こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
予てよりお伝えしておりますように、次回Hardonizeを11月14日に執り行います。
そしてその連動企画として初のMIX公募を行います。
我々Hardonizeクルーは4人とも15年前にやってたとあるMIX公募型パーティーの出身者でして、公募にはちょっとした思い入れがあります。
これまでにも何度かHardonizeで取り入れようという話はあったため、むしろこういう状況下だからこそ今やるべきなのではないかという結論に至りました。
詳しいレギュレーションについては上記の通りなのですが、声を大にして言いたいのは
であることです。
ご存知の通りHardonizeはハードテクノのパーティーです。
レジデントDJ含め、かかる音楽はハードテクノがメインです。
しかし、それ以外の音楽も度々かかりますし、ワタクシに至っては半分くらいハードテクノではない気がします。
ストイックにハードテクノのみを追求し続けること、それ自体は凄いことだと思いますし、そういった活動をされている先駆者たちの存在もずっと目にしており、何度もそういったパーティーには遊びに行きました。
実際楽しいですからね。
ただ、その一方で時に予想しなかった音が流れるような不確定要素がパーティーの楽しさの1つであることも重々承知しており、その体験が音楽の視野を広げるのに通じていることも各々身を以って知っているわけです。
今回のジャンル不問もそういった狙いがあってのことなので、少なくともMIXで使用されているジャンルがハードテクノかそうじゃないか、で差をつけることはないと思ってください。
皆様からの多数のご応募、お待ちしております。
さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
ですが、今回はこういったサブジャンルで括れない楽曲にスポットを当てます。
今回取り上げるテーマは
です。
ご存知のように、ダンスミュージックに於けるテクノのテンポというのは数あるクラブミュージックの中でも丁度中間ぐらいに位置します。
数値で表すとBPM120~135辺り。
ハードテクノがそれより少し速い135~150というのが一般的な認識です。
とはいえ、古くは1990年代ヨーロッパレイヴの流れを汲む形で誕生したジャーマンテクノはBPM150前後のものが多かったり、現行のハードテクノに於いてもシュランツやインダストリアルの中にはBPM160を超える曲が珍しくなかったりと、テクノのフォーマットの壁を超える存在が時代を問わず現れます。
少し毛色は異なりますが、テクノとドラムンベースのリズムを同期させたグレイエリアなんかもここに含められるかもしれません。
そして中にはこれらのサブジャンルで括ることができない、単純に速いテクノが存在します。
これは何も2020年現在に限った話ではなく古今東西で生み出されているものなのですが、やはり本流のテクノとの壁は厚過ぎるのか、あまり日の目が当たることのない楽曲たちです。
中にはテクノ以外のジャンルとして紹介できるものもありますが、テクノとしてピックアップすることによる新しい発見もあるのではないかと思い、今回まとめてご紹介します。
何より、変ミュージック大好き人類として見過ごすことができない部門なので。
余談ですが、過去に秋葉原重工のリリースの購入者特典用MIXを担当したことがあるのですが、全曲早回しして繋いだものが存在します。
理念としては今回取り上げるものに近いですね。
そんな異質とも言える新作速いテクノ紹介いってみましょう。
時期的には今夏リリースされたものをメインに取り上げます。
Sort Of sSchizo (Original Mix) by dDave on Beatport
イギリスのプロデューサーdDaveによるテクノ。
無機質なリフとスモーキーなエフェクトをフィーチャーしたハードミニマルの速い版。
クラップの打ち方とか質感が昔っぽい・・・けどまぎれもなく今年リリース。
初手から時空がブッ飛んでいる。
x3 (Original Mix) by Nina Kraviz on Beatport
ロシアのプロデューサーNina Kravizによるテクノ。
言わずと知れた世界を代表する女性DJであり、数々のアワード受賞歴も誇る言わば第一線で活躍するアーティストなのですが、06月に自身のレーベルtripからリリースしたコンピレーションHot Steelに書き下ろしたこの曲が自身のキャリアの中で最速のテンポを達成。
裏打ちのベースに妖しげなアシッドっぽいシンセが9分に渡って展開されるというサイケデリックなトラック。
ちなみにこのコンピレーション、他にもハードだったりエクスペリメンタルだったり多種多様なテクノサウンドが詰め込まれていてかなり普通じゃない感じの作品です。
Shuttaの曲とか、もっと速かったりします。
Pesochni Chelovek (Original Mix) by Shutta on Beatport
Coded Language (3Phaz Remix) by Flore on Beatport
エジプトのプロデューサー3Phazによるテクノ。
ドライパーカッションが忙しく鳴り響くシリアスさと馬鹿っぽさが同居したサウンド。
インパクトも強いので、テクノではないシーンに於いても使える場面がありそうな気がします。
Berlin Is Berlin (Original Mix) by Hegstraction on Beatport
