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【特集】『M3-2023秋』同人テクノ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/10/12

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【Hardonize #45 無事終了】

大分前になってしまいましたが、先々週はHardonize #45でした。
お越し頂いた方々、お聴き頂いた方々、本当にありがとうございました。

ゲストにお招きしたDJ KITAさんDJ YO-Cさんの人柄もあり、終始ポジティブなテンションに溢れていた一晩でした。
先週Sangoさんが書いてましたが、我々はこの人たちが主宰、或いは出演しているパーティーに足を運ぶことで様々な知識や経験を積んできた世代なので、こうして自分たちのパーティーに呼ぶことができたことはとても大きな意味がありました。
それが当時受けた印象やサウンドがほぼそのまま持ち込まれたとあれば嬉しさもひとしおというものです。

その一方でこの2人が持つオリジナリティからはまだまだ学ぶ点が多かったというのも、この日個人的に思った点として挙げられます。
DJ KITAさんの全体の雰囲気を壊さずシームレスにジャンルを跨いでいく構成はクロスオーバープレイヤーとして参考になりましたし、DJ YO-Cさんの細かいカットインを交えながら丁寧にロングミックスを行うセンスとスキルが両立されたプレイも一朝一夕で追いつけないものがあるなと感じました。
ただ、当のDJ YO-Cさんからは僕のプレイが終わった際、『こんな不真面目そうな見た目しててあんな丁寧なプレイするのかよ!』と言われたことについては大先輩に対して1つカマせたかなと思っております。

ちなみに、サンプリングも含めて3回かかったこの日のアンセム。

Bizarre Inc / Playing with Knives

Bizarre Inc – Playing with Knives (Official Video) – YouTube

スーパーレイヴクラシックであることは間違いないのですが、まがりなりにもハードテクノパーティーに於いてこれが3回もかかることは古今東西なかったと言えるんじゃないでしょうか。

【告知】

前回もお伝え致しましたが、11月25日(土曜日)に渋谷R Loungeで行われるハッピーハードコアの老舗パーティーの年末版、HAPPY JACK 忘年会MorphonicsさんとB2Bで出演致します。


こちらも大先輩に胸を借りるつもりで臨みます。
はたまたカマし合いになるのか、大穴として忘年会という言葉に流されて飛び交う小さくてかわいいお酒に2人してやられるという可能性も捨てきれません。
結末を見にお越し頂けますと幸いです。

【今回のお題】

さて、本来であれば私も他の方と同様、Hardonize #45に関するトラックリストを掲載するタイミングではありますが、今週末29日は本連載で僕が毎回勝手に取り上げている同人音楽即売会M3があります。

前回M3-2023春の特集はこちら。


こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

それより以前の特集はこちらになります。
2022秋 / 2022春 / 2021秋 / 2021春 / 2020秋 / 2020春 / 2019秋 / 2019春 / 2018秋 / 2018春 / 2017秋 / 2017春

前回、開催日事前にこのテーマで取り上げたところかなり評判が良かったので今回もそのように公開しようと思ったところ、大幅に公開予定日を過ぎる形になってしまいました。(ホントにすみません。)
表記順は『[スペース番号] 【アーティスト名】 / 【リリース名】 [【サークル(レーベル)名】]』でテクノ的オススメだったり、Hardonize的に関連があったりするものを挙げていきます。

それでは

『M3-2023秋』でリリースされる同人テクノ特集

いってみましょう。

【曲紹介】

[T-05b] V.A. / AD:TECHNO 7 [Diverse System]

[DVSP-0291]AD:TECHNO 7 Crossfade – YouTube

様々なジャンルに焦点を当てたコンピレーションを毎度リリースしているDiverse Systemの新作。
今回はテクノをフィーチャーしたものであり、レーベル、秋葉原重工監修の元、HIROSHI WATANABEHiroyuki ArakawaDJ SODEYAMAKEN ISHIIといった国内テクノシーンを代表するクリエイターが楽曲提供を行っております。
もはや同人という枠に収まらない規模感となっており、この作品に対する熱の込められ方が大いに感じられます。
硬く無機質なビートを鳴りつつも聴きやすい空間系のウワモノが乗ったトラックが多く収録されており、現行のテクノ入門編として最適解の作品。
勿論ヘヴィーリスナーにもオススメです。

