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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/09/21

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

『Mijk Van Dijk JAPAN TOUR 2017 東京公演』行ってきました。
90年代からジャーマンテクノの第一線で活躍するアーティスト。
ゲームミュージックにも造詣が深く、『攻殻機動隊』や『リッジレーサー』などに楽曲提供したこともご存知の通り。
2002年に出たアルバム、『Everyground』はスペーシーなシンセが硬質なテクノのリズムと絶妙に絡み合って、今聴いても色褪せない名盤だと思ってます。
Hardonizeでも度々かかりますね。
で、実際に聴いた感想ですが、良かった。大変良かった。
レイヴの残滓のようなジャーマンテクノが今風のカッチリした出音にアップデートされて流れていたところにノスタルジックな感情を覚えたり、現行のテクノと云う音楽の底力みたいなものも感じました。
世に出てから30年近く経ち、飽和してしまった感じもあるテクノと云う音楽ですが、まだまだ表現の幅があり、学ぶべきところが多い、そう感じざるを得ない時間でした。
上で挙げたような懐かしトラックがちょいちょい流れたりしたのも嬉しかったですね。
ちなみにアンコール1曲目が虹のリミックスで〆はGamer’s Nightでした。大爆死。

さて、そんな熱が冷めやらぬ状態でありますのでジャーマンテクノ、ないしはレイヴに焦点を当てようかとも思ったんですが、先週の774muzikさんのHardonize的推しアーティスト特集、ご覧頂いたでしょうか。
いやぁよく詳細に集計したなと圧巻でございました。
実際あの記事で挙がっているアーティストを押さえれば『あぁこのパーティーは大体彼らの音で成り立っているんだな』と云うのがお分かり頂けると思います。
ひいてはハードテクノの魅力も伝われば嬉しい。そう思って継続しております。
2年目もよろしくお願いします。

しかしそんなに聴くか分からない、或いはDJならば使うか分からない音楽を提示されて実際買うかと言われれば決断に困るところ。
Google Play MusicやSpotifyなど定額制音楽配信サービスと契約していればひとまず聴けるものの、やはり音源として手元に残したい。
そんなときの頼もしい存在と云えば・・・そうです、

フリーダウンロードうーん何度聴いても良い言葉。

折角774muzikさんにあそこまでHardonizeビギナー向けの記事を作って頂いたので、ワタクシもそんな未来のハードテクノヘッズに向けた内容としたい。

そんなわけで今回は

フリーダウンロード&ブートレグ特集

です。
ここ1年くらいで出たものをメインにずずいっと紹介しますのでクリエイターへの敬意を忘れず、ポチっと下向き矢印を押してください。
ちなみに前回この特集をやったのは忘れもしない去年のクリスマス連休でしたが、予定通りだと今年のクリスマスはワタクシ担当ではございませんので!!!

Joris Voorn / Incident (Eric Sand Bootleg)


のっけから大ネタです。スペインのトラックメイカー、Eric Sandによるブートレグ。
現役のクリエイターとあってハードグルーヴマナーに則ったビートにあのメロディーが乗ると云う使いどころに富んだトラックとなっております。
ちなみにいつの間にかフリーダウンロード専用のSoundcloudアカウントを取得しており、過去の作品から20本強の楽曲が上がっております。
いつ聴いてもこのSkrillexネタが酷過ぎると思いますが、たまにこういうフッ切れたことが起こるのもハードグルーヴです。

Joris Voorn / The Secret (Almir Ljusa Bootleg)


同アーティストネタで別のクリエイターによる作品。Almir Ljusaはハードグルーヴはおろかテクノでも珍しいボスニア・ヘルツェゴビナ出身。
こちらはもっとメロウな雰囲気に寄せたリズムですね。序盤で流れを作ったり、〆で次の人に渡す時にフラットな状態にしたい時なんかに使えます。
結構前に公開になってたブートレグでしたが、最近アップロードし直したようです。
こういうものはいつ消されるか分からなかったりするので、見つけたら即手に入れるが吉。

