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【特集】Hardonize#41 プレイリストピックアップ - Resident’s Recommend 2022/07/21

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【Hardonize #41 無事終了】

先週はHardonize #41でした。
お越し頂いた方々、お聴き頂いた方々、本当にありがとうございました。

何が起こるか分からない度合いについては過去最高が予想されておりましたが、蓋を開けてみれば最早何でもアリ感が強く出ていた回でした。
テンポは一定にキープしつつもあらゆるネタモノとサウンドをごっちゃ混ぜにしたgekkoさん、
逆にテンポの垣根すら飛び越えてドラムンベース、ガバ、ファンコット、果てはSystem Of A Downまで飛び出したMck4yさん、
両者とも笑って聴けるナイスプレイでした。
個人的にはこういうパーティーが好みなもので、めちゃくちゃ楽しかったです。

して、現地で告知が出たように次回日程が決まっております。

10月29日でございます。
猛暑である現在と変わって、涼しくなっているであろう時期のハードテクノを是非お楽しみください。
ゲストについては追って公開と致します。

今気付いたんですけどM3前日ですね。

【Hardonize #41 トラックリスト】

さて、自分はこの日gekkoさんの後、Mck4yさんの前という、ゲスト2名の間を繋ぐ役を仰せつかりました。
gekkoさんからどんな曲で渡されるのか全く想像できなかったので完全に出たところ勝負になりました。
とはいえ、こういう状況は逆に楽しくなってしまうタイプなので、それがプレイ内容にも出たような気がします。

大まかにはハードグルーヴハードハウスベースライン速いテクノ速いベースラインジャングルテクノハウス
合間合間にジャンル不定形みたいなトラックを差し込んでいるので日頃から紹介しているような変ミュージック感は出せたと思いたいですね。

全容はこちら。
ってかプレイ履歴見返したら30曲も使っていたらしく、自分でビックリしました。

No Artist Trackname Link
01 Homma Honganji Shosetsu Shinzui Beatport
02 F.Tek Sonoplastic Mesure Beatport
03 Almir Ljusa Cumbia Beatport
04 Wildberg Cuba Beatport
05 Lilson Funkster Beatport
06 M.I.T.A. Saturday Night Cleaver Beatport
07 Andy Naylor Live Together (Andy Naylor Rework) Beatport
08 meganeko Echolocation Beatport
09 Mufasa You Got Too Beatport
10 JoJo No Gimmicks Beatport
11 The Infamous, Skimm Buck Up Beatport
12 Carl Nunes feat. Zwart-Wit Cabron Beatport
13 Fuma no KTR, WAZGOGG (feat. nns & kkn) PockeTrance YouTube
14 Rawtek, Sihk Gabber! At The Disco Beatport
15 OTIRA It’s Time For Tekno Beatport
16 ClariS カラフル (maon remix) 試聴なし
17 Boris S. It’s A Trap Beatport
18 Quintino Carnival Beatport
19 Wuki Popcorn Man Beatport
20 Mighty Mark (feat. Ernest Third) Chance Right Now (Big Dope P Remix) Beatport
21 Utada Hikaru Travelling (Kokushimusou No Future House Mix) SoundCloud
22 WE ROB RAVE ALMODOVO bandcamp
23 Da Hool Meet Her at the Love Parade (Slick Shoota Remix) bandcamp
24 Acen Trip To The Moon Pt.1 (Danny Byrd remix) Beatport
25 Neve Swheat Beatport
26 Simplification Love Forever Beatport
27 Mall Grab Love Reigns Beatport
28 Inner City, Armin van Buuren It Could Be (Genix Extended Remix) Beatport
29 NORIKIYO What Do You Want? YouTube
30 X-FACTOR 7 DON’T HATE ME NOW YouTube

例によって数曲かいつまんでご紹介します。

【曲紹介】

01 / Homma Honganji / Shosetsu Shinzui

Shosetsu Shinzui (Original mix) by Homma Honganji on Beatport

我らが日本のハードグルーヴマスター、Homma Honganjiさん作品。
ぶっといベースラインと陽気なパーカッションリズムにピアノ、ブラス、コーラスによるラテンフレーズが乗った極上ハードグルーヴ
他の追随を一切許さないファンクネスサウンドにHardonize一堂興奮しっぱなしです。
どう聴いても日本人の感性の音ではない。

