こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
先々週は史上最高のNRG に遊びに行ってきました。
前評判通り、延々と往年のハードエナジー、ハードハウスが乱れ飛んでおり、新年早々にして目出度い音が摂取できたなと思います。
ハードエナジーをコアとなっているのがフーバー と呼ばれる独特のシンセ音ですが、これを愚直なまでに前面に押し出し、その上で細かくプログラミングされたアシッドシンセを加えた勢い一辺倒のサウンドは、近年のトラックにはない破壊力を奏でていると再認識した次第です。
それまで知らなかった曲も知ることができましたし、レアな音が集まるパーティーと云うのは勉強になります。
是非また開催して欲しいと願っております。
尚、この日Morphonicsさんも出演されていたのですが、自分が話しかけた時には音楽と酒のおかげで完全に酩酊しており、『来月頑張る。頑張って餅焼く。』 と繰り返すだけのマシーンと化しておりました。
餅出るんでしょうか?02月ですけど。と云うか先週茶箱に遊びに行ったとき餅出てましたけど。
そんなユカイなMorphonicsさんをお招きしてお送りするHardonize #32は来月09日でございます。
「ハードテクノ」を様々な周辺ジャンルも内包し
各々のDJによる解釈でフロアにお届けするハードグルーヴパーティ。
2019...
皆様のお越しを
お餅お待ちしております。
そんなワケなのでボスが一昨日の記事 でハードミニマルを放り込みまくっていると書いたのと同様に、ワタクシはハードハウスを放り込みまくっておりました。
当連載でも何度か取り上げているジャンルだと思いますが、ハードトランスのサブジャンルに於いてテクノ~ハウス、ベースライン系とも相性の良いものがしばしば見つかります。
アップリフティングなトラックが多いため、インパクトのあるシンセ音をキーにして曲を繋ぐと云うのがやりやすい。
一方で跳ねたベースからなる独特なグルーヴが一風変わった印象を与えやすいと云うのも優位点として挙げられます。
曲がりなりにもハウスと冠しているためか、ハウスやディスコのサンプリングが用いられていたりするのも個人的なツボ。
(と云うか黎明期は本当に硬いリズムのハウスそのものだったようです。)
と云った辺りで、Hardonizeに於いて使いやすいと思われる曲を作っている人に今回はスポットを当ててご紹介します。
Knuckleheadz
Warren ClarkeとJon Langfordによって1995年にイギリスで結成されたユニット。
当初はKeith Litman やSharp Boys などメインストリームのハウスに色濃く影響を受けていた2人ですが、ハウスのファンキーなグルーヴにレイヴオルガンを流入させたパワフルなハウスミュージックに可能性を見出し、1997年に処女作Turn That Fucking Music Up を完成させます。
Knuckleheadz / Turn That Fucking Music Up
Turn That Fucking Music Up (Original Mix) by Knuckleheadz on Beatport
これが後にハードハウス、ハードエナジーの祖と言われることになる故Tony De Vit の目に留まり、同年に発売されたMIX CD、Global Underground 005: Tokyo に1枚目~2枚目のディスクを跨ぐと云う目立つ形で収録され、大きなインパクトを与えます。
ちなみにこの曲が収録されているEPがリリースされたTripoli Trax と云うレーベルは当時からTidy Trax と並びハードハウスシーンを支えてきた名門であり、Commander Tom やDJ Misjah など今や伝説と称されるアーティストが数多く在籍していました。
余談ですが、アシッドテクノのクラシックと言われるDJ Misjah & DJ Tim / Access がリリースされたのもこのTripoli Traxです。
Knuckleheadzはその後も同レーベルから立て続けにヒットを連発。
多くのMIX CDやコンピレーションに彼らの曲が収録されることになります。
テクノ寄りのトピックだとBad Boy Bill のMIX CD、Bangin In London を一例として挙げることができます。
Knuckleheadz / Raise Your Hands (Club Remix)
Raise Your Hands (Club Remix) by Knuckleheadz on Beatport
90年代後期のテクノ、ハウス、トランスの境目が曖昧となっていたシーンに、彼らはハードハウス と云うキーワードで立ち向かいます。
BBC Radio 1 やKISS FM などラジオ放送の特集による後押しもあり、一気にトップへと駆け上りました。
また、ほぼ同時期に自身のレーベル、Knuckleheadz Records を設立し、後継となる若手アーティストのフックアップを行う役も担っていくようになるのですが、その手引きした内の1人が後に数々のハードダンス、ハードコアのアワードを受賞することになるKutski でした。
これもまた彼らが築いた大きな功績の1つとして挙げられる出来事と言えるでしょう。
しかし2000年になるとメンバーの片方、Warren Clarkeが脱退。
彼はハウスのシーンへ再び身を投じ、ファンキーでアーバンなトラックを手掛けることになります。
Bobby Blanco & Miki Moto / Black Sugar (Warren Clarke Remix)
Black Sugar (Warren Clarke Remix) by Bobby Blanco & Miki Moto on Beatport
ちなみにこの曲がリリースされたのは20年に渡ってハウスシーンを支えている超名門レーベル、Defected 。