Benny Benassi Ft.Sandy / Illusion (G8 2017 Hardgroove Rework)


歌ものメインストリームハウスがハードグルーヴになった作品。G8も現行のハードグルーヴクリエイターです。
その他にトランスも作ってたりするだけあって、広い空間で映えそうな仕上がりなのがお分かり頂けるかと思います。
ベースとハイハットでグイグイ牽引していくのでネタありきでもなく、普通に使えます。

Midnight Star / Freak-o-zoid (Digital Knecht’s Zomb-i-zoid Bootleg)


少し毛色を変えてディスコネタをご紹介します。
日頃からハードグルーヴとディスコの中間点みたいな曲が多いドイツのDigital Knechtによるもの。
バウンシーなトライバルリズムに元ネタのレトロなシンセが乗っかったファンキーなトラック。
前回書いたように自分はディスコが好きなのでHardonizeでも度々ディスコからハードグルーヴに展開するプレイをしますが、そういう時にこういう曲があると大変ありがたいですね。

Dj Brutec / Bronte


ストイックなDJ向けにブートレグ以外のフリーダウンロード楽曲を紹介します。
ハードグルーヴシーン若手注目株のスペイン出身クリエイター、Dj Brutecのトラック。
疾走感よりはズッシリくる感じのビートに反復シンセがアグレッシヴな雰囲気を醸してます。
彼のSoundcloudは1つしかないのですが、フリーダウンロードの楽曲、MIXしかアップロードしないと云うポリシーがあるようです。
作品もその型破りっぷりに期待がかかります。

Sergy Casttle / BEYONDER RMX


重厚感繋がりでもう1つ重めなトラックを。
テクノ好きには言わずと知れたJoey Beltramが元ネタですが、キックが鈍器で殴られているかのような圧で繰り出されます。
Sergy Casttleもハードグルーヴの拠点スペインのアーティストですが、こういったテクノ然としたストイックな曲を作っている人もおられます。
特にハードミニマル好きの人におススメしたいですね。当Hardonizeのボス、Yudukiさんもお気に入りの1人ですので。

Dragon Hoang / Gatsby (Norman Andretti Aka Quarill Rmx)


ここからはリフとかメロディーに注力した作品をご紹介します。
まずこちらはハンガリーの若手クリエイター、Norman Andrettiの作品。
何の因果か、去年のクリスマスに『メリークリスマス!』ってアップロードされたようです。ありがとう、ありがとう。
こういった少し哀愁漂うハードグルーヴは彼の得意分野となっている気がします。
ファンキー一辺倒に疲れたときの良い清涼剤として使える筈です。

THE WELL PAID SCIENTISTS / THE GANDER (JOHN ASKEW REMIX)


90年代の渋いアシッドテクノが元ネタですが、派手なシンセが反復するトランシーなハードテクノに様変わりしてます。
アシッドシンセも使ってはいるものの、そこから更に発展してサイケデリックトランスっぽい展開まで見せるのが本当に秀逸。
これを作ったロンドンのJohn Askewは前回特集でも挙げましたが、やはり細かい音の作り込みが一線を画している感じがあります。
それはこういうフリーダウンロードに於いても一切の妥協を見せません。大推薦の1曲。

Rex Mundi / Echo (Andy BSK Remix)


本連載でも何回か取り上げているAndy BSK。フロム・スロバキアにしてイン・ドイツのクリエイター。(Andy BSK特集はこちら)
ジャケットインパクトの凄まじいHardgroove Gangstaと云うEPを出したことも記憶に新しい彼ですが、ハードテクノと並行してトランスにも傾注しており、ディープトランスをアレンジしたのがコチラになります。
原曲と比べると相当派手になってますが、ハード系4つ打ちの中では綺麗に終わらせるためのトラックみたいな印象ですね。
ピアノが鳴ってる曲は良い曲理論。