07 / Andy Naylor / Live Together (Andy Naylor Rework)

Live Together (Andy Naylor Rework) by Andy Naylor on Beatport

イギリスのプロデューサーAndy Naylorによるファンキーハードハウス
フィルターがかった裏打ちのシンセがディスコのバイブスを醸し出しており、煌びやかさよりも陽気さを纏ったバウンシーなトラック。
ちょっと前のハードハウス特集でも取り上げたナイス過ぎる逸品。

08 / meganeko / Echolocation

Echolocation (Original Mix) by meganeko on Beatport

スウェーデンのプロデューサーmeganekoによるベースライン
イントロ、ブレイクは男性ボーカルの乗った感情的なブレイクス、メインパートはリリースの長いシンセを前面に出した前2小節とシンプルなリズム主体の後2小節を繰り返し、中盤ではダブステップリズムまで組み込まれたテクニカルな展開を見せるトラック。
長くない尺の中でコロコロと表情を変える面白さが◎。

13 / Fuma no KTR, WAZGOGG (feat. nns & kkn) / PockeTrance

Fuma no KTR × WAZGOGG – PockeTrance feat. nns, kkn 【Lyric video】 – YouTube

日本のトラックメイカーWAZGOGGがラッパーFuma no KTRnnskknを起用したヒップホップ
リズムがローリングベースの4つ打ち、なのに日本語ラップが乗っているかなり珍しい曲。
前回のテクノに近いビート、テンポの日本語ラップの中でも取り上げておりましたが、この曲に関してはこの手のベースライン好きにも刺さると確信しているので、好事家の方々に於かれましてはどうか手に取って欲しい。

14 / Rawtek, Sihk / Gabber! At The Disco

Gabber! At The Disco (Original Mix) by Rawtek, Sihk on Beatport

アメリカのプロデューサーRawtekとインドネシアのプロデューサーSihkによるハードダンス
もうタイトルからして卑怯なんですが、やたらとレトロで不思議なフレーズの下を古臭いガバキックが支えているジャンル不定音楽。
本当に変だし本当に好き。

15 / Otira / It’s Time For Tekno

It’s Time For Tekno (Extended Mix) by Otira on Beatport

フランスのプロデューサーOtiraによる速いテクノ
アーメンブレイクと派手なシンセサウンドからなるレイヴの臭気漂うイントロから一転、ビックリするくらい圧の強い4つ打ちリズムが飛び出すこれまた変ミュージック。
テクノのアクの強い部分を更に煮詰めたかのようなエグめの音が鳴っていてこれもずっと好きな1曲です。

当時はこれが天下無双のEDMレーベル、Dim Makからリリースされたことに驚愕したものです。
今はもう慣れました。

18 / Quintino / Carnival

Carnival (Extended Mix) by Quintino on Beatport

オランダのプロデューサーQuintinoによるトラップ
Sergio Mendes / Fanfarra (Cabua-Le-Le)ネタ、テクノ的に分かりやすく言うとCave / Street Carnivalネタのトラップです。
あの喧しいパーカッションがオーソドックスなトラップビートに乗っている違和感が堪らない曲。
ちなみに後半は4つ打ちになって更にアホっぽい展開を迎えます。

ずっとHardonizeで使いたいと思っていた1曲だったので、やっと使えて良かった。

20 / Mighty Mark (feat. Ernest Third) / Chance Right Now (Big Dope P Remix)

Chance Right Now (feat. Ernest Third) (Big Dope P Remix) (Big Dope P Remix) by Mighty Mark, Ernest Third on Beatport

イギリスのプロデューサーBig Dope Pによるゲットーテック
めちゃめちゃグルーヴ感のあるベースラインにアーバンなオルガンシンセのフレーズが心地良い。
中盤以降のエディットセンスも大変良く、何よりこのサウンドの程良く肉感的な感じと、ひたすら反復するシーケンスの程良く機械的な感じが上手く合わさっているのが堪らなく好きです。

ちなみに原曲はというとスムースなブレイクビーツであり、全く異なるアレンジがされているリミックスという点も凄いところ。

23 / Da Hool / Meet Her at the Love Parade (Slick Shoota Remix)

