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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/09/20

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

一昨日のYudukiボスの記事で書かれた通り、次回Hardonizeの情報が公開となりました。
Hardonize31_Omote
ゲストとしてお招きしたのはShinichi SasakiことLZDさん。
ゲーム音楽アレンジ集団、GAMSICのファウンダーであり、古くは早稲田茶箱にて行われていたRe:(Response)のオーガナイザー。
後者はHardonizeが始まる前に我々レジデントメンバーが4人とも出演していた古巣とも言える存在で、親睦を深めるようになった切欠にも当たります。
おそらくこのパーティーがなければHardonizeも生まれなかったでしょう。

で、上記リンクでYudukiさんも書いている通り、Hardonize初期メンバーの中にLZDさんも入っていました。
その後色々あってレジデントと云う立ち位置には至らなかったのですが、彼が未だにハードテクノでDJ活動を続けていることは重々承知しており、『いつか呼びたい。』と云う話は実は何度か出ていたのです。
但し、上記のような経緯があるユエ、何の意味も理由もなく彼を呼ぶことはできませんでした。

しかし皆様のおかげで今年はHardonizeが10周年を迎えることができたわけでございまして、ならば10周年イヤーの(多分)最後の回にこそ相応しいだろうと云うことで今回のご出演に至りました。
たとえ上記のような経緯を知らない方が大半だったとしても、彼を再度呼ぶことにはHardonize的に大きな意味があります。
流れる音はハードテクノ。
今も昔もハードテクノ。
アイモカワラズハードテクノ。
そんな5人で久しぶりに行うHardonizeを10月27日に執り行います。
何卒。

Hardonize 01 Photo
ちなみにこれは写真フォルダ漁っていた時に発掘された、Hardonize初回の際にB2Bを行っている僕以外のレジデントメンバー3人です。

さて、前回前々回の記事にて09月08日にLen FakiASCが別々のパーティーに出演する旨を取り上げましたが、
結局ワタクシ、
両方行ってしまいました。

最初はASCを見るためにVENTに行っていたのですが、途中で秋葉原重工Takayuki Kamiya氏が現れ、
『なんかLen Fakiは朝までプレイするみたいだからASC終わってからでも見れるよ?どう?
などと囁くもんですから、その通りASCのプレイを見終わってから2人でContactへ徒歩で移動、そのままLen Fakiのプレイを見ることが叶ってしまいました。

片や突き抜けて変なビートパターンとロングスケールシンセのオンパレード、片やブレイク明けて重たいリズムだけになるような攻撃的なテクノの総力戦と云った感じで、テクノの異なる側面を一夜で体感できました。
暫くその余波を引きずってしまい、先日もとあるパーティーでヘヴィーウェイトなテクノに焦点を当ててプレイしてしまった程。
方向性は違えどグルーヴ感を維持する選曲は大変参考になりましたし、それに身を委ねることも単純に楽しかったです。

さてさて、Len Faki紹介回でも少し触れたのですが、彼が主宰しているレーベル、Figureの100番目となる作品がつい先日リリースとなりました。
FIGURE 100 from Figure on Beatport

レーベル設立15周年も兼ねた記念的コンピレーション。
ボスのLen Fakiは当然として、まだ無名の頃に彼によって見出されたJeroen Searchや、若干27歳にして次世代筆頭候補Lewis Fautziなど、同レーベルを代表するアーティストが勢揃いしております。
収録曲も儚いメロディを主とするものからほぼリズムだけと云うシンプルなものまで、現行のメインストリームテクノの髄が詰まったものとなっています。

個人的なオススメは粗っぽいシンセがパラメータを変えながら展開する様が何とも気持ち悪いkirilikの作品、Batut。

kirilik / Batut

実はこの他にも、ここ1週間くらいの間にリリースされた作品が軒並み超弩級タイトルばかりだったりします。
と云うわけで今回は特定のアーティストをピックアップするのではなく、連載タイトル通り、
今週(もしくは直近で)リリースされたオススメハードテクノ
をテーマにお送りします。
この連載を2年やってて初めての新譜紹介となります。
それくらい、これは取り上げねばと云う作品が多かったもので。

では、いってみましょう。

Aphex Twin / Collapse EP

Collapse EP from Warp Records on Beatport

いやはや、何と言ってもビッグニュースはこれですね。
UKエレクトロニックミュージックを20年に渡って引っ掻き回し続けているAphex Twinの2年振りのEPがリリースされました。
先行公開されたT69 collapseはノスタルジックなメロディと裏腹に、グリッチエフェクトが過剰に使われた90年代の彼を彷彿とさせるドリルンベーススタイルとあって大いに興奮しましたが、それに負けじとミュージックビデオも凄まじかった。

