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新作ディスコ特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/07/06

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【近況】

少し前になりますが、06月25日はTOKYO HARD GROOVE SESSION 10TH ANNIVERSARYに出演させて頂きました。
あのフロア面子で、大先輩方のお株を奪わず、且つ時代を合わせようと思ったらJ-POPしか選択肢がありませんでした。
(TAKAMIさん曰く、『そんなワケねーだろ!』)

ちなみに内容はこんな感じです。

で、これもTwitterに書いたのですが、出番直前にラップトップがBIOSループに陥りまして。
リハーサル段階では何も問題なかったのに、DJ開始15分前にブースにセッティングしようとラップトップの電源を入れたら単色青をバックに単色灰色の枠が表示されて英語のメニューが並んでいる始末。
15年程ラップトップでDJやってますがこの現象に遭遇したのは今回が初めてで、あの瞬間は人生で焦ったベスト5には確実に入ったと思います。

結局前のDJの方に無理言って延長して貰い、なんとか5分~10分押しで復旧、出番自体は無事に終えることができましたが、
復旧までの間はブース横で電源を入れて軽くキーボード操作しては項垂れ、また電源を長押しして軽くキーボード操作しては項垂れの繰り返しで、しかもそれを結構色々な人に見られていたらしく、今思うと大分恥ずかしかったですね。

パーティー自体は今回も非常に楽しかったのですが、これも含めて試練になるとは思いませんでした。
アクシデントをどう乗り越えるかでDJの本質が現れるとはよく言ったのものですが、そう考えると自分はまだまだだなと痛感した次第です。
まだまだクラブから学ぶことは多い、というわけでラップトップ使いの人は重々気を付けましょう。

あとこれは近況と言うか前回のyudukiボスのエントリーで触れられていたおすすめイベント情報なんですけど、来週末がマジでヤバいですね。

14日金曜日にハードトライバル、ひいてはハードグルーヴの原型を作ったと言っても過言ではないMARCO BAILEYの来日が控えており、
翌15日土曜日はガラージベースラインの雄DJ Qが来日します。
更に16日日曜日はダークドラムンベースハードコアの架け橋となっているThrasherの来日と各ジャンルを代表する外タレラッシュが続きます。
個人的にはどれも見逃せないと感じているので、しっかりと体調管理をして来週を迎えたい所存です。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

ディスコ

になります。

特別連載に於いては番外編の3回目に取り上げた、1960年代から続く由緒正しいダンスミュージックになります。
アーバンでファンキーな生音、もしくはシンセサイザーによるリフが特徴的であり、これらのパーツは現代の様々な音楽に引き継がれていることは耳馴染みがあると思います。
所謂オーセンティックなディスコはバンド形態による生音メインのサウンドになりますが、
Hardonizeで取り上げるからにはテクノハウスといったエレクトリックダンスミュージックとの相性が良いものに絞りました。

この音楽にスポットを当てた特集は過去2022年09月2020年07月に行ったり、近似的な内容として2021年07月に新作速いハウスとしてお送りしておりますが、
また暫く間が空いてしまったこともあるので、改めてここ1~2ヵ月の間にリリースされたトラックについてピックアップしていきます。

早速ですが新作ディスコ紹介いってみましょう。

【曲紹介】

Hatiras / Fire

Fire (Original) by Hatiras on Beatport

カナダのベテランプロデューサーHatirasによるディスコ
うねりのある太いベース、ゴージャスなブラスとストリングスがフィルターをくぐらせつつ進行し、その上をソウルフルな女性ボーカルがどっしり構えるファンクネス指数の高いトラック。
ハウスの肉感的でエロい雰囲気がムンムンに漂ってます。

Hatirasテクノに肩入れしていた2000年頃から相変わらずこういうディスコタイプのトラックを作り続けており、僕とか774Muzikさんは大好きですね。

DiscoGalactiX / Lunatic

Lunatic (Original Mix) by DiscoGalactiX on Beatport

オーストラリアのプロデューサーDiscoGalactiXによるディスコ
カッティングギターとシンセの絡みがポジティブな高揚感を煽るトラック。
アナログっぽい質感のあるベースもトラックのアーバンな雰囲気に一役買ってます。