Meet Her at the Love Parade (Slick Shoota Remix) | We Buy Gold

ノルウェーのプロデューサーSlick Shootaによるジューク
原曲はかつてドイツで行われていたヨーロピアンレイヴの代表格、ラブパレードのアンセムという大ネタ。
インパクトのあるあのフレーズを最大限に使い倒しつつ、たまにリズムを4つ打ちにする遊び心もあったりと悪ノリ感強めの楽しいブートレグ。
フリーダウンロードなので是非。

25 / Neve / Swheat

Swheat (Original Mix) by Neve on Beatport

イタリアのプロデューサーNeveによるハードコア
といっても一般的に想像される煌びやかなシンセを軸としたサウンドではなく、小気味良いハイハットとアナログ感のあるローファイなベース、4つ打ちのキックを軸としたプリミティブながら新しいスタイルの曲。
テクノハウスといったリズムの繰り返しによるグルーヴという要素を、良い形で速いテンポに持ち込んだという点で秀逸です。
出音も非常に良くて、特に深度と空間的広がりを兼ね備えたベースの音は痺れます。

ちなみにここ数年で1番使い倒している曲です。
Hardonizeの前週に出演した静岡のパーティーでも使いました。
あっちもハードテクノのパーティーでしたけど。

28 / Inner City, Armin van Buuren / It Could Be (Genix Extended Remix)

It Could Be (Genix Extended Remix) by Armin van Buuren, Inner City on Beatport

イギリスのプロデューサーGenixによるテクノ
元ネタは1988年にリリースされたハウスの大クラシック、Inner City / Good Life
それを本人たちと世界的プロデューサー、Armin van Buurenが30年越しにリメイク、更にそれを公式にリミックスしたものがこの曲となります。

印象的なピアノフレーズはほぼそのままに、近代テクノの硬いビートがループする質実剛健なアレンジ。
使いやすさも兼ね備えているので、Mck4yさんが拾いやすいように〆る方向に持って行った感じです。
まぁ次に繋いだのヒップホップなんですけどね。

まとめ

以上、Hardonize #41プレイリストをお送りしました。
全く違う曲を線で繋いでいくのはやっぱり楽しいですね。
ちなみにプレイ終了後、ボスからは『序盤10分と終盤10分だけハードテクノのパーティーだった。』と言われました。

ここ数回の担当回でハードテクノに絞らず、色々な音楽にスポットを当て続けた伏線が回収できたかなと思っております。
ハードテクノのパーティーと謳いつつ、こういうプレイは行っていきますし曲も紹介してまいりますので引き続きよろしくお願い致します。

そんなわけで今回はここまで。

次週07月26日は774Muzikさんが担当します。
では。

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テクノに近いビート、テンポの日本語ラップ特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2022/07/07

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知1】

Hardonize、いよいよ来週でございます。

2022/7/16(sat) Hardonize#41 at waseda sabaco

gekkoさん、Mck4yさんをゲストにお迎えしております。
最早思惑が何周もしているため、結果いつものHardonizeに落ち着く可能性もゼロではありません。
個人的には何が飛び出すか読めないパーティーの方が好きだったりするので、どういう進行になろうともそこにフィットできるプレイを目指したいところです。
07月16日、会場はいつもの早稲田茶箱でお待ちしております。

再三の申し出で恐縮ですが、今回も入場エントリー制となっておりますので以下のURLよりご登録をお願い致します。
Hardonize #41 in東京 – パスマーケット

【告知2】

前回もお伝え致しました通り、今週末07月09日はTakayuki KamiyaさんやKouki Izumiさんら東京のテクノ勢と一緒に静岡COAでプレイします。


東京以外でプレイできる機会はとても貴重なのでとても楽しみです。
こちらはオーガナイザー直々にハードテクノというオーダーを頂いておりますので、ハードテクノをメインに周辺音楽もちょいちょいを軸に良い感じトラックをごっそり持って行きます。
お近くの方は是非。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

やっぱりそれはそれとしてなんですけど、最近こんな本を買いました。


スヌープ・ドッグのお料理教室 | 晶文社

すっかり面白おじさんとして板についているオリジナル・ギャングスタによるお料理レシピ本です。
この人のこれまでのキャリアを知る人からしたらどんな危ないことが書いてあるんだと思われるでしょうが、物凄い真面目に故郷アメリカのローカルフードの作り方が書いてあり、本当に美味しそう。
日本では見かけない、あのいかにも現地感のあるハイカロリーな料理はこうやって作られているのかというのを知ることができますし、中にはそんなに難易度が高くなさそうなものもあって料理初心者でも参考になる箇所がいっぱい。

