルTraumaticよりチョイス。

これまで紹介してきた曲より過度なディストーション処理がリズムに施されております。
序盤のホラー系パッドもそうですが、何よりブレイクから入ってくるシンフォニックなコーラスがリズムに対して相反的であり、これが一層不穏感を際立たせているパーツになっています。
総合的にインパクト重視のトラック。

The Relic / What Are You?

What Are You? (Original Mix) by The Relic on Beatport

オランダのプロデューサーThe Relicによるインダストリアルテクノ。
変名義としてCubic NomadHidden Roomsといった顔も持ち合わせており、最早どれがメイン名義か分からないくらい、それぞれの名前で精力的にリリースを展開しているお化けアーティスト。
この曲のリリース元であるDark. Descent.のボスとしても君臨しており、ハードコアとテクノを繋げる存在としては欠かせないものとなっております。

従ってというべきか、聴いて頂ければ分かる通り、出音がハードコアなんですよね。
明らかに過剰な程歪められたキック、ベース、アシッドシンセ、その他諸々。
テンポこそハードテクノのスタンダードですが、リズムパターンも一筋縄ではいかない打ち方をしており、一言で表すならば極悪。
音が出せる環境で聴くとよりその極悪っぷりにヤラれること間違いなし。

以上、インダストリアルにスポットを当ててお送りしました。
この手のエグい音楽も大好きなので、そっちに寄った紹介になったかと思います。
玄人向け音楽の印象がどうしても強い系統ではありますが、上で述べた通り今やメインストリームテクノに肩入れする形や、ハードコアとの親和性という観点から徐々に勢力を拡大しているジャンルだと思うので、(音は怖いですが)怖がらず、色々聴いてみてください。

それこそテクノ方面からのアプローチなら序盤で紹介したOxytech RecordsPerc Trax、ハードコア方面からなら終盤で紹介したTraumaticDark. Descent.といったレーベルたちはリリースや所属アーティストの数も多く、かなり参考になる筈です。
是非より良い歪みライフをお送りください。

と云った辺りで今回のサブジャンル特集はここまで。

次週05月19日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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新作ハードハウス特集 (2020年04月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/04/30

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

近況報告。


発売日に買いました。
先代端末が第1世代のiPhone SEだったもので、4年振りの端末購入とあって若干ウキウキしております。

ただ、スマートフォンにはケースを装着したい部、且つそのケースは実物を見て選定したい課に所属しているため、電気屋各店が休業中のこの状況では持ち歩くのに抵抗があるという悲しい運命を辿っております。
しばらくは先代端末にも頑張ってもらうことにします。
近況報告終わり。


さて、今週のボスのエントリーで発表がありましたように次回Hardonizeを06月20日に執り行います。
開催形態は現時点では未定ではありますが、何らかの形で『やる』ということだけは決まりました。
未だに事態収束の見通しは立っておりませんが、引き続き気を引き締めてサバイブしていきましょう。

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

ハードハウス

です。

特別連載に於いては5回目に取り上げた、ハウス、トランスの要素を持ち合わせたハイブリッドなハードダンスのスタイルです。
現在に於いては数多くの細分化サブジャンルを内包しており、アップリフティングで快楽的なスタイルもあればシリアスで攻撃的なトラックも量産されている、奥行きの広い音楽であることも大きな特徴と言えます。

先の特別連載に於いて参考文献としてDJイオさんの記事を紹介させて頂いたところ、お返しとばかりにピコピコカルチャージャパン内の新連載にて上記特別連載をご紹介頂くという、なんとも光栄な出来事がありました。
ハードテクノもそうですけれど自分はこの辺りの音は完全に後追いなので、それがリアルタイム世代の方に認められたというのはなかなか嬉しいことです。
ありがとうございます。

第1回「イントロダクション」: DJイオの「ワープハウスバカ一代」

この時代にハードハウス、それもワープハウスというごく限定された音楽にスポットを当てた連載を開始するのはかなり異様と言えると思いますが、最新回である第2回共々、とんでもない熱量を持った内容となっておりますので、引き続き拝読させて頂く所存です。

