こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【告知】
Hardonize#40まであと1か月となりました。
ゲストにMorphonicsさんとREV-TUNEさんをお招きし、6時間みっちりハードテクノをお届けします。
尚、入場に際して事前申請が必要になっておりますのでお忘れなきようにお願いします。
Hardonize #40 in東京 – パスマーケット
【近況】
昨日の地震後に起こった停電の影響でそれまで書いた今回の内容が全て吹っ飛び、イチから書き起こしているところです。
こまめに保存することの大切さを身を以って学んだところです。
しんどい。
前回の記事で告知させて貰いましたが、先週は錦糸町のLITTLE SAKE SQUAREで出演でした。
yudukiボスがちょっと触れておりましたが、この日ワクチン接種とパーティーのダブルブッキングというなかなかハーコーなスケジュールを組んでおり、若干の不安もあったものの蓋を開けてみれば終始楽しく過ごせました。
共演者の方々がそれぞれのシーンで培ってきたものをプレイに落とし込んでいる感じはいちリスナーとして眼福ものでしたし、日本酒の後押しもあってお客さん共々楽しそうにしていたのを見るとホッコリしますね。
Yebisu303さんのライブではないDJを初めて見ましたが、珍妙なテクノの1つとして名高いX JAPAN / Rusty Nail (OLIVER HO REMIX)が飛び出したりしたのも面白かったです。
あとTAKAMIさんは過去共演した際、終盤にテクノのアンセムを連発して僕に渡すといったことがありましたが、今回もそれでした。
これがテクノの洗礼なのか。
だもんで自分のプレイ中も特にアクシデントは起こりませんでした。
事情が事情だったので一滴も日本酒飲めなかったのが悔やまれます。
また出たい。
【今回のお題】
さて、前回と前々回は昨年のフリーダウンロード楽曲を振り返る特集を執り行いましたが、今回から通常の形式に戻り、
ハードテクノの1つのサブジャンルからオススメ楽曲について取り上げていきます。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
それはそれとして先のパーティーに於いて自分は主にハウスをプレイしておりましたが、〆はテクノ、ハウスの要素を持ったJ-POPでした。
この日の出順がトリだったということもあって綺麗に終わらせられるかなと思いまして、まぁその後酔っ払ったTakayuki Kamiyaという男が乱入したのでグッチャグチャになりましたが。
そもそも邦楽ロックをそこそこ聴いてきた身ということもあってこの辺りの音楽は好きなのです。
Hardonizeに於いてもこれらをちょいちょい差し込んだりしておりましたが、そういえばまとめて取り上げたことはなかったなということに思い至った次第。
そんなわけで今回取り上げるテーマは
とします。
文字通り、バンドとして活動しているアーティストによるテクノの要素が強く出た曲をピックアップしていきます。
全部邦楽。
Beatportやjunoではなく、タワレコやmoraとかで買える、もしくは買えたものばかりです。
あと今回はバンド編成のアーティストに絞っております。
ソロやユニットではなく、メンバーの担当パートにギターがいて、ベースがいて、ドラムがいるという一般的な形式、なのに楽曲はテクノっぽいといったものがメインになります。
今まで聴いてきた中から選定しているのでどうしても割合古い曲が多めになってしまっておりますが、そればっかりにならないように選びました。
とはいえ、そこまで古い印象は受けない筈・・・そうであってほしい。
早速ですがテクノのリズムを纏ったバンドの曲紹介いってみましょう。
【曲紹介】
Yumegiwa Last Boy – Supercar (スーパーカー) PV – YouTube
1995年から2005年まで活動していたバンド、SUPERCARによる2001年の曲。
浮遊感のあるシンセから始まり、当時のテクノが表れたビートが挿入され、その雰囲気を壊すことなくトランシーなパートが展開される美しさと儚さが共存している印象を受けます。
映画『ピンポン』の主題歌として起用されていたことで知名度も高く、またダンスミュージック寄りのサウンドということでDJからの人気も当時から高かったですね。
今回のテーマを取り上げる上で欠かせない曲ですし、20年前の作品とは思えないくらい、今聴いてもDJで使っても高揚します。
1996年から現在も活動継続中のベテランバンド、くるりによる2000年の曲。
くるりは時期によって楽曲のスタイルもメンバーも変わることで知られており、この時期に出たアルバム、TEAM ROCKは電子音楽要素が強いものでした。
人間関係の葛藤を歌った青春ロック一直線の歌詞に加え、打ち込みの4つ打ちリズムとシンセが特徴的。