[H-18a] KEN ISHII / Morning Light [秋葉原重工]

Stream AHIDG08 – KEN ISHII – Morning Light by Akihabara Heavy Industry Inc. | Listen online for free on SoundCloud

上記のAD:TECHNO 7を監修したTakayuki Kamiyaさん率いる秋葉原重工のニューリリース。
KEN ISHIIさんの新曲と、そのリミックスを含むEPサイズの作品となっております。
圧の効いたボトムにKEN ISHII節の効いたシンセリフの組み合わせは現行のテクノマナーに沿いつつ、1990年代~2000年代のテクノが持っていた楽しい感じを彷彿とさせます。
深夜でも夜明けでも聴けそうな絶妙なバランスがかなり好みです。

[H-18b] Kouki Izumi, MAGPOST / Pillars [technoA]


和泉幸奇@ M3 H-18b 秋季例大祭 た-20ab (@kouki_izumi) / X

Kouki Izumiさんの個人サークル、technoAからのニューリリース。
まだ2曲しか公開されていませんが、彼が得意とする冷たくてビートの圧が強いタイプのテクノの片鱗が伺えます。
何度か彼の作品はここでも取り上げておりますが、とりわけ非4つ打ちタイプのトラックはテクノと硬めのブレイクスの橋渡しに独特なエッセンスを齎してくれるので割と欠かさずチェックしていますし、今回も期待しております。

[お-09a] JUNICHI WATANABE / DULULU [333-333-333 Records]

お-09a M3 秋 2023 【DULULU】クロスフェード試聴 – YouTube

Junichi Watanabeさんの個人レーベル、333-333-333 Recordsからのニューリリース。
今回パラパラとカタログをめくっていてビックリした出来事の1つが、このJunichi Watanabeさんのカムバックです。
かつてAsianDynastyという国産テクノレーベルに所属し、今以上に当時は珍しかったゴリゴリのハードテクノインダストリアル作品を引っ提げてM3に参加されていた方。
この人が2009年にリリースしたアルバム、コンビナートデ鳴ラスベキ音楽は先鋭的なサウンドと明確なコンセプトが両立しており、個人的には今でもインダストリアルを語る上で外せない大切な作品でもあります。

そんなJunichi Watanabeさんの久し振りに聴く楽曲は、あの頃受けた衝撃を再度思い起こさせるノイズとグリッチが多用された複雑で硬いリズムを擁するインダストリアル
HR Giger風のジャケットも個人的にかなりツボです。

同時リリースとしてもう1作品ティーザーがアップロードされております。

JUNICHI WATANABE / Ω・ABSOLUTE (VER.0.5)

お-09a M3 秋 2023 【Ω・ABSOLUTE ( VER.0.5)】クロスフェード試聴 – YouTube

可愛らしいジャケットに反してこちらも荒々しいインダストリアル
若干柔らかめのシンセが用いられたりする一方、Squarepusherを彷彿とさせるドリルンベースなんかも収録されていて非常に面白い。

[G-09ab] Kaori Watt / Infinite EP [Channel For Rent]

Stream Infinite EP – Crossfade by Kaori Watt / Sugar Sweetie | Listen online for free on SoundCloud

池上にあるレンタルスペースChannel For Rentからのリリース。
上で取り上げたAD:TECHNO 7にも参加されているKaori WattさんのEPサイズの作品です。
レイヴスタブの乗ったアグレッシヴなハードテクノはインパクト満点ですし、何より明らかに音の鳴りが現場での使用を意識している感じを受けます。

