こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
こうも平日、週末問わず遊び場が休業、休業だと本当に日常が退屈ですね。
実際、飲食店くらいしか開いておらず、人の往来も少ないという、東京のイメージとはかけ離れた光景が続いております。
ちなみに、我らが東京麺珍亭本舗は営業しておりました。
持ち帰りチャーシューを家で魔改造しても愉快なことになったりしますのでお近くにお越しの際は是非に。
他方、自宅にいながら楽しめるとしてDJ配信なんかは毎日のように誰かが行っており、一昔前のUstreamが流行っていた頃を思い出します。
前回の担当回でお伝えしたリレー配信プログラム、Music Unity 2020も今週末に2回目が行われるそうなので、自宅待機のお供に聴きましょう。
一方、自分はというとSoundcloudの個人用アカウントを設立致しました。
やっとかよという感は否めません。
それこそ自宅待機期間を利用してMIXを生産しております。
特別連載期間中に行われたHardonize #34にてプレイしたハードテクノ総纏めをテーマとするものも先日アップロードしておりますので、ご興味の方は何卒。
さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
今回取り上げるサブジャンル・・・というかテーマは
です。
何度か当連載に於いて触れている通り、現行のメインストリームテクノの一部に於いて1990年代レイヴサウンドを再評価するムーブメントが起こっており、当時の音やフレーズをサンプリングした数多くの楽曲がリリースされております。
まんま当時の音を再現した、というよりはリズムや出音は現在の技術を駆使して作られているため、現行の一般的なテクノと並べても違和感なく、且つレイヴ特有のインパクトのある音は飛び道具、ピークタイムチューンとしてバッチリ機能するという良いとこ取りなスタイルなのです。
この手の音楽の面白い点として、所謂レジェンドと呼ばれる人たちが当時を思い起こしながら作ったであろうトラックもあれば、1990年代以降に生まれたためにヨーロッパレイヴ全盛期を体験していない、言わば若手のトラックメイカーたちによる作品も数多く存在するところ。
サウンドとしてはレイヴのテイストが過分に用いられているものの、その使い方については1990年代のトラックの枠組みを超えた独自解釈が大いに含まれているため、単純なオールドスクールの焼き直しではないところがまた魅力だと思っております。
あと個人的趣向として下品なサウンドは大好物なので、1度はまとめて紹介したかった分野でもあります。
リリースはアーティストやレーベルの枠を超えて今でもコンスタントに行われているものの、サブジャンルとして確立しているほどではないため、今回はテーマという括りでお送り致します。
通例通り、今年リリースされたものの中からピックアップしていくのですが、それでも1度に紹介できる量ではないので、インパクトの強いもの、トピック性の高いものを選定致しました。
あと備考的に今年括りでないものでオススメしたい曲というのもいくつか末尾に記載しておりますので、より良いレイヴライフを送る指標になれれば幸いです。
では、レイヴスタイルの新作テクノ紹介いってみましょう。
Density (Original Mix) by Filterheadz on Beatport
ベルギーのDJ/クリエイターFilterheadzによるテクノ。
ちなみに今週頭のリリースと出たてホヤホヤの新譜です。
過去にアーティスト特集を組んでおりますように、テクノヘッズであれば言わずと知れた大御所アーティストではありますが、その中の作品に於いても2019年のRadiusや2015年のStarburst (Filterheadz Remix)のように度々レイヴサウンドを取り入れたトラックを輩出しておりました。
この曲もその位置付けに当たる曲。
一聴して分かるレイヴスタブの連打が最大の特徴。
Filterheadzお得意のヘヴィー級ボトムも相まって破壊力満点の仕上がりです。
パワフルなピークタイムチューン。
Bashcid (Original Mix) by Niereich, Shadym on Beatport
共にドイツ出身のDJ/クリエイター、NiereichとShadymによるテクノ。
アーメン+ディストーションアシッド+硬いビートとこれまたアグレッシヴなトラック。
遊び心がありつつもシリアスな雰囲気を纏ったところがまた良い感じ。
個人的にはやはり終盤で使いたくなる部類に入ります。
Energy System (Extended) by The YellowHeads on Beatport
スペイン出身の覆面2人組ユニットThe YellowHeadsによるテクノ。
前述の2曲と比べるとこちらは深さに重点を置いたリズムメイクが施されており、よりアングラ傾向が強いです。
が、ブレイクが明けるとDensity同様、レイヴスタブが堂々とお目見え。
リフがシンプルな分、序盤で飛び道具的に使いたくもなるのですが、DJによって使いどころの解釈が分かれそうな曲、という言い方がより正確かもしれません。
Power (Original Mix) by Sebastian Groth on Beatport
ドイツのDJ/クリエイターSebastian Grothによるテクノ。
バウンシーなキックとドライクラップという、シカゴハウスを彷彿とさせるの組み合わせのリズムがファンキー。
しかしインパクトが強いのはDominatorシンセと呼ばれる、1991年のレイヴクラシック、Human Resource / Dominatorが発祥となっている独特の音。
リズムと合わさって、かなり飛び道具志向の強そうな曲だと認識しております。
余談ですが、このSebastian Grothが昨年にテクノ夫婦デュオ、Resistohrと組んで作った以下の曲はレイヴというか、ジュリアナ、デステクノのサウンドを用いたこれまたインパクトの強い曲なので、合わせて掲載しておきます。
