こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
一昨日のYudukiボスの記事で書かれた通り、次回Hardonizeの情報が公開となりました。
ゲストとしてお招きしたのはShinichi SasakiことLZDさん。
ゲーム音楽アレンジ集団、GAMSICのファウンダーであり、古くは早稲田茶箱にて行われていたRe:(Response)のオーガナイザー。
後者はHardonizeが始まる前に我々レジデントメンバーが4人とも出演していた古巣とも言える存在で、親睦を深めるようになった切欠にも当たります。
おそらくこのパーティーがなければHardonizeも生まれなかったでしょう。
で、上記リンクでYudukiさんも書いている通り、Hardonize初期メンバーの中にLZDさんも入っていました。
その後色々あってレジデントと云う立ち位置には至らなかったのですが、彼が未だにハードテクノでDJ活動を続けていることは重々承知しており、『いつか呼びたい。』と云う話は実は何度か出ていたのです。
但し、上記のような経緯があるユエ、何の意味も理由もなく彼を呼ぶことはできませんでした。
しかし皆様のおかげで今年はHardonizeが10周年を迎えることができたわけでございまして、ならば10周年イヤーの(多分)最後の回にこそ相応しいだろうと云うことで今回のご出演に至りました。
たとえ上記のような経緯を知らない方が大半だったとしても、彼を再度呼ぶことにはHardonize的に大きな意味があります。
流れる音はハードテクノ。
今も昔もハードテクノ。
アイモカワラズハードテクノ。
そんな5人で久しぶりに行うHardonizeを10月27日に執り行います。
何卒。
ちなみにこれは写真フォルダ漁っていた時に発掘された、Hardonize初回の際にB2Bを行っている僕以外のレジデントメンバー3人です。
さて、前回、前々回の記事にて09月08日にLen FakiとASCが別々のパーティーに出演する旨を取り上げましたが、
結局ワタクシ、
両方行ってしまいました。
最初はASCを見るためにVENTに行っていたのですが、途中で秋葉原重工のTakayuki Kamiya氏が現れ、
『なんかLen Fakiは朝までプレイするみたいだからASC終わってからでも見れるよ?どう?』
などと囁くもんですから、その通りASCのプレイを見終わってから2人でContactへ徒歩で移動、そのままLen Fakiのプレイを見ることが叶ってしまいました。
片や突き抜けて変なビートパターンとロングスケールシンセのオンパレード、片やブレイク明けて重たいリズムだけになるような攻撃的なテクノの総力戦と云った感じで、テクノの異なる側面を一夜で体感できました。
暫くその余波を引きずってしまい、先日もとあるパーティーでヘヴィーウェイトなテクノに焦点を当ててプレイしてしまった程。
方向性は違えどグルーヴ感を維持する選曲は大変参考になりましたし、それに身を委ねることも単純に楽しかったです。
さてさて、Len Faki紹介回でも少し触れたのですが、彼が主宰しているレーベル、Figureの100番目となる作品がつい先日リリースとなりました。
FIGURE 100 from Figure on Beatport
レーベル設立15周年も兼ねた記念的コンピレーション。
ボスのLen Fakiは当然として、まだ無名の頃に彼によって見出されたJeroen Searchや、若干27歳にして次世代筆頭候補Lewis Fautziなど、同レーベルを代表するアーティストが勢揃いしております。
収録曲も儚いメロディを主とするものからほぼリズムだけと云うシンプルなものまで、現行のメインストリームテクノの髄が詰まったものとなっています。
個人的なオススメは粗っぽいシンセがパラメータを変えながら展開する様が何とも気持ち悪いkirilikの作品、Batut。
実はこの他にも、ここ1週間くらいの間にリリースされた作品が軒並み超弩級タイトルばかりだったりします。
と云うわけで今回は特定のアーティストをピックアップするのではなく、連載タイトル通り、
今週(もしくは直近で)リリースされたオススメハードテクノ
をテーマにお送りします。
この連載を2年やってて初めての新譜紹介となります。
それくらい、これは取り上げねばと云う作品が多かったもので。
では、いってみましょう。
Collapse EP from Warp Records on Beatport
いやはや、何と言ってもビッグニュースはこれですね。
UKエレクトロニックミュージックを20年に渡って引っ掻き回し続けているAphex Twinの2年振りのEPがリリースされました。
先行公開されたT69 collapseはノスタルジックなメロディと裏腹に、グリッチエフェクトが過剰に使われた90年代の彼を彷彿とさせるドリルンベーススタイルとあって大いに興奮しましたが、それに負けじとミュージックビデオも凄まじかった。
文字の羅列から始まり、それが風景を構成し、歪みとコラージュを繰り返しながら激しく胎動したのち明瞭な、それでいて不自然な世界になっていくと云うもの。
ワタクシはこれを見たとき、インターネットを映像化したらこうなるんだろうなと云う印象を受けました。
音に映像が完全に同期するのは同じWarp Recordsから出た名作、Autechre / Gantz Grafを彷彿とさせますね。
そんなT69 collapseが収録されている今回のCollapse EPですが、他の曲も『あの頃』のAphex Twinを匂わせてくれて、且つ現代のエレクトロニックミュージックの要素も取り入れた実験音楽の玉手箱です。
