こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
Crate Diggers Tokyoに行ってきました。
http://cratediggers.com/events/tokyo2017/
http://www.contacttokyo.com/schedule/crate-diggers-tokyo/
音楽データベースサイトのDiscogsが主宰するレコード市で、disk unionやHMVなど大手を含む国内のレコードショップ、DJが各々選りすぐったレコードを販売すると云ったイベント。
今回日本初開催だったそうです。
会場は渋谷のクラブ、Contact。
ここはよくテクノのパーティーも開催されているので、本連載をお読み頂いている方の中には遊びに行ったことのある方も多いと思いますが、700人規模の所謂中箱に当たります。
そこに所狭しとレコードが並んでおり、もう圧巻でした。
Discogsが主宰しているだけあってヒップホップ、R&B、ハウス、テクノなどのクラブミュージックは元よりジャズや歌謡曲、ワールドミュージックなども揃っており、DJもレコードコレクターもあの場所に集っていたような気がします。
で、私の収穫としてはこんな感じです。
コレクション的に買ったものもちらほらありますが、やはり未だにレコードでしか手に入らない曲と云うものは存在するので、その辺を狙ったチョイスとなってます。
また開催された際には足を運びたいと思います。年イチくらいで開催してくれると丁度良いんですけどねー。
さて、上の写真はなんとなくジャンル分けされておりまして、右の写真の2枚目に写っている9枚はディスコものに該当します。
私事で大変恐縮ですが、ファンキーなミドルテンポの4つ打ちダンスミュージックを語る上で欠かせない要素がこのディスコでありまして、見かけたら有無を言わさず買ってしまう病気にかかっています。
突き抜けて陽気な曲風に魅せられたと云う点もあるのですが、ある1人のDJプレイに感化され、今尚目標と掲げている存在があることも大きいと感じています。
今回ご紹介するのはそんな方でございます。
https://www.badboybill.com
https://www.facebook.com/BadBoyBill
https://soundcloud.com/djbadboybill
アメリカ、シカゴのDJ/クリエイター。
1970年代初頭の生まれで、1985年にDJデビュー、1987年にトラックリリース開始と大ベテランです。
作曲ジャンルはデビューから今に至るまでハウスとその周辺音楽ではあるものの、DJを開始した当初はヒップホップに傾倒しており、1988年、1989年と2年連続であのDJバトル大会、DMCの全米トップ3に輝いております。
参考映像がこちら。
今聴いても普通に上手くて見ごたえありますし、これが後年ハウスDJとしてトップの座に君臨すると云うのは中々信じ難いものがあります。
ちなみに途中で33回転を45回転にスイッチする手法はこの年の世界チャンピオン、Cutmaster Swiftもやっていた手法ですね。
また、Bad Boy Billが当時から行っていた革新的なプロモーションがHot Mixシリーズと呼ばれるものです。
これは彼がこのために設立したStreet DJ Promotionsと云うレーベルを通して配布されたMIX音源で、1988年から1994年の間に17番まで作られました。
オールドスクールブレイクスからシカゴハウス、レイヴ、テクノ、ディスコまで詰め込まれた内容もさることながら、これらは他のMIXテープと一線を画した要素がありました。
それは収録された楽曲のライセンス取得を行っていたと云う点です。
そしてそれはアメリカのレコード産業協会認可の元、合法的にレコード店やマーケット流通に乗せることが可能になることを意味します。
この動きは数々のレコードレーベルの支持と注目を集め、Bad Boy Billは法的に認可されたMIXを制作する最初のシカゴDJとしてその名を一気に全米に広めます。
その後、Bad Boy BillはDJとして、またクリエイターとしての活動拠点となるMix Connection Multimediaを設立。
地元シカゴのAngel Alanis、CZR、Fast Eddieらを所属アーティストとして迎え入れたほか、Hatirasのデビューを手伝ったりとプロモーターとしての活動にも力を入れ始めます。
その中で彼の代表作となるのがBangin’ The Boxシリーズ。そしてこれこそ僕が彼を偉人と崇める理由となった作品です。
BPM140近辺と云うハウス、テクノにしては速いビートにグルーヴ感のあるベースと忙しないリズム、トラックの繋ぎ目に合わせてシンセの表情も多種多様に展開するその上にスクラッチや声ネタまで重ねると云う、満漢全席みたいなMIXです。
その上、60分そこらで30曲以上繋いでいるのが凄い。これは先のHot Mixシリーズもそうでしたが、ヒップホップ仕込みのクイックミックス技術が大いに反映されています。
最大で6台のデッキを駆使することもあるんだとか。6台って。
また、Bangin’ The BoxはCD媒体として頒布されてましたが、並行して始められたポッドキャストにBehind The Decksと云うシリーズがあり、こちらは2017年になった今でも継続して更新されております。
Soundcloudにアーカイヴが上がっておりますので最近の動向の一貫として是非。
https://soundcloud.com/btdradioshow
ちなみに2004年にはWIRE04出演のため来日しております。
その時の映像がこちら。
ストイックなものもファンキーなものも含めて電子楽器を使った音楽=テクノであった時代の、良い意味でざっくばらんとした雰囲気がこの映像からも伝わると思います。
あらゆる音楽、培ってきた技術、そしてマーケティング手法を駆使しながら、如何にDJとして楽しいプレイを聴かせられるかと云った意思の権化みたいな存在、それがBad Boy Billだと思います。
本当にカッコいい。
そんなBad Boy Billのオススメはこちら。
1988年リリースの初期作品です。これまでのキャリアと将来を見据えた音の融合のようなファンキーヒップハウス。
個人的3部作。チューンアップされたディスコのドライブ感がとにかく強烈。使いどころ多し。
未配信化音源。Joey BeltramのMIXにも使われたアグレッシヴなリフが特徴の曲。
ここ数年はEDMの人として大型フェスに多数招かれておりますが、最近シカゴハウスっぽい曲がちらほら出てきました。
原点回帰でしょうか。だとするともう少し時が進めばディスコに戻ってくるかもと淡く期待を寄せてしまいますね。
次週09月12日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。