Aphex Twin / T69 Collapse

文字の羅列から始まり、それが風景を構成し、歪みとコラージュを繰り返しながら激しく胎動したのち明瞭な、それでいて不自然な世界になっていくと云うもの。
ワタクシはこれを見たとき、インターネットを映像化したらこうなるんだろうなと云う印象を受けました。
音に映像が完全に同期するのは同じWarp Recordsから出た名作、Autechre / Gantz Grafを彷彿とさせますね。

そんなT69 collapseが収録されている今回のCollapse EPですが、他の曲も『あの頃』のAphex Twinを匂わせてくれて、且つ現代のエレクトロニックミュージックの要素も取り入れた実験音楽の玉手箱です。
孤高にして唯一無二、未だ健在です。とても嬉しい事件でした。

Orbital / Monsters Exist

Monsters Exist (Deluxe) from ACP Recordings Ltd on Beatport

こちらもなかなかの事件っぷりを醸しております。
前作、Wonkyから実に6年振りとなるテクノ界の大御所ユニット、Orbitalによるオリジナルアルバムが発売。
Wonkyは割とEDMテイストが多く含まれていただけに賛否両論あったと思いますが、昨年突然リリースされたKinetic 20171992年初出の原曲のテイストを残しつつ、現行のプログレッシヴハウスに近いアレンジが加えられたもので、何かが起こるのではないかと期待させるのに充分なインパクトを持っていました。
(嬉しさのあまりリリース直後に行われたHardonize#26の〆に使ってしまった程。)

そしてその予感はこのMonsters Existを以って具現化することになります。
アシッド、レイヴ、ハウス、そしてテクノと、こちらもこちらで『あの頃』感満載です。
新しい試みとしてUKガラージやフューチャーベースを取り入れた曲も収録されているの辺りは現行の電子音楽ファンに向けたアプローチと受け取れて、それもまた魅力の1つです。
特に収録曲のリミキサーとして最新鋭ベースミュージックであるウェーブの代表格であるKarefulを起用しているのが凄いなと思いました。
Tiny Foldable Cities (Kareful Remix) (Bonus Track) by Orbital on Beatport
ウェーブが注目されたのがここ1~2年と考えると、Orbitalが如何に新しいものに対して目を光らせているかどうかが分かる筈です。

個人的オススメは90年代感のある多種多様な要素が混ざり合ったバリアレックスタイルのKaiju。

Orbital / Kaiju

V.A. / A-Sides Vol.7

A-Sides Vol.7 from Drumcode on Beatport

Adam Beyerが率いるハードミニマルの名門と云えば、ご存知Drumcode
そこで2012年から続いているコンピレーション・シリーズの第7作目がこちらです。
Thomas SchumacherSecret Cinemaと云ったベテラン勢からAlan FitzpatrickDense & Pikaなどの次世代組までスーパースターが一堂に会しております。
テンポこそ下がりましたが、ビートは『あの頃』の深いまま。
薄暗いフロアで延々と臓腑に響く反復音に身を任せるための音楽が揃っています。

個人的オススメはパッドシンセと生音っぽいドライスネアが柔らかい印象を与えるJel Fordの作品、Night Shade。

Jel Ford / Night Shade

V.A. / Summer Collection. 2018

Summer Collection. 2018 from Oxytech Records on Beatport

Oxytech Recordsは2012年にウクライナで発足されたレーベル。
兎に角リズムがヘヴィーで歪んでいるテクノを主軸に、しかもかなり頻繁にリリースを行っている(3日に1作は必ずEPが出る)集団として現在もアンダーグラウンドのテクノシーンを賑わせている存在です。
そしてこのレーベルの恒例行事として四半期に1度、その期間のリリースやエクスクルーシヴ音源を纏めたコンピレーションが出る、と云うのがあって、2018年の夏版がつい先日発売となりました。
取り立てて有名なアーティストを擁していたりはしないのですが、その分新規流入も激しく、ストイックに音で勝負する姿勢がアングラっぽくて良いなぁと思ったりします。
試聴段階で胃もたれするくらいのエグさを奏でておりますが、55曲入って17ドル程度(1曲換算すると約30セント)と大変お買い得なので未体験ゾーンに足を踏み入れたい人にオススメ。

個人的オススメはブレイクでイマドキのチャラい跳ねたシンセが前面に出ているクセに、明けると超重いベースが圧力をかけてくるこのレーベルのボス、Terra4beatのダマし系トラック、Summertime (Terra4Beat Remix)。