当サークルはレンタルスペースを母体とするからなのか色々な方の作品も取り扱うようで、その中の1つがこれ。

discsystem / 冷たい光線

Stream discsystem New EP『冷たい光線』 Trailer by discsystem | Listen online for free on SoundCloud

前回【特集】『M3-2022春』同人テクノにてV.A. / UNCOUNTABLE POSSIBILITIES [#中年デトロイトテクノ隊]という作品を取り上げましたが、その中にも楽曲提供をされていたdiscsystemさんのEPサイズの作品です。
やたらレトロなジャケットに象徴されるようなアーバンで生音感たっぷりのハウステクノが収録されていて、これはこれで聴きたい作品の1つです。

[I-04ab] V.A. / 惑星崩壊ver3 [hoshizora label]


hoshizora.label M3 I-04ab/クリエイター集団hoshizora (@hoshizora_live) / X

音楽のみならず映像作家、イラストレーター、デザイナー、ステージパフォーマーなどエンターテイメントに関わるアーティストが数多く所属している集団hoshizoraの音楽部門による新作コンピレーション。
メインゲストにREMO-CONさんを起用し、過去Hardonizeにもご出演頂いたMck4yさんや、Bound Roundさんが変名義Storm Formantで参加されております。
大枠の意味でのハードグルーヴをテーマとしており、テクノからドラムンベースまでかなり幅広いトラックが収録されているのがこのサークルっぽい。
こういうバリエーション豊かな作品が入手できるのも同人音楽の強みではないかと個人的に思ったりします。

[え-35b] take_de_x / ACID GIRLS 3 -SEX TEEN- [音紅裏]

Stream ACID GIRLS 3 – SEX TEEN – demo by take_de_x | Listen online for free on SoundCloud

take_de_xさんの個人サークル、音紅裏からのニューリリース。
速くて禍々しいアシッドテクノのEPになります。
手数が細かく、トラックの前面に押し出されているアシッドサウンドはアシッドテクノの中でもかなりアングラ感が強いスタイルだと思うので、日本でこの音を手掛けている人がいるのかということになんか面白味を感じてしまいます。
他に例を見ないレアなリリースであることは間違いない筈。

本人が覚えているか分かりませんが、この人と15年くらい前に一緒のパーティーに出たことがあるんですよね。
ちなみにその時はサイケデリックトランスのDJをやっておりました。

[H-21a] V.A. / drawing all memories [lol project]

lol project 055 : drawing all memories demo – YouTube

Utenaさん率いるサークル、lol projectからのニューリリース。
ダムをテーマにしたコンピレーションとなっており、日本各地のダムの名前がそのままトラック名になっております。
収録曲はプログレッシヴ・ハウストランスが多く、巨大な人工物からイメージされる重厚な感じとはある種、真逆の内容だったのが個人的には意外でした。
でも野外で聴いたら気持ちよさそうな印象はあります。

余談ですが参加者のThanatosさんも15年前くらいに初めてお会いし、ちょくちょく一緒のパーティーになったこともあります。
遠方なので会う機会はなくなってしまいましたが、お元気そう且つ曲の趣味も変わってなさそうでほっこりしました。

[G-21b] V.A. / Nocturnal Edge 4 [Liminal Warp]

Stream 【2023秋M3】[LNWP-004] Nocturnal Edge 4 (Preview) by Liminal Warp | Listen online for free on SoundCloud

実験的且つソリッドなビートを手掛けるponiyamaさん主宰によるLiminal Warpからのニューリリース。
アニメ×ベースミュージックをコンセプトにしたコンピレーションシリーズの4作目です。
新興の中ではかなり気に入っているレーベルの1つですが、今回も陰鬱で複雑なビートが満載で、そこに不釣り合いなボイスサンプリングが差し込まれる変ミュージックっぷりに自然と笑みが零れます。
ただ、もっとアニメに詳しかったら更に違う楽しみ方ができるんだろうなという点だけがいつも引っかかるんですよね。難しい悩み。

