こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
先週のSangoさんのエントリー、及び一昨日のYudukiボスのエントリーで告知されている通り、今週末21日の土曜日に我々3人でパーティーを執り行います。
【3/21】早稲田音泉 厳選かけ流し – twinvite
普通のクラブパーティーと異なり、B2Bとトークを通して各個人オススメの音楽を紹介しようという催しです。
当連載に於いて毎度テクノ、ハードテクノに絞って楽曲紹介を行っておりますが、そこそこ長いこと我々もDJをやっており、それら以外の音楽にも片足を突っ込んでいるワケでして。
なのでHardonizeのメンバーが主宰という形ではありますが、テクノ、ハードテクノ以外の音楽もバンバン取り上げられると思われます。
というか、取り上げます。
そして我々もまた新しい音楽を知りたい、ということでB2Bとトーク、どちらも来場者の乱入大歓迎です。
イチオシの音源を携えて(※)お越し頂けると大変嬉しいです。
入場料も1000円とかなり安めの設定としておりますユエ。
(※持参方法につきましてはリンク先告知ページをご確認ください。)
また、当パーティーは茶箱のYoutubeチャンネルにて最初から終わりまで配信されます。
体調に不安のある方や外出を控えたい方はそちらからご覧頂くことも可能となっておりますので、そちらも是非ご検討ください。
雰囲気としてはユルい感じの催しになると思われますが、好みの音楽を発見する機会になれれば嬉しいです。
21日の15時よりいつもの早稲田茶箱にて開催。
現地と画面越しの参加をお待ちしております。
さて、前回担当回の直後の週末は同人音楽即売会M3でした。
世間を騒がせている流行り病の影響で出展ブースの半数近くが空席という、十数年この即売会に通ってきて初めて見る光景がありました。
自分の周囲でも開催を延期/中止するパーティーがあったり、余波が極めて身近なところにも及んでいることをまざまざと実感した次第です。
先日コメントが発表になりましたが、05月に開催を控えているコミックマーケットも現時点では開催の見通しが立っていないようですね。
そんなわけで、釣果もいつもに比べるとかなり少なめ。
状況が状況なので致し方なし。
内訳はテクノ、ハードコア、その他音楽で等比率くらいといった感じです。
とはいえ、購入したもののクオリティについては期待通りというか、中には良い意味で期待を裏切るものもあり、インディーズ音楽の面白さここにありといった塩梅でした。
と云うわけで予告通り、当連載に於いて7回目となるM3特集を行います。
前回『M3-2019秋』特集はこちら。
【特集】『M3-2019秋』同人テクノ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2019/10/31
それより以前の特集はこちらになります。
2019春 / 2018秋 / 2018春 / 2017秋 / 2017春
これまでと同様、表記順は『【アーティスト名】 / 【リリース名】 [【サークル(レーベル)名】]』でテクノ的オススメを挙げていきます。
それでは
いってみましょう。
当連載的には何を置いてもまずこちら。
これまでに行ったM3特集の全ての回で取り上げているHomma Honganjiさんのフルアルバム、源氏香シリーズの第5段。
今回はハイエナジー/ユーロビート篇という本人の弁もあり、ディスコミュージック好きとしては大いに期待していたものでしたが、往年の80年代ユーロビートのリフが現代ハードグルーヴのビートにドッキングしたトラックが10曲も収録された内容にはただただ平伏するばかりでした。
お腹いっぱい感が凄い。
このハイエナジー/ユーロビートという音楽が現行のテクノから見ると音使いやテンション的に異質な要素であり、その2つが合わさることで現行のテクノにはないグルーヴが生みだされているのがよく分かります。
ハードハウスとかテックダンスにも通用しそうな辺り、昔のBootekを彷彿とさせますね。
個人的な好みは大ネタ、Green Olives / Jive Into The Nightサンプリングの卑怯且つド級にファンキーな4曲目、本間本願寺 / 御法。
0 to X from SPECTRA on Beatport
現行ジャパニーズテクノシーンの先鋒Hiroyuki Arakawaさんのレーベル、SPECTRAよりリリースされたMAREAMさんのデビューアルバム。
厳密にはM3の少し前にリリースとなっていたようで、現時点ではこうしてBeatport経由でも購入が可能となっております。
規則的且つ無機質なビートを軸にした重く冷たい雰囲気を纏ったトラックにスポットを当てたストイックな作品。
現行のテクノを語る上で欠かせないキーの1つであるダーク/インダストリアルをしっかり押さえた楽曲群はどれもDJユースに富んでいます。
一口にダークテクノといっても、ものによってサウンドがヒプノティックであったりスモーキーだったり、果てはハードミニマルの速度に踏み込んだりと色々な切り口があることを伝えてくるものとしても逸品。
個人的な好みは同名のテクノアンセムを彷彿とさせるリフでありながら派手さを完全に削いだシリアスな音使いが聴ける4曲目、MAREAM / Bells。
M3にて新曲を収録したCD-R『M3 Exclusive』を頒布します。レーベルとしては初のCDメディアでのリリースとなり、デジタル配信やレコード、カセットでのリリース予定はなく、M3会場のみでしか入手できないアイテムです。
第ニ展示場 1F う-08bブース
