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一風変わったトラックの日本語ラップ特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/06/22

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【今回のビックリ楽曲】

ピノキオピー feat. 初音ミク, ARuFa / 匿名M

ピノキオピー – 匿名M feat. 初音ミク・ARuFa / Anonymous M – YouTube

2021年に発表された神っぽいながボーカロイド楽曲全体から見ても記録的なヒットとなったことが記憶に新しいアーティストピノキオピー
実は初期作品からずっとアルバムを購入しておりまして、先月最新アルバムMETAがリリースされたので聴いた次第であります。
その中に収録されている1曲がこれで、歌っている内容の面白さもさながら、口語に音階を付け、それを和音にしてメロディーを作っている箇所があって大いに驚きました。

なぜってこれは15年程前に今は亡きimoutoidが行っていた手法そのものだったからです。

imoutoid / ほーら、たまには日に当たらないと、カビが生えるわよ

ほーら、たまには日に当たらないと、カビが生えるわよ / imoutoid – YouTube

こんな変態的なことをやるのは後にも先にもimoutoidだけだろうと思っていたので、まさか15年越しに同じ感情を味わうことになるとは思いませんでした。

そんな個人的驚きがあったアルバムMETA、とてもオススメです。
脂と勢いの乗りまくったボーカロイドの今を知る意味でも是非。

ピノキオピー – 6th Full Album「META」[trailer]

ピノキオピー – 6th Full Album「META」[trailer] – YouTube

【告知】

今週末の日曜日に新宿WARPで開催されるTOKYO HARD GROOVE SESSION 10TH ANNIVERSARYに出演します。


パーティー名の通り、ハードなダンスミュージックの見本市と言うべき催し。
10周年のめでたいタイミングでお声がかかったことはとても喜ばしいと感じております。
同じフロアの共演者は10個くらい歳の離れている先輩しかいないという孤立無援の状況ではありますが、置いていかれないよう何とか役目を果たしたいと思っています。
豪華面々が一堂に介していることについては疑いようが無いので、是非お越しください。
(マジで何をやればいいんだ・・・。)

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

それはそれとして、次回のHardonizeはまだまだ先になりそうなので、このタイミングでハードテクノ以外の音楽も取り上げたいと思ってしまう複雑な乙女心。
連載名は『今週のオススメハードテクノ』なんですけど、まぁHardonizeはハードテクノ以外も流れるので。
流すのは主に僕なんですけれど。

で、今回取り上げたいテーマとしては

一風変わったトラックの日本語ラップ

になります。

ヒップホップと聞いてイメージされるのは昔ながらのBPM100前後のブレイクビーツ、いわゆるブーンバップと呼ばれるスタイルか、最近のベースミュージックに合流したスタイル、トラップが現行の大半を占めていると思います。
勿論、これらが更に進化したスタイルというのも日々生み出されており、まさに日進月歩の速度で変化し続けている音楽であることは疑う余地はないでしょう。

しかし、以前テクノに近いビート、テンポの日本語ラップを取り上げたように、メインストリームの枠に収まらない一風変わったトラックを持つ日本語ラップというものもリリースされております。
テクノと距離がかけ離れているように思えるヒップホップでも、両者の要素を取り入れた楽曲は存在するということが先の特集から伝わっていれば嬉しいです。
一方で以前スポットを当てた楽曲はリリースされた時代を問わず選定したため、最近はどうなのよ?という点について今回触れていきたいというのが今回の趣旨になります。

とはいえ全体数からするとこうしたトラックは少数派ではあるため、今回取り上げる曲のリリース期間の範囲を若干広げて今年2023年にリリースされたものから紹介していきます。
テクノと近しいものから既存のジャンルに囚われないものまで取り上げてみましたので、普段こうした音楽に触れない方々にも新しい発見をお届けできたら嬉しいです。