Sean Biddle / Mo’Money, Mo’Problems

Mo’Money, Mo’Problems (Original Mix) by Sean Biddle on Beatport

アメリカのプロデューサーSean Biddleによるディスコ
こちらもブラスとストリングスのウワモノが特徴的ですが、太い存在感のあるベースとこれでもかと言わんばかりのフィルター使いがミソのトラック。
ループ感強めなので、一部のテクノとも合わせやすそうな気も。

Datsko / In Da Q

In Da Q (Original Mix) by Datsko on Beatport

ドイツのプロデューサーDatskoによるディスコ
やけに前のめりなオルガンシンセにリズミカルなラップが乗ったこちらもループ感の強いもの。
キックとかクラップの質感は妙にガラージを彷彿とさせる気がします。
尺の長さや曲全体の構成にも共通点があるので、そういうクロスオーバー要員としても存在感を発揮しそうな曲。
間奏にアーメンブレイクが差し込まれているのも面白ポイントですね。

Big Dope P, Reija Lee / Can’t Control Myself

Can’t Control Myself (Original Mix) by Big Dope P, Reija Lee on Beatport

イギリスのプロデューサーBig Dope PとオーストラリアのシンガーReija Leeによるディスコ
スムースなボーカルにキラキラしたレトロなシンセというエモーショナルさを演出しつつも、シカゴハウス直系の黒くて太いベースは維持という、ある種の相反した要素を持ち合わせたトラック。
2分半という尺の短さを活かしてスイッチ的に使えると理想的かなと思う一方、リズム主体の流れでいきなり放り込むとかもそれはそれでアリな気も。

Mr. Confuse / No Time to Snooze

No Time to Snooze (Original Mix) by Mr. Confuse on Beatport

ドイツのプロデューサーMr. Confuseによるディスコ
今回の変わり種枠。
ブラスやギター、オルガンといった生音メインの音使いは電子音楽以前のディスコファンクを踏襲している一方、
それが打ち込みのブレイクビーツに乗っているのが割と珍しめ。
割とヌルッと展開が変わっていくので4つ打ちの流れで使うのは難しそうですけど、個人的には何とか使う方法はないかと模索し甲斐を感じてしまう作品。

今回初めて見つけたこのMr. Confuseというアーティストですけど、昔からこんな感じだったんですね。
3年前の曲がこちら。

Mr. Confuse (feat. Inna Vysotska) / Lookout Weekend

Lookout Weekend (feat. Inna Vysotska) (Original Mix) by Mr. Confuse, Inna Vysotska on Beatport

力強いソウルフルなボーカルとカッティングギターにブラスサウンド、そして打ち込みの太いブレイクビーツ
めちゃめちゃインパクトあるし、DJ云々の前に曲として好きですねこういうの。

Phunky Data / Disco Graphy

Disco Graphy (Original Mix) by Phunky Data on Beatport

フランスのプロデューサーユニットPhunky Dataによるディスコ
本来のリリースは1997年らしいのですが、謎に先月配信開始となった曲。
やや落ち着いた感じを受けるオルガンの音がめちゃめちゃ太いリズムに乗っており、全体的にローファイな出音も相まって良い感じの古臭さが漂っています。
キックこそ4つ打ちですが、その他のドラムパーツやリフはブレイクビーツを意識させるものが多いので、使い方次第で両者間の間を上手く埋めてくれそうだなと思いました。
古い曲で例えるとGrooveyard / Watch Me Nowに近い思想を感じるというか、そういえばこれもローファイな出音でしたね。