イギリスのプロデューサーHegstractionによるテクノ。
圧の強いキックに反してシンプルなシンセがループする、展開もまたシンプルなトラック。
尺もテクノの中ではかなりタイトに纏められております。
サブで用いられている細かいリズムの打ち方なんかはジューク/フットワークを彷彿とさせますが、音の質感が違い過ぎるので合わせるのには一工夫要りそうです。
Perpetual Path (Odep Mix) by High 0ct4ne on Beatport
謎のプロデューサーOdepによるテクノ。
全く同じ展開を2回繰り返して唐突に終わるという、前述の曲以上にシンプルな構成。
その尺僅か3分ちょい。
その割に冒頭で述べた1990年代ジャーマンテクノを彷彿とさせるトランス的な音使いを軸に密度のあるリズムも味わえるという、本当に謎のリリース。
リリースが先月というのも驚きです。
ちなみにこれがリリースされているProRec Musicからは他にも似たようなリリースがあり、これも音使いはかなり好みです。
但し、こちらも展開は全く同じで尺は3分30秒とかなり短いので使用時にはご注意を。
Solar Points (CTW Mix) by Odep on Beatport
Orphan Drugs (Original Mix) by acounta on Beatport
カナダのプロデューサーacountaによるテクノ。
めちゃくちゃラフなリズムに淡々とリフが追従するハードミニマル。
ブレイクも短く、中盤までは基本4つ打ちのキックが鳴りっ放しなのですが、終盤パートでリズムパターンが非4つ打ちに変化するという攻め気の強い展開を見せます。
同テンポ帯の音楽と絡めようとするとイマイチ使いどころが読めないタイプの楽曲ですが、(特に黎明期の)ハードミニマルを早回しするとまさしくこんな感じのサウンドになるので、万が一の際・・・億に一の際・・・いや、忘れましょう。
No Good (Original Mix) by D’TCH on Beatport
イギリスのプロデューサーD’TCHによるテクノ。
主にディープ系ドラムンベースのクリエイターとして活動しているD’TCHですが、直近の本作はまさかのゲットーテック4種盛りEP。
程良くアーバンなパッドとバウンシーなエレクトロベースが絡むこの曲が印象的でしたが、EPごとオススメのリリースです。
Free Your Mind (Original Mix) by Samurai Breaks, Audio Gutter on Beatport
共にイギリスのプロデューサーSamurai BreaksとAudio Gutterによる4つ打ちベースライン。
UKベースラインを代表するレーベルOFF ME NUT RECORDSからのリリースで、Audio Gutterもその中の筆頭格と言って良い存在です。
その持ち味を存分に活かした奇天烈ベースラインが高速4つ打ちと共に繰り出される奇作。
ジャンル不定形といえどドラムンベース、ハードコアどちらにも使えて、何なら両者間の橋渡しもできる優秀なトラック。
ちなみに作曲者の片割れであるSamurai Breaksは上記のD’TCHと組んでこんな曲もリリースしております。
ジャングル+レイヴ+ゲットーテック。
花丸です。
NRG (Original Mix) by Samurai Breaks, D’TCH on Beatport
Retro (Original Mix) by BNDT72 on Beatport
フランスのプロデューサーBNDT72によるジューク/フットワーク。
タイトル通りレトロなシンセを前面に押し出したトラックで、その質感がテクノにも通じると思ったのでご紹介。
リフも複数種類を使い分けていたり、アーメンブレイク含むリズムの複雑さがジューク/フットワークの醍醐味を体現しているようで、アーバンな雰囲気の中に爆発力も秘めた良作。
Until Tomorrow (Original Mix) by E-leven (UK) on Beatport
最後にご紹介するのはイギリスのプロデューサーE-levenによるテクノ。
現行テクノらしい太いキックに浮遊感のあるシンセが乗ったメロディアスな速いテクノ。
何より、ほぼ全てのリズムパートでアーメンブレイクが並走しているてんやわんやぶり。
セットの〆に使うとかなり良い感じになれる気がします。
ちなみにこのE-leven、楽曲のリリースは今年が初という驚異の新人。
上記Soundcloudに楽曲とMIXが数点アップロードされておりますが、どれも高純度でハードテクノとレイヴを行き来する内容で、個人的にはドツボでした。
以上、速いテクノにスポットを当ててお送りしました。
普通にハードテクノをDIGしているだけではなかなか目の届きづらい分野であり、一纏めに情報が集約されている場所もないように思えるため、つい熱が入った結果取り上げた曲が多くなってしまいました。
とはいえこういった曲は時代を問わず存在しており、こういったところから新しい何かが生まれてくると期待している部分もあるので、今後も機会を見つけては奇怪な機械音楽にスポットを当てていきたいと思います。
冒頭で述べたMIXの公募にもそんな新しい出会いがあると良いなと思っておりますし、自分としても新しいと思ってもらえる何かを提示していけるよう精進する構えです。
あと変ミュージック楽しい。
次週09月08日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。