何をどうすれば畑の違う大手レーベルからレーベルへと渡り歩けるのか分かりませんが、それだけ本気度を窺わせる移籍だったと云うことでしょう。
一方、Jon LangfordのソロプロジェクトとなったKnuckleheadzですが、この頃ハードハウスシーン全体の衰退が始まっており、2004年のツアーを以ってKnuckleheadzとしての活動を休止することになります。
この時期にハードハウスに代わって台頭してきたのがスケールの大きい壮大なメロディーを持ち味としたハードトランスだったために、そちらへ舵切りを行う意図もあったようです。
さて、一歩引いてこの頃のクラブミュージックシーンに何が起こっていたかと云うと、ちょっとしたブートレグブーム が巻き起こっておりました。
以前書いた記事 の冒頭で、ずらずらっとブートレグのレーベルを紹介しておりますが、これらの殆どが2003年~2005年の間に設立されています。
そこに実はKnuckleheadzが変名義で参入していました。
The K Series と云うレーベル名の元、2003年からハードトランスでのブートレグ制作に着手するようになり、これがKnuckleheadz休止期間中の主な活動となりました。
K-Series / Flowtation
VIDEO
K-Series – Flowtation – YouTube
タイトルそのまんまの元ネタ 。
2006年にThe K Seriesからのリリースが終了すると2013年まで長い活動休止を挟みますが、彼はシーンへの復帰を果たします。
デビュー作を送り出したTripoli Traxとの親交も続いていた他、Masif やIDEAL と云った休止中に設立された新しいレーベルとも積極的に手を結び、Tidy Traxが主導していた大規模フェス、Tidy Weekender にも出演するなど、ギグに於いても精力的に参加しているように見えましたが、2016年を境に再度休止期間に入り、現在に至ります。
ちなみに2019年現在で彼の最後の作品となっているのがTripoli Traxの200番。
更にはこのリリースがTripoli Traxの最後の作品でもあり、揺り籠から墓場まで を貫徹した活動となりました。
Knuckleheadz / Devotion
Devotion (Original Mix) by Knuckleheadz on Beatport
最後に彼の作風についてですが、ハードハウスの黎明期から携わっていただけあってかなりバラエティに富んでいます。
ここまで挙げた作品群にもそれが表れていると思いますが、今では完全に分派しているジャンルが混然一体となっていた時代に対するリスペクトのようなものが感じられるような気がしてなりません。
それが古臭いかと言われると必ずしもそうではなく、2013年以降の曲は現行のシーンに沿った音使いをしているため、各ジャンル間の橋渡しとして大いに機能してくれます。
また、往年のアンセムのリフが随所で差し込まれるのも遊び心があってニヤリとさせてくれます。
尚、ファンキーなハードハウスについては2019年現在もスタイルの1つとして引き継がれております。
以前紹介したDigital Mafia もその1人。
ご興味が湧いた方は合わせてご一読ください。
そんなKnuckleheadzのオススメはこちら。
Knuckleheadz / Rock Beat
Rock Beat (Original Mix) by Knuckleheadz on Beatport
跳ね系のベースにシンプルなリフのハードハウス。
ユエにどの場面でも使いやすく、とりあえず持っておくと安心系。
Knuckleheadz / U Get Down
U Get Down (Original Mix) by Knuckleheadz on Beatport
こちらもシンプルなリフが特徴ですが、薄くパーカッションが敷いてあるリズムはむしろハードグルーヴっぽい。
むしろハードグルーヴとして使った方が違和感ないのではと云う気すらします。
Sandy B / Make the World Go Round (Knuckleheadz Remix)
Make the World Go Round (Knuckleheadz Remix) by Sandy B on Beatport
初出は1998年と云うことでキャリア初期の作品。
ちなみにブレイク明けのリフはCamisra / Let Me Show You そのまんま。
Knuckleheadz / Running From My Love
Running From My Love (Original Mix) by Knuckleheadz on Beatport
ファンキーハウスのウワモノをそのままハードグルーヴのボトムに乗せた感じ。
ハウスとテクノを繋ぐ際にリフのスケールが違うと違和感を感じることがあるので、こういう曲は地味にありがたかったりします。
Knuckleheadz / Get Out On The Dancefloor
Get Out On The Dancefloor (Original Mix) (Original Mix) by Knuckleheadz on Beatport
Perpetual Motion / Keep on Dancin’ (Let’s Go) ネタハードハウス。
派手派手なメインパートに反してテンポがハードハウスにしては遅めなのでハードテクノ系の音から拾いやすい。
本職の方からするとTechnikal & Steve Hillペアによるリミックス の方が使いやすいかもしれません。
次週01月29日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。
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