何より装丁はめちゃめちゃカッコいい。
見栄えもするし、実用性も抜群ということで是非手に取って欲しい一冊です。
そこそこ大判なので嵩張るのが嫌という方には電子版も各プラットフォームから出ています。

まぁ、とはいえアーティストとしてブレないのがやっぱり面白い。
最近Eminemとコラボレーションした曲のPVが公開されてましたが、開始5秒で笑ってしまいました。

Eminem & Snoop Dogg / From The D 2 The LBC

Eminem & Snoop Dogg – From The D 2 The LBC [Official Music Video] – YouTube

何だその太さのアレ。
フィクションでも見たことが無いぞ。

と、いきなりヒップホップに関する前口上を展開しておりますが、今回Hardonizeにお招きしたMck4yさんはヒップホップにも詳しく、そちらのシーンでも活動拠点となるパーティーをいくつか持っている本当に幅の広い人です。
昔はテクノヒップホップは明確に対立しており、どちらもどちらを認めない時代があって自分みたいな両方聴く者としては非常に肩身が狭かった思い出があります。
今はそれこそMck4yさんや以前ご出演頂いたharaさん、DubYukaさんといった若い世代のプレイヤーやリスナーが幅広く音楽を聴いているおかげでその頃程両者の溝はないような気もしますが、
やはり独自のフォーマットを持っている音楽同士、大きな接点はないまま今に至っているというのが凡そのところだと思います。

その一方で全く接点がないかと言われればそうではなく、ラッパーを起用したテクノトラックだったり、アーティストのコンセプトとしてヒップホップ・ミーツ・テクノを掲げている方々というのもいます。
日本に於いて前者で最も有名なのは電気グルーヴスチャダラパーという双方のシーンの大御所同士が組んだこちらではないでしょうか。

電気グルーヴ×スチャダラパー / 聖☆おじさん

電気グルーヴ×スチャダラパー 『聖☆おじさん』 – YouTube

ヒップホップ・ミーツ・テクノとしては身近なところでLEOPALDONが思い当たります。
ついサンプリングの使い方に耳がいきがちですが、ラップの強度も兼ね備わったパーティーチューン。

LEOPALDON / ミュージカル・ミュータント

ミュージカル・ミュータント | LEOPALDON | やばさ RECORDINGS

というワケで今回取り上げるテーマは

テクノに近いビート、テンポを取り入れた日本語ラップ紹介

とし、年代問わず自分の好きなトラックについて紹介していきます。
テクノヒップホップというかけ離れた音楽の良さをどちらも取り入れた巧みなトラックの数々、是非お楽しみください。

早速ですがテクノに近いビート、テンポの日本語ラップ特集いってみましょう。

【曲紹介】

DISCO TWINS feat. 宇多丸 (RHYMESTER) / DISCO TWINS’ INFERNO

Spotify – DISCO TWINS’ INFERNO – song by DISCO TWINS, 宇多丸

日本を代表するDJでありトラックメイカー、KAGAMIDJ TASAKA両名によるユニットDISCO TWINSによるテクノ
2006年にリリースされたキャリア唯一のアルバムTWINS DISCOは世代やシーンを越えた様々なボーカリストたちを起用した歌もののテクノが収録されており、本作もその中の1曲です。

日本を代表するヒップホップグループRHYMESTERのマイクロフォンNo.1宇多丸を起用したド派手ファンキーテクノ
エレクトロライクなグルーヴ感満点のベースライン、裏打ちのストリングスループ、前のめりなハイハットの打ち方と賑やかで楽しい音が勢揃いしています。
且つラップも的確に韻を踏みつつ、ディスコMCばりの煽りシャウトなんかもあって全部が引き立っています。
自由で楽しいテクノ

アルファ / ガンバリスギ DE ナイト

Spotify – GANBARISUGI DE NIGHT – song by アルファ

アルファによるヒップホップ
なんですけど、トラックはかなりクセの強いリズムのテクノ
彼らは活動初期の頃DJ TASAKAをプロデューサーに迎えて活動しており、その影響が強く残っている曲とも言えます。