[う-25b] V.A. / Getting Break 4 [アヤマチレコーズ]

Stream 【XFD】Getting Break 4【F/C M3 2023 Autumn う-25b】 by アヤマチレコーズ(Ayamati-Records) | Listen online for free on SoundCloud

NA7さん主宰のサークル、アヤマチレコーズからのニューリリース。
ブレイクスにスポットを当てたコンピレーションという、これまた珍しい作品。
それもウワモノが華やかでありながらダンスミュージックとして機能するトラックが揃っており、当ジャンルに於いてかなり聴きやすい内容になっている気がします。
これも同人音楽としてスポットが当たることが珍しいのに加え、4つ打ちとハーフテンポの間を良い感じに埋めてくれそうな曲は個人的にありがたいので過去作含めて聴いてみたい作品ですね。

[お-27b] GraphicEdition / grotesque is still talking. [GraphicEdition]

grotesque is still talking. (808Tapes by GraphicEdition) | XFD – YouTube

GraphicEditionさんによるニューリリース。
合成音声×TR-808リズムをテーマにしたトラップビート主体のEP。
緊張感のある深いバックトラックにオタク的コンテクストを持つ合成音声の歌という、ある種相反するこれらの要素が同居しているトラックはアイディアとして面白さを感じました。
先に取り上げたV.A. / Nocturnal Edge 4と合わせて聴いてみたい作品。

[コ-05b] DJ Shimamura / CLIMAX [DYNASTY RECORDS]

DJ Shimamura – CLIMAX (Album) [Official Xfade] – YouTube

今年頭のHardonize #43 15th Anniversary Specialにご出演頂いたDJ Shimamuraさん率いるレーベル、DYNASTY RECORDSからのニューリリース。
清涼感のあるメロディー、治安の悪いベースライン、タフなリズム、下世話なサンプリング、そして本場イギリスのアーティストとのコラボレーションを実現させたプロデュース力などが遺憾なく発揮された国内ハードコアシーンのトップランナーとしてのスキルとアイディアに満ちたアルバム作品です。
毎度DJ Shimamuraさんの作品を聴いていて思うのは、自身が最も得意とするハードコア以外にもその時その時に合わせて別種のトラックが存在し、それらが合間合間に配置されることでしっかりアルバムとしてパッケージしている点で、ちゃんと今回もそういった作りになっているのが良い。
あとBALL OF HIGHのようなテンポシフトするトラックはなんぼあっても良いですからね。

【おまけ】

その他テクノ関連とか個人的に気になっているサークルとか。

[F-05a] You10g, Drumsuko / Portfolio 6 [Full Metal Blanket]

Stream 2023秋M3 新譜XFD 【Portfolio 6】 by You10g | Listen online for free on SoundCloud

[F-24a – アシッド田宮三四郎]

情報なし。
Stream AcidTamiya346 music | Listen to songs, albums, playlists for free on SoundCloud

[H-05b] BBBox / featuring. 花奏かのんβ EP [BBBox]

Stream 【2023秋M3】BBBox – featuring. 花奏かのんβ EP by BBBox | Listen online for free on SoundCloud

[H-08b] Ueno / District-32 [Charterhouse Records]

Stream Charterhouse Records | Listen to District-32 / Ueno playlist online for free on SoundCloud

[H-23b] V.A. / 裏マスキュラー [MOSTMUSCULAR GXR]

Stream 2023 M3秋 「裏マスキュラー」試聴 by Ennnn | Listen online for free on SoundCloud

[G-08b] V.A. / — [circumstance]

circumstance_M3 autumn 2023.10.29(sun)G-08b – YouTube

[G-10a] glitch / Flowing Ambience [glitch@SoundStudio]

Stream [M3 2023秋]Flowing Ambience Xfade by glitch_electro | Listen online for free on SoundCloud