これも本当によく使っている。
加えて近年のこの手のサウンドを持ち味としているバンドとしてサカナクションが挙げられますが、くるり / ばらの花とサカナクション / ネイティブダンサーのマッシュアップが存在します。
なんと公式で販売されています。
相鉄都心直通記念ムービー「100 YEARS TRAIN」テーマソング – Single by yui (FLOWER FLOWER) × ミゾベリョウ (odol) | Spotify
相鉄線が開業100年を経て都心に直通することを記念したムービー、100 YEARS TRAINのためにわざわざ作られたものであり、あまりの反響の高さから音源の配信が開始されたといった経緯があります。
時代を越えた名マッシュアップ。
両バンドを知っている身からすると不思議な組み合わせなのに違和感が全くないのが凄い。
OSC-DIS – Album by The Mad Capsule Markets | Spotify
1985年から2006年まで活動していたバンド、THE MAD CAPSULE MARKETSによる1999年の曲。
所謂デジタルハードコアと呼ばれる電子音楽の要素を含んだハードロック、メタルを多く手掛けてきたアーティストで、曲によってはアーメンブレイクスが入っていたり、ガバキックが鳴っていたりするので、速くて重たい音楽が好きな方には強くオススメしたいところです。
この曲も冒頭いきなりアシッドシンセから始まり、4つ打ちのキックが展開された後、ディストーションギターとシャウトボイスが轟くという重厚な内容。
2分34秒地点のブレイクビーツパートで差し込まれているノイズみたいな音がベースの手弾きによって鳴らされていると知ったときは呆気にとられました。
この曲にも当て嵌まるTHE MAD CAPSULE MARKETSの楽曲の特徴として、殆どの曲に於いて展開が4の倍数の小節で区切ってあるというのが挙げられます。
これはダンスミュージックの特徴そのものであるのでDJでめちゃめちゃ使いやすい。
BUCK-TICK 「獣たちの夜」Music Video – YouTube
1985年から現在も活動継続中の大ベテランバンド、BUCK-TICKによる2019年の曲。
活動初期から優雅さと退廃感を持ち合わせたファッションと曲の雰囲気から独特な世界観を提示し続けているバンドであり、所謂ヴィジュアル系と呼ばれるシーンを形作った大御所の1柱としても非常に有名です。
大まかなサウンドの分類としてはインダストリアルロックがメインのような気がしますが、それを軸に周辺のロック、電子音楽のエッセンスを時代に合わせて取り入れている器用さも特徴の1つ。
この曲なんかはかなりダンスミュージック寄りだと思います。
4つ打ちのキックをコアとする2拍ループのドラム、裏打ちのベースに等間隔配置のギターリフ、薄く敷かれたディスコっぽいシンセ、そして極めつけに4拍目に置かれた残響含みのレトロなクラップとどれもダンスミュージックを意識しているとしか思えないパーツのオンパレード。
それでいて歌詞が『踊れ悪魔』ですからもう世界観全開。
DAOKO × MIYAVI – 「千客万来」 Music Video(映画『Diner ダイナー』主題歌) – YouTube
これだけバンド楽曲ではないんですがロックを主戦場としているアーティストによる楽曲ということで。
ヴィジュアル系バンドから独立してギタリスト、俳優として活動しているMIYAVIと、ニコニコ動画を活動のルーツに持つシンガー、ラッパーのDAOKOという異色の組み合わせによる2019年の曲。
MIYAVIのギターのアグレッシヴさが強調されたブレイク、ハーフビートになって音の隙間が増えるAメロ、パッドが敷かれ、浮遊感が付与されるBメロ、透き通るボーカルと4つ打ちリズムが感情的なサビと、各パートでそれぞれ違った特色が出ていて面白いです。
今回の曲とは関係ないんですけど、ソロ活動になってからのMIYAVIはHIFANAとコラボしたり、KREVAとコラボしたり、Bok Neroとコラボしたり意外性のあることを次々やっている印象を受けます。
ヴィジュアル系バンド出身者の中では間違いなく異質の存在。
BUMP OF CHICKEN feat. HATSUNE MIKU「ray」 – YouTube
1996年から現在も活動継続中のベテランバンド、BUMP OF CHICKENによる2014年の曲。
日本を代表するバンドが初音ミクを起用したというニュースはメジャーシーンにまだ初音ミクが普及しきっていなかった当時、大きな話題となりました。
ましてそれが4つ打ちリズム、哀愁感のあるシンセを纏ったそれまでの作風と異なる楽曲ということもあり、猶更インパクトがあったように思えます。
歌詞があえてポジティブ過ぎない内容になっていて、そこは本当にBUMP OF CHICKEN節だなと思ったり。
