こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
Die氏、Bee.Bee.氏をお招きしてお送りする次回Hardonizeまであと半月程。
その間にもDie氏は先日のオランダ凱旋の模様をお伝えするトークイベントに出演されたり、
【拡散希望】トークイベント「東京スピーカーズデイグルーヴ」第一回に出演!内容はベルギー、オランダでのレコード屋DIGの様子、もち買ってきたレコード視聴等!入場無料。ソ物販も!10/21土15:30?中野SF STUDIO https://t.co/UnjQieeEZc #TSDG pic.twitter.com/QSjiSZdnOk
— Die(DieTRAX) (@Dietrax) 2017年10月6日
Bee.Bee.氏はハードスタイル、ハードダンスのビッグゲストを招いてのレジデントパーティーを開催されたり、
あと25日切りましたよ。
フードだってインパクト負けしないよう張り切って用意が進められておりますが、何といってもクラブパーティです。音や選曲も4回目に恥じぬよう各位吟味中です。
あと、会場の何かが増えて更にサウンドが”強く”なるとかどうとか…?#ENIGMA04 https://t.co/hhrYjdQs6j pic.twitter.com/EjROUyATgg— Bee.Bee. (@B_e_e_B_e_e_) 2017年10月9日
同人音楽即売会M3-2017秋の開催も控えていたりします。
当日までバッチリハードテクノ成分を補給した上で臨めば尚楽しい筈。是非各所参加をご検討ください。
Dieさんオランダで買ったガバ流そうかなと申しておりましたが、はてさてどうなることやら。
本連載でもHardonizeで流れそうなトラックをレジデント各々ピックアップしておりますが、先日テクノの新しいスタイルについて知ってしまったので、今回は忘備録的にそちらを取り上げたいと思います。
ハードではないんですが、これが自分のクロスオーバーなスタンスとしてもなかなか興味深かったもので、特に変ミュージック好きの方にご一読頂けると幸いです。
切欠は先日ワタクシが出演させて頂いたDEAD SECT10Nと云うパーティーでした。
暗い、深い音楽にスポットを当て、煌びやかな音は一切排除と云うアンダーグラウンドならではのコンセプトを基に毎回コアなメンバーが集められており、ある人はひたすら渋いドラムンベースを、ある人はエッジのきいたハードコアを流す、まぁ普段聴くことのできないような音楽目白押しで大変楽しかったのであります。
自分はというと最近メインストリームテクノとベースミュージックの交配を行うのが楽しいと思っていたところだったので、BPM100くらいのエレクトロニカからテクノ、グライム、ダブステップと云ったセットで臨みました。
何回か曲名を覗き込まれたりひたすらShazamされたり、しめしめと云った感触。
で、その日の共演者にga_ck_ieさんと云う方がおりまして、その方のセットが大変面白かったのです。
彼は当Hardonize開催場所である早稲田茶箱にてAQUANAUTSと云うドラムンベースのパーティーを行っている方で、DJもジュークやダウンテンポを織り交ぜつつ清涼感溢れるMIXを得意とする印象があります。
ちなみに一般的なドラムンベースのBPMは170~180くらいでして、テクノとは大幅な差異があります。ここまでが前情報。
ga_ck_ieさんはこの日も序盤は音数の少ないドラムンベースを鳴らしていたのですが、これが徐々にBPM130辺りのテクノに変わっていくわけです。それも大幅なテンポシフトをしている感じもなく、シームレスに変わっていく。
その後あろうことかテクノとドラムンベースを行ったり来たりする。やっぱり違和感なく。
前述の通り両者はBPMが大幅に異なるため、DJのセオリーに則って考えれば繋ぐことはできません。
パーティー終了後、ドラムンベースとテクノがMIXできたカラクリを語ってくれたところによると、これらは『グレイエリア』と云うスタイルの音楽なんだそうです。
アルファベットで書くと『Grey Area』。
名前の由来を説明するより先に以下のMIXを聴いて貰った方が良いと思います。
パッと聴いた感じアンビエントっぽい静かさを持つテクノと云う印象を受けると思います。
ビートパターンがシンプルな4つ打ちでないこともすぐ分かりますが、少し踏み込むと3拍子のパターンになっていることに気付きます。この時点で普通のテクノではありませんね。
