こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。
【今回のビックリ楽曲】
ピノキオピー – 匿名M feat. 初音ミク・ARuFa / Anonymous M – YouTube
2021年に発表された神っぽいながボーカロイド楽曲全体から見ても記録的なヒットとなったことが記憶に新しいアーティストピノキオピー。
実は初期作品からずっとアルバムを購入しておりまして、先月最新アルバムMETAがリリースされたので聴いた次第であります。
その中に収録されている1曲がこれで、歌っている内容の面白さもさながら、口語に音階を付け、それを和音にしてメロディーを作っている箇所があって大いに驚きました。
なぜってこれは15年程前に今は亡きimoutoidが行っていた手法そのものだったからです。
ほーら、たまには日に当たらないと、カビが生えるわよ / imoutoid – YouTube
こんな変態的なことをやるのは後にも先にもimoutoidだけだろうと思っていたので、まさか15年越しに同じ感情を味わうことになるとは思いませんでした。
そんな個人的驚きがあったアルバムMETA、とてもオススメです。
脂と勢いの乗りまくったボーカロイドの今を知る意味でも是非。
ピノキオピー – 6th Full Album「META」[trailer] – YouTube
【告知】
今週末の日曜日に新宿WARPで開催されるTOKYO HARD GROOVE SESSION 10TH ANNIVERSARYに出演します。
??THGS10周年フライヤー公開!&フルラインナップ発表!
??6/25(日/デイ)
?14:00~22:00
TOKYO HARD GROOVE SESSION 10TH ANNIVERSARY
??WARP SHINJUKU??前売りチケット https://t.co/40zbM7Cm7o
フライヤーデザイン@djshimamura
#THGS #THGS10TH #THGS23 pic.twitter.com/Htdmw8gdfI
— THGS STAFF (@THGS_STAFF) June 2, 2023
パーティー名の通り、ハードなダンスミュージックの見本市と言うべき催し。
10周年のめでたいタイミングでお声がかかったことはとても喜ばしいと感じております。
同じフロアの共演者は10個くらい歳の離れている先輩しかいないという孤立無援の状況ではありますが、置いていかれないよう何とか役目を果たしたいと思っています。
豪華面々が一堂に介していることについては疑いようが無いので、是非お越しください。
(マジで何をやればいいんだ・・・。)
【今回のお題】
さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
それはそれとして、次回のHardonizeはまだまだ先になりそうなので、このタイミングでハードテクノ以外の音楽も取り上げたいと思ってしまう複雑な乙女心。
連載名は『今週のオススメハードテクノ』なんですけど、まぁHardonizeはハードテクノ以外も流れるので。
流すのは主に僕なんですけれど。
で、今回取り上げたいテーマとしては
になります。
ヒップホップと聞いてイメージされるのは昔ながらのBPM100前後のブレイクビーツ、いわゆるブーンバップと呼ばれるスタイルか、最近のベースミュージックに合流したスタイル、トラップが現行の大半を占めていると思います。
勿論、これらが更に進化したスタイルというのも日々生み出されており、まさに日進月歩の速度で変化し続けている音楽であることは疑う余地はないでしょう。
しかし、以前テクノに近いビート、テンポの日本語ラップを取り上げたように、メインストリームの枠に収まらない一風変わったトラックを持つ日本語ラップというものもリリースされております。
テクノと距離がかけ離れているように思えるヒップホップでも、両者の要素を取り入れた楽曲は存在するということが先の特集から伝わっていれば嬉しいです。
一方で以前スポットを当てた楽曲はリリースされた時代を問わず選定したため、最近はどうなのよ?という点について今回触れていきたいというのが今回の趣旨になります。
とはいえ全体数からするとこうしたトラックは少数派ではあるため、今回取り上げる曲のリリース期間の範囲を若干広げて今年2023年にリリースされたものから紹介していきます。
テクノと近しいものから既存のジャンルに囚われないものまで取り上げてみましたので、普段こうした音楽に触れない方々にも新しい発見をお届けできたら嬉しいです。
それでは一風変わったトラックの日本語ラップ紹介いってみましょう。
【曲紹介】
My Runway feat. Rei – RHYMESTER | Spotify
