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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/05/31

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

他メンバーの連載でも口酸っぱくお伝えしている通りではございますが、次回Hardonizeの情報が解禁となりました。

2018/06/23 Hardonize #30 -Back 2 Back Special-
先日の10周年記念回を経て、11年目突入! 細分化する「ハードテクノ」を様々な周辺ジャンルも内包し 各々のDJによる解釈でフ...
レジデントメンバーがそれぞれゲストDJを選出し、その人と交代を繰り返しながらプレイする、所謂B2Bを全員が行う変則的な進行でお送りします。
従ってソロでDJブースに立つ人は皆無。
B2Bは互いの信頼関係と個々の対応力が求められるので、お互い歩み寄ったプレイをするのか、それともどちらかが裏切った結果殺し合いが始まるのか、大変見ものです。
06月23日土曜日、いつも通り早稲田茶箱にて執り行います。
皆様のお越しをお待ちしております。

折角なので各ゲストについて簡単に紹介しましょう。

774MuzikさんのB2B相手として選ばれたのはboxさん。
若手でありながら曰く『何だかんだあって』テクノに辿り着き、DJ/トラックメイカーとして活動中。
東京テクノパーティー協定、Techno Allianceのコンピレーションにも楽曲提供されていたり、774Muzikさんのリミキサーとして起用されたりとHardonizeとも縁のある方です。
むしろ今までお声がけしていなかったのが不思議。
尚、若手であるにも関わらず影響を受けたテクノがSurgeon直系のハードミニマルだったり、ハードウェアオンリーでライブパフォーマンスをしていたりと大分生まれる時代を間違えている感があります。

Sangoさんの相手はgekkoさん。
こちらも若くしてハードテクノにハマってしまった方です。おぉ・・・かわいそうに・・・。
しかしハードテクノ以外にも造詣が深く、ベースミュージックからアニメソングまでこなすオールラウンダー。
その趣味を遺憾なく発揮しているのが地元山梨にてオーガナイズしているパーティー、FirstFantasyであり、The LASTTRAK、monolith slip、the sub accountなど特定のジャンルに依らないブッキングを敢行しております。
Sangoさんも以前ゲスト招聘されていたこともあり、今回のオファーはその意趣返しと云ったところ。
但し、先日茶箱でgekkoさんにバッタリ会った際に話を伺ったところ、『如何にしてSangoさんに嫌がらせのような選曲を行うか。』について考えを巡らせておりました。

そしてyudukiボスに選出されたのはREV-TUNEさん。
(メカメカしい)テクノと(メカメカしい)サブカルチャーを好み、両者の特性を落とし込んだようなDJを主として都内で活動されている方です。
特にエウレカセブンには並々ならぬ心血を注いでおり、最早ライフワークと言っても良いくらい。
彼がBack 2 Bellforestと云うパーティーをオーガナイズしているのもそのライフワークの一端でしかありません。
余談ですが、時折ジュークやサイケデリックトランスに傾倒する素振りを見せたり意外な一面を持っています。
底が見えないと云うのはB2Bに於いて強烈なプレッシャーだと思うので、せいぜいボスには頑張って頂きたいものですね。
更に余談ですが、以前お宅にお邪魔した時に淹れて頂いたルイボスティーが美味しかったです。

さて、ワタクシはと云うと次回のHardonizeに於いて四文屋難民と云う名義で出演致します。
30_simonya
内情はと云うとBee.Bee.さん、orinetoneさん、Takayuki Kamiyaさん、そしてワタクシの4人によるB2Bでございます。

まずこの名義は何なんだと云う問いについて回答致しますと、この4人で某居酒屋に赴くと云う催しがそこそこ行われているのであります。
で、某月某日も勇んで某居酒屋に足を運んだまでは良かったものの、満席によって路頭に迷う羽目になり、流れ着いた先が某居酒屋の別店舗と云う顛末があったりしたワケです。
別に音楽的な高みを目指すためにこの4人で集まったワケではなく、やることと云えば某居酒屋でクダを巻くのみではあったのですが、今回こう云ったコンセプトでHardonizeを行うとなった際、試しに上記3名に打診したところトントン拍子に話が進み、丁度難民の経験もしたことだしと名義もこの通り決まったと云うのが全てです。
早い話がワタクシの悪フザケでございます。

