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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/06/01

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

一昨日のYudukiボスの記事の通り、次回Hardonizeは07月08日に早稲田茶箱にて執り行われます。
ゲストの発表はまだですが、相当の硬い音を打ち鳴らす方々に出演を依頼しております。
時期的に夏!ってコトで陽気なトラックが飛び出すのか、ボスの言うところのソリッドなグルーヴが展開されるのか、乞うご期待。

ちなみにその1週間前の07月01日及び02日にはワタクシ20代最後のロングアワーズと云うものが予定されておりまして。
#20代最後のロングアワーズ
タイトル通り、この開催日が20代最後の週末なので、つまるところ次回のHardonizeが30代最初のパーティーでございます。
一方で今年30代から卒業するHardonizeレジデントもいらっしゃ(以下検閲)

話を変えましょう。
ワタクシ以外のHardonizeレジデントはDJデビュー当初からテクノをプレイし続け今に至る方々ですが、ワタクシの場合はサイケデリックトランスがDJの入り口でした。
テクノも聴くようになったのは774muzikさんのお導きもあってのことだったりしますが、実はサイケデリックトランスの中にもテクノっぽいカテゴリーが存在します。
予てより挙げているアシッドテクノなんかも丁度両者の中間に位置しますが、主体はサイケでありながらテクノのミニマル感や無機質さを引き継いだ音楽と云うのもそれはそれで独特なもので。
当時はテクノが何なのか分かっていなかったので『ああこんなジャンルもあるんだな。』程度の認識しか持てませんでしたが、改めて聴き直した結果、Hardonizeで取り上げても良いんじゃないかと脳内会議で可決された次第でございます。
そんなワケでご紹介するのはコチラ。

【X-Dream】

x-dream

http://www.x-dream.org
https://www.facebook.com/x.dream.music

Marcus Christopher MaichelとJan Mullerによる2人組ユニット、フロム・ドイツ。
元はサウンドエンジニアとテクノ、レゲエのミュージシャンだった2人ですが、JanがMarcusのコンピューターを修理したことで1889年に意気投合、そこからセッションをこなすようになったのが結成の切欠だそうです。
デビュー作は1993年、つまりヨーロッパを席巻していたオールドスクール・レイヴからトランスと云う新しいジャンルが生まれようとしている真っ只中です。
『Trip To Trancesylvania』と名付けられたそのアルバムはまだトランスが成熟しきっていない時期であったにも関わらず、神秘的でロングスケールのメロディーとアシッドシンセの快楽的な面を強く押し出したトラックの数々は後にゴアトランス、サイケデリックトランスと呼ばれる音楽のまさに原型でした。
この後のゴアトランスの発展における屋台骨としてX-Dreamと云うアーティストが認知された切欠と言えるでしょう。

X-Dreamの最も名高い作品として挙げられるのは1998年にリリースされた『Radio』と云うアルバムです。
この作品に於いて彼らはゴアトランスの代名詞とも言えるメロディーを、よりダークでインダストリアルな方向に洗練させました。
その手法はまさしくテクノ的であり、その後の作品もゴアやサイケの音色を保ったまま更にミニマルな展開に傾注したものが多く見受けられます。
今でこそ数多くあるサイケデリックトランスのカテゴリーの1つとしてこのようなミニマル・サイケデリックトランスと云うのは浸透しておりますが、当時としては形容する用語が全くなく、唯一無二の存在感を放っておりました。
先述のゴアトランスの基礎を築いたこともそうですが、最早彼らの通った道の後に時代が追いかけてくるような気さえしてしまいます。
不倒の前衛精神から繰り出される音はジャンルの枠を超えて多くのリスナー、DJ、そしてクリエイターにとって新鮮なものとして映ることでしょう。

そんなX-Dreamのオススメはこちら。

X-Dream / Universal Chaos


先の『Radio』を受けてよりテクノ色を前面に出した曲がコチラ。2002年リリース。

X-Dream / Insanity


Solstice Musicと言えば老舗のサイケデリックトランスレーベルですが、これが収録されているコンピレーションはテクノに焦点を当てた珍しいもの。
Thomas P HeckmannとかCJ Bollandも参加してる一方でゴアトランスのレジェンドJuno Reactorも名を連ねてる辺り、ちょっと凄い1枚。

X-Dream / Move And Proceed


レースゲーム『Gran Turismo 4』の公式コンピレーションに収録された曲。
追走されてるかのようなシンセが格好良いんですがゲーム中に聴くとむしろ焦って操作ミスしてしまいそうです。

X-Dream / We Interface


暫定最新アルバム『We Interface』より。
ちなみに10年程前、Sangoさんと初めて共演した時に僕が最初にかけた曲だったりします。覚えてないですよねー。

X-Dream / Outfiled


Boshke Beats Recordsと云う生粋のダークミニマルレーベルに所属した時のトラック。
プログレっぽい雰囲気を醸しつつもレーベルカラーを損なわない渋いグルーヴに仕上がっているのは流石。

ちなみに最近はライブを活動のメインとしており、(つい先週来日しておりました。)アルバムとしては2007年以降リリースが無かった彼らですが、つい先日新作発表のアナウンスがされました。(該当記事)
どうやらリミックスアルバムのようでShpongle、Astral Projection、Eat Static、日本からはJoujouka等相当たる面子の楽曲が収録予定となっております。
サイケ、テクノ、プログレ、アンビエント、色々聴けそうですし、何よりこの孤高のサウンドがどう調理されるのか興味深いです。楽しみ。

次週06月06日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。
(なんかワタクシが次回担当した方が良かったんじゃないかと思う日付ですね。)


