こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【告知】
既に情報公開されております通り、Hardonize#48の日程がこちらになります。
12月07日、場所はいつもの早稲田茶箱にて開催します。
ゲストの発表につきましては近日中に行われる予定となっておりますので、引き続き当連載のチェックをよろしくお願い致します。
【Spotifyプレイリスト】
Spotifyプレイリストの08月分が公開されております。
Hardonizeクルーが全身全霊でオススメするハードテクノ90曲。
各レジデントがHardonize#47でプレイしたトラックを含むため、いつもより多めの収録数となっており、トータル再生時間は8時間越え。
自分はHardonize#47トラックリストのほか、レイヴ、ゲットーテックと、割合下品めなトラックを選出しております。
尚、09月分も今回の自分の更新が最後となるため、次週辺りには公開できると思います。
そちらも是非お楽しみください。
【告知】
20年以上続いているハードコアの老舗パーティー、HAPPY DYNAMITEが11月02日に開催されるのですが、そこでSangoさんと僕でB2Bを行います。
で、今回のヘッドライナーが凄くて、ハードコアのメッカであるイギリスからScott Brownが来日します。
Tokyo!
フルチラシが配布されました!#ScottBrownJapan24#スコブラ2024 pic.twitter.com/folo732IM1
— ???????????????????????? (@djscottbrown) September 24, 2024
わざわざゲスト自ら日本語でポストしているのが大変に面白い。
これは本当に凄いことで、プロデューサーとしてデビューした1991年から現在に至るまで数々のヒットソングを生み出し、シーンを牽引し続けている『ラスボス』クラスの存在です。
自分世代のヘッズでElysium Plusを知らない人はいないと断言できるくらい、みんなヴァイナルを持ってましたし、あらゆるパーティーでこの曲はかかりまくりました。
Elysium Plus – Original Mix – Scott Brown | Spotify
それより世代が上となる、1990年代ハッピーハードコア期においてもNow Is The Timeというハードコアシーン屈指の大クラシックを輩出しており、今に続くハードコアの基礎を作った大偉人と言っても過言ではありません。
Scott Brown – Now Is The Time by madwaeit
その来日公演をSangoさんと2人で恐れ多くもバックアップさせて頂きます。
オーガナイザーからは『Hardonizeでプレイしているような感じで!』というオーダーを頂いているので、当連載で取り上げているような曲を持って行く予定ではあるものの、我々2人ともハードコアにどっぷり浸かっている者同士なので、その辺りとも上手くクロスオーバーできたら良いなとは考えております。
紛れもなく貴重で贅沢な一晩なので、是非お越しください。
余談ですが、当時Elysium Plusと並んで夢中になった曲がこれ。
Rock You Softly 05 – Original Mix – Scott Brown, Plus System
思春期真っ盛りの時期にこんなに爽やかでドラマティックな曲を聴いたら前のめりにならない方がおかしい。
何分古い曲なので可能性は低そうですが、万が一当日流れたら流石に涙腺緩みそうです。
【今回のお題】
さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。
ちなみに、年始は3回に渡ってフリーダウンロード特集を行っておりましたので、ご興味のある方は是非ご参照ください。(1) / (2) / (3)
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
今回取り上げるのはハードテクノに含まれるサブジャンルの1つ、
になります。
特別連載に於いては3回目に取り上げた、ビヨビヨという感じで鳴っている特徴的なサウンド、『アシッド』を用いたハードテクノです。
この音楽にスポットを当てた特集は過去5回(※)行っており、比較的コンスタントに取り上げているサブジャンルだったりします。
※
新作ハードアシッド (2023年06月版)
新作ハードアシッド (2022年02月版)
新作ハードアシッド (2021年04月版)
新作ハードアシッド (2020年08月版)
新作ハードアシッド (2020年02月版)
今回この音楽にスポットを当てるのは明確な理由がございまして、過去に複数回Hardonizeにご出演頂いたni-21さん率いるパーティー、ENIGMAの開催が今週末09月28日に控えているのですが、そこにイギリスからSterling Mossがヘッドライナーとして出演します。
【フルラインナップ】
ENIGMA x SIDEBACK presents
'STERLING MOSS JAPAN TOUR 2024' in Tokyo#ENIGMA20240928
??: https://t.co/WWhSehbfP5DATE & TIME: 2024.09.28.(Sat.) 14:00 – 21:00