[G-18a] ragia, 業者 / 4ward [Good4Tune]


ragia@秋M3 G-18a (@t7s_ragia) / X

[G-24b] V.A. / WE DIE YOUNG vol.3 [WE DIE YOUNG]

Stream 【2023秋M3】rejection presents WE DIE YOUNG vol.3【XFD】 by rejection | Listen online for free on SoundCloud

[い-25a] K Masera / Hypno-mode lightning [K Masera]

Stream 【Techno】21st Album「Hypno-mode lightning」【M3-2023秋 い-25a】 by K Masera | Listen online for free on SoundCloud

[う-39a – ビッグファイア]

情報なし。
Stream Homma Honganji music | Listen to songs, albums, playlists for free on SoundCloud

[う-28ab] V.A. / UNMORI VOL.7 [東北ハードコア情報局]

東北ハードコア情報局コンピCD「UNMORI VOL.7」試聴クロスフェードデモ – YouTube

[お-03b] numaitu / Semantic Abstraction E.P. [ACID ALLIANCE]

Stream [M3 2023Autumn お-03b “Acid Alliance”] “Semantic Abstraction E.P.” C.F. Demo by numaitu | Listen online for free on SoundCloud

[お-15b] terminus / Cure EP [Drainage]

Stream terminus | Listen to Cure EP playlist online for free on SoundCloud

[お-26b] sanmal / TE [MYORPH]


MYORPH (@myorph) / X

【次回】

そんなワケで今回はここまで。
今週末29日のM3に行かれる方のグッドDIGをお祈りしております。

次週10月31日は774Muzikさんが担当します。
では。

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【特集】ハードハウスクラシック:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/10/12

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知1】

予てよりご報告の通り、2日後にHardonize #45が開催となります。


2023/10/14(sat) Hardonize #45 at waseda sabaco | Hardonize web

ゲストにDJ KITAさんDJ YO-Cさんの大先輩2名をお招きした15周年イヤーの〆に相応しい45回目。
ハード且つファンキー、そしてハッピーなヴァイブスを詰め込んだ6時間をお送り致します。

日にちは10月14日(土曜日)、スタート時間が若干変わりまして15時からとなります。
場所はいつもの早稲田茶箱にて皆様のご来場をお待ちしております。

尚、予てよりお伝えしておりました参加予約登録フォームは申し込み人数が上限に達したため、締め切りました。
お申込み頂いた方々、本当にありがとうございます。
若干の当日入場枠は設けておりますので、お越しの際はお早目のご来場をお願い致します。

【告知2】

11月25日(土曜日)に渋谷R Loungeで行われるハッピーハードコアの老舗パーティーの年末版、HAPPY JACK 忘年会に出演致します。


Hardonizeにも出演経験のある大先輩MorphonicsさんとB2Bさせて頂けることになりました。
初の組み合わせです。
今年はこういった先輩格とのB2Bの機会が多くてありがたい年です。

尚、当パーティーのレギュラーであるDJ DEPATHさん曰く『君たちは事前打ち合わせ禁止だから。』だそうで、既に戦いが始まっている感があります。
どうなるか分かりませんが、是非お越しください。

【近況】

前回、DJ用ラップトップが2台になった話を書きましたが、新端末のセッティングは終わりませんでした。
というか過去解析した楽曲データを復元するのが本当に手間。
(この辺りでどうしてこうなっているのかお察しください。)
今時カビが生えているくらいよく聞くフレーズをあえて言いますけど、バックアップは大事ですね。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

で、今回のゲストのDJ KITAさんDJ YO-Cさんは共にハードハウスとその周辺音楽を強みとしている方たちなので今回はそこに焦点を当てようと思います。
特別連載に於いては第5回に取り上げたハウストランスの要素を持ち合わせたハイブリッドなハードダンスのスタイルであり、
この音楽にスポットを当てた特集は過去5回(※)行っております。

新作ハードハウス (2023年07月版)
新作ハードハウス (2022年03月版)
新作ハードハウス (2021年05月版)
新作ハードハウス (2020年12月版)
新作ハードハウス (2020年04月版)

