こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【Hardonize #43 無事終了】
先々週はHardonize #43でした。
お越し頂いた方々、お聴き頂いた方々、本当にありがとうございました。
気付いたら15年経っていました。
ただでさえ飽き性な自分が15年もこのパーティーを続けてこられたのは、皆様のサポートなしには成し得ません。
パーティーを始めた2008年当初、ハードテクノという音楽はすっかり過去の遺物と捉えられていた気がしますが、この日は毎度お馴染みの方々から意外な面々まで、大勢の方々にお越し頂いて感無量でした。
改めて御礼申し上げます。
そしてゲストの面々もアニバーサリーに相応しく、素晴らしいプレイを三者三様に披露して貰えました。
現行のテクノが失ってしまったポジティブでハッピーなバイブスがふんだんに詰まったオールドスクールジャーマンテクノ~レイヴで一貫していたDJ Shimamuraさん、
そこからゲットーテックで拾い(この瞬間が個人的に1番アガりました)、細かくジャンル間の橋渡しをしながらテクノに着地させるクロスオーバープレイヤーとしての器用さと実力を発揮していたBUDDHAHOUSEさん、
おそらく自身が生まれた年と同じ年代にリリースされたんじゃないかくらいの曲も交えつつ、往年のテクノ~ハードテクノをグルーヴィーに横断していたSeimeiさん、
どのプレイも発見や再認識に溢れた彼らにしかできないプレイで、手前味噌ながらお招きして良かったです。
加えて今回フライヤーデザインを担当して頂いたcodaさんのVJも、抽象的だけど動きのある映像群がパーティーの雰囲気にマッチしていて一役も二役も買っていたように思えました。
そんなパーティーの模様ですが、現在早稲田茶箱のTwitchチャンネルで公開されております。
我々の趣味と矜持が詰まった本当に贅沢な7時間だったと思うので、是非リピートしてお聴き頂ければと思います。
あとHardonizeのYouTubeチャンネルでも過去のパーティーのアーカイブを公開しておりますので、そちらも是非。
【近況】
そのHardonizeの翌日はMCバトルの全国大会KING OF KINGSの観戦に行ってました。
我ながら対極が過ぎる。
とはいえ、去年テクノに近いビート、テンポの日本語ラップという特集を行ったようにヒップホップも聴きますし、何ならDJでもちょいちょい使います。
ちなみにどういう使い方をよくするかというと、オーセンティックなヒップホップよりスローな、BPMでいうと85~90くらいのトラックを倍速のドラムンベースに合わせて使うというのが飛び道具っぽくて好きだったりするのですが、
この日バトルが始まる前にオープンでプレイしていたDJがしれっとミニマルなドラムンベースをかけていて、この両ジャンルも接近しているポイントが出てきているのが感じられました。
こういうのをもっと聴ける機会が増えるといいなと勝手に願っております。
【Hardonize #43 トラックリスト】
さて、自分はこの日Sangoさんの後、DJ Shimamuraさんへの橋渡しというポジションでした。
割と前後の音がどういう塩梅なのかが想定できたので、その間をHardonizeらしく、そして自分らしく繋いでいくプレイを心掛けた感じです。
その結果、直近で公開した2022年のハードテクノ10選や2008-2023オールタイム・ベスト10選で取り上げた曲がやや多めになってしまった感はありますが、まぁ好きなんでしょうがないっすよね。
大まかにはディスコ~ベースライン~レイヴブレイクス~ハードハウス~ハードグルーヴ~ハードミニマル~ハードアシッド
全容はこちら。
No | Artist | Trackname | Link |
---|---|---|---|
01 | Rawtek, Psycho Boys Club | Come Closer | Beatport |
02 | Reset! | Milano a mano armata | Beatport |
03 | Soulecta | Jheez Louise | Beatport |
04 | Kanji Kinetic & Thorpey | Tek No Shit VIP | bandcamp |
05 | Seatbelts | TANK! (RAWTEK REMIX) | SoundCloud |
06 | — | Moonlight Legend (Yudaidhun ’92 Remix) | SoundCloud |
07 | DJ Jedi | Bring The Beat Back | bandcamp |
08 | Elivate | Chunk Tha Funk | Beatport |