Alain Delay / Summertime (Terra4Beat Remix)

The Beatkilllers / Classics Remixes

Classics Remixes from Deep Low Records on Beatport

最後にご紹介するのはこちら。
スペインのブレイクビートメイカー、The BeatkillersによるリミックスEP。
何のリミックスかと言うと驚くなかれ、1990年代初頭~中期にかけて世界中を踊らせたレイヴアンセム。
Awesome 3 / Don’t GoBaby D / Let me be your fantasyThe Prodigy / Your LoveRobert Miles / Children、タイトルは出てこなかったとしても、きっとこれらのフレーズについてはどこかで聴いたことあると思います。
言わば大ネタ中の大ネタなワケです。

1曲ずつブートレグで公開されているのならまだ分かる。
Paul Croninの回でも少し触れたようにレイヴブレイクスのシーンに於いては往年のレイヴアンセムネタブートレグが割合頻繁に投下されていたりするので。
しかしこのように、堂々とEPでヒトカタマリになって売られている例はかなりレアと言える筈です。
今回の紹介の中では群を抜いて謎の作品。

個人的オススメはもう全部!と言いたいところですが、Robert MilesのChildrenネタとしておきます。
新譜を追っていてRobert Milesの名前を見た衝撃度も大きかったですし、元ネタがトランスとあって非4つ打ち系のアレンジを聴いたことがなかったと思うので。

Robert Miles / Children (The Beatkillers Remix)

次週09月25日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/09/06

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

前回の記事にて取り上げたASCの来日パーティーが今週末に控えております。
ワタクシは出演しませんが、テクノ~ベースミュージック好きとして遊びに行く予定です。

今週末は他にもokadadaさんとDJ WILDPARTYさんがレジデントを務めるマンスリーパーティー、AUDIO TWOのゲストにSEKITOVAさんが出たり、
大手EDMレーベルMonstercatに所属する覆面アーティスト、Tokyo Machineの昼夜連続公演(デイ公演 / ナイト公演)があったりと、なかなかに濃厚な催しが目白押しとなっております。

そして忘れてはいけないのがLen Fakiの来日ですね。
ピュアテクノ好きには外せないラインナップであることも、テクノに特化したハコ、Contactで行われることも魅力的なパーティーとなっております。
彼の来日自体も実に5年振りだそうなので、こちらに行く人も多そうですね。
上述のパーティーと被ってしまったのが本当に悔しい。

と云うわけで今回はこのLen Fakiと云うアーティストについて紹介しましょう。

Len Faki

len faki
http://www.figure-music.com/
https://soundcloud.com/lenfaki

拠点はドイツ、ベルリン。
1990年代初頭よりDJ/トラックメイカーとして活動を開始し、数々のユニット、変名義でのリリースを経て本名に近いこの名義に活動を一本化したのが2000年頃。
この時点でいくつかのレーベル運営に携わっておりましたが、2003年にFigureと云うレーベルを設立。
以降は現在もリリースの拠点として機能しております。

ちなみに、彼の出身はドイツ南部のシュトゥットガルトであり、この街でテクノと出会ったそうなのですが、警察の圧力によってシュトゥットガルトのクラブシーンは全滅し、ベルリンに移ることにしたと云う過去を持っています。
テクノ大国と謳われたドイツでもこんなことあったんですね。

Figure初期のリリースはハードテクノに近い音を輩出しておりました。
Hertz / Recreateや、Alter Ego / RockerJoris Voorn / Incidentと云った当時のアンセムトラックが多く世に放たれた2004年、時を同じくしてLen Fakiが提示した楽曲もまた、大きな衝撃を持って迎え入れられました。

Len Faki / Just A Dance

フィルターも挟みつつ規則的シンセとビートにキレの良いハイハット、そして中盤のブレイク以降で炸裂するファンキーなリフからなるこの曲はダンスミュージックとしての機能性とテクノの持つ多様性が一体となったハイブリッドなトラックとして注目を集め、ヨーロッパを中心に大ヒットを記録。
彼の代表作品になると共にLen Fakiの知名度を押し上げる契機となりました。
日本でもテクノ~ハウス周辺の様々なパーティーで流れましたね。(自分がクラブ遊びをするようになった時期が丁度この辺りだったので、印象に残っています。)

ちなみに、のちにリミックス盤が制作されることになるのですが、それに選ばれた面子がTechnasiaRenato CohenCarl Coxとこれまた錚々たる並びでして、この曲がどれほどの衝撃であったか窺い知ることができます。