しかしこれらは全てその時の新譜にスポットを当てており、直近で07月に新譜紹介を行っているので、同じ内容のテーマ回が続くのは個人的にはあまり面白くない。
ならばと今回は趣向を変えまして、

ハードハウスのクラシック

について取り上げていきたいと思います。

今回のゲスト両名も未だに当時のヴァイナルを駆使するプレイヤーなので、今回取り上げた中から当日使われるものも中にはあったりするのではないかという期待も込めています。
とはいえ、この音楽も歴史が長く、また様々な派生スタイルが入り混じっていることは特別連載内で触れた通りなので、あくまで個人的な趣向で10曲セレクトという形になります。
あと、現在配信で手軽に購入が可能な曲に絞りましたが、これのせいで紹介できなかった曲が大量に・・・まぁ昔の曲を紹介する際の一種のジレンマですね。

早速ですがハードハウスクラシック紹介いってみましょう。

【曲紹介】

参考までに特別連載内で取り上げたトラックも一部改めて貼っておきます。
この辺りもクラシックには違いないので。

Kadoc / The Nighttrain

Kadoc – The Nighttrain (Original) [Altra Moda] | Music & Downloads on Beatport

Camisra / Let Me Show You

Camisra – Let Me Show You (Original Mix) [Altra Moda] | Music & Downloads on Beatport

Perpetual Motion / Keep on Dancin’ (Let’s Go) (Banging Club Mix)

Perpetual Motion – Keep on Dancin’ (Let’s Go) (Banging Club Mix) [Altra Moda] | Music & Downloads on Beatport

JS16 / Stomp to My Beat

Stomp to My Beat (Radio Edit) – Song by JS16 – Apple Music

Cortina / Music Is Moving (Bk & Dbm Amber Mix)

Cortina – Music Is Moving (Bk & Dbm Amber Mix) [Nukleuz] | Music & Downloads on Beatport

以下本題。

Untidy Dubs / Funky Groove

Untidy Dubs – Funky Groove (Original Mix) [Untidy] | Music & Downloads on Beatport

1998年リリース。
ハードハウスの名門Tidy TraxのサブレーベルUntidyの初期作品に当たります。
ホイッスルとコーラスが特徴的なサンプリングはGary Toms Empire / Feel That Funky Grooveが元ネタで、テクノに於いても使用されているので耳に覚えのある方もいるかもしれません。
この軽快な音が乗っている一方でリズムは淡々と繰り返され、ベースラインのうねり方も独特な印象を受ける、派手さや煌びやかさとはまた少し趣きの異なるバリアレックなスタイルの曲。

Rim Shot / Everybody On The Floor (Rachel Auburn Remix)

Rim Shot – Everybody On The Floor (Rachel Auburn Remix) [Hard Drive] | Music & Downloads on Beatport

1998年リリース。
こちらは総本山Tidy Traxからリリースされたもの。
規則的なアナログベースのリフに軽快なハイハットの組み合わせが推進力抜群。
ブレイク以降はInner City / Good Lifeを彷彿とさせるピアノフレーズも鳴り出し、シンプルながら快楽指数の高いハードハウスとなっております。

Exit EEE / Epidemic (Ramon Zenker Remix)

Exit EEE – Epidemic (Ramon Zenker Remix) [No Respect] | Music & Downloads on Beatport

1997年リリース。
Tripoli Traxという、こちらも黎明期のハードハウスを語る上で外せない名門レーベルからリリースされた作品。
ループ感の強いシンセリフとドライブ感のあるハイハットリズム、ブレイク以降になるとよりトランスらしいシンセフレーズが前面に出てきます。
特別連載に於いてハードハウスの特徴として挙げたハウスのグルーヴ、トランスのサウンド、テクノのループ感が共存している曲だと思っております。