その悪フザケが既に他のレジデントを戦々恐々とさせているようですが、確かに我々4人はお互いのDJや楽曲については何度も見聞きしている仲ではあるものの、それぞれのプレイスタイルに確固たる共通点があるわけではありません。
キャリアに裏打ちされた思考法やDIG力については皆一級品の持ち主だと確信しておりますが、それぞれバックグラウンドは全く異なるので、それがどう混ざり合っていくのか当事者として大変楽しみです。
B2Bは気心の知れた仲で行うのも楽しいですが、こう云った予測不可能な組み合わせで行うのもまた醍醐味の1つであると確信しております。

そんなワケで、今回は四文屋難民のワタクシ以外3名がそれぞれが得意とする音楽についてご紹介します。

Bee.Bee.

Bee.Bee.
まず1人目にご紹介するのはBee.Bee.さん。
Hardonizeには#28で1度お招きしております。
今回のB2Bの発端となった飲み会を企画した張本人にしてあの居酒屋の大ファン。
クダを巻くのが当初の目的であったにも関わらず、最近は酔っ払ったBee.Bee.さんの面白ムーブを観察する会になっている感もあります。
その姿は大変幸せそうなので見ているこっちもほっこりします。

しかしそれが音楽となると一転、硬派でストイックな側面が露わに。
ハードダンスに焦点を当てたパーティーENIGMAにてレギュラーDJを務め、ボトムがヘヴィーなトラックを積極的にプレイする印象があります。
煌びやかさよりも1音1音の破壊力に重きを置くタイプ。
また、前回の『M3-2018春』同人テクノ特集でも取り上げたクリエイター集団exbit traxにも所属し、作曲、プロデュース、果てはライターも行う器用な人でもあります。
最新作、RAID EPに於いてはフーバーを全面的にフィーチャーしたテックダンストラックを披露。
今までありそうでなかった曲となっております。

Bee.Bee. / Twisted

そんなBee.Bee.さんを語る上で欠かせない音楽が、

UKハードハウス

であります。
ハードスタイルやハードトランスと並ぶハードダンスの1種で、その名の通りイギリスが発祥。
フーバーやアシッドと云ったレイヴ要素をふんだんに使いつつ、ベースの跳ね方や連続性に軸を置いた音楽と云う認識が一般的です。
ロングブレイクも必ずあって、ドラムロールと共にドカーンとサビに展開するあたり、ハードテクノよりは格段に派手な音楽ですね。

ちなみにUKハードハウスは陽気なリフとバウンシーなベースが特徴的なスタイルと、エグい音使いでシリアスなメロディー進行をするものがありますが、Bee.Bee.さんがより傾倒しているのは後者である気がします。
Hardonize出演の際もこの手の音でガン攻めのプレイを行って頂きました。
最近のリリースではこんな感じ。

Mike Taylor, Aaron Langstaff / Tough Guy

Hilly / Baby Gravy

レイヴ直系のサウンドらしく、オールドスクールな音もまだ聴けるジャンルです。
ロンドンのヤンキー感をまた聴けるかもしれないと思うと胸が高鳴ります。

orinetone

orinetone
続いてはorinetoneさんをご紹介。
Hardonizeには#14で1度お招きしております。
今回の3人の中ではワタクシと1番付き合いの長い方で、既に何度もB2B経験があるばかりか、2人でラウンジ6時間と云う無茶なオーダーを引き受けたこともあります。
(なんだかんだ言って楽しかったですね。)
あと何故かゲーム繋がり。それも格闘ゲーム。
これも以前B2Bとして出演したパーティーでプレイ中に突然アーケードコントローラーを握らされ、クラブの大画面で格闘ゲームをやったことがあります。