早稲田大学にルーツを持つ2MC、1DJの大ベテランクルーRHYMESTERとギタリストでありシンガーでもあるReiによるヒップホップ。
昨日21日に発売となったアルバム、Open The Windowに収録された最新曲です。
4つ打ちのビートにファンキーなベースラインが合わさったハウスライクなバックトラックはとても耳馴染みが良い。
レトロなシンセが用いられていたり、アグレッシブなギターソロのパートがあったりとウワモノの煌びやかさみたいなところも聴いてて楽しいポイントです。
KILLING TIME – 梅田サイファー, KennyDoes, KOPERU, KZ, テークエム, peko, KBD, teppei, R-指定 | Spotify
大阪梅田のラップ集団梅田サイファーによるヒップホップ。
メジャーレーベル移籍後、初のアルバムとして03月にリリースされたRAPNAVIO収録曲です。
こちらもグルーヴ感のある太いベースラインと4つ打ちのリズムが特徴的ですが、テンポは一般的なハウスと比べると少しだけ遅め。
ウワモノの生っぽい音が織り成すアーバンな雰囲気と大人数編成を活かしたフロー回しのバリエーションはなかなか類を見ないものに仕上がっている印象を受けます。
Fuma no KTR × SKRYU × WAZGOGG – How Many Boogie 【Official Music Video】 – YouTube
フロー巧者の若手MC2名、Fuma no KTRとSKRYU、及びトラックメイカーのWAZGOGGによるヒップホップ。
05月リリース。
これも完全4つ打ちのビートなのですが、それ以上にずっとジャーマンエレクトロのようなベースシンセが鳴っているのが異質な印象を受けます。
電気グルーヴのモノノケダンスやHOMEBASEに通じるものがある気がしているので、これらが好きなら是非聴いて欲しいところ。
余談ですが、Fuma no KTRは大のポケットモンスター好きとして知られており、現在放送中のアニメ、ポケットモンスターのエンディングテーマの作詞及び作曲をWAZGOGGと共に手掛けております。
ポケモンの名前をラップに取り入れるという内容なのですが、TVサイズ90秒とは思えない高密度のリリックになっており、子供向けアニメでこれをやるのかと思うと舌を巻くものがあります。
森 prod. by Shinichi Osawa|Red Bull 64 Bars – YouTube
どんぐりずのメンバーである森をMCに起用し、トラックをMONDO GROSSOとしても知られるShinichi Osawaが手掛けたヒップホップ。
01月リリース。
飲料メーカーのRed Bullが主宰している、意外性のあるラッパーとトラックメイカーをブッキングして64小節の曲にするという企画の1つとして公開されたもの。
当然、通常はヒップホップをメインフィールドにしているアーティスト同士が起用される傾向にあるので、このShinichi Osawaに白羽の矢が立った回というのはかなり攻めた試みだと言えます。
で、トラックはというとかなりラフなキックとアシッドシンセの際立つオーセンティックなテクノで、ここにラップが乗ること自体、かなり挑戦的。
そのラップも音として気持ち良いリズム重視なもので、かなり前のめりなグルーヴを引き出しています。
途中で非4つ打ちにビートチェンジする仕掛けもあり、ヒップホップ、テクノの両側面から斬新なアプローチをしているトラック。
Abyss (prod by shaka bose 釈迦坊主) – YouTube
ラッパー且つトラックメイカーでもある釈迦坊主によるヒップホップ。
02月リリース。
フューチャーガラージと呼ばれるアンニュイで冷たい空気感を纏ったジャンルのバックトラックとなっております。
エレクトロニカにも通じる隙間の多いリズムやしっとりとしたウワモノが好きな方にオススメ。
MONEY LOVE RESPECT (feat.Tade Dust) – YouTube
Yvng PatraとTade Dustによるヒップホップ。
05月リリース。
耳馴染みのあるストレートな2ステップトラックを起用したもの。
この手の2ステップ/ガラージ系ヒップホップがじわじわと増えているのでありがたい限りです。
今年のリリースではないですが、ralph (feat. AJAH) / D.N.RやSAM / STEP、KEN THE 390 feat. 漢 a.k.a. GAMI, 鎮座DOPENESS (Prod Kan Sano) / Re:verse (Remix)辺りもこの系統ですので合わせて是非。
NEI – ENN (Prod by C.O.S.A.)【Official Music Video】 – YouTube
NEIとC.O.S.A.によるヒップホップ。
03月リリース。
このジャンルを何と言うのでしょう?