めちゃめちゃ余談ですが、このRamon Zenkerというアーティスト、浜崎あゆみのリミックスCDに楽曲を提供していた過去があります。
それも割と頻繁に。

浜崎あゆみ / I am… (Ramon Zenker remix)

I am… – Ramon Zenker Extended mix – 曲・歌詞:浜崎あゆみ | Spotify

浜崎あゆみ / WE WISH (Ramon Zenker remix)

WE WISH – Ramon Zenker remix – 曲・歌詞:浜崎あゆみ | Spotify

浜崎あゆみ / You (Ramon Zenker Remix)

You (Ramon Zenker Remix) [Ayu-Mi-X 7 Presents Ayu Trance 4] – Song by Ayumi Hamasaki – Apple Music

この頃のAvexスゲェってなる1件。

TJ Flayerz / All I Want (SCORCCiO Hot Mix)

All I Want (SCORCCiO Hot Mix) – Song by TJ Flayerz – Apple Music

1999年リリース。
強烈にディスコを想起させるストリングスとコーラスを前面に押し出したトラック。
Scorccioワークスの特徴の1つでもあるピッチ高めの早口ラップもテンションの高さに一役買っており、曲全体に対するフィルターの絡ませ方も相まってとにかくファンクネス指数激高です。
一方ハウスに裏打ちされた厚めのビートはダンスミュージックとしての強度をしっかり確立しており、機能性抜群。

今やサウンドエンジニアとしての活動がメインになっているScorccioことMark Summersですが、この頃の彼の楽曲は悉く自分のツボに刺さります。
よく使っているDan Hartman – Relight My FireネタのSouvlaki / Infernoも彼の作品ですし、電子音楽としてのディスコのテイストが体現されまくっているのがとにかく好み。

S-Connection (feat. Anabelle) / Summerlove (Scorccio Edit)

Summerlove (feat. Anabelle) [Scorccio Edit] – Song by S-Connection – Apple Music

これとかも超好きです。
1997年リリース。
原曲のアーバンな感じをほんのり継承しつつ、大方それとはかけ離れた享楽的でアッパーなテンションの高いアレンジ。
配信で購入できるのは尺の短いエディット版だけなのですが、自分は海外からシングル盤を輸入してエクステンド版を手に入れました。

Handbaggers / U Found Out (Tony De Vit Remix)

Handbaggers – U Found Out (Tony De Vit Remix) [Tidy Trax] | Music & Downloads on Beatport

1995年リリース。
ハードハウスが発展する過程に於いて重要な貢献者の1人とされるTony De Vitの作品です。
ボーカルの元ネタはThe Jets / Crush on You
軽快な跳ね系のリズムにオルガンを始めとする柔らかいトランスのサウンドが楽しさを演出しているトラック。

この曲はこちらのリミックスも同じくらい気に入ってます。

Handbaggers / U Found Out (Strike Me Down Mix)

Handbaggers – U Found Out (Strike Me Down Mix) [Tidy Trax] | Music & Downloads on Beatport

軽快さという面では同じくらいでありながら、ベースやピアノのフレーズがより感情的なアレンジ。
パーティーの〆に持ってくれば丸く収まりがち。

どちらも30年近く前の作品ではありますが、初期Tidy Traxのカラーがバッチリ出ていますね。

Strike / U Sure Do 99 (WC1 Mix)

Strike – U Sure Do 99 (WC1 Mix) [Fresh Records UK] | Music & Downloads on Beatport

1999年リリース。
原曲は1994年にリリースされたハウスのスーパークラシックで、あらゆるジャンルでリミックスやブートレグがリリースされております。
このピアノがハードハウスに合わないわけがないのですが、それをド直球に体現したものがこちらだと思います。
このウワモノでありながら意外とブレイクが少なく、リズムパートが多いというのも特徴の1つですね。

Artemesia / Bits And Pieces (Red Jerry Mix)

Artemesia – Bits And Pieces (Red Jerry Mix) [Hooj Choons] | Music & Downloads on Beatport