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/05/18

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

前回の記事では同人テクノをテーマとして取り上げました。
これらは現在の日本に於けるインディーズテクノシーンの一端と言い換えることもできるわけですが、日本にテクノが根付いたのは今に始まったことではありません。
例えばKagamiやQuadra(a.k.a. Hiroshi Watanabe)が所属していたFrogman Recordsや、Ken Ishii、Co-Fusionが所属していたSublime Recordsと云った日本のテクノレーベルは90年代から存在しており、海外レーベルと比較しても遜色ない多くの名曲を輩出してきました。
(Sublime Recordsについては現在も継続活動中です。)
その中に当Hardonizeとして是非取り上げたいクリエイターがおりますので、前回から引き続き日本人アーティストにスポットを当ててお送りします。
今回ご紹介するのはこの人。

【Chester Beatty】

chester beatty

https://www.facebook.com/chester.beatty

金沢出身のDJ/クリエイター。
現在は東京在住でdextraxのryo氏が率いるLader Productionに所属しております。
当初はナガイエリともう1人を含む3人組グループの名義だったそうですが、程なくして個人名義に。
Disq、Bodyshowerと云ったセルフレーベルから積極的にリリースを重ねる一方、Jeff MillsやSurgeonも所属するジャーマンテクノシーンの名門Tresorとも契約を結んだ出世人です。

この名義での初のリリースは97年のこの曲でした。

Chester Beatty, DJ Shufflemaster / Beatboxx EP A1

重厚で疾走感のあるハードミニマル。
今でこそこのような曲をハードミニマルと呼ぶことができますが、当時はまだ明確なカテゴライズが出来ていない時期でもありました。
ちなみにJeff Millsがこの手のテクノを作っていたのが丁度この時期(The Bellsのリリースが96年)であり、更にインターネットもまだ発展途上だったことを考えると、デビュー作にしてかなり先鋭的なことをやっていたことが伺えます。

そして2000年に出たこのリリースではある1つの方向性を見出します。

Chester Beatty / Levanon B1

当Hardonize連載記事をご覧頂いている方であれば、今これを聴いてパッと思い当たるフシがある筈です。
そう、後年ハードグルーヴと呼ばれる音楽を氏は2000年にして、日本人アーティストとして、既に具現化させていました。
パーカッションとフィルター、そしてブラス系サンプリング、やや速いテンポ、這うようなベースライン、どれも今のハードグルーヴが持つ要素です。
私が知る限りでは当時のファンキーなテクノと云えばKagamiに代表されるディスコっぽいものか、或いはトライバルリズムに寄ったものが殆どで、このようにハードテクノの要素を取り入れたものはほぼ無かったように思えます。

これ以降、Chester Beatty氏はファンキーなハードテクノとしてのカラーをより前面に打ち出したリリースを重ねます。
以下3作品はデジタルリリースされてないものですが、特にオススメしたい曲なので是非レコード屋でDIGして頂きたい。
そんなに入手難度は高くない筈です。

FLR / Easy Filter (Chester Beatty Remix)


※FLRはKen Ishii氏の別名義。

DJ Shufflemaster / Fourthinter (Narita Remix)

Chester Beatty, Peter Jacques Band / Shot of Love (Walking on Music)

2001年~2003年辺りのリリースです。
ド直球に派手なハードテクノで、マスタリングこそ今風ではないことを除けば現行の新譜に全く引けを取らない仕上がりです。
3番目に提示した曲は前述のTresorから出たアルバム『Shot Of Love』に収録されており、このアルバムそのものがこういったディスコ×ハードテクノトラックのコンパイルとなっているので心からオススメです。

さて、ここまで氏の作品をずらずらっと挙げてみましたが、実はどれも2000年代の曲でございまして、じゃあ最近はどんな曲を作ってるのかと申しますとこんな感じ。

檸檬 / ラストキス

ハードテクノではないですね。
檸檬は70年代のシティポップをコンセプトに2013年からリリースを開始したプロジェクト。
https://www.facebook.com/lemonrsc/
https://soundcloud.com/lemonrefrain
4枚目のEPとして2015年にリリースされた『君と出逢えば』は同年の『スマ婚』のCMソングとして使用されている他、今年初頭に放送された資生堂による音楽番組『花椿アワー』内にてtofubeats氏にプレイされたりもしました。
(そのトラックリストがこちら。)

このプロジェクトにCheaster Beatty氏はアレンジャーとして参加しております。
上のグイグイ来るハードテクノのイメージからはかけ離れたものがありますが、程良くアーバンでファンクな曲調は松任谷由美辺りが好きな人には超オススメ。
あと毎回ヴァイナルでリリースしていると云うことも書き加えておきます。

クラブミュージックとして取り上げると、去年このようなリリースがありました。

Chester Beatty, DJ Shufflemaster Feat. DJ Funk / Our House Music

こちらもハードテクノではなく、アシッドハウス。
Cheaster Beatty氏と共に日本のハードテクノシーンを長きに渡り牽引してきたDJ Shufflemaster氏、そして先日来日したシカゴハウスのレジェンド、DJ FUNKとのコラボレーションと云う正にあの時代を彷彿とさせるコラボレーションはちょっとした事件です。
(しかもリミックスにDJ TASAKA。)

と云うわけで音楽活動自体は継続している模様。
去年丁度DJ Shufflemaster氏が未発表曲コンピレーション『Restrospective I 1995-2002』、『Restrospective II 1995-2002』を立て続けにリリースしたこともあり、その中にも硬いテクノがふんだんに含まれていることから、ふとした拍子にCheaster Beatty氏もこの手の曲を作ってくれることに期待を寄せております。
余談ですが、全く現在のハードテクノに関わっていないと云うわけではなく、とあるハードテクノアーティストのマスタリングとしてクレジットに名前が載ってたりするのですが、その話はまた追々。

次週05月23日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。