孤高にして唯一無二、未だ健在です。とても嬉しい事件でした。
Monsters Exist (Deluxe) from ACP Recordings Ltd on Beatport
こちらもなかなかの事件っぷりを醸しております。
前作、Wonkyから実に6年振りとなるテクノ界の大御所ユニット、Orbitalによるオリジナルアルバムが発売。
Wonkyは割とEDMテイストが多く含まれていただけに賛否両論あったと思いますが、昨年突然リリースされたKinetic 2017は1992年初出の原曲のテイストを残しつつ、現行のプログレッシヴハウスに近いアレンジが加えられたもので、何かが起こるのではないかと期待させるのに充分なインパクトを持っていました。
(嬉しさのあまりリリース直後に行われたHardonize#26の〆に使ってしまった程。)
そしてその予感はこのMonsters Existを以って具現化することになります。
アシッド、レイヴ、ハウス、そしてテクノと、こちらもこちらで『あの頃』感満載です。
新しい試みとしてUKガラージやフューチャーベースを取り入れた曲も収録されているの辺りは現行の電子音楽ファンに向けたアプローチと受け取れて、それもまた魅力の1つです。
特に収録曲のリミキサーとして最新鋭ベースミュージックであるウェーブの代表格であるKarefulを起用しているのが凄いなと思いました。
Tiny Foldable Cities (Kareful Remix) (Bonus Track) by Orbital on Beatport
ウェーブが注目されたのがここ1~2年と考えると、Orbitalが如何に新しいものに対して目を光らせているかどうかが分かる筈です。
個人的オススメは90年代感のある多種多様な要素が混ざり合ったバリアレックスタイルのKaiju。
A-Sides Vol.7 from Drumcode on Beatport
Adam Beyerが率いるハードミニマルの名門と云えば、ご存知Drumcode。
そこで2012年から続いているコンピレーション・シリーズの第7作目がこちらです。
Thomas SchumacherやSecret Cinemaと云ったベテラン勢からAlan Fitzpatrick、Dense & Pikaなどの次世代組までスーパースターが一堂に会しております。
テンポこそ下がりましたが、ビートは『あの頃』の深いまま。
薄暗いフロアで延々と臓腑に響く反復音に身を任せるための音楽が揃っています。
個人的オススメはパッドシンセと生音っぽいドライスネアが柔らかい印象を与えるJel Fordの作品、Night Shade。
Summer Collection. 2018 from Oxytech Records on Beatport
Oxytech Recordsは2012年にウクライナで発足されたレーベル。
兎に角リズムがヘヴィーで歪んでいるテクノを主軸に、しかもかなり頻繁にリリースを行っている(3日に1作は必ずEPが出る)集団として現在もアンダーグラウンドのテクノシーンを賑わせている存在です。
そしてこのレーベルの恒例行事として四半期に1度、その期間のリリースやエクスクルーシヴ音源を纏めたコンピレーションが出る、と云うのがあって、2018年の夏版がつい先日発売となりました。
取り立てて有名なアーティストを擁していたりはしないのですが、その分新規流入も激しく、ストイックに音で勝負する姿勢がアングラっぽくて良いなぁと思ったりします。
試聴段階で胃もたれするくらいのエグさを奏でておりますが、55曲入って17ドル程度(1曲換算すると約30セント)と大変お買い得なので未体験ゾーンに足を踏み入れたい人にオススメ。
個人的オススメはブレイクでイマドキのチャラい跳ねたシンセが前面に出ているクセに、明けると超重いベースが圧力をかけてくるこのレーベルのボス、Terra4beatのダマし系トラック、Summertime (Terra4Beat Remix)。
Classics Remixes from Deep Low Records on Beatport
最後にご紹介するのはこちら。
スペインのブレイクビートメイカー、The BeatkillersによるリミックスEP。
何のリミックスかと言うと驚くなかれ、1990年代初頭~中期にかけて世界中を踊らせたレイヴアンセム。
Awesome 3 / Don’t Go、Baby D / Let me be your fantasy、The Prodigy / Your Love、Robert Miles / Children、タイトルは出てこなかったとしても、きっとこれらのフレーズについてはどこかで聴いたことあると思います。
言わば大ネタ中の大ネタなワケです。
1曲ずつブートレグで公開されているのならまだ分かる。
Paul Croninの回でも少し触れたようにレイヴブレイクスのシーンに於いては往年のレイヴアンセムネタブートレグが割合頻繁に投下されていたりするので。
しかしこのように、堂々とEPでヒトカタマリになって売られている例はかなりレアと言える筈です。
今回の紹介の中では群を抜いて謎の作品。
個人的オススメはもう全部!と言いたいところですが、Robert MilesのChildrenネタとしておきます。
新譜を追っていてRobert Milesの名前を見た衝撃度も大きかったですし、元ネタがトランスとあって非4つ打ち系のアレンジを聴いたことがなかったと思うので。
次週09月25日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。