こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【告知】
次回Hardonizeの詳細が公開されております。
2022/10/29(sat) Hardonize#42 at waseda sabaco | Hardonize web
ゲストにREV-TUNEさんとYosshie 4onthefloorさんの2名をお迎えしております。
時にハードにストイックに、時に煌びやかだったりファンキーだったりするハードテクノ、テックダンスの魅力を6時間みっちりお送り致します。
日付は10月29日。
会場はいつもの早稲田茶箱でお待ちしております。
尚、例によって今回も入場エントリー制となっておりますので以下のURLよりご登録をお願い致します。
Hardonize #42 in東京 – パスマーケット
【今回のお題】
さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
ですが、今回取り上げるテーマはハードテクノの分類外となる
とします。
というのも、先日とある若手DJからテクノとは違うジャンルに於いて
『4つ打ちとそうじゃない曲との橋渡しに苦戦している。』といった話が寄せられまして、
クロスオーバーのプレイヤーからしたら切っても切り離せないテーマだと共感したといったことがありました。
どんな音楽にも当て嵌まると思いますが、基本的にはグルーヴと呼ばれる曲ごとのノリをある程度維持しながら展開を作っていくことが多く、リズムが4つ打ちの曲と非4つ打ちの曲の間ではこれが大きく異なっています。
なので自分の場合はこの両者の遷移が上手くいくような中間的なトラックというものを頻繁に使います。
ことテクノに於いてはこのグルーヴの連続性がより重視される音楽でもあるので、欠かせない存在であるとも言えます。
変なことやんなければ良いのにという意見も御尤もですが、やりたいんだもん。
そのテクノに於ける具体的な1つの解というのがテクノの要素を持ちながら4つ打ちではない曲、
すなわち非4つ打ちテクノだと思うので、今回はそういった曲にスポットを当てて取り上げていきます。
例によってここ1~2ヵ月の間にリリースされたトラックをメインとします。
早速ですが新作非4つ打ちテクノ紹介いってみましょう。
【曲紹介】
Formed by Impact (Original Mix) by Monolog, Liza Aikin on Beatport
ドイツのプロデューサー同士、MonologとLiza Aikinによるテクノ。
ひたすら硬質で無機質なリズムが繰り返されるストイックなトラック。
やや歪み気味のキックやノイズ混じりのリフがインダストリアルにも踏み込んでいるように思えます。
Breaking Ice (Ansome Remix) by Dahryl on Beatport
イギリスのプロデューサーAnsomeによるテクノ。
前曲とやや質感は異なるものの、やはりインパクトのある硬いキックとノイズっぽいリフを特徴とする曲。
音の密度はこちらの方が高く、前のめりなグルーヴもより感じられますね。
Black Horse (Original Mix) by Recid on Beatport
ウクライナのプロデューサーRecidによるテクノ。
更に密度激高の金物ドラムもの。
かなり深いベースから漂うアンダーグラウンドの臭気も変ミュージックスキーには堪らない1曲。
Pain (Original Mix) by Robert Natus on Beatport
ドイツのプロデューサーRobert Natusによるハードミニマル。
Robert Natusは特別連載:ハードテクノとは何か? – 第6回:シュランツ編でも触れた通り、シュランツがジャンルとして確立していく初期の頃から最前線で活動していた重要人物の1人でもあります。
実はこちらの曲は最近のものではなく、先日リリースされた過去の曲をまとめたEarly Techno (Early Worx)と題した40曲入りのアルバムを発表した中に収録されており、ハードミニマルからシュランツに派生する過程がこのアルバム1つで体感できるので、なかなか興味深いリリースでした。
なのでコチラの曲のリリースは2004年になるのですが、歪み気味のリズム、色気の一切ないウワモノなど、シュランツの原型が垣間見えます。
でもストレートな4つ打ちではないところがまたそそられます。
同じ作品の中にはこういった曲も収録されています。
Maria7 (Original Mix) by Robert Natus on Beatport
オリジナルは2003年リリース。
こちらはより4つ打ちから離れたリズムの打ち方をしていますが、金物リズムの密度はシュランツのそれ。
浮遊感のあるパッドは往年のテクノを踏襲していて良いですね。
Deadbull (Mani Festo Remix) by J:Kenzo on Beatport