それでは一風変わったトラックの日本語ラップ紹介いってみましょう。

【曲紹介】

RHYMESTER feat. Rei / My Runway

My Runway feat. Rei – RHYMESTER | Spotify

早稲田大学にルーツを持つ2MC、1DJの大ベテランクルーRHYMESTERとギタリストでありシンガーでもあるReiによるヒップホップ
昨日21日に発売となったアルバム、Open The Windowに収録された最新曲です。
4つ打ちのビートにファンキーなベースラインが合わさったハウスライクなバックトラックはとても耳馴染みが良い。
レトロなシンセが用いられていたり、アグレッシブなギターソロのパートがあったりとウワモノの煌びやかさみたいなところも聴いてて楽しいポイントです。

梅田サイファー / KILLING TIME

KILLING TIME – 梅田サイファー, KennyDoes, KOPERU, KZ, テークエム, peko, KBD, teppei, R-指定 | Spotify

大阪梅田のラップ集団梅田サイファーによるヒップホップ
メジャーレーベル移籍後、初のアルバムとして03月にリリースされたRAPNAVIO収録曲です。
こちらもグルーヴ感のある太いベースラインと4つ打ちのリズムが特徴的ですが、テンポは一般的なハウスと比べると少しだけ遅め。
ウワモノの生っぽい音が織り成すアーバンな雰囲気と大人数編成を活かしたフロー回しのバリエーションはなかなか類を見ないものに仕上がっている印象を受けます。

Fuma no KTR × SKRYU × WAZGOGG / How Many Boogie

Fuma no KTR × SKRYU × WAZGOGG – How Many Boogie 【Official Music Video】 – YouTube

フロー巧者の若手MC2名、Fuma no KTRSKRYU、及びトラックメイカーのWAZGOGGによるヒップホップ
05月リリース。
これも完全4つ打ちのビートなのですが、それ以上にずっとジャーマンエレクトロのようなベースシンセが鳴っているのが異質な印象を受けます。
電気グルーヴモノノケダンスHOMEBASEに通じるものがある気がしているので、これらが好きなら是非聴いて欲しいところ。

余談ですが、Fuma no KTRは大のポケットモンスター好きとして知られており、現在放送中のアニメ、ポケットモンスターのエンディングテーマの作詞及び作曲をWAZGOGGと共に手掛けております。
ポケモンの名前をラップに取り入れるという内容なのですが、TVサイズ90秒とは思えない高密度のリリックになっており、子供向けアニメでこれをやるのかと思うと舌を巻くものがあります。

森, Shinichi Osawa / YAZAWA

森 prod. by Shinichi Osawa|Red Bull 64 Bars – YouTube

どんぐりずのメンバーであるをMCに起用し、トラックをMONDO GROSSOとしても知られるShinichi Osawaが手掛けたヒップホップ
01月リリース。
飲料メーカーのRed Bullが主宰している、意外性のあるラッパーとトラックメイカーをブッキングして64小節の曲にするという企画の1つとして公開されたもの。
当然、通常はヒップホップをメインフィールドにしているアーティスト同士が起用される傾向にあるので、このShinichi Osawaに白羽の矢が立った回というのはかなり攻めた試みだと言えます。

で、トラックはというとかなりラフなキックとアシッドシンセの際立つオーセンティックなテクノで、ここにラップが乗ること自体、かなり挑戦的。
そのラップも音として気持ち良いリズム重視なもので、かなり前のめりなグルーヴを引き出しています。
途中で非4つ打ちにビートチェンジする仕掛けもあり、ヒップホップテクノの両側面から斬新なアプローチをしているトラック。

釈迦坊主 / Abyss

Abyss (prod by shaka bose 釈迦坊主) – YouTube

ラッパー且つトラックメイカーでもある釈迦坊主によるヒップホップ
02月リリース。
フューチャーガラージと呼ばれるアンニュイで冷たい空気感を纏ったジャンルのバックトラックとなっております。
エレクトロニカにも通じる隙間の多いリズムやしっとりとしたウワモノが好きな方にオススメ。

Yvng Patra (feat. Tade Dust) / MONEY LOVE RESPECT

MONEY LOVE RESPECT (feat.Tade Dust) – YouTube

Yvng PatraTade Dustによるヒップホップ
05月リリース。
耳馴染みのあるストレートな2ステップトラックを起用したもの。

この手の2ステップ/ガラージヒップホップがじわじわと増えているのでありがたい限りです。
今年のリリースではないですが、ralph (feat. AJAH) / D.N.RSAM / STEPKEN THE 390 feat. 漢 a.k.a. GAMI, 鎮座DOPENESS (Prod Kan Sano) / Re:verse (Remix)辺りもこの系統ですので合わせて是非。