1995年リリース。
これまでに取り上げた曲と比べて更に裏拍が強調された印象を受ける跳ね系リズムに、ハードハウスくらいしか聴かんなと思わせるアナログ感を残した愉快なフレーズが乗ったトラック。
一応、ブレイクでふわーっとしたパッドシンセが鳴ってエモさを出そうと試みているものの、明けると何事もなかったかのように元に戻ります。
たまに表拍に入ってくるホーンみたいな音もレイヴの残り香が感じられて良い。
Sangoさんにしか伝わらないと思うけどScott Brown / Now Is The Timeを連想させる音。

尚、この曲がリリースされているHooj Choonsというレーベルもトランスハードハウスを古くから牽引してきた伝説的なレーベルです。
トランスのプレイヤーであるところのDJ NECOさんによって書かれた以下のnoteに詳しく纏められているので、ご興味のある方は是非覗いてみてください。

90年代に数々のクラブヒットを生んだUKの伝説的ダンスレーベルhooj choonの魅力 [Trance Classic Archives 05]|DJ NECO

Bulletproof / Mistakes (Knuckleheadz Remix)

Bulletproof – Mistakes (Knuckleheadz Remix) [Tidy Trax] | Music & Downloads on Beatport

1997年リリース。
ラフで太いキックと妖しくうねるベースラインに手数多めの独特なリフが乗った曲。
バウンシーでありながらループ主体の緊張感も伴っている、楽しさや愉快さとは少し異なったハイブリッド感を醸し出しています。

Base Graffiti, Phlash! / Mind, Body And Soul

Base Graffiti, Phlash! – Mind, Body And Soul (Original Mix) [Tidy] | Music & Downloads on Beatport

2002年リリース。
このブレイクで用いられている演説はしばしば他の曲でも聞かれるのですが、C’hantal / The Realmという曲の冒頭部分だったということを今知りました。
序盤のリズムパートでは地味にブラスの音が用いられており、手数の多いハイハットリズムも相まってハードグルーヴに近いものを感じます。
しかし、ロングブレイクを経てメインとなるのはインパクトの高い攻撃的なフーバーサウンドであるため、曲の前後で雰囲気がガラリと変わります。

そういう使い方をしたことはないのですが、今聴くとそう使ってくれとしか聴こえないのでハードグルーヴと攻め系ハードハウスを1曲でスイッチできる曲と認識を改めた次第です。
そう考えると超貴重ですねこれ。

最後に趣味で1曲紹介させてください。

Brainbashers, Woody (U.K.) / Ease The Pressure (Woody Original Mix)

Brainbashers, Woody (U.K.) – Ease The Pressure (Woody Original Mix) [Shock Records] | Music & Downloads on Beatport

2003年リリース。
ある程度シーンが成熟した後の作品になるため、クラシックとは呼べないのですが昔の作品の中では大好きなので。
メインのリズムの中にかなり多くの音が含まれており、厚みを感じられる一方でその中心にドカンと居座るドンクっぽいベースサウンドという点がちょっと面白い。
ピッチ高めの2拍ループボイスサンプルに加え、ブレイク以降で入るピアノフレーズがレイヴの臭気を漂わせているのも特徴的です。
享楽的なのに緊張感があったり、アップリフティングなサウンドの中にシリアスさが感じられたりというこのバランスが個人的にかなり楽しくなれます。
08月に行われたハードハウス配信プログラム、THE DAY OF HARDHOUSE 2023に参加させて頂いた際、最後にかけたのもこの曲でした。

ちなみに本作がリリースされたShock Recordsもまた、1996年から現在まで活動を継続している傑物レーベル。
これまでの新作ハードハウス紹介の中にもちょいちょい登場していたりするので、今後ともお世話になりますという心持ちです。

【次回】

そんなワケで今回はここまで。

皆様10月14日のHardonize #45でお会いしましょう。

次週10月17日は774Muzikさんが担当します。
では。

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