トラックメイキングに関しては最近の秋葉原重工への参加でじわじわと活動域を広げておりますが、軸足は昔からDJに寄っている気がします。
参考までに以前Hardonizeにご出演頂いた際のプレイがこちらになります。

orinetone – Hardonize#14 DJ Live Rec

とはいえ、orinetoneさんがハードテクノのDJかと問われると、多分NO。
彼女も僕と同じく音楽放浪癖のある人で、テクノ、ハウス、ベースミュージック、ハードダンス、なんでもこなします。
しかし選曲に対する考え方にはやっぱり差異があるもので、時折予想しない流れに転がっていくこともある。但しお互い対応はできる。
こういう良いハプニングを安心して期待できる人と行うB2Bは大変楽しいと感じることが多く、ありがたい存在だと思ってます。

そんなorinetoneさんを語る上でジャンルを1つに絞るのは非常に難しいのですが、最近の彼女のトレンドとして

リキッドファンク

が挙げられます。
高速ブレイクビーツでお馴染み、ドラムンベースのサブジャンルの1つで、歴史も深度もある音楽です。
リキッドファンクが他のドラムンベースと一線を画すところと云えば、何と言っても液体のように透明感のある空気感やメロディーでしょう。
リフやパッドの美しさと臓腑に響くベースのエグさと云う、ある種相反する要素を持ち合わせております。短い言葉で例えると『健全なエロ』。

こちらもまた生音系重視の昔ながらの質感を持った音使いのものと、近代ドラムンベースらしくカッチリした電子音に焦点を当てて作られたものとざっくり2つに分けることができますが、orinetoneさんの好みは前者である印象を受けます。
最近のリリースではこんな感じ。

Greekboy / Tha Sounds

Indivision / Mirakuru (Rameses B Remix)

ジャングルめいたリズムのトラックもまた黎明期からずっと続いている1つのスタイルで、この他にもエレクトロニカに近いくらいミニマルなリキッドファンクもあったり、サブジャンル1つ取っても紹介しきれないのがドラムンベースの脅威であり、魅力でもあります。
そういう辺りがまた彼女らしい音楽だなとも思ったりするワケです。

Takayuki Kamiya

Takayuki Kamiya
最後に紹介するのはTakayuki Kamiyaさん。
Hardonizeには#22で1度お招きしております。
ご存知と言って良いでしょう、都内でヘヴィーウェイトなテクノに焦点を当てたパーティーと音源制作を行う秋葉原重工のCEOにしてトラックメイカー。
最近では新たにカレーを食べに行ったり作り合ったりするルートが開拓され、日報のようにカレー情報を共有する仲になっております。
あと映画とかゲームの話もよくします。
ここら辺の趣向はあんまり似てないんですけど、お互い引き出しがいっぱいあるのでつい話が広がってしまう、そんな人。

DJとしての立ち振る舞いは言わずと知れたと云う感じがします。
色々聴いている音楽や人脈の幅は広いにも関わらず、あえてテクノに的を絞ったプレイが武器。
そのテクノも広義の意味なので、細分化すればミニマルからメインストリーム、ハード、ダブ、ゲットーなどテクノなら何でもオッケーと云うのが彼のスタンスです。
半年程前にMixcloudにアップロードしていたMIXがハードテクノ寄りなので、Hardonize的親和性を期待するならば参考になるかもしれません。

Takayuki Kamiya / mix20140814

幅広いだけではなく、それぞれの掘り下げ方も相当深いため、彼のDJを聴いていると『テクノでそんな曲あったのか。』みたいな発見をすることもしばしば。
自分にはできない単ジャンルで勝負することの大事さや格好良さと云ったものを再確認させてくれます。

