こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
先日執り行われたHardonize #30 -Back 2 Back Special-は滞りなく終了致しました。
お越し頂いた皆様、配信をご覧頂いた皆様、そしてHardonizeクルーと共にプレイして頂いたゲストDJの皆様、ありがとうございました。
・・・何と言いますか、内容的には無事ではなかったんですが、主に我々四文屋難民が。
差し当たりその話は置いておいて、他3グループはそれぞれの嗜好性が存分に発揮されていた良いB2Bチームでした。
2人ともほぼ常に2曲以上ハードミニマルを重ねていたヘヴィーウェイトなbox & 774Muzik、
カッチリしたボトム寄りのトラックからスタートし、終盤はネタものも差し込む遊び心もあったREV-TUNE & yuduki、
ハードグルーヴ~テックダンスと派手路線を突っ走ったgekko & Sangoと三者三様で、
Hardonizeがコアとしているハードテクノが表現できていたと思いました。
余談ですが、彼らのプレイ中にorinetoneさんがボソッと
平和だ… #Hardonize
— ね(^・ω・^ん) (@orinetone) 2018年6月23日
こんな呟きをしていた通り、チーム内抗争は見られませんでした。
我々は戦争を望み過ぎているのかもしれません。
閑話休題。
パーティー前に某居酒屋に4人で討ち入り、そのまま出来上がってしまった時の様子。
123:00現在です #hardonize pic.twitter.com/M3WpWeTq5P
— ね(^・ω・^ん) (@orinetone) 2018年6月23日
123時と云う存在しない時間軸に突入してしまっていることからも完成形に近付いていることが窺えます。
で、ワタクシがBee.Bee.さん、orinetoneさん、Takayuki Kamiyaさんと共にB2Bを行った四文屋難民ですが、概ね05月31日掲載記事のような想定の元に準備したのは正しかったです。
ハードテクノもかかりましたし、それ以外にもUKハードハウスやベースミュージック、果てはポップスやドラムンベースにまで飛び火しました。
「ハードってなんだろうね」
「まぁ過酷って事だよね」 #hardonize— ね(^・ω・^ん) (@orinetone) 2018年6月23日
事前の討ち入りで出たこの発言も結果正しかったと言えるでしょう。
但し、予想外だったのはTakayuki Kamiyaさんが頑なにIncidentネタのみプレイしたことです。
多分同じフレーズが6~7回かかったのではないでしょうか。
あのピアノが鳴る度に同じブース内で苦虫を噛み潰すような表情をしていたBee.Bee.さんとorinetoneさんの顔が忘れられません。
ワタクシも思いつく限りの罵倒をTakayuki Kamiyaさんに向けて放ちたいのはヤマヤマなのですが、
これ、01月25日掲載記事の冒頭でちょろっと触れております通り、元凶にワタクシが含まれているのでもう、なんか・・・申し訳なさしかないです。
(ちなみにこの時先にネタ切れを迎えたのはTakayuki Kamiyaさんの方でした。余程悔しかった模様。)
そんなことがあったので、今回はIncident特集、これしかないでしょう。
自分で巻いたタネは自分で摘み取ります。
君だけのIncidentを装備してライバル(Takayuki Kamiya)に差を付けろ!
まずIncidentとは。
今更説明するのも忍びないですが、曲はコチラになります。
作ったのはJoris Voornと云うオランダのアーティスト。
テクノのクリエイターとして活動を開始したのは90年代末期からで、デビュー当初はパーカッシヴで派手目な曲調のものが多かったのですが、現在はテックハウスやディープ方面にシフトしております。
とはいえ、プログレッシヴでメロディアスと云う要素は変わっておらず、丁度2000年代初頭に同じような系統のテクノを手掛けていたTechnasiaにフックアップされ、Technasia Recordsを母体とするSinoと云うレーベルに所属。
そこから2004年にリリースされたのがこのIncidentです。
かれこれ14年前の曲です。
これがテクノ、ハウス、トランスの垣根を越えて大ヒットしました。
当時のテクノの流行であったトライバルリズムとJoris Voornが得意とするエモーショナルなリフ回し、そしてトランスのようなロングブレイクを挟んでからM1ピアノと共にメインパートへ流れ込む展開などが多くのDJ、リスナーの心をガッチリ掌握。
ほんの一例に過ぎませんがCarl Cox、Ken Ishii、Adam Beyer、Ben Simsなど、錚々たるDJにプレイされたことからもその人気っぷりがお分り頂けると思います。
これを切欠に彼は一気にスターダムへのし上がり、ヨーロッパ各地のパーティーに招聘されることになりました。
日本にも2005年から2009年までは屋内テクノフェス、WIREに連続参加。
石野卓球氏繋がりだと一昨年のSTERNEでも来日を果たしております。
さて、Incidentに話を戻す上で外せないのが2011年に東日本大震災が起こった際、このIncidentをアップデートしたIncident (Miyagi)と云う曲がリリースされ、その売り上げがチャリティーとして日本に寄付されたことです。
震災が03月11日に発生したのに対し、この曲のリリースは03月22日。
この驚異的なプロデュースの速さにはJoris Voornの親日度と云うか、人柄の良さが感じられます。