09 | Ross Homson | Snakehead (Megaman Remix) | Beatport |
10 | キャラメル | ウッーウッーウマウマ(゜∀゜) (B.U.S. Dub) | Spotify |
11 | — | Funky Thrillin’ Disco Balls | junodownload |
12 | DJ BRUTEC | Funky Hipster | Beatport |
13 | Aitor Ronda | Chicas de la Vida | Beatport |
14 | Popperman & Peppe | Hit the Benjo | Beatport |
15 | Andy BSK | Balkan Groove | SoundCloud |
16 | DJ Sun | Guataqui | Beatport |
17 | SHDW & Obscure Shape | Set It Off | Beatport |
18 | Tassid, Eski | It’s In My Head | Beatport |
19 | BENJI 303 | VAMPIRE SYSTEM | bandcamp |
20 | Ling Ling | t5080s | SoundCloud |
21 | Beat Jugglers Feat. Mc Evenson Allen | Vibezin (Sterling Moss Pure Vibes Extended Vinyl Remix) | bandcamp |
例によって数曲かいつまんでご紹介します。
【曲紹介】
Milano a mano armata (Original Mix) by Reset! on Beatport
イタリアのプロデューサーチームReset!によるディスコ。
エレクトロの厚いシンセを取り入れた新しさとレトロさが同居したスタイルは一部でターボファンクと呼ばれ、その中でも旗手的存在となっていたアーティストです。
ブレイクで入る存在感抜群のシンセから明けの爆発力、メインフレーズの古めかしい感じなどはこのターボファンクの特徴そのものという印象を受けます。
使ったのは久し振りですが2013年のリリース当初からずっと好きですし、もうちょっと紹介曲数が多ければ先日の2008-2023オールタイム・ベスト10選にも確実にインしていた曲。
ちなみに彼らは来日経験もあり、2回ほど演奏を生で見たことがある、且つ過去にアーティスト特集をやったくらい大好きなアーティストなんですけど現在は表立った活動はしていない模様でとても残念です。
っていうか今そのアーティスト特集を見返したらSeimei & Taimeiの記述があって『ワォ』ってなりました。
Jheez Louise (Extended Mix) by Soulecta on Beatport
イギリスのプロデューサーSoulectaによるベースライン。
ジャズのブラスサウンドを前面に出しつつ、ビートは質実剛健なベースラインというかなり珍しい曲。
イントロの特に変哲の無い4つ打ちを経ていきなり太いベースが鳴り出すので、ウワモノ繋ぎでリズムスイッチ的に使えるのが個人的にかなり汎用性が高い。
昨年のリリースの中では非常にツボにキたベースラインの1つ。
ハードグルーヴとかディスコ好きな方にも是非手に取って欲しい変ミュージック。
Stream SEATBELTS – TANK! (RAWTEK REMIX) by RAWTEK | Listen online for free on SoundCloud
アメリカのプロデューサーRawtekによるテクノ。
元ネタはこちら。
元ネタの緩急織り交ぜた複雑なフレーズや派手なブラスサウンドを活かしながら上手いことダンスミュージックに落とし込んでいる秀逸作。
リズムもパートによってはシンプルな4つ打ちだったり、アーメンブレイクが重ねられていたりとゴチャゴチャしつつ、聴かせるところはそれぞれ明瞭になっている辺りもまた好み。
この日の1曲目に彼が携わった2022年の個人的大傑作Come Closerを持ってきた上で使ったこの曲ですが、近年Rawtekは自身のSoundcloudでディスコエディットを大量生産&公開しており、これもその中の1つ。
この曲のインパクトが高いのは言わずもがなでしょうけれど、できれば全曲聴いて欲しいくらいにクオリティと実用性に富んだトラックばかりです。
Spotify – ウッーウッーウマウマ(∀) (B.U.S.Dub) – song and lyrics by キャラメル
日本のプロデューサーB.U.S.によるハードハウス。
原曲はネットの海にどっぷりの諸兄はご存知でしょうけど、これです。