NEI (Prod by C.O.S.A.) / ENN

NEI – ENN (Prod by C.O.S.A.)【Official Music Video】 – YouTube

NEIC.O.S.A.によるヒップホップ
03月リリース。
このジャンルを何と言うのでしょう?
速いテンポに4つ打ちを崩したようなキックパターン、ややトライバルなリズムと浮遊感のあるシンセの組み合わせという、あまりダンスミュージックシーンでも耳にしないようなトラックが使われております。
UKファンキーを早回ししたものが1番近いような気もする。
何にしても既存のフォーマットに囚われない斬新な曲と出会えると個人的には大変嬉しくなります。
語りかけるようなフローのラップも非常に心地良い。

DownTownDogs / BOOZER

BOOZER – DownTownDogs, EIEN, Kampf | Spotify

DownTownDogsによるヒップホップ
04月リリース。
これは直近でかなり面食らった曲の1つです。
ジャージークラブという独特なリズム回しを持つ音楽(Soundcloudでタグ検索するとこんな感じ)を早回ししたものがトラックに使われています。
このジャンルでオリジナルの日本語ラップというだけでレアなのに、それを速いテンポに落とし込んでいるというのは相当な開拓精神がないとできない筈。
サウンドそのものはテンポの速さや歌詞の内容も相まってポジティブな雰囲気を纏っているものの、アングラ音楽好きにこそ刺さりそうだなと思いました。

SUSHIBOYS / 木にしない

木にしない – SUSHIBOYS (Official Music Video) – YouTube

ラップユニットSUSHIBOYSによるヒップホップ
04月リリース。
このサムネイルの時点で相当インパクトがありますが、サウンドはある種それ以上の打点を叩き出しています。
4つ打ちのビート、ハードハウスを彷彿とさせる完全裏打ちのベース、トランス感のあるシンセとどれもが旧来のヒップホップとは真逆の要素だらけ。
そこにオートチューンの効いたラップが乗るという、これもまた明らかに類を見ない異質な曲。

これに関しては歌詞も好きでして、フックの『悩みの種にばかり水やりする 僕らは気になる事を木にしている』というシンプルなラインの中に込められた比喩には誰しも思い当たるものがある筈。
サウンド、歌詞、そして映像の全てが痛快な作品。
非常にオススメです。

最後にジャンルとしてのヒップホップには分類されないものの、近い要素と絶大なインパクトを持つと思われるものを1つ。

水曜日のカンパネラ / 赤ずきん

水曜日のカンパネラ『赤ずきん』 – YouTube

ユーモアに溢れまくった曲と不思議な可愛さのあるボーカルが特徴的な音楽ユニット水曜日のカンパネラによる02月リリース作品。
パートによってラップ、語り、歌いと分ける器用さもさながら、誰もが知っている童話『赤ずきん』をここまでギャグの世界観に落とし込む歌詞には脱帽の一言。

そしてトラック。何このトラック。
リズムのパターンとしてはガラージを彷彿とさせるものの、機械的で太いキックのサウンドはテクノ的。
サビではウワモノにピアノやギターなど清涼感のある音が加わり、2回目のサビではとうとう4つ打ちになるという、分類不可能の音楽。
これも映像含めて相当痛快なので面白音楽好きは是非触れてみてください。

【まとめ】

以上、一風変わったトラックの日本語ラップをお送りしました。
このように様々な音楽がヒップホップとクロスオーバーしているのが現状です。
これはつまりヒップホップという枠の中であらゆるジャンルへのシフトが可能になることを意味しており、DJの幅が大きく広がる可能性に溢れていると言えます。
(何ならつい先日そういったプレイをしてきました。)
自分は今のところ、ほぼ日本語ラップに絞って聴いておりますが、海外でもこういったリリースがあるのかについてはDIGのし甲斐がありそうなので、面白いトピックが見つかったらまた取り上げたいと思います。

そんなワケで今回はここまで。

次週06月27日(予定)は774Muzikさんが担当します。
では。

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新作ハードグルーヴ特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/06/20

はいどうも、今週もHardonizeレジデントDJがおすすめのハードテクノを紹介する連載、火曜日担当yuduki(@akuwa)がお送りいたします!今週も何卒よろしくお願いいたします!!

