こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【告知】
既に情報公開されております通り、Hardonize#48の日程がこちらになります。
12月07日、場所はいつもの早稲田茶箱にて開催します。
すっかり寒くなるであろう頃合いにホットでフレッシュなハードテクノをお届けする予定です。
ゲストの発表につきましては追々行われますので、引き続き当連載のチェックをよろしくお願い致します。
【Spotifyプレイリスト】
Spotifyプレイリストの08月分が公開されております。
Hardonizeクルーが全身全霊でオススメするハードテクノ90曲。
各レジデントがHardonize#47でプレイしたトラックを含むため、いつもより多めの収録数となっており、トータル再生時間は8時間越え。
東京~広島を新幹線で往復できる時間です。
自分はHardonize#47トラックリストのほか、レイヴ、ゲットーテックと、割合下品めなトラックを選出しております。
是非お楽しみください。
【今回のお題】
さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。
ちなみに、年始は3回に渡ってフリーダウンロード特集を行っておりましたので、ご興味のある方は是非ご参照ください。(1) / (2) / (3)
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
今回取り上げるのはハードテクノに含まれるサブジャンルの1つ、
になります。
特別連載に於いては2回目に取り上げた、ミニマルテクノと呼ばれる最小限の音で構成された反復を主体とするテクノを硬質化、高速化、先鋭化させたスタイルの音楽です。
大枠としてのハードテクノ誕生の黎明期を担った、言わばハードテクノの基本形です。
過去に自分の担当回においては
・新作ハードミニマル特集 (2021年09月版)
として1度取り上げておりますが、他の方の連載回の中では度々触れられている音楽でもあります。
ここ数回の自分のピックアップジャンルがレイヴやゲットーテックなど変化球トピックが多かったもので、(自覚はあります)
ある意味で最もハードテクノらしいサウンドを聴きたくなった、ということで今回のテーマと相成りました。
ちなみに、全体の傾向としてサウンドの派手さというよりは前のめりなグルーヴを特徴とするトラックが多くなっており、雰囲気は2000年前後のいわゆる往年のハードミニマルに近い感じになっております。
とはいえ、出音は現行のダンスミュージックを踏襲しており、ウワモノはクリアに、リズムはよりフィジカルに響くようアップデートされているので、改めてこの音楽のアートフォームを感じ取って頂けると幸いです。
というわけで、ここ1~2ヵ月の間にリリースされたトラックについてピックアップしていきます。
早速ですが新作ハードミニマル紹介いってみましょう。
【曲紹介】
Muhammad Taha – Kaninchenkopf | Various Artists | Hxagrm Records
ドイツのプロデューサーMuhammad Tahaによるミニマルテクノ。
間隔の詰まったサブリズムと裏打ちのハイハットが前のめりな印象を与えますが、メインとなるリフはスティールパンのようなシンプルな音の繰り返し。
派手さはないものの、一般的なテクノよりやや速いテンポで淡々と同じ音が反復するグルーヴ重視のトラックです。
Upstack | Vxlr | Drawner Records
ドイツのプロデューサーVxlrによるハードミニマル。
硬質なキックと深度のあるベースによる重厚なリズムを擁する曲。
ローファイなシンセリフが終始妖しい雰囲気を演出しています。
Nataruk | William Arist | EMERALD
ウルグアイのプロデューサーWilliam Aristによるハードミニマル。
全体的にローファイでラフなリズムを採用しているトラック。
残響音を含むリフや地を這うベースの質感からある種の退廃さを感じさせます。
ジョージアのプロデューサーTsukuyomiによるハードミニマル。
高音域までカバーしたシャープなキックの音と厚みのあるベースが特徴的な曲。
それまで規則的だったクラップのパターンが中盤でめちゃくちゃになるパートがあり、テクノの妙がリズムにあることを思い起こさせてくれます。
オーストリアのプロデューサーLeopold Barと、本作がリリースされたWRD RecordsのオーナーPaul Renderによるハードミニマル。
ややヒネった4つ打ちといった感じのリズムと無機質なベースリフ、時折前面に押し出される警告音のようなサウンドと、緊張感が漂っている曲。
前提的に音の厚みがあり、ストイックな中にしっかりとインパクトも備わっている印象を受けます。
キューバのプロデューサーHiollによるハードミニマル。
間隔の詰まったベースリフとリリースの長い金物リズムが前のめりなドライブ感を生み出しているトラック。
1990年代後期を彷彿とさせるテクノらしいリフが用いられており、往年の楽曲と合わせて使うのも面白いかもしれません。
Yuuta – Shine (Original Mix) [X erie] | Music & Downloads on Beatport
コロンビアのプロデューサーYuutaによるハードミニマル。
圧の強いソリッドなキックとザラついた質感のループリフが特徴的なトラック。
裏打ちのハイハットや手数の多いクラップなど、こちらもかなりオールドスクールなテクノのメソッドが体現されています。
Pretty’s Privilege | Molly Lollen
イスラエルのプロデューサーMolly Lollenによるハードミニマル。
深度のあるリズムに加え、強烈によれたメインリフが耳に残る曲。
近年のメインストリームテクノとの相性も良さそうなので、ハードテクノとの橋渡し要員としても機能しそうです。
Easy For Ecstasy | OBSCURE SHAPE | Planet X
ドイツのプロデューサーOBSCURE SHAPEによるハードミニマル。
やや速いビートに手数の多いリズム、そして残響音含むレトロなリフとそれをキーにした爆発力のある展開から、インパクトと攻めっ気が感じられる曲。
ハードミニマルセットにおいては最後のヤマを任せたくなるタイプという気がします。
ちなみに本作が収録されているのはOBSCURE SHAPE / ZUKUNFTというアルバム作品であり、全体的にハードミニマルを踏襲しつつも、
強烈にディストーションを効かせたアシッドシンセを用いたZuruck In Die Zukunft、パーカッシブなリズムと跳ね系のリフを擁したハードグルーヴトラック、Children of Men、穏やかともとれるパッドシンセや残響音を効かせたボイスサンプルを用いてメロディックテクノに踏み込んだWandervogelなど、
ハードミニマルの中でもバリエーションに富んだ内容になっていて、かなりオススメです。
ZUKUNFT | OBSCURE SHAPE | Planet X
Innervate | Lewis Legacy | Entourage Concept
スイスのプロデューサーLewis Legacyによるハードミニマル。
往年のテクノを感じさせるリフをメインに据え、それがパラメータを変動させつつ繰り返している曲。
中盤では音階そのままに穏やかな音に置き換わるなど、インパクトもありつつ緩急の付け方も気持ち良い仕掛けがあります。
メロディックテクノに踏み込んだ内容と言えますが、あえて序盤に使うのも面白そうなポテンシャルを秘めたトラック。
【次回】
そんなワケで今回はここまで。
次週09月17日は774Muzikさんが担当します。
では。