VENUE: CUBE (Roppongi, Tokyo)
Address: B1 Fl., Chuo Iikura Bldg., 3-4-11, Azabudai, Minato, Tokyo pic.twitter.com/ij6EbWC6fU— AkuaMarine (@0ha3ru1ka4) September 2, 2024
Sterling Mossは2000年代初頭よりハードテクノ、ハードアシッドのクリエイターとして活動しているアーティスト。
アグレッシヴなサウンドとダイナミックな展開を含むトラックはハードダンスとの相性も良く、Guy McAffer a.k.a. The GeezerやChris Liberator、D.A.V.E. The Drummerといったアシッドテクノの重鎮たちからサポートを受ける一方で、
Anne SavageやLab 4など、ハードダンスのトップともコラボレーションを実現させている、当時としてはなかなか稀有な存在だったように思えます。
日本が世界に誇るプロデューサー、Yoji Biomehanikaさんは2007年にSix Hoursという曲でテックダンスの存在を世界に発信しましたが、
同時期に発売されたテックダンス入門編と言うべきMIX CD、GIGA Tech-Dance ExtremeにもDistrophonixという曲が収録されており、このことからも彼がハードテクノとハードダンスに跨って支持されていたことが伺えます。
Distrophonix (Original Mix) | Sterling Moss Vs Paul Janes | Paul Janes
僕はキャリア当初から彼の曲が好きで、当時彼が運営していたレーベル、RaceTraxのヴァイナル作品はかなり買ってました。
全然配信されないんですけどSterling Moss vs. Lab 4 / Driller Killerとかはかなり印象に残っています。
ちなみに当連載の初期にはアーティスト特集という形でSterling Mossにスポットを当てた回というのが存在しており、
更に言うと上記のハードテクノにおけるサブジャンル紹介記事、特別連載:ハードテクノとは何か? – 第3回:ハードアシッド編にて、当該ジャンルの代表曲としてSterling Moss & DVS / Techno Punksという曲を取り上げました。
Techno Punks (REBELTEK004) | Sterling Moss & DVS | Flatlife Records Labelgroup
この曲に関しては自分以外のプレイヤーが流している現場に遭遇したこともあります。
またHardonizeクルーが選ぶ2022年のハードテクノ10選というテーマで執筆した際には、彼のVibezin (Sterling Moss Pure Vibes Extended Vinyl Remix)を選出しました。
といった感じで、未だに僕のハードアシッドマインドを刺激してくれるアーティストなので、今週末のENIGMAは足を運びたいと考えております。
ni-21さんの他にもBound Roundさんや、Takayuki Kamiyaさんなど、Hardonizeと縁のある方々も出演されますので、ご都合がつきましたら皆様も是非。
というわけで、Sterling Mossの音楽に寄せる形でここ1~2ヵ月の間にリリースされたハードアシッドトラックについてピックアップしていきます。
では、新作ハードアシッド紹介いってみましょう。
【曲紹介】
Darkest Hour – Spektre, Marie Vaunt | Spotify
イギリスのプロデューサーユニットSpektreと、アメリカのプロデューサーMarie Vauntによるテクノ。
どっしりと重心を据えたビートにレイヴィーなリフを断続的に配置したメインストリーム寄りのサウンド。
ブレイクが明けると、歪んだアシッドシンセがグイグイ引っ張っていく展開に変わります。
暗さを纏った雰囲気の中にも色気を感じられるトラック。
Spektre, Marie Vaunt – Darkest Hour (Extended Mix) [Arcane Music] | Music & Downloads on Beatport
Attack | DJ Wank | Flatlife Records
スウェーデンのプロデューサーDJ Wankによるアシッドテクノ。
進行と共にパラメーターが変わっていくアシッドシンセが昔気質を感じさせます。
キック自体は4つ打ちですが、サブにブレイクビーツのリズムを採用しており、非4つ打ちとの相性も良さげ。
オーストリアのプロデューサーNAEMSによるアシッドテクノ。
硬質なビートと薄く敷かれたレイヴオルガン、そして曲のほぼ全体に行き渡ったディストーションアシッドと、攻撃的で妖しいレイヴの臭気を纏ったトラック。
シリアスなテクノ~ハードテクノにおいてはかなり機能しそうです。
尚、本作のリリース元となっているKurai Recordsは、新興のレーベルながらかなり使い勝手とインパクトを兼ね備えたハードテクノが揃っているので、この手の硬めなトラックをお探しでしたら要チェックです。
