こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
予てよりお伝えしている通りではございますが、今週末にHardonize #32を執り行います。
その本人からつい先日、このような発言が。
今週末2/9(土)15:00?の #Hardonize @sabaco ではVINYL ONLYでHARD TECHNOセット90分一本勝負やります??あと餅も焼きます?? pic.twitter.com/1SueVgOLbr
— Morphonics a.k.a. 紙袋 (@morphonics) February 5, 2019
前回、前々回とご出演頂いた際にも割とハードテクノに寄せたプレイを行って頂いた記憶がありますが、何と今回はオールヴァイナルだそうで。
前回のHardonizeでLZDさんをお招きした時から奇しくもヴァイナルをフィーチャーする回が続いております。
と云うかテクノのヴァイナルをセットを組めるくらい所持していたこと自体初耳でしたし、驚きです。
往年のテクノクラシックとか持っていたりするんでしょうか。
はたまた最近のアングラ系テクノにも実は手を広げていたのでしょうか。
割合珍しいと思われるロングセットと云う枠でこのコンセプト、大変楽しみにしております。
そんなワタクシは先日、DiscogsのマーケットプレイスでMorphonicsさん対策のためにCDを注文したところ、ジャケットと中身が全然違うものが届いてしまい、ガックリきているところです。(海外通販あるある。)
判明したのち別の出品者からも急ぎ注文をかけてみたものの、多分間に合わないだろうなー。
なんとなくMorphonicsさんをフィーチャーする意味もあって前回の記事ではハードハウスのアーティストを取り上げたのですが、これは完全に目論見が外れましたね。
ではMorphonicsさんの音楽経歴に近いテクノと云えば何だろうかと考えると、やはり思いつくのはアシッドテクノです。
以前別パーティーでアシッドテクノ総本山と名高いStay Up ForeverのTシャツを着てハードテクノのプレイをされているのを拝見していますし、過去の連載でTik Tokにスポットを当てた時は『取り上げるとは思わなかった。』と云う趣旨のコメントを頂きました。
余談ですが、そのStay Up ForeverのTシャツを着ていた際のプレイでは肝心のアシッドテクノは一切かからず、終わった後周りの人たちから総ツッコミを食らってました。
これまではGanez The TerribleやD.A.V.E. The Drummerと云ったレジェンドクラスのアーティストを紹介してきたので、今回は若手と呼ばれる中からトラックのアイディアが光る人をピックアップ。
https://www.facebook.com/djbenji303
https://soundcloud.com/benji303
イギリス、マンチェスターのアーティスト。
デビュー作は2011年にInjector RecordsからリリースされているFucking Cocaine。
これは今も配信販売されており、活動当初からゴリゴリのアシッドテクノに傾倒していることが分かります。(Injector Records自体もアシッドテクノのレーベルです。)
Fucking Cocaine (Original Mix) by Jared Blyth on Beatport
程なくしてウクライナのクリエイター、Alexey Kotlyarの目に留まり、彼が率いるハードテクノ、ハードグルーヴレーベルAK Recordingsのアシッドテクノコンピレーションの第1作目に抜擢されます。
Special Acid Techno Compilation Vol.1 from AK Recordings on Beatport
Ganez The TerribleやBen Fraserなどシーンの重鎮たちが参加しているとあってかなり豪勢且つ使いやすい作品なのですが、そこに参加したことで存在が広く知れ渡ります。
これまた余談ですがこのシリーズは現在も地道に続いており、つい先月に第4弾がリリースされましたので、合わせて推薦します。
オールドスクールライクなトラックからハイハットの間隔が短い疾走系までTB-303リフのオンパレードですので、アシッドテクノ入門編として是非。
Special Acid Techno Compilation, Vol. 4 from AK Recordings on Beatport
次に彼に目をつけたのがアシッドテクノ界のレジェンドとも言うべき存在、Guy McAffer a.k.a. The Geezerでした。
とりわけハードで疾走感のあるトラックを作ると云う点に於いて共通しており、The Geezerが自身のトラックのリミックスをBenji303に依頼。
We’re Gonna Do A Song (Benji303 Remix) by Choci, Geezer on Beatport
これが見事にThe Geezerに認められ、より両者は接近。
The Geezerのレーベル、Planet Technoからのリリースに繋がり、最近は2人でレゲエとアシッドテクノを融合させた新しいスタイルの音楽を追求するレーベルSonic Irationを設立するに至ります。
Benji303のレーベル303 Allianceから今月リリースを予定している作品は収録曲全てが両者のコラボレーション楽曲と云うことからも世代を超えて仲良くしている様子が窺えます。
BENJI303/THE GEEZER 303 Alliance 007 vinyl at Juno Records.