テクノのテンポはこの頃のヒップホップに比べると相当速いため、普通にラップを乗せると違和感が出そうなものですが、持ち前のスキルと遊び心で見事にトラックを掌握しているのが凄いところ。
特にTSUBOIの後半パートはタイトに韻を踏みつつ、倍速のフローを取り入れていて聴き応え抜群です。

環ROY×NEWDEAL / プライマルスクリーム

Spotify – プライマルスクリーム – song by 環ROY, NEWDEAL

ラッパーの環ROYと、DJでありトラックメイカーHitoshi Ohishiの別名義NEWDEALによるヒップホップ・ミーツ・テクノというコンセプトの元、2009年に作成されたアルバムThe Klashに収録された1曲。
両名ともそれぞれのシーンで名を馳せていた存在だけに、異色のコラボレーションとして話題になった覚えがあります。

とはいえトラックはかなりオーソドックスなテクノが揃っているのでテクノ馴染みがある方なら違和感なく聴ける作品になっています。
中でもインパクトが強かったのがこのプライマルスクリームで、エレクトロ風のベースラインにブリープ音のウワモノというシンプルな組み合わせが主体となっているのにちょいちょいレイヴオルガンとアーメンブレイクが差し込まれる箇所があってドキッとさせられます。
メインストリームのテクノにレイヴサウンドが定着している今聴くと、また違った味わいを感じ取れるトラックではないかと思うワケです。

SKYFISH feat. 鎮座DOPENESS / CHO YABEEE

Spotify – CHO YABEEE – song by SKYFISH, 鎮座Dopeness

当時ヒップホップベースミュージックの架け橋となっていた気鋭のトラックメイカーSKYFISHが当時から独特なフローと声質で存在感を放ちまくっていたラッパー鎮座DOPENESSを起用して作られたヒップホップ
と書くとそれまでなんですが、トラックは南アフリカに起源を持つアンダーグラウンドなダンスミュージックであるクドゥルと呼ばれるジャンルに当たるものになっています。

簡単に説明するとシンプルなシンセと独特なパーカッションの打ち方に特徴がある土着感溢れるスタイルの音楽なのですが、西洋の音楽とは異なるファンキーな雰囲気を持っており、それが純国産のこの曲にも見事に踏襲されております。
鎮座DOPENESSの独特な歌い方もこうした異形トラックに映えまくりで、溢れんばかりのオリジナリティを主張している曲になっています。
イッツア変ミュージック。大好き。

YOCO ORGAN / 一から

一から – YOCO ORGAN [Official Music Video ] Short Ver. – YouTube

金沢を拠点とするラッパーユニットYOCO ORGANによるヒップホップ
トラックを手掛けたのはHujiko ProさんとGuchonさんによる全方位型RAVEユニット国士無双です。

バックトラックはグルーヴ感のあるアシッドハウス
フック~ブレイクのパートに鳴っているピアノが夏っぽくて今聴くのに丁度良く、タイトルに因んだ前向きな歌詞も聴いてて非常に気持ちの良いトラックとなっています。

関連して、先の曲を手掛けた国士無双のメンバーであるGuchonさんが手掛けたヒップホップ関連の曲がこちら。

Fragment (feat. TAK THE CODONA) / おまじない (guchon remix)

Spotify – おまじない – guchon remix – song by Fragment, TAK THE CODONA

ディープダブステップエレクトロニカといった無機質な電子音を取り入れたヒップホップを多く手掛けるトラックメイカーユニットFragmentの楽曲のリミキサーに起用されたトラック。
原曲の面影が一切無い、裏打ちのレイヴオルガンが終始目立つテクノ
しかしそれ以上に特徴的なのがサブベースで、ちゃんと音の出る環境で聴くと分かるようにテクノでも類を見ない深度のベースが鳴っている、通好みのアレンジとなっています。

Fuma no KTR × WAZGOGG feat. nns, kkn / PockeTrance

Fuma no KTR × WAZGOGG – PockeTrance feat. nns, kkn 【Lyric video】 – YouTube

新進気鋭のトラックメイカーWAZGOGGFuma no KTRnnskknと若手実力派ラッパー3人を起用したヒップホップ
なんですけど、タイトルにトランスと銘打たれているようにトラックが4つ打ちのループもの。

バースの部分ではラップがメインとなるように音に隙間を残す組み方となっている一方、サビはラップなし、リズムが最大限前に出る構成となっています。
近年のBPM150のベースラインに近いものとなっていますが、日本語ラップが乗ったこのスタイルの曲ってかなり珍しい気がします。