頒布価格:800円#M3秋 #M3 #2019秋M3 pic.twitter.com/mOhErefkYP— Charterhouse Records@M3春第一展示場K-14b (@Charterhouse_rd) October 21, 2019
Charterhouse Records@M3春第一展示場K-14b / Twitter
過去にご紹介したこともあるテクノ、ハウスをカセットという媒体でリリースすることをメインスタンスとしているレーベル、Charterhouse Records。
bandcampやbeatportにレーベルページがあるのでバックナンバーの購入はフィジカル、デジタル共に比較的容易ではあるのですが、前回秋のM3から会場限定で未発表曲の収録されたEPをリリースしており、それが本作となります。
レーベル全体の強みである硬め且つグルーヴィーなリズムを前面に押し出したテックハウスはどれも即戦力間違いなし。
アシッドシンセあり、スペーシーなパッドあり、アーバンなブラスリフありという個性に富んだ4曲で、テックハウスの枠外に向けても十分通用すると思われます。
国内ハウスレーベルとしても重要度の高いCharterhouse Recordsのレアトラックス、是非何かしらの機会でゲトってください。
個人的な好みは暗過ぎず明る過ぎずの丁度良い塩梅のミニマルなリフとビートがBPM130オーバーの速度で展開する、テクノに踏み込んだかのような4曲目、Motoki Hada / Raohe。
http://charterhouserecords.com/
YAMAKAMINARI Sample by ancou | Free Listening on SoundCloud
エレクトロニカ、フィールドレコーディング、ボーカロイド、ジューク/フットワークとなかなかコントラストの強いワードの集合をフィーチャーしているサークル、旅音。
今回初めて目に入ったのでいくつか作品を購入した中の1枚がこちらです。
こういった未知のアーティストの作品と出会えるのもこういった即売会ならでは。
で、実際に聴いたところ、全く予想していなかった山岳をテーマとする電子音楽、ゴルジェでした。
ゴルジェについてはゴルジェの第一人者であるところのhanaliさんが運営しているニュースサイト、兼ゴルジェを専門とする国内レーベルでもあるGORGE.INなどが詳しいですが、
要は歪み系エフェクトが加えられた打楽器(主にタム)を主軸とする民族音楽と電子音楽の融合点と言えるジャンルです。
その呪術的でディープな雰囲気とリズムのパワフルさがアングラ的人気を博していることまでは存じておりましたが、こういった形で手に取るとは思っていませんでした。
作品の内容も自分が捉えていたゴルジェのイメージに当て嵌まるものであり、且つゴルジェがインターネットを介してその認知度を向上させたという背景を汲んでなのか、同じくネット音楽の象徴とも言うべきボーカロイドを使っているのが面白いところ。
以前よりアイディア重視の作品もインディーズ音楽の華と申し上げているのは、やはりこういったものがあるからなのです。
個人的な好みは強烈に歪み、増幅されたタムの音がエレクトロニカ的コラージュを施されたボイスサンプリングとエキゾチックな笛のフレーズとの間を縫っていく2曲目、ancou / サンサイ。
AKTX-001 V.A. – アイドル甲子園 – YouTube
最後はこちら。
匿名アーティストによる作品名からしてどうなのかと思ってしまいがちな1枚。
前もってお伝えすると、いわゆるアイドルをフィーチャリングした作品であるとか、リミックスであるとかではなく、むしろ関係ありません。
更には今回リリースされたものはリマスタリング版に当たりまして、オリジナルのリリースは2000年、つまり20年前。
そのリリース情報を示すページがDiscogsに存在するのですが、よくよくクレジットを見るとその匿名アーティストが誰なのか判明します。
で、肝心の内容は歌謡曲、TV番組、そして往年のレイヴミュージックに至るまであらゆるものがサンプリングされ、レイヴは元よりアシッドテクノ、ハードハウス、ハッピーハードコア、ブレイクビーツに魔改造された下世話とも言うべき楽曲がずらり。
平たく言うとナードコアというやつです。
レイヴミュージックの精神性というべき快楽性の追及というテーマを各種サンプリング、及びサウンドから完全踏襲している作品。
アルバム名、トラック名の脱力感、そしてこの楽曲の内容など総括すると、正体が分かった方なら『あの人なら仕方ない。』と思うはず。
個人的な好みは電気がビリビリするボーカルを含むやっぱり下世話なサンプリングを重ねに重ねたレイヴ精神満載のテクノである12曲目、— / FLASHBACK。
まだまだ取り上げたい作品は沢山ありますが、今回はここまで。
購入枚数こそ少なかったものの、個々の作品そのものの濃度は従来通りでいつも通り、満足しております。
インディーズ音楽の中でも限られた界隈にはなってしまいますが、国内音楽の動向を測るという意味でもこのような即売会には意味があると思っておりますので、未見の方であれば1度足を運んでみては如何でしょうか。
例えば今回紹介したCharterhouse RecordsのM3 Exclusiveや、アキラトラックスのアイドル甲子園といったレア音源と出会えるのもここならではの魅力ですので。
というわけでYudukiボス、ワタクシはラーメンを所望します。
今週末に東京麺珍亭本舗でも可。
次週03月24日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。