速いテンポに4つ打ちを崩したようなキックパターン、ややトライバルなリズムと浮遊感のあるシンセの組み合わせという、あまりダンスミュージックシーンでも耳にしないようなトラックが使われております。
UKファンキーを早回ししたものが1番近いような気もする。
何にしても既存のフォーマットに囚われない斬新な曲と出会えると個人的には大変嬉しくなります。
語りかけるようなフローのラップも非常に心地良い。
BOOZER – DownTownDogs, EIEN, Kampf | Spotify
DownTownDogsによるヒップホップ。
04月リリース。
これは直近でかなり面食らった曲の1つです。
ジャージークラブという独特なリズム回しを持つ音楽(Soundcloudでタグ検索するとこんな感じ)を早回ししたものがトラックに使われています。
このジャンルでオリジナルの日本語ラップというだけでレアなのに、それを速いテンポに落とし込んでいるというのは相当な開拓精神がないとできない筈。
サウンドそのものはテンポの速さや歌詞の内容も相まってポジティブな雰囲気を纏っているものの、アングラ音楽好きにこそ刺さりそうだなと思いました。
木にしない – SUSHIBOYS (Official Music Video) – YouTube
ラップユニットSUSHIBOYSによるヒップホップ。
04月リリース。
このサムネイルの時点で相当インパクトがありますが、サウンドはある種それ以上の打点を叩き出しています。
4つ打ちのビート、ハードハウスを彷彿とさせる完全裏打ちのベース、トランス感のあるシンセとどれもが旧来のヒップホップとは真逆の要素だらけ。
そこにオートチューンの効いたラップが乗るという、これもまた明らかに類を見ない異質な曲。
これに関しては歌詞も好きでして、フックの『悩みの種にばかり水やりする 僕らは気になる事を木にしている』というシンプルなラインの中に込められた比喩には誰しも思い当たるものがある筈。
サウンド、歌詞、そして映像の全てが痛快な作品。
非常にオススメです。
最後にジャンルとしてのヒップホップには分類されないものの、近い要素と絶大なインパクトを持つと思われるものを1つ。
ユーモアに溢れまくった曲と不思議な可愛さのあるボーカルが特徴的な音楽ユニット水曜日のカンパネラによる02月リリース作品。
パートによってラップ、語り、歌いと分ける器用さもさながら、誰もが知っている童話『赤ずきん』をここまでギャグの世界観に落とし込む歌詞には脱帽の一言。
そしてトラック。何このトラック。
リズムのパターンとしてはガラージを彷彿とさせるものの、機械的で太いキックのサウンドはテクノ的。
サビではウワモノにピアノやギターなど清涼感のある音が加わり、2回目のサビではとうとう4つ打ちになるという、分類不可能の音楽。
これも映像含めて相当痛快なので面白音楽好きは是非触れてみてください。
【まとめ】
以上、一風変わったトラックの日本語ラップをお送りしました。
このように様々な音楽がヒップホップとクロスオーバーしているのが現状です。
これはつまりヒップホップという枠の中であらゆるジャンルへのシフトが可能になることを意味しており、DJの幅が大きく広がる可能性に溢れていると言えます。
(何ならつい先日そういったプレイをしてきました。)
自分は今のところ、ほぼ日本語ラップに絞って聴いておりますが、海外でもこういったリリースがあるのかについてはDIGのし甲斐がありそうなので、面白いトピックが見つかったらまた取り上げたいと思います。
そんなワケで今回はここまで。
次週06月27日(予定)は774Muzikさんが担当します。
では。
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