ちなみにこれが日本のインターネット上で流行したのもHardonizeの設立と同じ2008年だそうです。
月日の流れは恐ろしいですね。
で、その流行に合わせて本家からライセンスを取得し、日本向けにデザインし直されたEPというのが当時リリースされておりまして、
この中にはRyu*やらっぷびとといったインパクトのあるアーティストによるリミックスも収録されていたワケです。
とはいえ、この手のリミックスは所謂クラブ慣れした層に向けて作られているワケではないため、分かりやすくテンション高めの曲になりがちだと思うのですが、何故かそこに並んで収録されていたのがこのバージョン。
聴くと分かるとおもうのですが、前述のアレンジと並べるととにかく渋い。あまりにも渋過ぎる。
が、この原曲のテンションをあえて削いだスタイルのアレンジや原曲と一切関係ないピアノフレーズがいきなり入ってくる点、
極めつけはこのB.U.S.というアーティストがDJ ShinkawaやYo*Cといった方々と共に1990年代末期の日本でハードハウス、ワープハウスシーンを牽引していた超レジェンドである点など総合的にツボに入ってしまい、
この曲のリミックスに於いてはブッチギリで使用頻度の高いものとなっております。
生涯稀に見る謎リリースと言っても良いかもしれません。
Hit the Benjo (Original Mix) by Popperman & Peppe on Beatport
ハンガリーのプロデューサーユニットPopperman & Peppeによるハードグルーヴ。
先日の2008-2023オールタイム・ベスト10選に於いてはAitor Ronda / Chicas de la VidaとAndy BSK / Balkan Grooveを二大奇作ハードグルーヴと称しましたが、
この日これらの曲の間に挟む形で使用したこの曲も、後から考えたら充分変なハードグルーヴとしての存在感があったなということに思い至りました。
バンジョーて。
メインサウンドがバンジョーて。
それが乗っているのがローファイで重ためのリズムであるギャップもまた面白い。
牧歌的なのか格好つけたいのかどっちかにして欲しいと言いつつ、大好きですこれ。
ちなみにこの曲がリリースされたのも二大奇作ハードグルーヴ同様、2014年でした。
何があったこの年!?
It’s In My Head (Original Mix) by Tassid, Eski on Beatport
イギリスのプロデューサー同士、TassidとEskiによるハードテクノ。
推進力のある金物リズム、地を這うベースライン、シンプルな反復リフの組み合わせはタフなハードテクノそのもの。
ただ、ブレイクの途中から明けて暫く3連符の打ち方になるのがこの手のジャンルにしては珍しい仕掛けです。
ファンキーにもストイックにもなり過ぎない、それでいて遊び心があるように思えたので、ハードグルーヴとハードアシッドの橋渡しに丁度良いと思って使いました。
急に真面目ですみません。
Vampire System | Benji303 | Flatlife Records
イギリスのプロデューサーBenji303によるハードアシッド。
当連載でもちょいちょい取り上げているレゲエとハードアシッドが融合したスタイル。
アナログな質感のキックに裏打ちのギター、そして疾走感満点に打ち鳴らされたアシッドシンセの組み合わせは今でも違和感はしっかりあるのに、不思議と嫌な感じを全く受けずに聴けてしまいます。
あと音的にそんなに暗い音が用いられているわけでもないのに、絶妙なアングラ感が終始漂っているのも好きなポイント。
昨年末に出たこの曲が収録されているSonic Iration 002は、個人的にかなり良かったリリースの1つでした。
Jah Scoop Feat. The China Shop Horns & Jago / Rockfort Rockなんかはスカを取り上げたブラスサウンドを前面に押し出した、またちょっと違うニュアンスの曲になっていてこれも大変面白かったです。
【まとめ】
以上、Hardonize #43プレイリストをお送りしました。
アニバーサリーっぽくインパクトのあるネタモノや妙ちくりんなウワモノのトラックを多めに、とはいえそれらに頼り過ぎないような内容を目指した形になります。
何事も押し引きが肝心というのは格闘ゲームや麻雀を通して得た知見です。どうでもいいですねそうですね。
これはHardonizeに限らないのですが、グルーヴをキープしながらどこまでサウンドの幅を出せるかというのに毎回1人でチャレンジしております。
今後もそういったプレイをやっていくと思いますので何卒よろしくお願いします。
そんなわけで今回はここまで。
次週02月07日は774Muzikさんが担当します。
では。