で、そこに意識を払いながら聴いていくと中盤でドラムンベースのリズムに切り替わります。ウワモノの速度は変わらず、そして4拍子にシフトするのです。
つまり4拍子ドラムンベースのBPMである170を3/4でとった速度が127.5であり、同じ小節のスケールでビートパターンが展開しているユエに違うBPMの曲同士が繋がる、ドラムンベースとテクノのテンポや要素をクロスオーバーさせながらもどちらともつかない『灰色の領域』、これがグレイエリアの特徴です。
このスタイルの音楽は少なくとも2014年には構成理念が出来上がっていたようです。
発起人については探り当てることができませんでしたが、現在のシーンの中心にいるのはドラムンベースのプロデューサーDJ PreshaとクリエイターASCの両名でしょう。
https://www.facebook.com/preshasamurai
https://www.facebook.com/ASC77
https://soundcloud.com/asc
共にドラムンベースシーンで20年近いキャリアを持ちながらテクノも聴いてきた(DJ Preshaは好きなアーティストにSurgeonを挙げています。)と云う彼らは2015年に合流し、名前もそのままにGrey Areaと云うレーベルを立ち上げます。
Grey Area Releases & Artists on Beatport
リリース名、トラックタイトル、アーティスト全て匿名と云うある種の哲学を感じさせるようなスタンスをとっており、上記のような特性から手を出しづらい感じも否めませんが、実際に聴いてみるとビートのハッキリした(4拍子ではないので4つ打ちとは呼べないけれど)等間隔リズムもの、ミニマルドラムンベースの名残が見えるもの、アシッドシンセに焦点を当てたものなど、意外と曲調の幅が広いことに驚きます。
中にはテクノとドラムンベースの交配を露骨に意識した曲もありますので1曲だけ取り上げます。
試聴部分は3拍子地帯しかありませんが、この後4拍子とも取れる完全な等間隔リズムに変わります。
従ってBPM170のドラムンベースから同リズムスケールでこの曲の3拍子地帯に繋ぎ、等間隔地帯で4拍子メインストリームテクノにシフト、と云ったことが可能になるトラックです。
ワタクシのようなクロスオーバーに重きを置くものとしては願ったり叶ったりのようなシロモノでして、ホント妄想が広がります。
その他グレイエリアのアーティストとして挙げられるのはFelix K、Sam KDC、Lemnaなど。
レーベルとしては前述のDJ Preshaが運営するHoroや、ASCの運営するAuxiliaryなどからリリースされています。
Horo Releases & Artists on Beatport
Samurai Horo Releases & Artists on Beatport
Auxiliary Releases & Artists on Beatport
それまで距離があったように思えたテクノとドラムンベースによる1つの形であると云う印象を受けました。
しかしサウンドサイエンティストたちによる実験の手は緩まず、尚変則的なビートを提示しては『BPMとは何ぞや?』と云う問いを我々に投げかけてくるのです。
その他グレイエリアのオススメはこちら。
加えて、DJ Preshaがイチオシとして挙げているアーティストに毎月Club Asiaにて行われている老舗ダブステップパーティーBack To Chillのメンバーである日本のEna氏の存在があります。
https://www.facebook.com/enamusictokyo
https://soundcloud.com/ena-iai
速いようにも遅いようにも聴こえるドープなベースミュージックにDJ Preshaから進んでコンタクトを取り、結果自身のレーベルHoroよりBinauralと云うアルバムをリリースするに至ります。
今年08月にもEPがHoroから発表されており、それもまた突然変異的な深度を誇るハーフステップ。
もっとグレイエリアについて知りたいと云う方は以下のFelix Kのインタビューを読むことをオススメします。
複雑なリズムを持つプロデュース楽曲を全てハードウェアで構築していると云う変態。
次週10月24日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。