Naems – Acid Mind (Extended Mix) [Kurai Records] | Music & Downloads on Beatport
ドイツのプロデューサーThe Electronic Advanceと北マケドニアのプロデューサーDJ Nasty Deluxe、そしてドイツのプロデューサーユニットDSTRTD SGNLによるハードアシッド。
叩きつけるようなビートと、暴力的なまでに歪ませられたアシッドシンセが自由奔放に跳ね回っている曲。
ここまでアグレッシヴだとピークタイムを担ってもらうような使い方が1番ハマるような気がします。
Cyber Circuit | Sonic Prophet | Alienator Records
正体不明のプロデューサーSonic Prophetによるハードアシッド。
複数種類のアシッドシンセをメインリフに用いている質実剛健なトラック。
同ジャンルの中では派手過ぎず地味過ぎずの中庸的なテンションをキープしているため、割と使いやすい部類です。
別ジャンルからハードアシッドへの導入として使うのも非常に良い感じ。
DJ Noradrenalin -Acid Raving Train (Original mix) | DJ Noradrenalin
ポーランドのプロデューサーDJ Noradrenalinによるハードアシッド。
強調されたハイハットによる前のめりなリズムと、跳ね感の強いアシッドリフ、そして時折差し込まれる汽笛の音が大分愉快な曲。
軽快なキックや裏打ちのベースリフを活かしてハードハウスとの接点を探るのも面白そうな印象を受けます。
Bad Habits (SUF SUPER LIMITED 018 B1) | Rats On Acid | Stay Up Forever
イギリスのプロデューサーRats On Acidによるハードアシッド。
ハードアシッド最重要レーベルと言っても過言ではないStay Up Foreverからリリースされたものになります。
せり上がるようなベースフレーズと疾走感のあるリズムに残響を含むメインリフの組み合わせが、ドラッギーな反復感を演出している曲。
後半から並走するアシッドシンセのフレーズも大分手数が多い打ち方となっており、このジャンル独自のアートフォームを感じさせてくれます。
イギリスのプロデューサーAcid Rayによるハードアシッド。
完全裏打ちのバウンシーなベースリフに薄く敷かれたトランス感のあるシンセ、そしてロングブレイクを含む展開とアップリフティングな仕上がりのトラック。
アシッドシンセのリフもベースに合わせた跳ね感満載の打ち方となっており、ファンクネス指数高め。
今回取り上げる中でもかなり好みです。
Acid Kekkonen & Hapan Yhteiskunta – You Spin Me Around | Avaruusteknologistiikka Records
フィンランドのプロデューサーHapan Yhteiskuntaによるハードアシッド。
タイトル通りDead Or Alive / You Spin Me Roundネタであり、あのサビをまるっとハードアシッドのビートに乗せた危険なシロモノ。
ちなみにフリーダウンロードです。
尚、同アーティストの別作品の中にはEarth, Wind & Fire / Let’s Grooveネタなんて同レベルで危険なトラックもあります。
Acid Kekkonen & Hapan Yhteiskunta – Let’s Groove | Avaruusteknologistiikka Records
テンポの速さも相まってかなりテンション高め。
こちらも同じくフリーダウンロードです。
Bonne Nouvelle | Herr Krank & Cogan | Helios Records
フランスのプロデューサー同士、Herr KrankとCoganによるアシッドテクノ。
柔らかいパッドシンセと、雰囲気を邪魔しない程度に添えられたアシッドシンセがある種の穏やかさを感じさせる曲。
そしてブレイクでは多幸感のあるM1ピアノ炸裂。
デトックス的にセットの終盤で使うもよし、いっそレイヴと合わせて使うもよし、使い方次第で機能性が変わるタイプと言えます。
オマケとして、昔ヴァイナルでリリースされ、つい最近デジタル流通が開始されたものを1つ取り上げます。
R. U. Ready | OverRider | Hazchem Records
イギリスのプロデューサーDDRの変名義、OverRiderによるハードアシッド。
オリジナルのリリースは1999年です。(ジャケットの盤面に記された連作先のhotmailドメインが古さを物語ってますね。)
これまで紹介した曲と違い、アシッドシンセはメインリフとして使われている感じではなくリズムを構成する下地として敷かれており、それによって前のめりなグルーヴを演出しています。
ただ、最大の特徴はブレイク以降に差し込まれるレイヴネタの数々。
明らかにジェームス・ブラウンが死んだり、毒が注射されたりする時の音が聴こえます。
とりわけジュリアナ/デステクノ好きの方には、今回の再発を機にご試聴頂きたいところ。
【次回】
そんなワケで今回はここまで。
今回、告知とか前置きの部分で紹介したところもあってかなりのボリュームになりましたね。
次週10月01日は774Muzikさんが担当します。
では。