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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/02/23

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

Hardonize本編の開催日がいよいよ今週末に迫ってまいりました。
ゲストに招いたのはMorphonics氏とmarix氏と云う頭文字がM同士のハードサウンドペア。
両者共テクノのみならずハードダンスやベースミュージック、レイヴと云った音楽にも造詣が深く、様々なカラーのパーティーを渡り歩いてきた実力者とあって大変楽しみです。
個人的にもこの御二方とは長いお付き合いをさせて頂いており、Morphonics氏も先週とあるパーティーで邂逅を果たしたばかりなのですが、すっかりヘベレケの状態で『秘伝の海苔持って行くわ!』と息巻いておられました。
大変愉快な方です。
しかしDJやサウンドメイキングに関してはハードでアップリフティングであることを一貫しており、特にRemo-con氏とのこの共作はテクノ、ハードダンスの枠を超えてベースミュージックやハウスのDJにも使われた瞬間を度々目撃しております。

Remo-con, Morphonics / Handbag

一方marix氏は茶箱にも昔から縁のあるDJ。
一時期の茶箱でDJをする女性は男性の音よりも男らしいと称された時期がありましたが、この人も間違いなくその一柱。
ゴリゴリのハードテクノからサイケデリックトランス、そしてベースラインハウス、ジュークと云った深い音楽まで繰り出すまさに荒削りなレイヴの申し子のような方です。
余談ですが、今何かと話題のハシビロコウのマスクを被ってDJしていた時期もあり、それもまた強烈に覚えております。

そんな両名と我々レジデント4名でお送り致しますHardonize26回目。
皆様のお越しをお待ちしております。何卒よろしくお願い致します。
『Hardonize#26』告知ページはこちら

といったところで本題。
告知が長くなってしまったので今回スポットを当てるのは単純に個人的な最近の注目株である人です。

【Pasquale Maassen】

Pasquale Maassen

https://www.facebook.com/pasqualemaassen
https://soundcloud.com/pasqualemaassen

ドイツ、デュッセルドルフ近郊のプロデューサー/DJ。
トラックメイキングは10代半ばから開始し、90年代のChris Liebingの曲に強く影響を受けてテクノに傾倒。
00年年代前半になるとオンライン音楽配信サイト『mp3.de』のコンテストで優勝したり『raveline』マガジンで取り上げられるなど活動が活発化します。
彼の初となるレーベル『fanatische loop programmierer』が立ち上がったのもこの頃で、myspaceに再アップロードされた音源が残っていました。
Pasquale Maassen / Looping with Fruits EP
尚、これは2001年の時点でmp3として配信されており、アナログとデジタルの転換点をこの時点で感じ取っていたようです。

その後様々なレーベルに跨って今も活動を続けております。
例としてHardonize的に縁があるレーベルを挙げると、『Keep On Techno』や、『Corrupted Data』でしょう。
後者はリミキサーとしてハードグルーヴシーンの新星、Norman Andrettiを起用しております。

前述のようにテクノとしての根底にあるのがChris Liebingと云うためか、ハードミニマルの要素が特に前に出ておりますが、彼の曲が面白いのはその中で実験を繰り返している感じを受けることです。
テクノらしからぬ複雑なビートパターンを展開したり、過度に音を歪ませてみたり、オルタナティブ・ロックやディスコの生音を取り入れたりとまさに変幻自在。
元々ハードウェアを並べて即興でテクノを演奏することを主としていたようなので、ライブの中で生まれた面白い音を曲に反映させているのかもしれません。
もしあなたがDJであった場合、配信サイトでこの人の曲を数点集めるだけで相当幅の広いプレイができるようになると思います。
勿論ワタクシ好みのファンキーなハードテクノもありますよ!

Pasquale Maassen / Kopter

Pasquale Maassen / Audiomulch04

Pasquale Maassen / Longroad Johnson

Pasquale Maassen / Goods from Gods

また、変名義も多く持っており、これがその中の1つ、Ikul-a名義での作品。
ファンキーなシンセ使いが目立つハードテクノとなっているのでハードグルーヴとも相性良し。

Ikul-a / Doof

加えて現在は『Renamed Records』と云うレーベルの運営も行っており、各種テクノはもとよりハウスやトランス、ドラムンベースなど多様なジャンルをドイツから発信しております。
配信サイトで販売しているものとSoundcloudでフリーダウンロードで公開されているものとあるので是非チェックしてみてください。
ちなみに以下のDJ Smurと云うのもPasquale Maassenによる変名義。
他にも『使える』トラックが多くありますよ。
Renamed Records