他にも直近で配信開始になった曲というのが結構あって、純粋な4つ打ちもかなり好みでした。

Phunky Data / The Dancers

The Dancers (Original Mix) by Phunky Data on Beatport

こちらは2000年が初版ですが、配信は今年の05月からという時を跨いだもの。
延々反復するギターループに時折差し込まれるブラスのフィルというシンプルな構成ですが、見つけた時は『これこれ、こういうのでいいんだよ!』ってなってしまいました。
ウワモノだけ活かす形で近年のハードグルーヴと並行して流す、というツール的な使い方もできるかもしれません。

Samuel L Session / Velvet (Safety Session Mix)

Velvet (Safety Session Mix) by Samuel L Session on Beatport

スウェーデンのベテランプロデューサー同士、Adam BeyerJoel Mullのユニット、Safety Sessionによるディスコ
そして原曲がSamuel L Sessionなので、往年のテクノヘッズには堪らない名前が勢揃いしています。
ちなみにめちゃくちゃ昔の曲でJoel Mull, Adam Beyer / Safety Sessionという曲があったりします。
774Muzikさんが過去のHardonizeで使ってました。

その内容も名前負けしないくらいには凄い。
反復系のブラスリフに永続的なパッドシンセ、手数の多いパーカッションリズムとハードグルーヴ的要素が用いられている筈なのに変態的としかいえないベースが全てを食ってしまっている曲。
出音、フレーズ、そしてうねり方全てがおかしく、ただひたすらに不穏。

別の曲のベースが間違えて入っちゃったんじゃないかとすら思えます。

Alex van Alff / Homeboyz

Homeboyz (Original Mix) by Alex van Alff on Beatport

オランダのプロデューサーAlex van Alffによるディスコ
前のめりな金物リズム、動きのあるベースライン、アップリフティングなピアノループ、シンプルなシンセと使いまくりのフィルターエフェクト・・・。
これぞ直球ドストライクなディスコテクノだと思うし、今回めちゃめちゃ好みに突き刺さりました。
個人的にこういう陽気で楽しい音を求めてディスコを掘っている感はありますね。

他の最近の曲もとても良かったのでもう1つ。

DJ Jeroenski, Alex van Alff / Don’t Look Back

Don’t Look Back (Original Mix) by DJ Jeroenski, Alex van Alff on Beatport

こちらは同郷オランダのプロデューサーDJ Jeroenskiとの共作。
手数の多いパーカッションリズムとストリングスループというシンプルながら相性抜群のツープラトン。
2000年代前後のディスコテクノに傾倒していた方にとっては、当時を思い起こさせる作りになっているのではないかと思います。

Eoghan Tomas / Music Is My Drug (Miami House Party Extended Remix)

Music Is My Drug (Miami House Party Extended Remix) by Eoghan Tomas on Beatport

イギリスのプロデューサーユニットMiami House Partyによるディスコ
過去のディスコ特集回に於いてもかなりの回数触れているアーティストではありますが、今回も個人的な大ヒットを叩き出しました。
芯のあるキックと完全裏打ちのベースによってグイグイ引っ張っていくリズム構成に加え、ループ感強めのギターリフとうっすら敷かれたストリングスがファンクネス指数高得点をマーク。
多種多様なサウンドがフィルで用いられていたり、パートによってはラップが乗っていたりと賑やかさも今回ピカイチ。
長くお世話になりそうなトラックが出てきて嬉しい限りなので、最後に紹介させて頂きます。

【次回】

そんなワケで今回はここまで。

次週07月11日(予定)は774Muzikさんが担当します。
では。

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一風変わったトラックの日本語ラップ特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/06/22

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【今回のビックリ楽曲】

ピノキオピー feat. 初音ミク, ARuFa / 匿名M

ピノキオピー – 匿名M feat. 初音ミク・ARuFa / Anonymous M – YouTube

2021年に発表された神っぽいながボーカロイド楽曲全体から見ても記録的なヒットとなったことが記憶に新しいアーティストピノキオピー
実は初期作品からずっとアルバムを購入しておりまして、先月最新アルバムMETAがリリースされたので聴いた次第であります。
その中に収録されている1曲がこれで、歌っている内容の面白さもさながら、口語に音階を付け、それを和音にしてメロディーを作っている箇所があって大いに驚きました。