この中にもレゲエスタイルのアシッドテクノが1曲収録されていますね。
今のところリリース形態はヴァイナルのみ公表されていますが、303 Allianceはバックナンバーをデジタルでも配信しているため、本作もいずれデジタル購入が可能になるでしょう。
そう、前々から触れていることではありますが、アシッドテクノは未だにヴァイナル優位主義のシーンを形成しています。
上記のように現在でもヴァイナルの方がデジタルより早くリリースされたり、果てはヴァイナルでしかリリースされない音源が大量に出回っていたりする、なんとも業の深い文化。
それもあって今回Morphonicsさんがヴァイナルオンリー発言をしたとき、アシッドテクノに思い至ったのですが・・・違いましたかね?
話は前後するのですが、Benji303は2014年からレーベル303 Allianceを運営しており、自身の作品発表の拠点として活用しています。
Chris LiberatorやSterling Mossなどベテラン勢を招き入れる一方でLee S.やTekno Tokenと云った後進のアーティストの育成にも力を注いでいます。
Pills & Thrills (Original Mix) by Lee S., Benji303 on Beatport
ボイスサンプルがGreen Velvet / La La Land。
ついでに303 Allianceはアパレル展開もしています。
そういえば以前Sterling Mossにスポットを当てた際に紹介し忘れてしまったのですが、Chris Liberator & Sterling Mossによるアシッドテクノのサンプルパックと云うものが販売中です。
Industrial Strength Liberator & Moss: London Acid Techno Vol 1
本職のクリエイターによるフレーズサンプルを過剰摂取できる割に値段も手頃、と云うことで是非ご検討の程。
Benji303はギグも精力的に行っており、イギリス、フランス、ロシアなどヨーロッパ各地で時にDJ、時にライブアクトとして奔走中。
中でも2016年に行われたIllusive Festivalに於いてはドラムンベース、ベースミュージック、ジャングル、ハードダンスなどに分かれたエリアの中のテクノステージにStay Up Foreverメンバーとして抜擢されると云う快挙も果たしています。
さすがイギリスと言うべきか、こういったダンスミュージック音楽見本市みたいなフェスが年中行われていて日本と土壌が違い過ぎることをまざまざと見せつけられます。
こういった経験が、別々のジャンルを結ぶことに生きてくるのでしょう。
Benji303も間違いなくその1人です。
ハードなアシッドテクノと云うコアの部分は大事にしつつも新たな可能性を模索している、そんなアーティストです。
そんなBenji303のオススメはこちら。
A2-BENJI303 & JACK MAJIC -SOUTH LONDON ACID | Djbirinight
今年初頭にリリースされた新作。
アシッドサウンド特有の前のめりなグルーヴに間隔の狭いハイハットが乗ったストレートなトラック。
Absoulte Rhythm (Benji303 Remix) | Ganez The Terrible
音のパーツや曲の構成はアシッドテクノですが、肝心のアシッドサウンドは鳴りを潜めているハードミニマル。
地を這うベース、そして金物と無機質なリフが対照的ながら共存しています。
ちなみに同EPにはMASSやFIXなど都内のハードテクノパーティーに出演しているK.N.さんとYokoteさんによるリミックスも収録されています。
こちらは波のあるベースが特徴なハードミニマルとなっていて、合わせてオススメ。
Babylon Shall Fall (Original Mix) by Benji303 on Beatport
上記でも触れたレゲエスタイルのアシッドテクノ。
レゲエを象徴する裏打ちのギターリフにアシッドシンセはどう考えても不穏な組み合わせだと思いきや、不思議とマッチ。
この手の意外な組み合わせはもっと聴いてみたいところですし、同じく触れたSonic Irationの今後に期待しております。
Extasy Make You Lovely (Benji303’s Acid Breaks Remix) by Champion Breaks on Beatport
2013年発と云うことでキャリア初期頃の作品なのですが、確認している中に於いて唯一の非4つ打ち。
アシッドブレイクスと云う物凄くニッチなジャンルに果敢に挑んでいった結果がこちらです。
これもまたあまり聴かないテイストの曲になっているので、変ミュージック好きには推薦しますが、大方の場面に於いて使うには勇気が要りそうですね。
次週02月12日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。