所謂クラシックについては上記連載で今後も大量に紹介されると思いますので、ここで触れるのは逆に現行のハードハウスについて。
それもワープハウス同様、ハウス、トランスの要素に加えて、テクノの反復感だったり生音の質感を取り入れたファンキーハードハウスと呼ばれているものについて紹介していきます。
こういう呼び方が一部で浸透している、ということについては先の特別連載で触れた通りではありますが、他にもウォームアップ・ハードハウスなんて呼び方をされている中にも近い音が見つかりますが、要はギラギラした現行メインストリームのハードハウスとは異なる構成を持ったハードハウスという意味合いが込められているようです。
数多くの細分化ジャンルを抱えたハードハウスに於いて、今1番ハードテクノに近いのがこのカテゴリーではないかと思うので、何かの参考になれば幸いです。

では、今年入ってからリリースされた新作ハードハウス紹介いってみましょう。

Digital Mafia, James Revill / Make It Alright

Make It Alright (Original Mix) by Digital Mafia, James Revill on Beatport

ファンキーハードハウスに於いてまず欠かせないアーティストといえばこのDigital Mafia
度々タッグを組んでいるレーベルメイトでもあるJames Revillとの最新作がこちら。
跳ね系の裏打ちベースと声ネタのカットアップにピアノリフがまさしくファンキー。
テンポ的にもハードテクノ、ハードグルーヴと相性◎。

加えてDigital Mafiaは今年初頭にもMalicious Mとの共作をリリースしており、こちらはよりグルーヴ重視系。
バッキングピアノが否応にも高揚感を高めてくるのでこちらもオススメ。

Digital Mafia, Malicious M / Fantasy

Fantasy (Original Mix) by Digital Mafia, Malicious M on Beatport

Jas Van Houten / Moving On

Moving On (Original Mix) by Jas Van Houten on Beatport

ハードハウス界の帝王レーベルであり、イギリスのハードダンスシーンそのものの代表的存在ともいえるTidy Trax
そのサブレーベルであるUntidy Traxから4年振りの新譜として出たのがこちら。
25年の音楽キャリアを持つ大ベテランJas Van Houtenによる久々の作品でもあるのですが、『本当に今年の曲か?』と思うくらいオールドスクールテイスト溢れるもの。
深めのベースラインにシンプルなリフを長尺で回していく構成はかなりテクノの理念に通ずるところがある気がします。

これも補足になりますが、本家Tidy Traxも今年に入って4年振りとなる新譜がリリースされました。
イギリスのDJ/クリエイター同士、Ben VennardHayzのタッグによるものです。
ファンキーとはちょっと離れますが、バウンシーなリズムの上でベルとシンセも跳ね回る、これもまたオールドスクールへの愛情が感じられる逸品。

Hayz, Ben Vennard / Quiet

Quiet (Original Mix) by Hayz, Ben Vennard on Beatport

DNG / Homage

OUT NOW!!! DNG – Homage (Tuff Groove Recordings #068) by Tuff Groove Recordings | Free Listening on SoundCloud

アシッドテクノに於いては909Londonが専門店として挙げられるように、ハードハウスにも専門店が存在します。
それがToolbox Digital Shopというところで、音源のデータ販売は元よりCDやグッズなどフィジカル商品の発送、MIXの配信、イベントの情報発信とそのチケットの販売まで一手に請け負うプラットフォームです。
そして何といってもここでしか買えないエクスクルーシヴ音源があるという点は強調しておきたいところでして、これもそういったものの1つ。

購入先リンク:DNG – Homage (Original Mix) [Tuff Groove Recordings]

軽めなキックに相対するようにベースの重心は低め。
リフも割合シンプルなループ系なのでメロディ含みのテクノなんかと絡めやすい仕上がりです。

Lesley Anne, N.I.F / Basic Pleasure Model

Basic Pleasure Model (Original Mix) by Lesley Anne, N.I.F on Beatport

イギリスのDJ/クリエイターLesley Anneによるハードハウス。
これのリリース元であるFireball Recordingsは現代ハードハウスの最前線に立つレーベルとして活動しており、普段はもっとギラついた攻撃的なトラックが多い印象ではあるものの、たまにこのような変な曲も見つかる懐の広さが魅力です。
中盤~終盤パートでちょこちょこシンセリフが顔を覗かせるものの、落ち着かないベースラインを中心に据えたリズム帯が大方のメイン。
それこそ4つ打ちベースミュージックなんかと相性が良いと思われます。
1つこういうのを持っていると展開の幅が広がって心強かったりもしますね。

Sound De-Zign / Happiness (Coast 2 Coast Mix)

Happiness (Coast 2 Coast Mix) by Sound De-Zign on Beatport

この段落で紹介するのはどちらも今年に入ってからの再発ものですね。
ご存知、トランス界の大御所Armin van Buurenが発起したレーベルArmadaが今まで配信されなかった過去作品の再発に力を入れ始め、今年に入ってからもそれが継続しており、その中にもテーマ的に合致するトラックがあったのでここで紹介します。