以上9曲フリーダウンロード、ブートレグ楽曲の紹介でございました。
冒頭でも書いたように、すっかり世の中に浸透した感はあるのになんとなく敷居が高いみたいなイメージがテクノには付いて回ります。
勿論ストイックな側面があることも事実ですが、それだけじゃなくて単純にアホっぽいのもあり、周辺ジャンルに歩み寄ったものもあり、もっと肩の力を抜いて楽しめる部分も間違いなくあるので、そういう意味では他の数あるダンスミュージックと何ら変わりない存在であると思ってます。
我々はその『楽しめそうな部分』を切り取って今後も皆様に提示していく所存です。
言って良いのか分かりませんが次回、次々回の企画も水面下で徐々に進行しておりますので、どうぞお楽しみに。
一方ワタクシは今『徐々に』ってキーボード打ったら『ジョジョに』って変換されて早くも気持ちが折れそうです。

次週09月26日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。

それと今週末に次回Hardonizeの発表があります。お見逃しなく!


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/09/07

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

Crate Diggers Tokyo
Crate Diggers Tokyoに行ってきました。
http://cratediggers.com/events/tokyo2017/
http://www.contacttokyo.com/schedule/crate-diggers-tokyo/
音楽データベースサイトのDiscogsが主宰するレコード市で、disk unionやHMVなど大手を含む国内のレコードショップ、DJが各々選りすぐったレコードを販売すると云ったイベント。
今回日本初開催だったそうです。
会場は渋谷のクラブ、Contact。
ここはよくテクノのパーティーも開催されているので、本連載をお読み頂いている方の中には遊びに行ったことのある方も多いと思いますが、700人規模の所謂中箱に当たります。
そこに所狭しとレコードが並んでおり、もう圧巻でした。
Discogsが主宰しているだけあってヒップホップ、R&B、ハウス、テクノなどのクラブミュージックは元よりジャズや歌謡曲、ワールドミュージックなども揃っており、DJもレコードコレクターもあの場所に集っていたような気がします。

で、私の収穫としてはこんな感じです。
Crate Diggers TokyoCrate Diggers Tokyo
コレクション的に買ったものもちらほらありますが、やはり未だにレコードでしか手に入らない曲と云うものは存在するので、その辺を狙ったチョイスとなってます。
また開催された際には足を運びたいと思います。年イチくらいで開催してくれると丁度良いんですけどねー。

さて、上の写真はなんとなくジャンル分けされておりまして、右の写真の2枚目に写っている9枚はディスコものに該当します。
私事で大変恐縮ですが、ファンキーなミドルテンポの4つ打ちダンスミュージックを語る上で欠かせない要素がこのディスコでありまして、見かけたら有無を言わさず買ってしまう病気にかかっています。
突き抜けて陽気な曲風に魅せられたと云う点もあるのですが、ある1人のDJプレイに感化され、今尚目標と掲げている存在があることも大きいと感じています。
今回ご紹介するのはそんな方でございます。

【Bad Boy Bill】

Bad Boy Bill

https://www.badboybill.com
https://www.facebook.com/BadBoyBill
https://soundcloud.com/djbadboybill

アメリカ、シカゴのDJ/クリエイター。
1970年代初頭の生まれで、1985年にDJデビュー、1987年にトラックリリース開始と大ベテランです。
作曲ジャンルはデビューから今に至るまでハウスとその周辺音楽ではあるものの、DJを開始した当初はヒップホップに傾倒しており、1988年、1989年と2年連続であのDJバトル大会、DMCの全米トップ3に輝いております。
参考映像がこちら。

Bad Boy Bill – 1989 DMC DJ Battle

今聴いても普通に上手くて見ごたえありますし、これが後年ハウスDJとしてトップの座に君臨すると云うのは中々信じ難いものがあります。
ちなみに途中で33回転を45回転にスイッチする手法はこの年の世界チャンピオン、Cutmaster Swiftもやっていた手法ですね。