と、まあそんなTakayuki Kamiyaさんなので、代表ジャンルと云ったら

テクノ

になるわけです。
ただ、最近のテクノシーンの潮流として所謂売れ線のメインストリーム系と、今はアングラ感漂っているけど実験的且つ革新的なものとの間になんとなくボーダーを引こうと云う動きがあって、この動き自体もそうですが、後者に位置付けられた音楽に対して彼と僕の間で興味を寄せているところです。
1年前に大手配信サイト、BeatportのジャンルカテゴリーにLeftfield House & Technoと云う名前で追加されたものがそれに当たり、経緯についてはResident Advisorが記事にしています。
RA: ニュース: Beatportが”Leftfield House & Techno”セクションをローンチ

これはジャンルとして確立する程度のものではなく、あくまでムーブメントと云う認識ですが、変な音楽好きとしては見過ごせないもの。
最近のリリースではこんな感じです。

Cari Lekebusch / Rockcarver

STRISC. / Mozg

Takayuki Kamiyaさんからしてみれば、こういう突然変異的トラックをどうテクノの文脈で調理するかと云う課題をクリエイターから突きつけられているとも言えます。
そしてそれを喜んでやってしまう人でもあるんですよね。だってテクノ好きだから。

と云った3人と何でもオッケーなワタクシで次回Hardonizeでは四文屋難民のプレイをお送りすることになります。
紹介したところでやっぱりどうなるか分かりませんね。
案外平和に時間いっぱいハードテクノ流し続ける可能性もありますし、突然『この流れ飽きた!』と言ってブッ込んでくる変化球も全員持っていると思われます。
それでも結局なんだかんだ楽しんでしまいそうな気がするので、温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
まぁ強いて言えば、後ろの出番の人ごめんなさいねホント。

次週06月05日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2018/05/17

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

M3リリースレビューやります!

(直球)
度々当連載でも話題に挙げております、毎年04月と10月に開催されている同人音楽即売会M3が先日04月29日に行われました。
タイミングとしてはその直後にワタクシの担当回があったもんでその時にできたら1番良かったのですが、
20180503_M3
なにぶん収穫物がこの量だったので担当回までに整理が終わらず、普通にアーティストレビューを行ったと云うのがここまでのあらすじ。
その後通常のリリースなんかも並行して追いつつ、やっと先日ある程度まで聴き終わりました。

今回も良盤が大変多かったです。
現行の海外リリースも勿論大切ですが、それとはまた異なるローカル独自の音楽と云うのもそれはそれで面白いものです。
それはテクノも同様で、海外シーンに引けを取らないもの、インディーズならではのアイディアが詰まったもの、思わずクスッとさせてくれるネタモノまで幅広い曲に出会うことができます。
余談ですが、先週このようなパーティーが行われたようにそれだけでDJができるくらいのリリース量とクオリティが今の同人音楽にはあります。
M3音源ナイト -m3(^Д^)- – 薬酒BAR 高円寺

そんなワケで今回のテーマは、

『M3-2018春』で買った同人テクノ

です。
これまでと同様、表記順は『【アーティスト名】 / 【リリース名】 [【サークル(レーベル)名】]』でテクノ的オススメを挙げていきます。

前回『M3-2017秋』特集はコチラ、

今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/11/02
こんばんは。TAK666です。 レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、 2週間ぶりにワタクシが担当致します...
前々回『M3-2017春』特集はコチラです。
今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/05/04
こんばんは。TAK666です。 レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、 2週間ぶりにワタクシが担当致します...

あーラーメン楽しみだなー。

Atomic, Kouki Izumi / Area of effect.ep [秋葉原重工]


まずご紹介するのはHardonizeがいつもお世話になっているテクノパーティー、秋葉原重工の新譜。
トラックメイカーとしてのキャリアは長いもののDJを始めたのは最近と云うAtomic氏と、先日10時間に及ぶロングセットを行ったKouki Izumi氏のスプリットEPです。
それぞれ得意とするトラックの傾向が片や無機質なブレイクビートテイストのテクノ、片やヘヴィーウェイトなミニマルテクノと云うことで『硬くてエグいビートのミドルテンポ』と云う点に於いて共通している2人ですが、本作はその特性が遺憾なく発揮されています。
変則リズムとスモーキーなウワモノだけで空間を掌握するようなタイトルトラックに加え、それぞれのソロ曲とリミックスが1曲ずつ、そしてA.Mochi氏による本作唯一のストレートな4つ打ちとなっているリミックスとREBUSTAPE氏によるこれまたリズムが変則的なリミックスが収録された1枚。
渋くて暗いテクノ好きな方にオススメです。
http://www.ahiweb.info/