その後、テクノシーン全体がミニマルの傾向に向かうのですが、Len Fakiはそれをいち早く察知し、むしろ牽引したフシがあります。

当時の最先端とされた微弱なリズムでグルーヴを構築するクリックと呼ばれるスタイルを取り入れ、これものちに多くリミックスが作られることになる代表作、My Black Sheep。
(WIRE 08のコンピレーションにRadio Slaveのリミックスが収録されているので、こちらで聴いた方もいるかもしれません。)

Len Faki / My Black Sheep

ハウスの雰囲気を残しつつ、怪しげなリフが響き渡るその混成は現行テックハウスの祖とも思えるMekong Delta。

Len Faki / Mekong Delta

10分超えと云う壮大なサウンドスケープであり、後半に行くにつれてシンセが派手になっていく異色作、Odyssee 2。

Len Faki / Odyssee 2

これら全てを2007年に発表しており、完璧なまでに当時のリスナーの期待に応えた彼は名実共にテクノシーンのトップに君臨することになりました。

最近の活動としては自身のレーベル、Figureの傘下としてFigure SPCFigure Jamsと云うサブレーベルを設立、有名無名問わず後進のアーティストのフックアップを行っております。
Len Fakiは常に新しい才能を欲しており、それをサポートすることに対する重要性を強く理解しています。
そしてそれらトラック、或いはクラブ、そして大規模なフェスに至るまで自分の周囲にアンテナを張り巡らせ、受けたインスピレーションを形にすることを恐れません。
そのリスクについては承知しており、狙った通りの結果が得られないこともあるそうですが、ある時にはオーディエンス共々自分まで驚いてしまうような魔法のような瞬間を送ることもできる。
それが魅力なのだと語っております。

更に90年代テクノトラックをリミックスするレーベルとしてLF RMXを立ち上げ、その売り上げをホームレスの子供や児童の貧困のケアに貢献するベルリンの慈善団体に寄付すると云うプロジェクトも抱えています。
ちなみにLF RMXでリミックスされる楽曲は全てLen Faki自身が選出したものであり、これを手掛ける理由については自分がDJで使うためと語っています。
しかしここにも彼なりのコダワリがあり、
・オリジナルの雰囲気を保つこと
・自分のタッチを与えること
・現代的なサウンドに合わせること
この3つを明確に守って制作しております。
これらは非常に難しいことで、彼自身も挑戦であると認識していますが、自分が影響を受けたテクノの先駆者たちに敬意を払うため、心底楽しんでこの活動を行っているそうです。

今やLen Fakiは忙しく世界中のギグをこなしており、今回の来日公演の直近を見てもヨーロッパは元より韓国、シンガポール、ブラジルでの出演を控えている身です。
2003年より続いている自身のレーベル、Figureの15周年且つ100番目となるリリースFIGURE 100のリリースが控えている(予定では17日発売)ことも決して無縁ではないでしょう。
最近のプレイを聴いてみると、グルーヴを一定にキープしつつもウワモノの雰囲気で緩急をつけるプレイをしており、圧巻です。

ハードテクノにも親和性の高い、ヘヴィーウエイトなリズムを堪能できる一晩になることでしょう。
久方振りの来日、是非生で体感してください。

そんなLen Fakiのオススメはこちら。

Johannes Heil, Len Faki / Dirty

オルガンライクな怪しいウワモノと重工リズム。
彼がダークテクノの雄と称されるに相応しい1曲。
共作者のJohannes HeilもLen Faki同様のキャリアを持ち、Figureにも多く作品を提供している盟友と言って良い間柄のクリエイターです。

DJ Hyperactive / Wide Open (Len Faki DJ-Edit)

前述のLF RMXを立ち上げる切欠になった90年代トラックリミックスシリーズの1番目がこれでした。
1998年に出たシカゴ系テクノが元ネタ。
DJ HyperactiveMissile RecordsCLRに関わってた人で、このリミックスも原曲の雰囲気を残しつつ現代版にアップデートされているので、あの手のバウンシーな音が好きなら文句なくオススメです。

Odyssee Of Noises / Firedance (The Sunrise) (Len Faki Hardspace Mix)

コチラは前述のLF RMXからリリースされたもの。
よもや1994年初出のジャーマントランスが元ネタと云うだけでも驚きですが、(今調べてBeatportで買えると云う事実にも驚きました。)それをバリアレックなスタイルに仕上げた彼の手腕にもビックリします。
恐らく彼の作品群の中でもダントツに珍しい派手シンセものなので貴重な逸品です。
一体どうやってセットの中に違和感なく組み込むのか気になりますね。

次週09月11日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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