ちなみに先月リリースされたばかりの新曲。
こういう肩透かし展開のあるトラックは大好きなので、これを機にこういう曲が増えることをひっそり願っております。

テークエム feat. SOCKS & SHINGO★西成 / Yanpi Remix

テークエム – Yanpi Remix feat. SOCKS & SHINGO★西成 (Official Music Video) – YouTube

独特なフローとユーモア溢れるワードセンスを武器とするラッパーテークエムが2021年にリリースした原曲に、SOCKSSHINGO★西成という先輩格のラッパーを迎えて新録したもの。
これも05月にリリースされた比較的新しい曲。

とにかくBACHLOGICの手掛けたサイバーパンク感のあるビートが強烈。
キック以外の殆どのパーツが3連符で組まれており、且つラップも3連符で進行しているため、物凄いよれたビートに聴こえます。
それでいてキックは終始4つ打ちという実験的要素の強い曲・・・の筈なのに三者三様にトラックを活かした歌い方をしている圧巻の1曲。

Jinmenusagi x MICHEL DIOR / MIYAKO

Spotify – MIYAKO – song by Jinmenusagi, Michel Dior

日本のラッパーJinmenusagiがコートジボワール出身でフランス在住のラッパーMICHEL DIORと組んだ異国共存ヒップホップ
これもトラックが相当異色の部類に当たります。
1拍目のキック、3拍目のスネア、蠢くベースの3音を軸としたディープダブステップを彷彿とさせる緊張感のあるビートになっているのですが、随所にそれらとかけ離れた民族的なパーカッションの音が差し込まれており、土着感の漂うアンダーグラウンドさが滲み出ています。
本トラックについては両者の間で作成されたらしいので、MICHEL DIORの出身地域である西アフリカの要素がこういったパーカッションリズムなのかもしれません。

また、両者ともところどころにスタッカートを置いた発音をしており、パーカッションの鳴りをラップでも再現しているようで特殊さを更に引き上げているポイントです。

Catarrh Nisin Ft. Itaq & Gucci Prince / Player Killin’

【MV】Catarrh Nisin Ft. Itaq & Gucci Prince – Player Killin’ (Prod. by J2S) – YouTube

Catarrh NisinItaqGucci Princeによるグライム
ビートメイカーには本場イギリスのアーティストJ2Sを起用しており、本気度の高さが伺えます。

ガラの悪いドラムンベース特集の後だからというワケでもないのですが、まぁ負けず劣らずガラが悪い。
そして同業者に向けたディスの鋭さがエグい。
その鋭い批判を3分足らずという短い尺にみっちりと詰め込んだ3人のスキルの高さが凄い。

と、かなり刺激になる曲で大推薦です。
この感じはテクノでは味わえないヒップホップ周辺音楽の大きい強みですよね。

最後は清涼感のある曲で〆ましょう。

トップハムハット狂 / Dreamy Toy Rocket

Spotify – Dreamy Toy Rocket – song by TOPHAMHAT-KYO

ニコニコ動画出身のラッパー且つトラックメイカートップハムハット狂によるヒップホップ
トラックは4つ打ちを軸にレトロで可愛いサウンドが乗った派手とは別の煌びやかさを纏ったもの。
中盤でトラップビートにスイッチしたり、ラップと歌唱を切り分けるコラージュ的手法にはインターネットミュージックっぽさを感じます。
歌詞の内容も含めて耳触りが良いので、むしろヒップホップに馴染みのない人に聴いて欲しいタイプの曲。

まとめ

以上、テクノに近いビート、テンポの日本語ラップ特集をお送りしました。
両極端な音楽同士だけに、ピンポイントでこういったトラックを探そうと思うと結構苦労するので、案外スキマを縫った特集になったのではないかと思います。
需要の程は分かりませんが、テクノにとってもヒップホップにとっても変ミュージック扱いされるこういう曲もまた大好きです。
それぞれ個人で好きな音楽というものがあるとは思いますが、そうじゃない音楽の中にも好きな音楽と無関係なものは存在しないというのが伝わると嬉しいです。

そんなわけで今回はここまで。

次週07月12日は774Muzikさんが担当します。
皆様Hardonize#41でお会いしましょう。
では。

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