Homma Honganji / TR原人2 [ビッグファイア]


続いてこれまたHardonizeが常々お世話になっている、と云うか前回行われた10周年パーティーにもお招きしたハードグルーヴマイスター、Homma Honganji氏のアルバム。
本人のツイートによると、ローランドのリズムマシンTR-909を全曲に渡ってフィーチャーした内容になっているようで、まあ1曲目から特徴的なカウベルの音が鳴ってたりするワケです。
試みとしては完全に90年代丸出しのコンセプトでありながら出音はキッチリ現行のサウンドにアップデートされていて、ハードグルーヴからシカゴハウスまで使えるトラックの宝石箱。
Hardonizeレジデント間で収録曲取り合い合戦が繰り広げられること必至です。
特に先んじてXtreme Techno RecordsのEPに収録され、本作の8曲目を飾っているRejimanは仄かに哀愁漂うシンセが幾層にも重なったハードグルーヴで個人的にも大変ツボ。
http://bigfire.info/

アシッド田宮三四郎 / ACIDACID [全日本レコード&KAMMAI]


昨年行われたHardonize#28にご出演頂いたDie氏率いる『NO PC、完全ハードウェア同期ライブユニット』ことアシッド田宮三四郎。
その名の通り、遊び心溢れるアシッドテクノを武器にライブハウス各地を揺らしてきた彼らの10枚目に当たる本作はこれまでリリースしてきたアルバムに収録された曲のリテイクバージョンが入った言わばベスト盤。
収録曲もハウスからハードテクノまでアシッドテクノの多様性を存分に引き出しており、こちらもまた90年代の荒削りな魅力を大いに感じ取れる作品となっております。
ちなみに使用されたハードウェアの詳細が細かくライナーノーツに掲載されていたりして、パッケージそのものとしての見ごたえも充分。
http://ketchuparts.thebase.in/items/11093475

V.A. / RAID EP [exbit trax]


ni-21氏、Philce氏、Bee.Bee.氏などが所属するハードダンスレーベル、exbit traxの29作目となるコンピレーション。
硬質且つ疾走感のあるリズムと云うのは全曲共通ですが、並走するシンセの種類は各々様々。
ド直球にギラギラしたものもあればハードグルーヴにもありがちな生音系の音をメインに据えたもの、はたまたベースミュージックを彷彿とさせるものまで収録されており、あらゆる局面でフロア映えする1作。
個人的にはYosshie 4onthefloor氏のUnimaginableがアーリーハードハウス直系の地味過ぎず、派手過ぎずと云った辺りで大変機能するなぁと思った次第。

尚、本作と同じくしてカットナンバー30番であるコンピレーション、GOLD DISCも発売となっており、そちらはハードスタイルやトランスまで更に幅広くハードダンスを網羅した豪華2枚組となっております。
また、各曲に焦点を当てたライナーノーツが公式サイトで公開されているのでそちらも是非ご覧ください。
https://www.exbittrax.com/

V.A. / New Deal EP [beat-rix]


本作をリリースの皮切りとした新興のミニマルテクノレーベル、beat-rix。
参加メンバーは愛知在住のMethodd氏とMorinobear氏、北海道よりplatechno氏、そして東京のKMMR氏と地域は様々。
極限まで削ぎ落とされたシンプルでありながら精緻な音の連続は、テクノと云う音楽の原点を想起させてくれます。

尚、本作のリリース媒体はなんとヴァイナル
そのためこれを持って会場をウロついていると色々な人から『ヴァイナル!?』とツッコまれました。
初リリースがヴァイナルと云う点もまた、注目に値するレーベルなのではないでしょうか。