なぜってこれは15年程前に今は亡きimoutoidが行っていた手法そのものだったからです。

imoutoid / ほーら、たまには日に当たらないと、カビが生えるわよ

ほーら、たまには日に当たらないと、カビが生えるわよ / imoutoid – YouTube

こんな変態的なことをやるのは後にも先にもimoutoidだけだろうと思っていたので、まさか15年越しに同じ感情を味わうことになるとは思いませんでした。

そんな個人的驚きがあったアルバムMETA、とてもオススメです。
脂と勢いの乗りまくったボーカロイドの今を知る意味でも是非。

ピノキオピー – 6th Full Album「META」[trailer]

ピノキオピー – 6th Full Album「META」[trailer] – YouTube

【告知】

今週末の日曜日に新宿WARPで開催されるTOKYO HARD GROOVE SESSION 10TH ANNIVERSARYに出演します。


パーティー名の通り、ハードなダンスミュージックの見本市と言うべき催し。
10周年のめでたいタイミングでお声がかかったことはとても喜ばしいと感じております。
同じフロアの共演者は10個くらい歳の離れている先輩しかいないという孤立無援の状況ではありますが、置いていかれないよう何とか役目を果たしたいと思っています。
豪華面々が一堂に介していることについては疑いようが無いので、是非お越しください。
(マジで何をやればいいんだ・・・。)

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

それはそれとして、次回のHardonizeはまだまだ先になりそうなので、このタイミングでハードテクノ以外の音楽も取り上げたいと思ってしまう複雑な乙女心。
連載名は『今週のオススメハードテクノ』なんですけど、まぁHardonizeはハードテクノ以外も流れるので。
流すのは主に僕なんですけれど。

で、今回取り上げたいテーマとしては

一風変わったトラックの日本語ラップ

になります。

ヒップホップと聞いてイメージされるのは昔ながらのBPM100前後のブレイクビーツ、いわゆるブーンバップと呼ばれるスタイルか、最近のベースミュージックに合流したスタイル、トラップが現行の大半を占めていると思います。
勿論、これらが更に進化したスタイルというのも日々生み出されており、まさに日進月歩の速度で変化し続けている音楽であることは疑う余地はないでしょう。

しかし、以前テクノに近いビート、テンポの日本語ラップを取り上げたように、メインストリームの枠に収まらない一風変わったトラックを持つ日本語ラップというものもリリースされております。
テクノと距離がかけ離れているように思えるヒップホップでも、両者の要素を取り入れた楽曲は存在するということが先の特集から伝わっていれば嬉しいです。
一方で以前スポットを当てた楽曲はリリースされた時代を問わず選定したため、最近はどうなのよ?という点について今回触れていきたいというのが今回の趣旨になります。

とはいえ全体数からするとこうしたトラックは少数派ではあるため、今回取り上げる曲のリリース期間の範囲を若干広げて今年2023年にリリースされたものから紹介していきます。
テクノと近しいものから既存のジャンルに囚われないものまで取り上げてみましたので、普段こうした音楽に触れない方々にも新しい発見をお届けできたら嬉しいです。

それでは一風変わったトラックの日本語ラップ紹介いってみましょう。

【曲紹介】

RHYMESTER feat. Rei / My Runway

My Runway feat. Rei – RHYMESTER | Spotify

早稲田大学にルーツを持つ2MC、1DJの大ベテランクルーRHYMESTERとギタリストでありシンガーでもあるReiによるヒップホップ
昨日21日に発売となったアルバム、Open The Windowに収録された最新曲です。
4つ打ちのビートにファンキーなベースラインが合わさったハウスライクなバックトラックはとても耳馴染みが良い。
レトロなシンセが用いられていたり、アグレッシブなギターソロのパートがあったりとウワモノの煌びやかさみたいなところも聴いてて楽しいポイントです。