本作も収録されているアルバム、RAYはシンセを用いた楽曲が他にも見受けられます。
それまでの作風とは違ったアプローチが味わえる1枚なので合わせて是非。
2009年から現在も活動継続中のバンド、女王蜂による2019年の曲。
リズムは終始4つ打ちで、ギターがメインのパートとシンセが入ってくるパートが細かく切り替わっていく、というのが中盤までの展開。
そこまでサビが皆無という、これだけでもちょっと変わっているのですが、その後のパート(2分09秒)がデケデケベースと反復ドラムをコアとするリズムにシンセが前面に押し出された往年のディスコを彷彿とさせるもので面食らうこと必至。
歌詞の内容も相まって入り組みまくっているこの構成は現代の音楽っぽいなと思いました。
個人的に1度ライブを見てみたいアーティストの上位です。
maverick – Album by Mop of Head | Spotify
2006年から現在も活動継続中のバンド、MOP of HEADによる2019年の曲。
ボーカル不在のインストゥルメンタルバンドで、シンセ、ギター、ベース、ドラムの担当から成る4人編成。
で、この編成でテクノやハウスといったクラブミュージックを演奏するというのをコンセプトにしているユニークなバンドです。
この曲はカッティングギターとシンプルなシンセのループによってウワモノが形作られているファンキーなテクノ。
思わずKAGAMIを彷彿とさせますね。
ブレイクもちゃんと存在しており、繋ぐ際の糊代もバッチリ用意された構成はクラブミュージックそのもの。
ちなみに他の曲でガバにスポットを当てた曲やジュークにスポットを当てた曲なんてのもあるので興味のある方は是非。
YOUNG PUNCH – Love Is In The Air – YouTube
1996年から2002年まで活動していたバンド、YOUNG PUNCHによる2002年の曲。
それまで一般的なロックを主軸としていたのですが、本作が収録されているアルバムtraeksに於いては大幅なサウンドの刷新が図られ、電子楽器を使用した楽曲が多く作られました。
この曲は4つ打ちのリズムとシンプルなシンセにギターという当時の質感をそのままパッケージしたような構成。
サウンド的には先に紹介したくるり / ワンダーフォーゲルと近いスタイルの作品です。
あとNIRGILISとか好きな人にもオススメ。
但し現状フィジカルしか流通していないようですので音源入手はややハードル高めです。
(Amazonにはありました。)
136 (2021 Remaster) – Album by HONDALADY | Spotify
1995年から2018年まで活動していたユニット、HONDALADYによる2004年の曲。
本来メンバーはマルさんとDieさん(以前Hardonizeにご出演頂きました。)の2人ですし、そもそも自らテクノロックユニットと銘打って活動しているのでテクノ的な楽曲は珍しくないのですが、
この曲に関してはPVを見る限り4人で演奏しているようで、且つサウンドもギターが前面に出されたかなりロック色の強いものとなっており、テクノに軸足を置いたアーティストがロックに踏み込んだ楽曲という今回の趣旨と逆の意味合いを持ったものとなっております。
歌詞と曲調ひっくるめて青春ギターチューン!って感じで好きな1曲。
オマケでもう1曲。
家にいるヤツ(バンギャ)に『今回テクノとロックというテーマで書こうと思う。』という話を漏らしたら時間いっぱい『〇〇を入れろ!××は名曲!今聴け!!!』と1人でブレーメンの音楽隊やってたので、仕方なくその中から1つ。
Dancetek/ザ・ジェッジジョンソン – YouTube
1999年頃から現在も活動継続中のバンド、THE JETZEJOHNSONによる2008年の曲。
特段電子音楽に傾倒しているワケではないものの、活動初期から打ち込みを多用した作曲手法を取り入れており、そのアレンジも楽曲ごとに変えているという器用なバンド。
この曲は主張の激しいテクノ的質感のキックが延々と鳴っており、その上をギターと澄んだボーカルが並走する構成となっております。
目立つシンセの音はないんですが、ギターの弾き方やエフェクトのかけ方でシンセっぽく聴かせるという、なんだか粋な感じ。
清涼感のあるダンスロック。
まとめ
以上、テクノのリズムを纏ったバンドの曲にスポットを当ててお送りしました。
別々の音楽の要素が混ざり合った時、そのどちらとも違ったものが新しく生まれる可能性があるというのがミクスチャー音楽の面白いところだと思います。
あとこれは全てに共通しますが、可能性の薄いところから自分の好みに合う曲を発掘できたときの喜びが大きかったりしますね。
皆様もオススメのバンドなどありましたら是非お寄せください。
そんなわけで今回はここまで。
次週03月22日は774Muzikさんが担当します。
では。