今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/03/09

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

改めて言うまでもないことではあろうかと思いますが、当Hardonizeはハードテクノを主軸に据えたパーティーであり、この連載も『今週のオススメハードテクノ』と銘打たれていることからスポットが当たるのはハードテクノがメインです。
広く認知されているハードテクノの特徴と言えば中音域に寄ったインパクトの強い音があるとか、リズムの構成要素が豊富であり、それが反復を伴っているとか色々挙げられますが、BPMがメインストリームテクノより速いと云うのもございます。
私以外も含め、当連載で紹介している曲のBPMは135~145辺りに集中していることからもこの認識は概ね間違っていませんが、必ずしもそうではなかったりします。
有体に言えばBPM120台の遅いハードテクノも存在します。
なんだかハードテクノと云うと絶対ドンシャカしていてアグレッシヴな音楽と云う印象を持たれがちで確かにそれはそれで好きなのですが、
折角広く解釈の取れるハードテクノと云うもののパーティーとして行っているので、もっとマニアックなものにスポットを当てても良いんじゃないかと云うのがワタクシのスタンスでございます。

それもあって先週行われた前回Hardonize本編に於いてはBPMを130以下に絞り、
ハードミニマル~メインストリームテクノ~ベース系EDM~ダウンテンポ~ブレイクビート~インダストリアル
みたいな超エグい重低音セットを組んでみました。
こちらにトラックリストを掲載しておりますのでご興味のある方は是非。
今までのHardonizeからしたらまるで印象の違う、かなり変なトラックばっかりです。

実際最近掘ってるのもこういったエグい低速ミニマルみたいなのが多くて、リズムやベースのアプローチが多彩であるがユエに変な楽曲も多く、またクロスオーバーDJの性として他の音楽と絡ませるポイントが見つかったりすると思わずニヤリとしてしまいます。
そんなわけで本日はHardonize本編でこそ使えなかったものの、最近オススメのこの人をご紹介。

【Myler】

Myler

https://www.facebook.com/mylermusic/ https://soundcloud.com/myler

アイルランド、ウォーターフォード出身のクリエイター。
Naked Lunch、Labrynthと云った大手レーベルとも契約し、イギリス、ドイツ、フランスにも度々DJとして招かれております。
今年のAVA Festival 2017にてJeff Millsとも共演するそうな。
ちなみに、DJとしてのキャリアは14歳の頃からスタートしており、その切欠は彼の父がディープハウスのコレクターであった事。
ダンスミュージックの歴史を考えるとこういった親子共にDJと云うのも現れてくる時代になってきましたね。

クリエイターとしての初リリースは2011年で、当時はDRUMCODE直系の純正ハードミニマルが多く見受けられましたが、影響を受けたアーティストにFlying LotusやVex’dを挙げているようにビートミュージックにも傾倒した結果、徐々にブレイクビートの要素を含んだテクノと云うのを模索し始めます。
シーケンスとしてはミニマル、使う音は低音の効いた歪んだテクノ、しかしリズムは複雑なパターンによって鳴らされている曲。
派手ではないものの単音のインパクトが強いと云う点ではジャングルテラーと共通していたり、低音に寄った変則リズムが延々と繰り返されると云う側面はグライムとも似ています。
DJの采配ひとつで使い方が色々変わってくるような気がすると云う意味ではテクノを専門としている方以外にも聴いて頂きたいところ。

そんなMylerのオススメはこちら。

Myler / Regret

Myler / D’Electrocution

Mickey Nox / Slow Century Moving (Myler Remix)

上で記したようにハードミニマルの質感を保っているものの、どこかヒネくれた作風となっているのがお分かり頂けるかと思います。
この他Beatportだけ見ても様々な楽曲がありますが、テクノ以外のリリースも少数存在することを予め述べておきます。
例えばこちら。

Myler / The Ghost of John Peel

低速ジャングルとでも言いましょうか。同名の別アーティストなどではなく、本人の作品。
テクノとビートミュージック2つの嗜好を持っていると述べましたが、ビートミュージック単体に数えられる楽曲も作っております。
レイヴカルチャーに影響を受けているのだろうことは想像に難くないですが、アーメンの乗ったビートしか作っていないわけではありません。
例えばSoundcloudでフリーダウンロード公開しているのはこんな曲。

Myler / Agony Palace

リズムの硬いエレクトロニカみたいな感じですね。
アブストラクト系の音を好む人には堪らないのではないでしょうか。
もう1曲Fizzy Orangeと云う曲がSoundcloudでフリーダウンロードとなっており、そちらはノイジーなテクノです。

最後に彼のDJについて。
ここまで結構キワモノ系トラックを紹介しているからにはDJも難解なビートばっかり打ち鳴らされている曲を繋ぐ感じなのかとお思いでしょうが、実はテクノの時はテクノ、ビートミュージックの時はビートミュージックと明確にスタイルを分けているようです。
その中の1つがこちらなのですが、ハードグルーヴ、ハードミニマル、テックダンスと3拍子揃った選曲をしており、Hardonize的に親近感湧きまくりの内容となっております。
ここに至るまで5曲挙げたのは何だったんだと言われても仕方ないくらいアップリフティングです。

Myler / Cider & Bonfires Mix

他にもジャングルやグライムで選曲したMIXもあって、テクノを軸にしながらここまで手広くやっている人は少ないと思います。
まだまだ若いプロデューサーですが、アンダーグラウンドから虎視眈々とシーンへ切り込む糸口を模索しているようにも見えていやはや将来が恐ろしくも楽しみです。

次週03月14日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。