加えて、来る05月19日に渋谷LXにてリリースパーティーを予定されております。
出演DJに中野Heavysick ZeroでASETと云うテクノパーティーを主宰していたフロッピ氏の名前があってプチビックリ。
https://ccwrec.bandcamp.com/

V.A. / Charterhouse Introduction [Charterhouse Records]


こちらも設立から2年とまだ新しいレーベル。
既に国内外レーベルからのリリース経験を持つMotoki Hada氏を含むUeno氏、Wakagoro Yamada氏の3人を軸とした実力者揃いとあってDOMMUNE、block.fmのプログラム出演や、渋谷Contactのレギュラーパーティーにレーベルとしてピックアップされるなど既に飛ぶ鳥を落とす勢いで活動を展開。
更にレーベル最新作ではリミキサーにジャパニーズテクノシーンの重鎮、HIROSHI WATANABE氏を起用するなど他と一線を画している印象を受けます。

何と言ってもフィジカルリリースの媒体がカセットテープなのも極大のインパクト。
公式サイトのAboutにその辺りの経緯が記してありますが、活動理念として読み応えのある内容です。

尚、上に貼ったものはレーベルリリース第1作目のコンピレーションEPですが、ハッキリ言って全部オススメのクオリティ。
BeatportBandcampでも購入可能ですが、あわよくばカセットテープを手に取って頂きたいところです。
http://charterhouserecords.com/

サイケアウツG / Basick [Stereo Records]


サイケアウツと云えば90年代よりサンプリング主体のジャングル、ブレイクビーツを軸に活動していた、所謂ナードコアの代表格として挙げられる大阪のアーティスト。
2006年にはGoth-Trad氏らと共にいち早く日本でダブステップに取り組んだ存在として生粋のクラブミュージックファンからも厚い支持を得ている彼らの最新作がコチラになります。
内容は今年の02月に行われたゆめかわナードコアまつり(仮)と云うパーティーに出演した際に披露したライブトラックのセパレート盤。
これはワタクシも遊びに行って実際に現場で聴きましたが、他の出演者が割と派手派手元気いっぱいなサウンドで攻めているなか、サイケアウツだけは激渋重低音テクノ~ジャングルを淡々と繋いでおり、異様な雰囲気のまま進行した時間帯でした。大変良かったです。

近年、それまでベースミュージックを作っていた人がテクノに傾倒すると云った流れを度々目にしますが、この作品もまた同人音楽サイドからのアンサーであることは疑いようもありません。
時折差し込まれるサンプリングがニヤリとさせてくれるものの、兎角深いベースが全曲に渡って支配する4つ打ち。
https://stereorecords.bandcamp.com/

V.A. / DISCO HERO [Lick Dom Records]


最後にご紹介するのはテクノではないんですが、個人的推薦枠としてコチラ。
音楽ゲームシーンに於いてヒット作を多く輩出しているC-Show氏がプロデュースしたディスコハウスコンピレーション。
ええ、ディスコです。2018年にもなってディスコです。
それもちょっと前に流行ったような渋めのディスコダブとかではなく、アッパーでファンキーなトラックのオンパレード。
ド直球にハウスの流れを汲むものもあれば最近のEDMライクな曲もあり、2ステップっぽいものもある一方でユーロダンス意識の曲も。
参加メンバーが普段この手の音楽を作らない人たちと云う辺りも大変面白く、好きが高じて作られたインディーズらしさの感じられる作品です。
http://c-show.jp/

まだまだ取り上げたい作品は沢山ありますが、この辺りで今回の特集はおしまい。
こう云った即売会の良いところは、年々新しいレーベルやアーティストが生まれてくるのを直に感じ取ることができるところでしょう。
パッケージ1つ取っても様々な趣向が凝らされており、目で見て楽しい、聴いて尚楽しい。
それらをどう自身のプレイに活用していくかと考えるのもまたDJの醍醐味だと思っております。
毎度良い作品を輩出してくれるクリエイターの方々には頭が上がりません。

と云った辺りで次週05月22日はそんなクリエイターでもある774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。