また、Bad Boy Billが当時から行っていた革新的なプロモーションがHot Mixシリーズと呼ばれるものです。
これは彼がこのために設立したStreet DJ Promotionsと云うレーベルを通して配布されたMIX音源で、1988年から1994年の間に17番まで作られました。
オールドスクールブレイクスからシカゴハウス、レイヴ、テクノ、ディスコまで詰め込まれた内容もさることながら、これらは他のMIXテープと一線を画した要素がありました。
それは収録された楽曲のライセンス取得を行っていたと云う点です。
そしてそれはアメリカのレコード産業協会認可の元、合法的にレコード店やマーケット流通に乗せることが可能になることを意味します。
この動きは数々のレコードレーベルの支持と注目を集め、Bad Boy Billは法的に認可されたMIXを制作する最初のシカゴDJとしてその名を一気に全米に広めます。

その後、Bad Boy BillはDJとして、またクリエイターとしての活動拠点となるMix Connection Multimediaを設立。
地元シカゴのAngel Alanis、CZR、Fast Eddieらを所属アーティストとして迎え入れたほか、Hatirasのデビューを手伝ったりとプロモーターとしての活動にも力を入れ始めます。
その中で彼の代表作となるのがBangin’ The Boxシリーズ。そしてこれこそ僕が彼を偉人と崇める理由となった作品です。

Bad Boy Bill – Bangin’ The Box Vol. 4 (1999)

BPM140近辺と云うハウス、テクノにしては速いビートにグルーヴ感のあるベースと忙しないリズム、トラックの繋ぎ目に合わせてシンセの表情も多種多様に展開するその上にスクラッチや声ネタまで重ねると云う、満漢全席みたいなMIXです。
その上、60分そこらで30曲以上繋いでいるのが凄い。これは先のHot Mixシリーズもそうでしたが、ヒップホップ仕込みのクイックミックス技術が大いに反映されています。
最大で6台のデッキを駆使することもあるんだとか。6台って。

また、Bangin’ The BoxはCD媒体として頒布されてましたが、並行して始められたポッドキャストにBehind The Decksと云うシリーズがあり、こちらは2017年になった今でも継続して更新されております。
Soundcloudにアーカイヴが上がっておりますので最近の動向の一貫として是非。
https://soundcloud.com/btdradioshow

ちなみに2004年にはWIRE04出演のため来日しております。
その時の映像がこちら。

Bad Boy Bill Live At WIRE04

ストイックなものもファンキーなものも含めて電子楽器を使った音楽=テクノであった時代の、良い意味でざっくばらんとした雰囲気がこの映像からも伝わると思います。
あらゆる音楽、培ってきた技術、そしてマーケティング手法を駆使しながら、如何にDJとして楽しいプレイを聴かせられるかと云った意思の権化みたいな存在、それがBad Boy Billだと思います。
本当にカッコいい。

そんなBad Boy Billのオススメはこちら。

Bad Boy Bill Presents White Boy Mike And The Strength / How Do Ya Feel


1988年リリースの初期作品です。これまでのキャリアと将来を見据えた音の融合のようなファンキーヒップハウス。

Bad Boy Bill (feat. Kevin Irving) / Happy

Hatiras, Bad Boy Bill / Rokstar

Bad Boy Bill feat. Alex Peace / Everybody


個人的3部作。チューンアップされたディスコのドライブ感がとにかく強烈。使いどころ多し。

Bad Boy Bill / Re-conditioned


未配信化音源。Joey BeltramのMIXにも使われたアグレッシヴなリフが特徴の曲。

Bad Boy Bill, Gettoblaster / Balls & Lick


ここ数年はEDMの人として大型フェスに多数招かれておりますが、最近シカゴハウスっぽい曲がちらほら出てきました。
原点回帰でしょうか。だとするともう少し時が進めばディスコに戻ってくるかもと淡く期待を寄せてしまいますね。

次週09月12日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。