上のはオランダのプロデューサーユニットSound De-Zignの原曲を2001年にアイルランドのプロデューサーユニットCoast 2 Coastがリミックスしたもの。
このボーカルの元ネタはLet The Beat Hit’Em (LL with Love RC Mix)でして、テクノ~ハウスでよく聞くサンプリングだったりします。
これもバッキングピアノとサンプリングされたオルガンフレーズが気持ち良く、普通のトランスとしても使えるハイブリッドなアレンジ。

あと、下のは微妙にスペルが違うものの、同一アーティストです。
(何故かSoundcloudのアカウントも別個に存在します⇒Sound Design)
こちらは1999年が初発。
若干キックが軽い点以外はファンキーなテクノと遜色ない仕上がり。
シーンを問わず、かなり使いどころの多いタイプのトラックです。

Sound Design / Hot ‘N Horny (Kinky Boy Remix)

Hot ‘N Horny (Kinky Boy Remix) by Sound Design on Beatport

Daves Groover / Master Beat

Master Beat (Original Mix) by Daves Groover on Beatport

ブラジルのDJ/クリエイターDaves Grooverによる速いアシッドハウス。
というのも、この人の出自がハードダンスではなく、テックハウスやアシッドハウスを主軸に活動しているためか、音の質感がまるで違います。
どちらかというと生音に近いシンセループが鳴っているのですが、テンポ的にはバッチリハードハウス、ハードテクノに寄せているという、ちょっと変わった作品。
アーバンな雰囲気括りで味が出そうなトラック。

Selky / Sneak Preview

Sneak Preview (Original Mix) by Selky on Beatport

アイルランドのDJ/クリエイターSelkyによる速いディスコ。
これもまたハウス、テクノを主に手掛けているアーティストによる実験的側面の強い作品。
レトロなシンセリフ、パワフルなボーカル、そして細かくエディットされたブラスなどファンク爆弾大量積載。
セットの最後の方に持っていきたい存在感があります。

ちなみに、この楽曲が収録されたEPのメインジャンルは何故かジューク/フットワーク。
そしてSoundcloudの個別楽曲のページに付与されたタグはスピード・ガラージと何かがズレている感がそこかしこに漂っており、今回この曲を見つけられたのは本当にただ運が良かっただけの模様。
[MTXLT174] Street Bangers Factory 13 (V.A.) | Moveltraxx

DJAN feat. Natemonoxide / – Do you remember

– Do you remember feat. Natemonoxide (Original Mix) by DJAN, Natemonoxide on Beatport

最後はかなり変わり種。
ハードハウスに含めるかどうかすら怪しいシロモノですが、変ミュージックスキーとして目に留まってしまったので。
DJANNate Monoxideをボーカルに迎えて手掛けた、強いて言えば速いフューチャーハウス。
フューチャーベースの基本ともいえる哀愁系シンセがふんだんに使われているものの、ボトムの鳴り方はハウスのテイストをそのまま残しているのがちょっと不思議な印象を受けます。

アーティストも初見でこれ以上情報が探せなかったこともあり、これも出会うか出会わないかが運次第な作品でした。
折角なのでお裾分け。

以上、ハードハウスにスポットを当ててお送りしました。
なかなかまとめて語られることのない部分にフォーカスしてみた自負はあるのですが、何せこの手の混合音楽が好きなもので。
去年リリースされたものの中にもなかなか濃いものがたくさんあるので、以下に列挙しておきます。

Wave Up Ya Hands (Original Mix) by Mickey G on Beatport
Politically Incorrect (Original Mix) by Ross Homson on Beatport
Revenge At The Disco (Original Mix) by Digital Mafia, Ryan Walker on Beatport
Gimmy Pouwa (Original Mix) by Jas Van Houten on Beatport
Teardrops (Headrockers Remix) by Dawn Tallman on Beatport

是非この辺りも足掛かりにしつつ、あらゆる4つ打ちの壁を破壊してもらえると僕が楽しくなりますので、何卒。
実際、ハードハウスのDJ/アーティストの中にもガラージや4つ打ちベースラインなどと異種交配を試みる人がおりますし、斬新な発想には敬意を払いつつ、積極的に参考にしていきたいと思う次第です。

と云った辺りで今回のサブジャンル特集はここまで。

次週05月05日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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