DJ Smur / On and On

次週02月28日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/02/09

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

前回の記事でテクノは未だにヴァイナル文化が残っていると云う話を出した後の774Muzikさんの投稿がヴァイナルリリース音源紹介で非常に懐かしい気持ちになりました。
我々HardonizeクルーはDJ始めた時期がそこそこ似通っていて、当時行ってたレコード屋も然程変わらず、しばしば同じ作品の取り合いをしたものです。
先のエントリーで紹介されてたブートレグものなんかは正に争奪戦そのもので、存在自体がイリーガルだもんで買い逃したら再入荷されるかどうかも怪しかったことから
持っているだけで羨望の眼差しを味わえたり、まぁ逆にウキウキで買って帰って聴いてみたらそんなに良くもなかったものを、しかも片面1曲しか入っていなかったりするものを高い値段で買っちゃった事実に気が付いてヘコんだり。
それが今やブートレグはBandcamp、Soundcloudなどで気軽に手に入れられるようになり、改めて振り返るとこの便利さには感激してしまいます。
その辺の紹介は去年のフリーダウンロード回で挙げましたけれども、また曲数溜まってきたら紹介しようと思います。

さて、冒頭の話題に戻ってヴァイナル文化のお話。
前回『テクノはメインストリーム系、ハード系問わずまだまだヴァイナル文化が根強く残っていたりします。』と書いた中のハード系に目を向けると云うのが今回の主旨です。
5年くらい前まではハードグルーヴも頻繁にヴァイナルリリースがあったんですが、今はPrimevilとかMoop Up、KickMaSomaAssなど一部を除いてほぼリリース媒体はデータメインになりました。
しかし未だにヴァイナルリリースに重きを置いたハードテクノがあります。
やや速いハードダンスのテンポで地を這うベース、そしてコアとなるTB303特有のうねりまくるシンセ音。
ご推察、アシッドテクノです。
909londonを筆頭にジャンル単体にスポットを当てたレコード店が今尚存在し、1音1音はテクノ的でありながらロングブレイクやレイヴカルチャーを匂わせるボイスサンプリングの多用などテクノらしからぬシーケンスとフレージングを奏でるこの音楽は現在独特のシーンを形成しております。
今回スポットを当てるのはそんなアシッドテクノの作り手であるこの人です。

【Jamie Taylor aka Tik Tok】

tik tok

https://www.facebook.com/tiktok303
https://soundcloud.com/jamietaylor

イギリス在住のプロデューサー/DJ。
このアーティスト写真のモヒカンからして相当なアナーキーっぷりが見て取れますが、主宰レーベル名もCDJ303、MP303とまた面白い。
2004年から作曲活動を開始しており、当時作っていた音はちょっとテクノっぽいハードダンス・・・と云うか今聴くと完全にハードグルーヴですねコレ。

DJ GRH & TikTok / Heatwave

2005年、デビューから2~3枚目にリリースされた曲です。
ややファンキーなリフとフィルター、シャカシャカ系の金物リズムが今と遜色ない。
とは言え当時はハードグルーヴと云う単語はなく、このNeonateと云うレーベルががUKハードダンス、ハードエナジーの大手Vicious Circleからの派生だったこともあり、ハードダンス、トランスのDJに向けたリリース扱いになってました。
尚、これらと並行してアシッドテクノも作っており、Dave the DrummerやAaron Liberatorなど大手プロデューサーにもプレイされていたんですが、2009年に一旦活動を休止しています。
その後2012年から自身のレーベルを立ち上げて再始動しており、Tik Tok名義を完全にアシッドテクノのクリエイターとして統一、現在配信サイトで買えるのはこれ以降の作品です。

Tik Tok / Blaze Up

Tik Tok / Run!

ヴァイナルリリースとしての活動母体レーベルはアシッドテクノ総本山であるStay Up Foreverや909london、新興のレーベルだとThe Geezerが始めたPlanet TechnoやロシアのInterstate Oneなど、ほぼ自身のレーベルオンリーで流通しているデジタルリリースとは違った側面を見ることができます。
こちらもまた相当突っ走っている音源多数。

Tik Tok / Dodges Dirty Bass

Tik Tok / Barnyard Beats

加えて本名、Jamie Taylor名義での活動も並行して行っており、こちらはアシッドシンセを控えたハードテクノをリリースしてます。

Jamie Taylor / Jalapeno

Jamie Taylor / Awkward

渋かったり派手だったり色々あるものの、一貫してハードテクノからはブレていない。
最初に紹介した2005年の曲からもそれは読み取れると思います。
アナログ、デジタル、双方の良さを活かしながらレイヴ、テクノ、トランスの境界線をアシッドテクノの疾走感を武器に強引に捻じ曲げていく(あの髪型も含め、)反骨精神のカタマリのようなアーティスト、それがTik Tokです。

次週02月14日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


余談ですがPrimevilと云うレーベルは90年代後半からスタートしている由緒正しいテクノレーベルなのでして、2007年の活動休止後2015年に密かに復活してました。
今のところ年1枚のリリースに留まってますが、全盛期のパーカッシヴテクノの再来なるか、今後の動向に注目です。
本来であればこれ1本で記事が書けるくらいの出来事でした。