近況

再開発の影響で街からどんどんお店が閉店・移転してしまって寂しくなってしまう街へ土曜日に飲みに行って、数件はしごしたのですが最後に行ったお店でクーラー直下にてガンガン冷風を浴び続けた結果、翌日見事に体調を崩してぜっさんくたばってました。みなさんも体調にはお気をつけください・・季節の変わり目ですし。

次回Hardonizeのお話

もう少々お待ち下さい!
7月入ったら色々情報が出せるとは思います。
ただ、開催は秋頃予定なのでそれまでは思い思いのパーティで夏を堪能していきましょう。

個人的お知らせ

先々月にSEKITOVA、先月はQ’Heyとビッグゲストの登場が続く津田沼「B.B.Q rave kitchen Mediterraneo casa Tsudanuma」ですが、6月はなんと世界的Techno DJ、Takaaki Itohが津田沼に来るとのこと!聞いた瞬間耳を疑いましたが現実でした。7月みんなで津田沼でテクノを楽しんでいきましょう。詳細はTwitterなどでまたお知らせできると思います!!

今週のピックアップ

ここ1ヶ月ぐらいで様々なハードグルーヴがリリースされてて、びっくりするような新譜などもありましたのでここでまとめて1ヶ月分ぐらいのハードテクノ新譜特集をやっていこうかなとおもいます。テクノの多様性が思いっきり全面に出ている(と個人的には思っている)ハードグルーヴの新譜、要チェックです!!

D’Mike / Kalimba

これぞ夏に聞きたい王道トライバルハードグルーヴチューン!チャカポコしたパーカッションの上に鳴り響く、カリンバに思いっきりエフェクト掛けたような民族音楽のようなサウンドが展開、更にブレイクで突然歌いだして以降歌わなくなるという謎の展開を聞かせてくれる一発。これはすごい。

M.A.N.D.Y., Booka Shade / Body Language Baugruppe90 Remix

なんでこれが2023年に!?と思わず声出ちゃった一発。原曲はGet Physicalから2005年にリリースされた当時も結構色々な所でかかりまくったフロアアンセムなのですがそれがなんで2023年に!?しかもハードグルーヴで!?!?という疑問だらけのニューリミックス。哀愁漂う原曲のフレーズをうまく使った一発。

Homma Honganji / G’psy ATT Remix

本間さんの同リリース曲「G’psy」をATTさんによるリミックス!内容としてはオリジナルは哀愁漂うハードグルーヴチューンでしたが、こちらのリミックスはゴリッゴリかつストイックなハードグルーヴに仕上がった一発!途中途中で挟み込まれるオリジナルのメロディを絶妙なバランスで配置したフロアを踊らせること間違い無し。

Almir Ljusa / Patterns 30

紹介してないときでもAlmir Ljusaの新譜はほどほどに買ってるんですが、これは紹介する系のトラックです笑 トラックの最初から最後まで疾走感あふれるサウンドメイキングで駆け抜けていくピークタイム向けチューン!ここぞというときに使っていきましょう!

Felix R / Sambuca Original Mix

テックトランスプロデューサーFelix Rがハードグルーヴ名門[Transfiguration Recordings]からのリリース。ハードグルーヴ方面だけではなくテックトランス方面の相互アプローチも可能な一発。Good。

Homma Honganji / You’re The Boss

でもって、先週の更新で既にお二方が話題に出してますが昨年の「TV Detectives Club」に続く2023年の超キラートラックなので紹介せねばならんだろうという気持ちです。マジで鬼才。タイトルも含めて完璧です。

以上、今週のおすすめハードテクノでした。
次回更新は木曜日、担当はTAKくんです。