梅田サイファー / KILLING TIME

KILLING TIME – 梅田サイファー, KennyDoes, KOPERU, KZ, テークエム, peko, KBD, teppei, R-指定 | Spotify

大阪梅田のラップ集団梅田サイファーによるヒップホップ
メジャーレーベル移籍後、初のアルバムとして03月にリリースされたRAPNAVIO収録曲です。
こちらもグルーヴ感のある太いベースラインと4つ打ちのリズムが特徴的ですが、テンポは一般的なハウスと比べると少しだけ遅め。
ウワモノの生っぽい音が織り成すアーバンな雰囲気と大人数編成を活かしたフロー回しのバリエーションはなかなか類を見ないものに仕上がっている印象を受けます。

Fuma no KTR × SKRYU × WAZGOGG / How Many Boogie

Fuma no KTR × SKRYU × WAZGOGG – How Many Boogie 【Official Music Video】 – YouTube

フロー巧者の若手MC2名、Fuma no KTRSKRYU、及びトラックメイカーのWAZGOGGによるヒップホップ
05月リリース。
これも完全4つ打ちのビートなのですが、それ以上にずっとジャーマンエレクトロのようなベースシンセが鳴っているのが異質な印象を受けます。
電気グルーヴモノノケダンスHOMEBASEに通じるものがある気がしているので、これらが好きなら是非聴いて欲しいところ。

余談ですが、Fuma no KTRは大のポケットモンスター好きとして知られており、現在放送中のアニメ、ポケットモンスターのエンディングテーマの作詞及び作曲をWAZGOGGと共に手掛けております。
ポケモンの名前をラップに取り入れるという内容なのですが、TVサイズ90秒とは思えない高密度のリリックになっており、子供向けアニメでこれをやるのかと思うと舌を巻くものがあります。

森, Shinichi Osawa / YAZAWA

森 prod. by Shinichi Osawa|Red Bull 64 Bars – YouTube

どんぐりずのメンバーであるをMCに起用し、トラックをMONDO GROSSOとしても知られるShinichi Osawaが手掛けたヒップホップ
01月リリース。
飲料メーカーのRed Bullが主宰している、意外性のあるラッパーとトラックメイカーをブッキングして64小節の曲にするという企画の1つとして公開されたもの。
当然、通常はヒップホップをメインフィールドにしているアーティスト同士が起用される傾向にあるので、このShinichi Osawaに白羽の矢が立った回というのはかなり攻めた試みだと言えます。

で、トラックはというとかなりラフなキックとアシッドシンセの際立つオーセンティックなテクノで、ここにラップが乗ること自体、かなり挑戦的。
そのラップも音として気持ち良いリズム重視なもので、かなり前のめりなグルーヴを引き出しています。
途中で非4つ打ちにビートチェンジする仕掛けもあり、ヒップホップテクノの両側面から斬新なアプローチをしているトラック。

釈迦坊主 / Abyss

Abyss (prod by shaka bose 釈迦坊主) – YouTube

ラッパー且つトラックメイカーでもある釈迦坊主によるヒップホップ
02月リリース。
フューチャーガラージと呼ばれるアンニュイで冷たい空気感を纏ったジャンルのバックトラックとなっております。
エレクトロニカにも通じる隙間の多いリズムやしっとりとしたウワモノが好きな方にオススメ。

Yvng Patra (feat. Tade Dust) / MONEY LOVE RESPECT

MONEY LOVE RESPECT (feat.Tade Dust) – YouTube

Yvng PatraTade Dustによるヒップホップ
05月リリース。
耳馴染みのあるストレートな2ステップトラックを起用したもの。

この手の2ステップ/ガラージヒップホップがじわじわと増えているのでありがたい限りです。
今年のリリースではないですが、ralph (feat. AJAH) / D.N.RSAM / STEPKEN THE 390 feat. 漢 a.k.a. GAMI, 鎮座DOPENESS (Prod Kan Sano) / Re:verse (Remix)辺りもこの系統ですので合わせて是非。