内容も原曲からテンポダウンさせた上で音を足した、現代のメインストリームらしさが感じられるアレンジとなっており、あらゆる意味で日本のテクノヘッズが彼に感謝した出来事でした。
ちなみにこの曲、Incidentには元ネタがあります。
1992年にリリースされたInner City率いるThe Reese Projectと云うアーティストが手がけたアシッドハウスを、デトロイトテクノの伝説的グループUnderground Resistanceがリミックスした際に用いられたリフがそれに当たります。
上の試聴だと冒頭から鳴っていますね。
僕はIncidentと云う曲を知った当時、こういった経緯があったことについては全く知りませんでしたけれど、当時からテクノやハウスに対して積極的だった人にとってはこれもまたIncidentの評価を上げた一因になっていたのでしょう。
ちなみにこちらも先週のHardonizeでTakayuki Kamiyaさんがプレイしておりました。
抜かりないな・・・。
大分前置きが長くなってしまいましたが、以下が本題、Incidentネタ楽曲になります。
フリーダウンロードもあるのでさっくしお持ち帰りください。
ハードグルーヴを代表するアーティストGoncalo Mによるアレンジ。(読み方はゴンサロ・エム。)
強めのハイハットと永続的なベースラインがグイグイ引っ張っていく感じがGoncalo Mっぽいですね。
当連載に於いても度々名前の挙がるアーティストの1人であり、渋い路線にも派手路線にも機能するトラックを多く手掛ける万能型。
ちなみに、本国ポルトガルではテクノシーンのボス的な存在であることも合わせて記しておきます。
(04月05日掲載記事にて少しだけその辺りの話について触れております。)
こちらも現行ハードグルーヴに於ける代表格Eric Sandによって作られたリミックス。
前出と比べるとややグルーヴィーなリズムとなっており、ファンキー路線に傾けるとこちらの方がマッチするかもしれません。
普段手掛けているのもパーカッシヴでどこか生音を意識した曲調のものが多いです。
ちなみにこちらのフリーダウンロード専用アカウントには他にも結構な大ネタ曲が転がっているので、ありがたくお持ち帰りください。
更に余談ですが、先週のHardonizeでTakayuki Kamiyaさんはこの曲を2度プレイしました。
そこは流石にダメ出しをしたのですが、容疑者は否認を続けており、引き続き慎重な捜査を行ってまいります。
2000年代後期から作曲者匿名のヴァイナルリリースを行っていたブートレグ専門ハードテクノレーベルP Series。
テクノアンセムには節操なく手を伸ばしてきたこのレーベルがIncidentを見逃すわけもなく、あろうことかIncidentと同じ2004年に出たもう1つのテクノアンセムLen Faki / Just A Dance (Part1)とマッシュアップさせた上でリズムアレンジを行ったのがコチラ。
満貫全席って感じが堪らないですね。
P Seriesの一部は(無謀にも)Juno Downloadでダウンロード販売されているのですが、残念ながらこの曲は該当せず。
東方シリーズと云えばインディーズ(同人)発のゲームとして時代を築き上げた存在であり、ゲーム内で流れる和を意識した音楽も特徴的で、有志たちの手によって膨大な数のアレンジが生まれたと云うこともまた今更な出来事でしょう。
ただ、その中にIncidentネタがあったことについてはこの場で語っておいた方が良いかもしれません。
Masayoshi Minoshima氏が代表を務めるAlstroemeria Recordsより2006年にリリースされた東方アレンジアルバム、NITE VERSIONSに収録された上海アリス幻樂団 / 幻視の夜 ~ Ghostly Eyesとのマッシュアップアレンジです。
尚、トラックの要素的にはIncidentの方が強め。
再生して即座にあのリズムが流れ出す出来にはつい笑ってしまいます。
とは言え、共通点のないネタ元同士が不思議とマッチしており、製作者の発想力に感心してしまう1曲。
最後にご紹介するのはTakayuki Kamiyaさんが実際にプレイしたIncidentネタの中でもとりわけ笑いを引き起こさせたコチラのアレンジ。
高速テンポ、激重ビートに間の詰まった金物リズム、紛うことなきシュランツです。
このThe Hidden Guyと云うアーティストも匿名プロジェクトでして、リリースされたのもBoot Me 2 Hardと云う最近設立されたブートレグ専門レーベル。
2000年代中盤にシュランツが流行した火付け役となったのもまたSchranz Seriesと云うブートレグ専門レーベルだっただけに、時代が1周した感がします。
またJames Brown Is DeadとかCall On Meみたいなケッタイなネタものが出てくれることを期待してしまいますね。
以上、Incidentネタ楽曲特集でした。
勿論ここで挙げられなかったトラックも多くありますので、引き続き打倒Takayuki Kamiyaを合言葉にDIGを深めていきましょう。
2018年はIncidentがきています。 #hardonize
— Takayuki Kamiya (@takauke) 2018年6月23日
来てはいけない。こんな時代に誰がした。ワタクシか。みんなすまん。
次週07月03日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。