イギリスのプロデューサーMani Festoによるテクノ。
アラームのような反復リフとキックに同化したベースが静かに不穏な空気感を演出しています。
ところどころアーメンブレイクスのようなリズムも聴こえるので、深めのベースミュージックとの橋渡しに使えます。
Buffalo Skank (Original Mix) by Frankel & Harper on Beatport
イギリスのプロデューサー同士、Tom FrankelとDayne Harperによるブレイクス。
太いベースラインと生っぽいドラムからタフな印象を受ける一方、儚げなシンセのループが哀愁も誘うトラック。
そのシンセの質感にテクノっぽさを感じたので、ブレイクスとの橋渡しに使えないかなと画策中です。
で、これを書いている最中に彼らのSoundcloudを覗いたら個人的にアツいフリーダウンロード楽曲を見つけたので合わせてご紹介します。
原曲は強烈なボイスサンプルのループとアーメンブレイクス、そして深いベースラインが混然一体となった現代版レイヴを代表する1曲で、様々なアーティストによってリミックスされている重要楽曲です。
そのオリジナルのインパクトはそのままに、よりベースのグルーヴを強調したようなアレンジが施されたのがこちら。
サウンドのクオリティとしては非の打ちどころがなく、使い方次第で色々なジャンルの橋渡しができそうなので個人的には重宝しそうです。
Your Invisible Room (Original Mix) by Despina on Beatport
アメリカのプロデューサーDespinaによるブレイクス。
前のめりな打ち方の生っぽいドラムと無機質なリフを特徴とするトラック。
4つ打ちとの相性を考えた時にスムーズに繋げそうなのはこういった曲だったりするので、この手の曲は結構ありがたかったりします。
Beautiful Schema (Original Mix) by Destrata on Beatport
カナダのプロデューサーDestrataによるブレイクス。
これもちょっと一般的なブレイクスではないパターンのリズムが展開されます。
ただこのせり上がるようなベースラインは超ツボ。
ベースライン文脈でも使いどころが結構ありそうなトラック。
Air-ism (Original Mix) by Kincaid on Beatport
イギリスのプロデューサーKincaidによるテクノ。
ハードではないものの、リズムの手数の多さが光ります。
儚げなシンセのリフとの絡みにエレクトロニカっぽさがあったりするのも面白い。
プレイヤーによって使いどころが分かれそうなトラック。
Mod Cons (Original Mix) by Theo Everyday on Beatport
イギリスのプロデューサーTheo Everydayによるブレイクス。
アシッドシンセとファンキーなブレイクビーツの共存。
連続するグルーヴの心地よさと、リズムの強弱による高揚感が両方味わえます。
テクノ、レイヴ、ブレイクスのハイブリッドサウンドとしてかなり好みな1曲。
同レーベルからはこんな曲もあります。
Keep On (Original Mix) by Denham Audio, Swankout on Beatport
イギリスのプロデューサー同士Denham AudioとSwankoutによるブレイクス。
前出のDestrata / Beautiful Schema同様、太いベースのフレーズが特徴的で気持ち良い。
力強いアーメンブレイクスのリズムと相まって土臭いレイヴの良さが内包された曲。
Crazy Rocketman (Original Mix) by Riotbot on Beatport
フィンランドのプロデューサーRiotbotによるハードテクノ。
今回取り上げる中に於いては飛び抜けて重厚で攻撃的なリズムを擁したトラック。
中盤以降はギラギラしたトランスのシンセが入り、更に狂暴な展開を迎えます。
なのにリズムは終始一貫して非4つ打ちというあたりに違和感を感じざるを得ない謎のスタイル。
RiotbotはHardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選でも触れた通り、まぁ平常時に於いてもイカついトラックを量産しているアーティストとして我々一堂注目している存在ですが、今年もその存在感は増すばかりです。
【まとめ】
以上、新作非4つ打ちテクノにスポットを当ててお送りしました。
4つ打ちでないという大雑把な括りで取り上げた結果、いつもに増してサウンドが多岐に渡っているような気がします。
こういった曲を挟みつつ一連の流れを構築していく、というのもまたテクノの醍醐味だと思うので、何卒お見知り置きを。
そんなわけで今回はここまで。
次週10月04日は774Muzikさんが担当します。
では。