NEI (Prod by C.O.S.A.) / ENN

NEI – ENN (Prod by C.O.S.A.)【Official Music Video】 – YouTube

NEIC.O.S.A.によるヒップホップ
03月リリース。
このジャンルを何と言うのでしょう?
速いテンポに4つ打ちを崩したようなキックパターン、ややトライバルなリズムと浮遊感のあるシンセの組み合わせという、あまりダンスミュージックシーンでも耳にしないようなトラックが使われております。
UKファンキーを早回ししたものが1番近いような気もする。
何にしても既存のフォーマットに囚われない斬新な曲と出会えると個人的には大変嬉しくなります。
語りかけるようなフローのラップも非常に心地良い。

DownTownDogs / BOOZER

BOOZER – DownTownDogs, EIEN, Kampf | Spotify

DownTownDogsによるヒップホップ
04月リリース。
これは直近でかなり面食らった曲の1つです。
ジャージークラブという独特なリズム回しを持つ音楽(Soundcloudでタグ検索するとこんな感じ)を早回ししたものがトラックに使われています。
このジャンルでオリジナルの日本語ラップというだけでレアなのに、それを速いテンポに落とし込んでいるというのは相当な開拓精神がないとできない筈。
サウンドそのものはテンポの速さや歌詞の内容も相まってポジティブな雰囲気を纏っているものの、アングラ音楽好きにこそ刺さりそうだなと思いました。

SUSHIBOYS / 木にしない

木にしない – SUSHIBOYS (Official Music Video) – YouTube

ラップユニットSUSHIBOYSによるヒップホップ
04月リリース。
このサムネイルの時点で相当インパクトがありますが、サウンドはある種それ以上の打点を叩き出しています。
4つ打ちのビート、ハードハウスを彷彿とさせる完全裏打ちのベース、トランス感のあるシンセとどれもが旧来のヒップホップとは真逆の要素だらけ。
そこにオートチューンの効いたラップが乗るという、これもまた明らかに類を見ない異質な曲。

これに関しては歌詞も好きでして、フックの『悩みの種にばかり水やりする 僕らは気になる事を木にしている』というシンプルなラインの中に込められた比喩には誰しも思い当たるものがある筈。
サウンド、歌詞、そして映像の全てが痛快な作品。
非常にオススメです。

最後にジャンルとしてのヒップホップには分類されないものの、近い要素と絶大なインパクトを持つと思われるものを1つ。

水曜日のカンパネラ / 赤ずきん

水曜日のカンパネラ『赤ずきん』 – YouTube

ユーモアに溢れまくった曲と不思議な可愛さのあるボーカルが特徴的な音楽ユニット水曜日のカンパネラによる02月リリース作品。
パートによってラップ、語り、歌いと分ける器用さもさながら、誰もが知っている童話『赤ずきん』をここまでギャグの世界観に落とし込む歌詞には脱帽の一言。

そしてトラック。何このトラック。
リズムのパターンとしてはガラージを彷彿とさせるものの、機械的で太いキックのサウンドはテクノ的。
サビではウワモノにピアノやギターなど清涼感のある音が加わり、2回目のサビではとうとう4つ打ちになるという、分類不可能の音楽。
これも映像含めて相当痛快なので面白音楽好きは是非触れてみてください。

【まとめ】

以上、一風変わったトラックの日本語ラップをお送りしました。
このように様々な音楽がヒップホップとクロスオーバーしているのが現状です。
これはつまりヒップホップという枠の中であらゆるジャンルへのシフトが可能になることを意味しており、DJの幅が大きく広がる可能性に溢れていると言えます。
(何ならつい先日そういったプレイをしてきました。)
自分は今のところ、ほぼ日本語ラップに絞って聴いておりますが、海外でもこういったリリースがあるのかについてはDIGのし甲斐がありそうなので、面白いトピックが見つかったらまた取り上げたいと思います。

そんなワケで今回はここまで。

次週06月27日(予定)は774Muzikさんが担当します。
では。

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