Here We Go Again (Original Mix) by Sebastian Groth, Resistohr on Beatport
D4 Damager (T78 Remix) by ROBPM on Beatport
イタリアのDJ/クリエイターT78によるテクノ。
前回の担当回でも触れた通り、T78はこのスタイルのテクノを量産しているアーティストとして真っ先に名前が上がる内の1人です。
今年に入ってからは違う路線にも着手している様子が見られますが、代表的とも言える作風のものもあり、それがこちら。
まずイントロがアーメンブレイク丸出し、続いて差し込まれるWildchild / Renegade Masterのボイスサンプル、そして上述の曲同様、Dominatorシンセがメインリフとなってラフなキックと並走する前半パート。
後半パートでは更にT99 / Anasthasiaに代表されるオーケストラヒットまで繰り出されるレイヴアーミー総決起と言わんばかりのてんこ盛り。
ド派手路線に於いては要注目の作品です。
あとこれも今年括りではないのですが、昨年末にリリースされたDino Maggioranaとの共作もオルガンとスタブのユニゾンでこれまたド派手。
前回Hardonizeに於いてラストに使った曲でもあるので、再度推薦。
I Got What U Need (Original Mix) by Dino Maggiorana, T78 on Beatport
Access (i_o Remix) by DJ Misjah, DJ Tim on Beatport
DJ Misjah, DJ Tim / Accessといえば1995年にリリースされたアシッドテクノの大アンセムとしてクラシックに数えられる曲でもあるのですが、リリースから25年が経った今年、テクノとEDMを繋ぐアメリカのDJ/クリエイターi_oによってリミックスされた作品。
今のところ、2020年に起こったテクノ事件としては上位をマークする出来事です。
ほぼ原曲に忠実な構成をベースに、出音を現代に寄せたようなアレンジ。
リミックスというかリマスタリングに近いような印象も受けますね。
古のアシッドファンと最近のテクノヘッズ、双方納得の作品ではないでしょうか。
RELEASE YOUR BODY (RECOGNIZABLE MIX) by Mall Grab on Beatport
イギリスのDJ/クリエイターMall Grabによるテクノ。
若くしてテックハウス、ガラージ、各種ベースミュージックなど、器用に作風を使い分けるアーティストではあるものの、何故かここ最近はハードテクノとレイヴに傾倒している感がある特異な存在。
その集大成ともいうべき初のアルバムが今年03月にリリースとなったWORSHIP FRIENDSHIPでして、この曲もその中に収録されているもの。
アーメンサンプリング、ファットなベースライン、レイヴオルガンと3種揃った構成は1990年代をそのままパッケージしたかのよう。
本来とは逆の意味で年齢を感じさせないタフなサウンド目白押しで、アルバムごと強烈にオススメです。
Dark Orb (Original Mix) by Raito on Beatport
フランスのDJ/クリエイターRaitoによるテクノ。
記事執筆時点ではまだリリースされておらず、明日17日の発売となるものですが、かなり面食らったので最後にご紹介します。
Raitoもまたこの手のスタイルに於いては欠かせない重要アーティストの1人。
Rave 92やHardcore Rave、Summer Of Loveなど、タイトルからしてレイヴの臭気漂うトラックが数多くあり、そのどれもがオールドスクールレイヴと現代テクノを繋ぐ架け橋となる素敵チューンなのですが、
明日発売となる3曲入りEP、Moon Tearはレイヴ経過後のトランスにあったようなリフをメインに据えた、これまでの作風とは少し異なったテイストのものとなっております。
何より、リズムが鬼硬い。
タイムリーなことに前回の担当回でテックダンス / テックトランスについて触れましたが、そのどれとも質感の違う、むしろハードテクノに近い強烈なキックが鳴り響いております。
言わばレイヴ×トランス×ハードテクノという未体験音楽。
しかもそれが3曲。
加えて取り上げるならば、これのリリース元はダンスミュージック界の覇者、deadmau5率いるmau5trapという点も輪をかけて異質。
いよいよ何かが起こりつつある感がビンビンに感じられる作品となっておりますので、是非要注目でお願いします。
以上、レイヴスタイルのテクノにスポットを当ててお送りしました。
この手のサウンドは見つけ次第購入してしまう癖があるため、紹介しきれなかった曲が大量にあるというのが惜しまれます。
今年括りではないけど、自分がよく使う曲としても
Circles (Original Mix) by Atix on Beatport
Jealousy (Special Request Remix) by Disciples on Beatport
Off Season (Original Mix) by Joy Orbison on Beatport
For The People (Original Mix) by Reinier Zonneveld on Beatport
Anasthasia (Falhaber Remix) by T99 on Beatport
この辺りはパパッと挙げられるので、是非ご参考の程。
サウンド面以外でも4つ打ちとブレイクビーツの双方の要素が入り混じっているのが他ジャンルとのクロスオーバーにうってつけでもあり、そこがまた魅力的に映るのだと思います。
このリバイバルがどこまで輪を広げるのかという点も含め、引き続き注目していきます。
と云った辺りで今回のサブジャンル特集はここまで。
次週04月21日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。